資産の評価基準・取得原価
重要度 B第1・2・3問で出題過去問 7問
資産の評価基準・取得原価は、建設業経理士1級 財務諸表の第29〜39回(11回)のうち5回で出題された論点です(収録97問中7問・重要度B。うち2問は会計処理の正誤の一部として出題)。出題されるのは第1問・第2問・第3問です。
要点:原価基準は取得原価にもとづき、時価基準は市場価格にもとづいて貸借対照表価額を決める。原価基準は検証可能性・客観性に優れ、時価基準は現在の価値を示すが未実現損益を含む。取得原価=購入代価(送状価額−値引額・割戻額)+付随費用で、重要性が乏しい付随費用は費用にできる。借入利息は原則として取得原価に含めない。割引現在価値や低価基準の時価(正味実現可能価額・再調達原価)の意味も説明できるようにする。
覚える要点
- 原価基準は取得原価(第三者との取引額)にもとづき検証可能性・客観性に優れるが現在の価値を示せない。時価基準は現在の価値を示すが主観が介入し未実現損益を計上する。わが国は原価基準が原則。
- 時価には販売市場の時価(売却時価・正味実現可能価額)と購買市場の時価(再調達原価)がある。
- 低価基準で正味実現可能価額を用いる根拠は棚卸資産を債務弁済の財源とみて貸借対照表価額が売却手取額を超えないこと、再調達原価を用いる根拠は支出額のうち残存する有用性を測ること。
- 購入品の取得原価=購入代価(送状価額−値引額−割戻額)+付随費用(引取運賃・購入手数料・関税・保険料)。値引は品質不良等による減額、割戻は取引量に応じた返戻。付随費用は重要性が乏しければ期間費用にできる。
- 生産品は正常実際製造原価に重要な付随費用を加える(標準製造原価ではない)。割引現在価値は将来キャッシュ・フローを適切な割引率で現在価値に換算した価額で、貨幣の時間価値を除くために行う。
勉強のしかた:第1問の記述は原価基準と時価基準の長所・短所を対比表にして250〜300字で書く練習をする。第2問の用語選択は取得原価の算式の各語(値引・割戻・付随費用・重要性)を文脈で選ぶ。
この論点の引っかけ・間違えやすい点
収録している過去問の解説から、資産の評価基準・取得原価で間違えやすい点を集めました。
- 第39回 第1問 問1:設問の主題は原価基準なので、時価基準の説明で字数を使い切らず、原価基準の長所(検証可能性・客観性)を必ず書く。「未実現損益」「主観の介入」の語を落とさない。
- 第39回 第1問 問2:「割り引く」だけで終わらせず、なぜ割り引くか(貨幣の時間価値)とどこで使うかまで書く。利子率(割引率)の語を落とさない。
- 第38回 第2問:【2】と【3】は取り違えやすい。値引は品質不良・量目不足による減額、割戻(リベート)は取引量に応じた返戻と覚える。【6】は「継続性」(キ)ではなく重要性。【7】で標準製造原価を選ばない。
- 第37回 第1問 問1:原価基準の定義だけで終わらせず、「第三者との取引額」「客観的証拠・計算の確実性」という根拠を書く。時価基準を「採用されていない」と書き切ると誤りで、有価証券など限定的な場合を除く、とする。
- 第37回 第1問 問2:低価基準そのもの(原価と時価の低い方で評価)の説明に字数を使わない。「財源・手取額」と「支出額のうち残存する有用性」という対比の語を必ず入れる。
この論点の問題
原価基準と時価基準の違い第39回 第1問 問1
割引現在価値の説明第39回 第1問 問2
資産の取得原価の決定(購入品と生産品)第38回 第2問
原価基準と時価基準の説明第37回 第1問 問1
低価基準の時価に正味実現可能価額と再調達原価を用いる根拠の違い第37回 第1問 問2
この論点を含む問題
次の問題では、会計処理の正誤の中の一部として資産の評価基準・取得原価が問われます。解説の該当箇所で、この論点の処理を確かめてください。
会計処理の正誤(一般原則・取得原価・キャッシュ・フロー・ヘッジ・ソフトウェア・株式交付費・株主資本)第34回 第3問
会計処理の正誤(ソフトウェア・真実性の原則・支払利息の取得原価算入・リースの分類・繰延資産の一括償却・株主資本の区分・自己株式処分差額・為替換算調整勘定)第30回 第3問
同じ大問で出る論点
第1・2・3問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。
A 純資産・持分・株主資本等変動計算書A 退職給付会計A 工事収益の認識(工事進行基準)A 繰延資産・無形固定資産(ソフトウェア・株式交付費・社債発行費)B ヘッジ会計・デリバティブA 有価証券(償却原価法・その他有価証券の評価)
出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。