建設業経理士は独学か講座か(向いている人・費用・使いどころ)

公開 ・執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)

建設業経理士2級は、出題の型が固定されていて過去問と解答用紙が公式サイトで公開されているため、独学で合格している人が多い試験です。一方で1級の記述問題や、簿記がまったく初めての人の2級は、講座に払う費用が時間の節約として見合う場面があります。どちらが正しいかではなく、自分の状況でどちらが安く済むかで決めるのが現実的です。

独学で足りる範囲

次の条件に当てはまる人は、独学で十分に合格水準に届きます。

  • 日商簿記3級程度の仕訳ができる人の2級受験。2級は仕訳(20点)と精算表(30点)で50点あり、どちらも簿記の基礎の延長です。建設業特有の勘定科目(完成工事高・未成工事支出金など)を置き換えて覚えるだけで、仕訳は型に入ります。
  • 2級合格者の1級財務諸表・原価計算。どちらも配点の重い第5問が2級の精算表・原価計算の発展形で、過去問を回せば型が見えます。
  • 過去問を自分で採点できる人。主催者は模範解答を公表していませんが、当サイトの過去問は配点どおりに自動採点され、精算表の欄ごとの正誤も分かります。採点のために講座を使う必要はありません。
  • 週に決まった学習時間を確保できる人。独学で失敗する最大の原因は、教材の質ではなく学習が途切れることです。曜日と時間を固定できるなら、独学の弱点はほぼ消えます。

独学で使う教材は、市販のテキスト1冊と過去問(公式サイトの直近5回分のPDFか、当サイトの過去問ページ)があれば足ります。テキストを複数冊そろえるより、1冊を2周するほうが定着します。

独学の具体的な進め方(勉強法の記事) →

講座を使う価値がある場面

講座(通信講座・スクール・企業向け研修)の価値は「教材の内容」より、自分では判断しにくいことを代わりに判断してもらえる点にあります。次の場面では、費用を払う価値があります。

1級の記述問題を人に見てもらいたい

1級の第1問は200〜300字の論述で、各科目20点あります。要点ごとの部分点とされているので、自分の答案に要点がいくつ入っているかを判断できないと、何点取れているのか分からないまま本番を迎えます。当サイトでは模範解答の要点チェックリストで自己採点できますが、文章の組み立てそのものを直してほしい人は、添削のある講座が向いています。

簿記がまったく初めてで、3か月以内に2級が必要

借方・貸方の考え方から始める人が、独学で2級に3か月で届くのは簡単ではありません。会社から期限付きで受験を求められている場合は、入門部分だけでも講座で一気に通過するほうが、結果的に受験回数が減って安く済むことがあります。

学習の継続に自信がない

講義の配信スケジュールや課題の締切があると、学習が途切れにくくなります。これは教材の質とは別の価値で、独学で2回続けて不合格だった人にはいちばん効く理由です。

会社が費用を負担する

建設業経理士は経営事項審査の加点対象なので、会社が社員に受験を求め、受験料や講座費用を負担する例が多い資格です。会社の制度で講座費用が出るなら、独学との比較は「自分の時間がどれだけ浮くか」だけで判断して構いません。

費用の考え方:受験料と「落ちた場合の費用」で比べる

講座の費用は会社やコースで幅があるので、この記事では金額を示しません。代わりに、独学と講座を比べるときの計算の仕方を示します。

比べる基準は、1回で合格した場合の費用ではなく、不合格になって次回も受ける場合の費用です。受験料は公式サイトの案内で2級7,120円、1級1科目8,120円(いずれもネット申込手数料込み)です。これに加えて、不合格なら次の回まで半年の学習時間と、その間の精神的な負担がかかります。

項目独学講座
教材費テキスト1冊+過去問(公式PDFは無料)講座費用に含まれることが多い
受験料2級 7,120円/1級1科目 8,120円同じ
不合格時半年後に再受験。教材費はほぼ増えない半年後に再受験。講座の再受講が要るか確認
かかる時間計画と採点を自分でやる分、長くなりやすい講義のペースに合わせるため短くなりやすい
向く人簿記の基礎がある人、計画どおり進められる人簿記が初めての人、記述の添削が欲しい人、期限がある人

講座を検討するときは、「講座費用 ÷ 短縮できる学習時間」で時給に換算してみると判断しやすくなります。たとえば講座で学習が2か月短くなり、その2か月を仕事や別の資格に使えるなら、その価値と講座費用を比べる、という考え方です。

講座を選ぶときは、価格より先に「建設業経理士専用か」「1級の記述の添削があるか」「教材が最新の出題区分表に対応しているか」を確認してください。日商簿記向けの講座は建設業特有の勘定科目や完成工事原価報告書を扱っていないことがあります。

独学と講座を組み合わせる使い方

全部を独学か、全部を講座か、の二択にする必要はありません。当サイトが勧めるのは、計算問題は独学、理論と記述だけ講座や添削を使うという分け方です。

  1. 2級と1級の計算問題(精算表・原価計算・財務分析の比率)は、過去問を回せば型が身につきます。ここに講座を使っても、結局は自分で手を動かす時間が必要です。
  2. 1級の記述(各科目20点)と、財務諸表の正誤判定・用語選択は、理論の説明を一度聞くと理解が早い分野です。講座を使うならここに絞ると費用対効果が高くなります。
  3. 講座の教材だけで過去問演習を終わらせず、公式サイトの解答用紙を印刷して本番の様式で解く練習は必ず自分で行ってください。講座の答案用紙と本試験の解答用紙は欄の並びが違うことがあります。

独学で始めて、2周目の過去問で70点に届かない大問がはっきりしてから、その部分だけ講座や単科の教材を探す、という順番でも遅くありません。先に講座を申し込むより、自分の弱点が分かってから選ぶほうが無駄がありません。

よくある質問

独学でも2級に合格できますか?

簿記3級程度の仕訳ができれば、過去問中心の独学で合格水準に届きます。2級は仕訳と精算表で50点あり、どちらも簿記の基礎の延長です。簿記が初めての人は、仕訳の基礎を身につける期間を別に取ってください。

1級は講座なしでは難しいですか?

計算問題(第3〜5問)は独学で対応できます。記述問題(第1問)は要点ごとの部分点とされているので、自己採点に自信がなければ添削のある講座を記述だけに使うのが費用対効果の高い使い方です。

日商簿記の講座やテキストで代用できますか?

仕訳の基礎は代用できますが、完成工事原価報告書・工事進行基準・未成工事支出金などの建設業特有の処理と、1級財務分析の主要比率表は日商簿記では扱いません。建設業経理士専用の教材が必要です。

会社が講座費用を出してくれる場合は?

費用の比較は不要なので、自分の時間がどれだけ短縮できるかだけで判断してください。ただし、講座を受けても過去問を本試験の解答用紙の様式で解く練習は自分で行う必要があります。

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出典・参考:R8下期 建設業経理検定試験(建設業振興基金)、過去の試験問題(建設業振興基金)

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