完成工事原価報告書・工事原価計算表と未成工事支出金
重要度 A第5問で出題過去問 11問
完成工事原価報告書・工事原価計算表と未成工事支出金は、建設業経理士1級 原価計算の第29〜39回(11回)のうち11回で出題された論点です(収録68問中11問・重要度A)。出題されるのは第5問です。
要点:月初未成工事原価に当月発生原価(材料費・労務費・外注費・経費)を工事別に加え、完成した工事の合計を完成工事原価報告書のⅠ〜Ⅳに集計する。労務外注費を労務費に含める指示のときは「うち労務外注費」、経費の人件費(従業員給料手当・労務管理費・法定福利費・福利厚生費・役員報酬の工事分)は「うち人件費」として内書きする。未完成工事の合計が月末未成工事支出金。月初の内書(労務外注費・人件費)も完成分は合算する。
工事原価計算表(工事別原価の集計)もこの論点に含めて扱います。それぞれの要点は、問題の一覧の下にまとめています。
覚える要点
- 完成した工事の月初未成工事原価と当月発生原価を材料費・労務費・外注費・経費のⅠ〜Ⅳに集計し、未完成工事の当月原価が月末未成工事支出金になる。当月着工・当月完成の工事を未成と取り違えない。
- 常備材料は先入先出法で、戻りは直前の出庫の最後に払い出した単価で取り消し次の出庫で最初に払い出す。購入後の値引はそのロットの単価を下げる。仮設材料はすくい出し法で、当月投入ゼロでも完了時評価額を控除する。
- 月給制の労務費は支払賃金+当月末未払−前月末未払を工事従事日数で配賦し、残業手当は当該工事に直課。予定賃率の回は予定賃率×実際作業時間。
- 労務外注費は指示により労務費に含めて「うち労務外注費」と内書きするか、外注費のままとする。月初未成工事原価の外注費も同じ扱いに分ける。
- 経費の「うち人件費」は従業員給料手当・法定福利費・福利厚生費と役員報酬の工事分で、労務管理費や部門費配賦額は含めない。役員報酬は等価係数を掛けた換算時間で単価を求め施工管理分だけ工事原価にする。
- 部門費(運搬車両・重機械)は予定配賦率(固定費予算÷基準時間+変動費率)で配賦し、問3の予算差異・操業度差異は前月末残高と通算した勘定残高を借方A・貸方Bで答える。
勉強のしかた:第5問の最大配点の大問で毎回同じ構造。資料を工事別×費目の集計表に落とす手順を固定し、材料元帳の戻り・値引、すくい出し、役員報酬、差異残高の4つの落とし穴を過去問で一つずつ潰す。
この論点の引っかけ・間違えやすい点
収録している過去問の解説から、完成工事原価報告書・工事原価計算表と未成工事支出金で間違えやすい点を集めました。
- 第39回 第5問:8 日購入分の値引は単価を 12,500 に下げてから払い出す。16 日の戻りは 11 日出庫分(12,500 の単価)の取消しで、20 日の出庫で最初に払い出す。091 の乙材料は当月投入 0 でも完了時評価額 7,600 を控除するので材料費がマイナスになる。労務費は支払賃金をそのまま使わず未払の期間調整(+105,000 - 115,000)をし、残業手当 45,000 は 091 に直課する。役員報酬は等価係数 1.5 を掛けた時間で配賦率を求め、工事分だけを人件費に含める。重機械部門費は人件費に含めない。問3 は当月の差異だけでなく前月末残高と通算した勘定残高を答え、予算差異は借方・操業度差異は貸方と符号が逆になる点に注意する。
- 第38回 第5問:10 日購入分の値引は単価を 11,500 に下げてから払い出す。18 日の戻りは 12 日出庫分(11,500 の単価)の取消しで、24 日の出庫で最初に払い出す。501 の乙材料は当月投入 0 でも完了時評価額 8,800 を控除するので材料費がマイナスになる。労務費は支払賃金をそのまま使わず未払の期間調整(+100,500 - 110,500)をし、残業手当 52,000 は 602 に直課する。役員報酬は等価係数 1.2 を掛けた時間で配賦率を求め、工事分だけを人件費に含める。重機械部門費は人件費に含めない。当月着工・当月完成の 701 を未成と取り違えない。問3 は当月の差異だけでなく前月末残高と通算した勘定残高を答え、予算差異は前月末も当月も借方なので加算になる。
- 第37回 第5問:17 日の戻りは 7 日出庫分(最後に払い出した 11,000 の単価)の取消しで、24 日の出庫で最初に払い出す。033 の乙材料は当月投入 0 でも完了時評価額 7,500 を控除するので材料費がマイナスになる。労務外注費は今回「そのまま外注費として計上する」指示なので、労務費に含めない(第39回とは逆)。経費の人件費に労務管理費を含めない。役員報酬は等価係数 1.5 を掛けた換算時間で単価を求め、施工管理分だけを人件費に含める。運搬車両部門費の月間固定費は年額 ÷ 12、基準時間は年間 ÷ 12 で月割りにし、問3 は前月末残高と通算した勘定残高を答える。予算差異は借方・操業度差異は貸方と符号が逆になる点に注意する。
- 第36回 第5問:9 日購入分の値引 35,000 は単価を 12,000 に下げてから払い出す。19 日の戻りは 12 日出庫分(単価 12,000)の取消しで、23 日の出庫で最初に払い出す。701 の乙材料は当月投入 0 でも完了時評価額 9,900 を控除するので材料費が減る。労務費は支払賃金をそのまま使わず未払の期間調整(+100,500 - 111,900)をし、残業手当 66,000 は 701 に直課する。役員報酬は等価係数 1.5 を掛けた時間で配賦率を求め、工事分だけを人件費に含める。重機械部門費は人件費に含めない。問3 は当月の差異だけでなく前月末残高と通算した勘定残高を答え、予算差異は借方・操業度差異は貸方と符号が逆になる点に注意する。
- 第35回 第5問:18 日の戻りは 8 日出庫分のうち最後に払い出した単価 11,000 の分を取り消し、25 日の出庫で最初に払い出す。052 の乙材料は当月投入 0 でも完了時評価額 10,600 を控除するので材料費がマイナスになる。労務外注費は労務費ではなく外注費に含める(第39回などと指示が違う)。人件費は従業員給料手当・法定福利費・福利厚生費と役員報酬の工事分で、労務管理費は含めない。役員報酬は等価係数 1.2 を掛けた換算時間で配賦率を求める。問3 は当月の差異だけでなく前月末残高と通算した勘定残高を答え、変動予算方式なので予算差異は実際時間に基づく許容予算と実際発生額の差、操業度差異は固定費率 850 × 4 時間で求める。
- 第34回 第5問:10 日購入分の値引は単価を 12,000 に下げてから払い出す。18 日の戻りは 7 日出庫分(最後に払い出した 11,000 の単価)の取消しで、25 日の出庫で最初に払い出す。501 の乙材料は当月投入 0 でも完了時評価額 10,100 を控除するので材料費がマイナスになる。労務費は支払賃金をそのまま使わず未払の期間調整(+94,300 - 111,800)をし、残業手当 26,000 は 602 に直課する。役員報酬は等価係数 1.2 を掛けた時間で配賦率を求め、工事分だけを人件費に含める。重機械部門費は人件費に含めない。問3 は当月の差異だけでなく前月末残高と通算した勘定残高を答え、予算差異は前月も当月も借方なので加算、操業度差異は貸方同士で加算になる。
この論点の問題
完成工事原価報告書の作成(先入先出法・すくい出し法・月給制オペレーター・役員報酬の等価係数配賦・重機械部門費の固定予算)第39回 第5問
完成工事原価報告書の作成(先入先出法・すくい出し法・月給制オペレーター・役員報酬の等価係数配賦・重機械部門費の固定予算)第38回 第5問
完成工事原価報告書の作成(先入先出法と戻り・すくい出し法・予定賃率・役員報酬の等価係数配賦・運搬車両部門費の変動予算)第37回 第5問
完成工事原価報告書の作成(先入先出法と戻り・すくい出し法・月給制オペレーター・役員報酬の等価係数配賦・重機械部門費の固定予算)第36回 第5問
完成工事原価報告書の作成(先入先出法と戻り・すくい出し法・予定賃率・役員報酬の等価係数配賦・運搬車両部門費の変動予算)第35回 第5問
完成工事原価報告書の作成(先入先出法・すくい出し法・月給制オペレーター・役員報酬の等価係数配賦・重機械部門費の固定予算)第34回 第5問
完成工事原価報告書の作成(先入先出法と戻り・すくい出し法・予定賃率・役員報酬の等価係数配賦・運搬車両部門費の変動予算)第33回 第5問
工事原価計算表の作成(車両費予定配賦率・すくい出し法・材料副費の予定配賦・予定平均賃率・変動予算の重機械部門費・出張所経費の係数配賦)第32回 第5問
完成工事原価報告書の作成(先入先出法・すくい出し法・月給制オペレーター・役員報酬の等価係数配賦・重機械部門費の固定予算)第31回 第5問
工事原価計算表の作成(先入先出法・引当材料の副費予定配賦と残材・平均賃率・外注費のその他経費への振替・重機械運搬費の変動予算)と工事進行基準・配賦差異の分解第30回 第5問
完成工事原価報告書の作成(移動平均法・仕入先返品・すくい出し法・予定賃率・役員報酬の等価係数配賦・運搬車両部門費の変動予算)第29回 第5問
工事原価計算表(工事別原価の集計)
工事ごとに月初未成工事原価と当月発生の材料費・労務費・外注費・経費を集計し、合計欄と縦計を一致させる。材料は種類別(常備材料・引当材料・仮設資材)、経費は直接経費・部門費配賦額・その他経費に分けて行を埋める。完成工事は当月完成工事原価、未完成は月末未成工事原価に振り分ける。
- 工事ごとに月初未成工事原価と当月の材料費(常備・引当・仮設)、労務費、外注費、経費(直接経費・部門費配賦額・その他経費)を集計し、完成工事は当月完成工事原価、未完成は月末未成工事原価に振り分ける。縦計と横計を一致させる。
- 引当材料は送り状価額×(1+副費率)で賦課し、残材は投入量から差し引く。平均賃率は実際賃金総額÷総作業時間で、工事別作業時間に掛ける。
- 外注費のうち施工管理・安全管理の支払報酬はその他経費へ振り替え、完成工事の注文履行費用も販管費からその他経費に加える。
- 部門費は指定された作業時間(D作業時間など)だけで予定配賦する。配賦差異は予算差異(変動予算許容額−実際)と操業度差異(固定費率×時間差)に分け、合計が配賦差異に一致することを検算する。
- 原価差異は「予定−実際」でプラスなら有利A、マイナスなら不利B。操業度差異は固定費率だけで計算し、予定配賦率全体を掛けない。
勉強のしかた:第5問の別型(第30・32回)。完成工事原価報告書型と同じ集計表で解けるが、その他経費への振替と引当材料の副費込み単価が追加の論点なので、2回分を通して解いて型を覚える。
同じ大問で出る論点
第5問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。
A 工事間接費の予定配賦と配賦差異(予算差異・操業度差異・基準操業度)A 労務費の計算(予定賃率・月給制の期間調整・残業手当・労務外注費)A 材料費の計算(先入先出法・戻り・値引・すくい出し法)A 経費の集計と人件費の区分(役員報酬の等価係数配賦・その他経費)B 材料副費の予定配賦と副費配賦差異B 車両費の予定配賦率(コストセンター化)
出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。