財務諸表の空欄推定(第3問:比率から金額を逆算)
重要度 A第3問で出題過去問 11問
財務諸表の空欄推定(第3問:比率から金額を逆算)は、建設業経理士1級 財務分析の第29〜39回(11回)のうち11回で出題された論点です(収録78問中11問・重要度A)。出題されるのは第3問です。
要点:百万円単位の貸借対照表と損益計算書の空欄(A〜D)を、関連データの8〜9個の比率から逆算する。比率は期末残高で算定され、流動比率・当座比率は建設業特有の勘定科目を控除する方法、固定長期適合比率は一般的な方法と注記される。空欄を埋めたうえで指定された比率をもう1つ求める。金額は百万円未満を切り捨て、比率は小数第3位を四捨五入し第2位まで記入する。
覚える要点
- 解く順序は、月商が出る比率(現金預金手持月数・支払勘定回転率・経営資本回転期間)か総資本が出る比率(自己資本比率・借入金依存度・総資本回転率・固定比率)を起点に、金額を一つずつ確定させる。
- 比率はすべて期末残高で算定(注1)。流動比率・当座比率は分子から未成工事支出金、分母から未成工事受入金を控除する別法、固定長期適合比率は分子が固定資産全体の一般的な方法(注2・注3)。
- 経営資本=総資本−(建設仮勘定+投資有価証券・長期貸付金などの投資資産)。長期貸付金を落とさない。当座資産=現金預金+受取手形+完成工事未収入金(未成工事支出金・材料貯蔵品を含めない)。
- 金利負担能力の分子は営業利益+受取利息配当金(経常利益ではない)。経常利益=営業利益+営業外収益−営業外費用から営業外の空欄を逆算する。純支払利息比率からは支払利息と受取利息配当金の差額だけが出る。
- 支払手形と工事未払金が個別に分からなくても、流動負債合計から他の科目を引いた合計で支払勘定回転率が出る。固定負債合計が社債と長期借入金だけなら借入金依存度から短期借入金を逆算できる。
勉強のしかた:第3問は毎回同じ構造。過去問10回分を「起点の比率」から矢印で解く順序を書き出し、A〜Dと最後の比率まで15分で解けるまで時間を計って反復する。
この論点の引っかけ・間違えやすい点
収録している過去問の解説から、財務諸表の空欄推定(第3問:比率から金額を逆算)で間違えやすい点を集めました。
- 第39回 第3問:(注1)のとおりすべて期末残高で計算する。当座資産に未成工事支出金・材料貯蔵品は含めない。支払手形と工事未払金は個別には分からなくても、流動負債合計から他の科目を引けば合計が出る。固定長期適合比率は(注3)のとおり一般的な方法なので、分子は固定資産全体(建設仮勘定や投資有価証券を含む)。
- 第38回 第3問:経営資本の計算では建設仮勘定と投資有価証券だけでなく長期貸付金(投資資産)も控除する。ここを落とすとBが出ない。損益分岐点比率は主要比率表の算式(支払利息を固定費、営業外損益を変動費側に含む)で解く。借入金依存度の分子には社債を含め、固定負債合計が社債と長期借入金だけで構成されることから短期借入金を逆算する。(注1)のとおりすべて期末残高で計算する。
- 第37回 第3問:(注1)のとおり期中平均は使わず、すべて期末残高で計算する。負債回転期間の分母「売上高÷12」は現金預金手持月数と同じ月商 48,000。当座資産に未成工事支出金・材料貯蔵品は含めない。固定長期適合比率は(注3)の一般的な方法なので、分子は固定資産全体(建設仮勘定・投資有価証券を含む)。損益分岐点比率は経常利益段階の算式で、支払利息を固定費に、営業外収益とその他の営業外費用を変動費側に入れる。
- 第36回 第3問:(注1)のとおりすべて期末残高で計算する。経営資本の控除項目は建設仮勘定と投資資産(投資有価証券・長期貸付金)で、長期貸付金 1,000 を落とすとBが 1,000 ずれる。流動比率は(注2)により未成工事支出金・未成工事受入金を控除する式。Dは受取利息配当金と支払利息を個別に求めようとすると手が止まるが、純支払利息率で差額が出る。棚卸資産回転率の分母は未成工事支出金だけでなく材料貯蔵品を含める。
- 第35回 第3問:(注1)のとおりすべて期末残高で計算する。有利子負債月商倍率の単位は「倍」と書かれているが、月商で割った月数なので 12,000×3.1 で有利子負債が出る。固定長期適合比率は(注3)の一般的な方法なので分子は固定資産合計 71,250(有形固定資産だけではない)。受取勘定には未成工事支出金・材料貯蔵品を含めない。完成工事未収入金は流動資産合計から他の科目をすべて引いて求める。
- 第34回 第3問:(注1)のとおりすべて期末残高で計算する。当座資産は現金預金+受取手形+完成工事未収入金で、材料貯蔵品・未成工事支出金は含めない。経営資本を求めるときは建設仮勘定と投資有価証券(投資資産)の両方を控除する。流動比率は分子から未成工事支出金、分母から未成工事受入金を控除する別法なので、未成工事支出金を流動資産合計から逆算しておく必要がある。
この論点の問題
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(受取手形・未成工事支出金・完成工事原価・営業外費用)と支払勘定回転率第39回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(未成工事支出金・長期貸付金・未成工事受入金・経常利益)と立替工事高比率第38回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(完成工事未収入金・車両運搬具・完成工事原価・営業外収益)と損益分岐点比率第37回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(受取手形・投資有価証券・未成工事受入金・営業外費用)と棚卸資産回転率第36回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(未成工事支出金・短期借入金・完成工事原価・営業外費用)と受取勘定滞留月数第35回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(受取手形・投資有価証券・未成工事受入金・販売費及び一般管理費)と流動比率第34回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(完成工事未収入金・利益剰余金・完成工事原価・受取利息配当金)と未成工事収支比率第33回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(完成工事未収入金・未成工事受入金・完成工事原価・営業外収益)と支払勘定回転率第32回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(未成工事支出金・工具器具備品・未成工事受入金・経常利益)と自己資本事業利益率第31回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(現金預金・投資有価証券・資本剰余金・受取利息配当金)と自己資本経常利益率第30回 第3問
貸借対照表・損益計算書の空欄推定(未成工事支出金・建設仮勘定・完成工事原価・営業外収益その他)と損益分岐点比率第29回 第3問
同じ大問で出る論点
第3問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。
A 活動性分析(回転率・回転期間・滞留月数)A 収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)A 建設業特有の流動性比率(未成工事収支比率・立替工事高比率・運転資本保有月数・必要運転資金)A 損益分岐点分析(固変分解・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益)A 流動性分析(流動比率・当座比率と建設業特有の別法)
出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。