業務的意思決定(差額原価・機会原価・自製か購入か)

重要度 B第2・4問で出題過去問 4問

業務的意思決定(差額原価・機会原価・自製か購入か)は、建設業経理士1級 原価計算の第29〜39回(11回)のうち4回で出題された論点です(収録68問中4問・重要度B)。出題されるのは第2問・第4問です。

要点:代替案間で金額が変わる関連原価だけを比較し、埋没原価(変化しない固定費など)は無視する。自製か購入かでは、自製の変動費+追加固定費と購入原価+検収費用を比べ、遊休能力の他用途から得られる機会原価を加える。保有材料の関連原価は帳簿価額ではなく再購入価額や処分価額で評価する。答えは有利X/不利Y、代替案1/2などの記号を金額と併記する。

覚える要点

  • 関連原価は代替案間で金額が異なる未来原価(差額原価)。異ならない未来原価と、確定済みで回避不能な埋没原価は無視する。固定費でも特定案でだけ発生するもの(特殊設備のリース料)は関連原価。
  • 機会原価は選択しなかった代替案から得られたはずの利益のうち最大のもの。自製案を選ぶと失う賃借料の節約額や遊休能力の他用途の貢献額として加える。
  • 自製か購入か:自製の変動費(材料費・回避可能な労務費・変動製造間接費)+追加固定費+機会原価と、購入原価+検収費用を比べる。製造間接費の固定費率は埋没原価。
  • 保有材料は帳簿上の払出額(埋没原価)ではなく追加購入額で評価し、月末最低保有量があれば購入量=消費量+最低保有量−月初在庫。販売価格が異なれば差額利益で比べる。
  • 分岐点は「原価が等しくなる数量」で、有利になる数量はそれを超える1個上(2,500個→2,501個以上)。数量割引は超過分だけに適用する。
  • 自製か購入かは業務的意思決定目的、設備投資は構造的意思決定目的。遊休能力があっても特別注文は既存顧客への影響から引き受けるとは限らない。

勉強のしかた:第4問は自製か購入かの型が繰り返される。各案の関連原価を表にして「埋没原価を除く・機会原価を足す」の2操作を毎回確認し、記号X/Yの意味(有利・不利)を問題文で読む。

この論点の引っかけ・間違えやすい点

収録している過去問の解説から、業務的意思決定(差額原価・機会原価・自製か購入か)で間違えやすい点を集めました。

  • 第39回 第4問:製造間接費の固定費率 1,400 円/時は発生額が変わらない埋没原価なので、自製原価に含めない。主材料の数量割引は 3,000 kg を超えた分(1,000 kg)だけに適用され、全量に適用されるわけではない。問3 は分岐点の 2,500 個ではなく「有利になる」数量 2,501 個以上と答える。問4 では部品Qの購入原価 20,000,000 をA案側に忘れずに加える。
  • 第34回 第2問:1 は「異ならない」、2 は「最小」と、定義の中の 1 語だけを入れ替えた誤文なので読み飛ばさない。5 は「固定費=埋没原価」と短絡しやすいが、回避可能な固定費は関連原価になる。6 は割引回収期間法が克服できるのは時間価値の無視だけで、回収後のキャッシュ・フローの無視は残る。
  • 第33回 第4問:問2 の帳簿払出額(1,970 円・1,950 円)は埋没原価であり、差額原価に含めない。問3 は「消費量-在庫」ではなく月末最低保有量を足してから在庫を引く(材料bは在庫が最低量を上回るので購入 0)。問4 は差額原価ではなく差額利益を答えるので、販売価格の違い(B部品 250 個 × 800 円)を忘れずに反映する。
  • 第30回 第4問:直接労務費 13,000,000 は「他に有効に転用しうる」ので自製をやめれば回避できる関連原価であり、埋没原価にしない。逆に固定製造間接費 5,200,000 は製造を中止しても発生するので比較に入れない。問3 では賃借料節約額 1,300,000 を自製案の機会原価として加える(購入案の節約として引いても同じ結果)。問4 では設備を製品甲に使うため賃借料の節約は発生しない点と、変動製造間接費は労務費ではなく直接作業時間の増加率(20%)で増やす点に注意する。

この論点の問題

同じ大問で出る論点

第2・4問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。

出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。