設備投資の経済性計算(税引後CF・正味現在価値・回収期間・取替投資)
重要度 A第1・4問で出題過去問 7問
設備投資の経済性計算(税引後CF・正味現在価値・回収期間・取替投資)は、建設業経理士1級 原価計算の第29〜39回(11回)のうち6回で出題された論点です(収録68問中7問・重要度A)。出題されるのは第1問・第4問です。
要点:税引後キャッシュ・フロー=(現金収入-現金支出)×(1-税率)+減価償却費×税率で各年のCFを求める。正味現在価値=各年CF×現価係数の合計-投資額で、プラスなら有利。取替投資では旧設備の売却収入と売却損による法人税節約額を導入時のCFに含める。回収期間法・割引回収期間法・単純投資利益率法(平均投資額)・内部利益率法の考え方も問われる。
覚える要点
- 税引後キャッシュ・フロー=(現金収入−現金支出)×(1−税率)+減価償却費×税率。減価償却費は現金支出ではなく、損金になることで法人税を節約する(タックス・シールド)。
- 正味現在価値=各年CF×現価係数(毎年同額なら年金現価係数)−投資額でプラスなら有利。回収期間=投資額÷年間CF、割引回収期間は割引後の累計で判定し端数年は割引後CFで按分する。単純投資利益率=税引後利益÷平均投資額。
- 内部利益率はNPVがゼロになる割引率で、資本コスト率を上回れば有利。率で評価するため投資規模を反映せず、NPV法と順位が食い違うことがある。割引回収期間法が克服するのは時間価値の無視だけ。
- 取替投資の導入時CF=新設備の取得支出−旧設備の売却収入−売却損(帳簿価額−売却価額)×税率の節税額(簿価売却なら税効果なし)。教育訓練費は税引後で含める。
- 各年度の差額CF=(収入増・費用減−費用増)×(1−税率)+減価償却による節税額の差額。耐用年数到来時は新旧設備の残存価額(売却収入)の差額を最終年度に加減する。
- 設備投資の意思決定は投資案を単位とし、現金収入−現金支出の全体損益計算を行い、過去の現金収支は無視し、時間価値を考慮するNPV法・内部利益率法が望ましい。
勉強のしかた:第4問の取替投資問題は導入時→各年度→最終年度のCFを表にしてから現価係数を掛ける。節税額の「差額」と残存価額の差額を落としやすいので、第35回・第37回を解答例と突き合わせて手順を固める。
この論点の引っかけ・間違えやすい点
収録している過去問の解説から、設備投資の経済性計算(税引後CF・正味現在価値・回収期間・取替投資)で間違えやすい点を集めました。
- 第37回 第4問:導入時のキャッシュ・フローにはM1 型の売却収入 45,000,000 だけでなく、売却損 10,000,000 × 30% = 3,000,000 の法人税節約額も加える。各年度は材料単価の上昇(4,000 → 4,500 → …)を反映させ、税引後にしてから減価償却の法人税節約額の「差額」1,620,000 を足す(M2 型の 4,320,000 をそのまま足さない)。5 年度末にはM1 型を使い続けた場合の残存価額 10,000,000 の売却収入を失う点を忘れず、M2 型の 8,000,000 との差額 -2,000,000 を計上する。
- 第35回 第4問:問2 の売却損は帳簿価額(50,000,000)と売却価額の差で求める。取得価額との差にしない。導入時のキャッシュ・フローには教育・訓練費 900,000 を税引後(× 0.7 = 630,000)で含める。各年度の差額は維持費の減少から保険料等の増加を引いた額に (1 - 税率) を掛け、減価償却の節税額は差額(1,200,000)で加える。E1 型の残り耐用年数はちょうど 5 年なので、E1 型を使い続ける案でも 5 年後に売却収入は生じない。
- 第34回 第4問:旧機械は簿価で引き取られるので売却損益はなく、税効果も生じない(売却価額が簿価と異なる問題では売却損益 × 税率の調整が要る)。減価償却費は現金支出ではないので、差額 12,500,000 は課税所得の計算だけに影響し、キャッシュ・フローには税金の節約分 5,000,000 として効く。旧機械をそのまま使う案との差額で計算するので、売上や費用の全額ではなく増減額を使う。
- 第32回 第4問:問1 は営業利益 525,000 をそのままキャッシュ・フローにしない。減価償却費は現金支出を伴わないので足し戻し、法人税の節約額(タックス・シールド)1,000,000 × 30% を含める。問3 の会計的利益率は税引後キャッシュ・フローではなく税引後利益 367,500 を分子にし、分母は投資額 5,000,000 ではなく平均投資額 2,500,000 にする。問5 は各年の現価係数で割り引いた累計で回収年を判定し、5 年目は割り引いた 849,080.75 で按分する(割り引かない 1,367,500 で按分すると 4.5 年になり誤り)。
- 第31回 第1問 問2:「内部利益率=資本コスト率」と定義を取り違えない。相互排他的投資案で「内部利益率が最大の案が常に最有利」と断定すると、投資規模が異なる場合に正味現在価値法と結論が食い違うため厳密には誤りになる。率で評価する方法である点を軸に書く。
- 第31回 第4問:問1 (2) の固定費総額には減価償却費を含めるが、キャッシュ・フローの計算では減価償却費は現金支出ではないので、法人税の節約額(減価償却費 × 税率)としてだけ効いてくる。問3 の式は「係数 × 個数 + 定数」の最も簡単な形にまとめ、年金現価係数を定数部分にも掛け忘れない。問3 (3)・問4・問5 (1) は分岐点そのものではなく「正になる(逆転する)個数」なので、端数は切り上げる。問5 (2) は投資額が小さい設備Bを選びがちだが、分岐点以上では 1 個当たりのキャッシュ・フローが大きい設備Aが有利になる。
この論点の問題
設備の取替投資の意思決定(減価償却による法人税節約額・差額キャッシュ・フロー・正味現在価値)第37回 第4問
設備の取替投資の意思決定(減価償却による法人税節約額・売却損の税効果・差額キャッシュ・フロー・正味現在価値)第35回 第4問
旧機械の取替投資(年度別キャッシュ・フローの純増減額と正味現在価値法による判定)第34回 第4問
新製品投資案の経済性計算(税引後差額キャッシュ・フロー・回収期間・単純投資利益率・正味現在価値・割引回収期間)第32回 第4問
内部利益率法による設備投資の評価第31回 第1問 問2
設備投資の経済性計算(税引後キャッシュ・フロー・正味現在価値・採算個数・2 設備の優劣分岐点)第31回 第4問
設備投資の意思決定に必要な損益計算の特徴(用語選択)第29回 第2問
同じ大問で出る論点
第1・4問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。
A 工事間接費の予定配賦と配賦差異(予算差異・操業度差異・基準操業度)A 労務費の計算(予定賃率・月給制の期間調整・残業手当・労務外注費)A 経費の集計と人件費の区分(役員報酬の等価係数配賦・その他経費)A 原価計算制度の理論(個別・総合原価計算、原価計算基準、特殊原価調査)A 建設業原価計算の目的・特徴と原価の本質(記述)B 品質原価計算・ライフサイクルコスト・VE
出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。