収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)
重要度 A第1・2・3・5問で出題過去問 16問
収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)は、建設業経理士1級 財務分析の第29〜39回(11回)のうち11回で出題された論点です(収録78問中16問・重要度A。うち9問は2期分の財務諸表による諸比率の算定・貸借対照表・損益計算書の空欄推定の一部として出題)。出題されるのは第1問・第2問・第3問・第5問です。
要点:利益÷資本×100で投下資本の収益性を測る。分子は事業利益(経常利益+他人資本利子)、経常利益、営業利益、当期純利益を使い分け、分母は総資本・経営資本・自己資本・資本金の期中平均を使う。ROEは売上高利益率×総資本回転率×財務レバレッジに分解する(デュポンシステム)。%は小数第3位を四捨五入し第2位まで記入する。
覚える要点
- 事業利益=経常利益+支払利息(借入金利息+社債利息+付記事項の「その他他人資本に付される利息」)。総資本事業利益率(ROA)は資本構成に左右されない収益力を示す。
- 経営資本=総資本−(建設仮勘定+投資その他の資産)。無形固定資産は控除しない。対応する分子は営業利益(経営資本営業利益率)。
- 自己資本利益率(ROE)=当期純利益÷自己資本(純資産合計の期中平均)×100。デュポン分解:売上高利益率×総資本回転率×財務レバレッジ(総資本÷自己資本=自己資本比率の逆数)。
- 経営事項審査の資本利益率は総資本売上総利益率=売上総利益÷総資本(期中平均)×100。資本金経常利益率は資本金の期中平均で割る。
- 期中平均を使うのは貸借対照表の残高を損益のフローと対比する比率。問2の数値群には期末残高で割った値や別の利益で計算した値がひっかけとして並ぶ。
- 資本利益率の意義は資本と利益の概念の多様性にあり、組合せは分析目的で決める。指標の限界は業種別指標の不存在・規模や事業形態の違いによる比較困難・指標の選択の困難。
勉強のしかた:第5問の問1・問2で毎回出る中心論点。ROA・ROE・経営資本営業利益率の分子分母を表にし、問2の文章穴埋めは数値群の「期末で割った値」を先に除外して候補を絞る練習をする。
この論点の引っかけ・間違えやすい点
収録している過去問の解説から、収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)で間違えやすい点を集めました。
- 第39回 第5問:Gの引当金は投資その他の資産の貸倒引当金(42,900/42,400)を落としやすい。法人税等調整額 6,100 は費用として計上されているので加算する。キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー(△233,300)は純キャッシュ・フローではないので使わない。Hの支払利息には社債利息と付記事項2の 1,200 を含め、支払手数料 220 は含めない。問2の「ヘ 3.85」「モ 7.90」は期末総資本で割った値、「ハ 3.13」は総資本経常利益率で、いずれもひっかけ。
- 第37回 第5問:Aの経営資本は、総資本から建設仮勘定と投資その他の資産の「合計」(貸倒引当金控除後)を引く。Eの支払利息は社債利息を含め、支払手数料は含めない。Gの引当金は投資その他の資産の貸倒引当金(19,500/19,300)を落としやすく、法人税等調整額 2,400 は費用として計上されているので加算する。Hの付加価値は労務外注費を外注費として控除する。問2の【6】は問題文の指示どおり期中平均で計算すると 0.78 となって数値群になく、期末総資本で計算した 0.73 を選ぶことになる(【10】は期中平均で 9.48。期末で計算した 8.92(フ)がひっかけ)。
- 第36回 第2問:【3】は「ROE(エ)」「ROI(シ)」がひっかけで、分母が総資本なのは ROA。【4】【5】は「税引前(ソ)の経常利益(タ)」を選びやすいが、資本構成に左右されない利益は他人資本利子控除前の当期純利益(事業利益の考え方)。【11】は 4 回の逆数 0.25 をそのまま「0.25 ヵ月(チ)」としないこと。12 ヵ月÷4 回=3 ヵ月で、単位が「回」の「3 回(ナ)」も誤り。
- 第35回 第1問 問1:「利益÷資本」の定義だけでは要点が半分も入らない。資本の概念と利益の概念を対にして挙げ、組合せで意味が変わること、選択は分析目的によることまで書く。
- 第35回 第1問 問2:収益性分析そのものの限界(安全性が分からない等)ではなく「指標」の限界を問うている。規模の差と事業形態の差は別要素として書く。
- 第32回 第5問:Aの経営資本は建設仮勘定だけでなく投資その他の資産合計(付記事項3)も控除する。無形固定資産(のれんなど)は控除しない。Eの棚卸資産滞留月数は主要比率表に(※)がないので期末残高で計算する(期中平均 38,280 で割ると 0.19 になって誤る)。Gはキャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローをそのまま使い、純キャッシュ・フローを計算しない。Hの配当率の分母は資本金であり、当期純利益で割る配当性向(36.05%)と混同しない。問2の「ホ 6.90」は期末自己資本で割った値、「ハ 0.73」は期末総資本で割った値、「モ 10.02」は税引前当期純利益で計算した値で、いずれもひっかけ。
この論点の問題
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と収益性分析(資本利益率・ROA・資本回転率・経審の総資本売上総利益率)の空欄補充第39回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と収益性分析(自己資本利益率のデュポン分解・経審の資本利益率)の空欄補充第37回 第5問
収益性分析の総括指標と分解、活動性分析における回転率と回転期間の関係(用語選択)第36回 第2問
資本利益率の意義第35回 第1問 問1
収益性分析における指標の限界第35回 第1問 問2
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と出資者の見地からみた収益性指標の分解(空欄補充)第32回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と資本利益率の分母・分子・分解に関する空欄補充第29回 第5問
この論点を含む問題
次の問題では、2期分の財務諸表による諸比率の算定・貸借対照表・損益計算書の空欄推定の中の一部として収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)が問われます。解説の該当箇所で、この論点の処理を確かめてください。
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(付加価値・資本生産性・設備投資効率・労働生産性の3要因分解)の空欄補充第38回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と建設業の流動性分析(建設業特有の勘定科目への配慮と別法のある比率)の空欄補充第36回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)とキャッシュ・フロー分析(資金概念・主要比率・純キャッシュ・フロー・資金運用表と資金繰表)の空欄補充第35回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(労働生産性の要因分解)・経営事項審査の経営状況(Y)の空欄補充第34回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と回転期間・回転日数による分析文の空欄補充第33回 第5問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(未成工事支出金・工具器具備品・未成工事受入金・経常利益)と自己資本事業利益率第31回 第3問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と建設業特有の流動性比率・滞留月数分析の空欄補充第31回 第5問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(現金預金・投資有価証券・資本剰余金・受取利息配当金)と自己資本経常利益率第30回 第3問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と健全性分析(自己資本と他人資本、固定資産と長期資本のバランス)の空欄補充第30回 第5問
同じ大問で出る論点
第1・2・3・5問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。
A 生産性分析:労働装備率・設備投資効率・資本集約度・資本生産性A 活動性分析(回転率・回転期間・滞留月数)A 建設業特有の流動性比率(未成工事収支比率・立替工事高比率・運転資本保有月数・必要運転資金)A 損益分岐点分析(固変分解・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益)A キャッシュ・フロー分析(純CF・完成工事高CF率・営業CF対流動負債比率)A 健全性分析:資本構造(自己資本比率・負債比率・借入金依存度・有利子負債月商倍率・流動負債比率)
出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。