建設業経理士の勉強法(独学で合格するまでの進め方)

公開 ・執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)

建設業経理士は、大問ごとの出題の型が毎回ほぼ同じ試験です。テキストを最初から最後まで読み込むより、配点の重い大問の型を先に身につけ、過去問を回しながら苦手な論点をテキストで補う進め方が、独学ではいちばん遠回りになりません。

最初に決めること:どの大問で70点を取るか

合格基準は級・科目とも100点満点中70点以上です。満点を狙う試験ではないので、最初に「どの大問で何点取るか」を決めてから勉強を始めると、やらなくてよいことがはっきりします。

どの級・科目でも共通するのは、配点が30点以上ある大問が1つあり、その大問の型が毎回ほぼ同じということです。2級と1級財務諸表は精算表、1級財務分析は2期分の財務諸表から比率を出す問題、1級原価計算は工事原価の総合問題がそれにあたります。この大問を安定して取れるようにするのが、独学の最初の目標です。

  • 2級:第5問 精算表(30点)+第1問 仕訳(20点)=50点を土台に、第4問の原価計算(24点)で上積みする
  • 1級 財務諸表:第5問 精算表(36点)+第2問 用語選択(14点)+第4問 計算(14点)=64点を土台にする
  • 1級 財務分析:第5問 諸比率の算定(30点)+第3問 空欄推定(20点)+第4問(15点)=65点を土台にする
  • 1級 原価計算:第5問 工事原価の総合問題(34点)+第4問 意思決定(18点)+第3問 計算(16点)=68点を土台にする

土台の大問は「満点近く取る」、残りの大問は「取れる小問だけ取る」と役割を分けると、本番で時間が足りなくなったときの判断も迷いません。

2級の勉強の進め方

大問ごとの配点と時間配分

2級の試験時間は2時間です。当サイトの目安として、配点に比例させた時間配分を下の表にしました。第5問の精算表は約70か所の欄を埋めるので、配点以上に時間がかかります。先に精算表から着手する受験者が多いのはこのためです。

大問出題内容配点時間配分の目安(当サイト)
第1問仕訳 5題20点15分
第2問計算問題 4題12点15分
第3問原価計算(費目別・部門別など)14点20分
第4問原価計算(工事別・配賦差異など)24点25分
第5問精算表30点35分
—見直し—10分

進め方の順番

  1. 仕訳の型を固める(最初の2〜3週間):完成工事高・完成工事原価・未成工事支出金・工事未払金など、建設業特有の勘定科目を使った仕訳を毎日書きます。建設業特有の科目と処理から始めると、精算表の決算整理にもそのままつながります。
  2. 精算表を1枚、時間を気にせず完成させる:決算整理事項を1つずつ仕訳に直し、整理記入欄に書き、損益計算書・貸借対照表の欄へ移す流れを体で覚えます。1枚目は2時間かかっても構いません。
  3. 第3問・第4問の型を1つずつ潰す:工事別原価計算表、部門費振替表、工事間接費の予定配賦と配賦差異、材料の受払の4つの型が出番の多い順です。型ごとに2〜3回分の過去問をまとめて解くと、数値が変わっても手が動くようになります。
  4. 第2問の計算は後回しでよい:1題3点で4題、しかも論点が広いので、他の大問が固まってから、過去問で出た型だけを拾います。
  5. 通しで解く:最後の2〜3週間は、1回分を2時間で通して解き、上の時間配分と比べて何に時間を使いすぎたかを記録します。

2級でつまずきやすい所

  • 工事進行基準の2年目・3年目の計算。進捗率を「累計」で出し、前期までに計上した完成工事高を引く手順を飛ばすと、金額が倍になります。
  • 配賦差異の借方・貸方。予定配賦額より実際発生額が大きければ借方(不利)です。「予定−実際」の符号だけで判断する癖をつけます。
  • 精算表の整理記入欄で借方と貸方の合計が合わないまま先へ進むこと。合計を一致させてから各欄へ移すだけで、後半の失点がかなり減ります。

1級 財務諸表の勉強の進め方

試験時間は1時間30分で、第1問の記述(20点)、第2問の用語選択(14点)、第3問の正誤判定(16点)、第4問の個別論点の仕訳・計算(14点)、第5問の精算表(36点)の構成です。当サイトの目安の時間配分は、第5問に35分、第1問に20分、残りの3問に30分、見直しに5分です。

  1. 精算表から入る:2級の精算表と様式は同じで、決算整理事項に税効果や減損、償却原価法が加わります。精算表(決算整理の総合問題)の過去問を3回分解けば、整理事項の顔ぶれがほぼ固定だと分かります。
  2. 第4問の型を周期で押さえる:連結・リース・ヘッジ・JV・株主資本等変動計算書など、回ごとにテーマが替わります。直近5回で出たテーマは次も出にくいので、しばらく出ていない型から優先して解きます。
  3. 理論は「書く」練習を毎日10分:第1問は200〜300字の論述です。テキストの定義を読むだけでは本番で手が止まるので、企業会計原則や資産の評価基準などの定番テーマについて、定義・理由・結論の3文を自分の言葉で書いてみます。
  4. 正誤判定は「どこが間違いか」まで言う:第39回から修正箇所と修正内容も答える形式になりました。正しい文に直せるレベルで読む練習が必要です。

つまずきやすいのは、税効果の処理順です。貸倒引当金の損金不算入やその他有価証券の評価差額は、他の整理事項をすべて終えてから最後にまとめて処理すると、繰延税金資産と法人税等調整額の計上漏れを防げます。

1級 財務分析の勉強の進め方

試験時間は1時間30分で、第1問の記述(20点)、第2問の用語選択または正誤(15点)、第3問の財務諸表の空欄推定(20点)、第4問の損益分岐点分析または生産性分析(15点)、第5問の2期分の財務諸表による諸比率の算定(30点)の構成です。計算の比重が高く、公式を正確に覚えているかどうかが得点に直結する科目です。

  1. 主要比率表の公式を分母・分子まで書けるようにする:公式サイトで公開されている財務分析主要比率表が出題の根拠です。収益性分析、活動性分析、建設業特有の流動性比率の順に、期中平均を使うか期末残高を使うかまで含めて覚えます。
  2. 端数処理の指示を毎回確認する:%は小数第3位を四捨五入して第2位まで、金額は千円未満切り捨て、といった指示が問題ごとに付きます。公式が合っていても端数処理で落とす失点は、過去問を解くたびに記録して潰します。
  3. 第4問は実施月で型が分かれる:3月実施回は損益分岐点分析、9月実施回は生産性分析が続いています。第40回は3月実施なので、損益分岐点分析を優先しつつ、生産性分析も第5問の分析文で出るので外せません。
  4. 第3問の空欄推定は逆算の練習:比率から金額を逆算する問題は、「分かっている数値から順に埋める」順番を決めるのがコツです。財務諸表の空欄推定の過去問で、どの空欄から着手したかをメモしながら解きます。

1級 原価計算の勉強の進め方

試験時間は1時間30分で、第1問の記述(20点)、第2問の理論(正誤・用語選択)、第3問の計算(16点)、第4問の意思決定・設備投資の経済性計算(18点)、第5問の工事原価の総合問題(34点)の構成です。3科目の中では合格率がいちばん低く、計算量も多い科目です。

  1. 第5問の完成工事原価報告書を固める:完成工事原価報告書の作成は、材料費・労務費・外注費・経費を工事別に集計し、完成分と未完成分に振り分ける大問です。「うち労務外注費」「うち人件費」の内書きの扱いを毎回確認します。
  2. 第4問の意思決定は型が3つ:設備投資の経済性計算、自製か購入かなどの業務的意思決定、直接原価計算・CVPです。税引後キャッシュ・フローの式と現価係数の使い方を先に覚えます。
  3. 第3問は配賦の計算を一通り:工事間接費の予定配賦と配賦差異、損料計算、材料副費、部門別計算など、2級の第3・4問を深くした内容です。2級の知識がある人はここから入ると楽です。
  4. 記述は『原価計算基準』の言葉で:建設業原価計算の目的・特徴は第1問で最も繰り返されるテーマです。対内的目的と対外的目的、原価の本質の4要件を、1文ずつ書ける形で覚えます。

つまずきやすいのは、差異の記号(有利A・不利B、または借方・貸方)です。差異の金額が合っていても記号を逆にすると得点になりません。「標準(予定)−実際」がプラスなら有利、と決めて毎回同じ順で計算してください。

過去問の回し方と解答用紙に慣れる方法

3周で仕上げる

  1. 1周目:時間を計らずに解き、解説を読む。解けなかった問題には印を付け、論点ページで基本を確認します。ここで完璧を目指さないことが大切です。
  2. 2周目:大問ごと・論点ごとに横断して解く。同じ型の問題を3〜4回分続けて解くと、問題文のどこを見れば何が決まるかが分かります。当サイトの過去問一覧は論点で絞り込めます。
  3. 3周目:本番と同じ時間で通して解く。1回分を試験時間で解き、大問ごとの所要時間と得点を記録します。70点に届かない回があれば、その回の落とした大問を2周目のやり方に戻します。

解答用紙の様式に慣れる

主催者の公式サイトでは、直近5回分の試験問題と解答用紙がPDFで公開されています(模範解答は作成していないと明記されています)。精算表や工事原価計算表は欄の並びが独特なので、解答用紙を印刷して手書きで埋める練習を、本番前に最低3回はしてください。画面上で解くだけだと、本番で欄の位置を探す時間が増えます。

当サイトの出題画面は本試験の解答欄の構成に合わせていて、採点も配点どおりに行われます。画面で論点をつぶし、印刷した解答用紙で仕上げる、という使い分けが効率的です。

直近の本試験の解答と解説は解答速報・自己採点のページにまとめています。回ごとの合格率と難易度の読み方は難易度・合格率・勉強時間をご覧ください。

よくある質問

テキストと過去問、どちらから始めればよいですか?

簿記の学習経験がある人は過去問から、ない人はテキストで仕訳の章だけ読んでから過去問に入るのが近道です。テキストを通読してから過去問、という順番は時間がかかるわりに定着しません。

2級に合格してから1級を受けるべきですか?

受験資格に制限はないので1級から受けることもできますが、1級財務諸表の精算表と1級原価計算の第3問は2級の内容を前提にしています。簿記の経験がなければ2級から入るほうが結果的に早く済みます。

1級は3科目を同時に勉強したほうがよいですか?

科目合格は5年間有効なので、1回の試験で1〜2科目に絞る進め方が無理がありません。科目の組み合わせ方は学習スケジュールの記事で説明しています。

記述問題は独学で対策できますか?

できます。当サイトの記述問題は模範解答と要点のチェックリストで自己採点できるので、要点が何個入っているかを数えながら書く練習を繰り返してください。

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出典・参考:建設業経理検定試験とは(建設業振興基金)、過去の試験問題(建設業振興基金)、検定試験の出題範囲等(建設業振興基金)

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