建設業特有の流動性比率(未成工事収支比率・立替工事高比率・運転資本保有月数・必要運転資金)
重要度 A第2・3・5問で出題過去問 15問
建設業特有の流動性比率(未成工事収支比率・立替工事高比率・運転資本保有月数・必要運転資金)は、建設業経理士1級 財務分析の第29〜39回(11回)のうち11回で出題された論点です(収録78問中15問・重要度A。うち11問は2期分の財務諸表による諸比率の算定・貸借対照表・損益計算書の空欄推定の一部として出題)。出題されるのは第2問・第3問・第5問です。
要点:未成工事収支比率=未成工事受入金÷未成工事支出金×100で高いほどよい。立替工事高比率=(受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金−未成工事受入金)÷(完成工事高+未成工事支出金)×100で低いほどよい。運転資本保有月数=(流動資産−流動負債)÷(完成工事高÷12)、必要運転資金月商倍率も月商で割る。第39回は立替工事高比率に電子記録債権を含めた。
覚える要点
- 未成工事収支比率=未成工事受入金÷未成工事支出金×100。施工中の工事の立替状況を示し、100%以上なら支払能力は十分。前受金の多い建設業では他産業より高い。
- 立替工事高比率=(受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金−未成工事受入金)÷(完成工事高+未成工事支出金)×100。分母分子両方に未成工事支出金が入り、低いほど良好。指示があれば電子記録債権を含める。
- 運転資本保有月数=(流動資産−流動負債)÷(完成工事高÷12)で多いほど良好。必要運転資金=受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金−支払手形−工事未払金−未成工事受入金で、月商倍率は少ないほど良好。
- 流動性分析は関係比率分析・資金保有月数分析・資産滞留月数分析の3つ。棚卸資産滞留月数は厳密には分母に完成工事原価を用いるべきだが、主要比率表は完成工事高÷12。
- これらは期末の状態を示す比率なので期中平均を使わず期末残高で計算する。必要運転資金に電子記録債務は含めない。
勉強のしかた:第5問の算定でほぼ毎回1〜2つ出る。算式を見ずに書けるまで暗記し、「大きいほど良い/小さいほど良い」の向きを比率ごとにメモして第2問の用語選択に備える。
この論点の引っかけ・間違えやすい点
収録している過去問の解説から、建設業特有の流動性比率(未成工事収支比率・立替工事高比率・運転資本保有月数・必要運転資金)で間違えやすい点を集めました。
- 第36回 第5問:AとIの支払利息には社債利息 300 と付記事項2の 200 を含め、支払手数料 220 は含めない。Bの有利子負債には付記事項5のコマーシャル・ペーパー 20,000 を加える。Cの引当金は投資その他の資産の貸倒引当金(700/3,700)と工事損失引当金の減少(△35,400)を落としやすく、法人税等調整額 23,500 は費用計上されているので加算する。Dは労務費全額が労務外注費なので控除に含める。問2【8】の当座資産は貸倒引当金を控除するので「ヘ 119.06」(控除しない値)ではない。「ノ 106.08」は流動負債合計で割った当座比率(別法)、「ネ 55.16」は未成工事受入金を引かない立替工事高比率、「ナ 50.31」は分母に未成工事支出金を加えない値で、いずれもひっかけ。
- 第34回 第2問 3:「多いほど良い」指標と「少ないほど良い」指標を混同しない。運転資本保有月数は多いほど良好で、必要運転資金月商倍率や棚卸資産滞留月数は少ないほど良好になる。
- 第31回 第5問:Eの付加価値は労務外注費 40,300 も控除する(主要比率表の注のとおり労務外注費は外注費として扱う)。Gの引当金は投資その他の資産の貸倒引当金と退職給付引当金を落としやすく、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー 66,000 は純キャッシュ・フローではない。問2の【8】は期末残高で計算する(期中平均 73,200 で割ると 0.22(フ)、分母を完成工事高にすると 0.18(ネ)になり、いずれもひっかけ)。【10】も期末残高で、電子記録債務は必要運転資金の算式に含めない。分母を完成工事原価にした 3.35(ヨ)、期中平均で求めた 2.62(ム)、第30期の値 2.32(ホ)はひっかけ。
- 第29回 第2問:【4】は「未満(ウ)」と取り違えやすい。未成工事収支比率は前受金÷立替額なので 100%以上が良好。【6】は分母(完成工事高+未成工事支出金)と分子の両方にある項目なので、完成工事未収入金(ニ)ではなく未成工事支出金。【7】は立替工事高比率が低いほどよいので「小さい」、【8】は 2 か所とも「大きい」。【10】は受取勘定(オ)ではなく、原価で評価される棚卸資産。
この論点の問題
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と建設業の流動性分析(建設業特有の勘定科目への配慮と別法のある比率)の空欄補充第36回 第5問
運転資本保有月数の意味(正誤)第34回 第2問 3
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と建設業特有の流動性比率・滞留月数分析の空欄補充第31回 第5問
支払能力の分析の3つの手法と工事関連の比率・月数分析の見方(用語選択)第29回 第2問
この論点を含む問題
次の問題では、2期分の財務諸表による諸比率の算定・貸借対照表・損益計算書の空欄推定の中の一部として建設業特有の流動性比率(未成工事収支比率・立替工事高比率・運転資本保有月数・必要運転資金)が問われます。解説の該当箇所で、この論点の処理を確かめてください。
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と収益性分析(資本利益率・ROA・資本回転率・経審の総資本売上総利益率)の空欄補充第39回 第5問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(未成工事支出金・長期貸付金・未成工事受入金・経常利益)と立替工事高比率第38回 第3問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(付加価値・資本生産性・設備投資効率・労働生産性の3要因分解)の空欄補充第38回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と収益性分析(自己資本利益率のデュポン分解・経審の資本利益率)の空欄補充第37回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)とキャッシュ・フロー分析(資金概念・主要比率・純キャッシュ・フロー・資金運用表と資金繰表)の空欄補充第35回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(労働生産性の要因分解)・経営事項審査の経営状況(Y)の空欄補充第34回 第5問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(完成工事未収入金・利益剰余金・完成工事原価・受取利息配当金)と未成工事収支比率第33回 第3問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と回転期間・回転日数による分析文の空欄補充第33回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と出資者の見地からみた収益性指標の分解(空欄補充)第32回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と健全性分析(自己資本と他人資本、固定資産と長期資本のバランス)の空欄補充第30回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と資本利益率の分母・分子・分解に関する空欄補充第29回 第5問
同じ大問で出る論点
第2・3・5問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。
A 生産性分析:労働装備率・設備投資効率・資本集約度・資本生産性A 活動性分析(回転率・回転期間・滞留月数)A 収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)A 損益分岐点分析(固変分解・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益)A キャッシュ・フロー分析(純CF・完成工事高CF率・営業CF対流動負債比率)A 健全性分析:資本構造(自己資本比率・負債比率・借入金依存度・有利子負債月商倍率・流動負債比率)
出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。