電気工事施工管理技士 第一次検定の頻出論点:出題数の多い論点の要点と引っかけ

公開 ・執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)

当サイトが 1級(平成29年度〜令和8年度の 10 回・911 問)と 2級(平成29年度〜令和8年度前期の 17 回・1,078 問)の第一次検定を論点ごとに数えると、毎回のように出る論点ははっきりしています。この記事では、重要度 A(出題数の多い論点)を中心に、覚えるべき数値と、数値や語句を入れ替えた引っかけの形をまとめます。

出題数の多い論点(重要度 A)

重要度は、過去問の出題数から当サイトが決めたものです。論点の名前のリンク先で、同じ論点の過去問を年度をまたいで解けます。

分野1級(10 回の出題数)2級(17 回の出題数)
電気工学電気理論 41・電力系統 35電気理論 63・電気機器 40・電気応用 36
電気設備送電 58・構内配電・屋内配線 41・発電 35・情報通信 32・受変電設備 31・電気鉄道 30構内配電・屋内配線 53・送電 52・配電 49・変電 40・防災設備 39・発電 36
関連分野土木 39土木 64
施工構内電気設備の施工 43(A なし)
施工管理法工程管理 36・安全管理 30工程管理 45
法規建設業法 30電気事業法・電気用品安全法 39

1級は全 89〜92 問、2級は全 62〜64 問のうち、電気設備の区分が 1級で 32〜33 問、2級で 19〜20 問と最も大きく、設備の種類ごとに数問ずつ出ます。出題数が多くても選択問題の区分にある論点(送電・発電・電気鉄道など)は、得意なら得点源、苦手なら解かないという選び方ができます。必須の区分にある論点(1級の応用能力と施工管理、2級の能力問題)は、出題数に関係なく落とせません。

施工管理法:工程・安全・施工計画・品質

工程管理

  • クリティカルパスは開始から終了までの最も長い経路で、余裕(フロート)が 0 の作業がつながったもの。「最も短い経路」と書き換えた選択肢が繰り返し出る(1級 令和7年度)
  • フリーフロートは「後続のイベントの最早開始時刻 − 自分の最早開始時刻 − 所要日数」。工程が遅れたときに短縮の対象として洗い出すのは、フリーフロートではなくトータルフロートが負の作業
  • ネットワーク工程表の所要工期の計算は、ダミー(日数 0 の点線)を通る経路の見落としが誤答の原因。結合点に入る矢印はダミーも含めてすべて比べ、最大値をとる
  • ガントチャートは横軸が達成度(%)で、日程や遅れは分からない。バーチャートは横軸が日付で作りやすいが、余裕日数やクリティカルパスは分からない。この 2 つの特徴を入れ替えた記述が定番
  • 工期と原価:直接工事費は施工を速めるほど高く、間接工事費は遅くするほど高い。合計が最小になる工期が最適工期(経済速度)。山積み・山崩しでは、動かせないクリティカルパスの作業を底辺に置く
  • Sチャート(進度曲線)は、実績が計画より上なら進み、下なら遅れ。予定進度曲線は、初め遅く・中ごろ速く・終わり遅く進む形になる

安全管理(労働安全衛生規則など)

  • 高さの区切り:1.5m を超える箇所は昇降設備、2m 以上は作業床・手すりや墜落制止用器具、3m 以上から物を投下するときは投下設備と監視人
  • 足場の作業床は幅 40cm 以上、床材の隙間 3cm 以下。移動式足場(ローリングタワー)は手すり 85cm 以上、中さん 35〜50cm、幅木 10cm 以上(2級で繰り返し出る)
  • 停電作業は、開閉器の施錠か表示、残留電荷の放電、検電器による停電の確認、短絡接地器具の取付け。絶縁用保護具などの定期自主検査は 6 か月以内ごとに 1 回で、記録は 3 年間保存
  • 作業主任者を選ぶ作業に「電気の作業」は無い(活線作業は特別教育と作業指揮者)。玉掛けや小型移動式クレーンは、つり上げ荷重 1t が技能講習と特別教育の境目
  • 酸素欠乏危険作業は、酸素濃度 18% 以上、硫化水素 10ppm 以下を保つ

施工計画と品質管理(1級の応用能力・2級の能力問題)

  • 施工体系図は下請負人の施工の分担関係を示す系統図で、現場に掲示する。社内の品質管理や資材管理の担当者を示すものではない(1級 令和8年度)
  • 施工要領書は、その現場に合わせた具体的な施工方法を書くもの。一般的な内容の寄せ集めではない。着工時の検討は全体の方針と条件の確認で、細部の納まりや承諾図は施工段階
  • 申請・届出の提出先:道路占用許可は道路管理者、道路使用許可は警察署長。電気事業法の工事計画の届出は、受理から 30 日を経過した後でなければ工事を始められない
  • 品質管理の図:パレート図は大きい順の棒グラフと累積の折れ線、特性要因図は結果と要因の関係、ヒストグラムはばらつきの形、散布図は 2 つの特性の相関、管理限界線があれば管理図。中央値は小さい順に並べ替えてから真ん中をとる

電気設備:送電・構内配線・受変電

送電(1級の最多論点)

  • フェランチ現象は、軽負荷や無負荷のときに進み電流で受電端の電圧が送電端より高くなる現象。静電容量の大きいケーブル系統で起きやすく、対策は分路リアクトル。「架空電線路のほうが起きやすい」「遅れ力率で起きやすい」は誤り
  • 線路定数:架空線はインダクタンスが大きく静電容量が小さい、ケーブルはその逆。多導体はインダクタンスが小さく静電容量が大きく、送電容量が大きくコロナが起きにくい。この向きを入れ替えた記述が 1級・2級とも定番
  • 表皮効果は電流が導体の表面に集まる現象で、周波数・導電率・透磁率・太さが大きいほど大きい
  • 振動と対策:着氷雪と風で大きく上下するのがギャロッピング、氷雪が落ちて跳ね上がるのがスリートジャンプ、微風振動はダンパやアーマロッドで防ぐ。スペーサは多導体の間隔保持、スパイラルロッドは風音の抑制
  • 雷害・塩害:架空地線は直撃雷の防止、埋設地線(塔脚接地抵抗の低減)は逆フラッシオーバ対策。アークホーンは雷害対策で、塩害対策は過絶縁・耐塩がいし・はっ水性物質の塗布・活線洗浄
  • たるみと実長:D = WS²/8T、L = S + 8D²/3S。係数の 8 と 3 の位置を入れ替えた式が出る
  • ケーブルの事故点と劣化:事故点の測定はマーレーループ法・静電容量法・パルスレーダ法、絶縁劣化の診断は直流漏れ電流・誘電正接(tanδ)・部分放電。この 2 つの組を混ぜた選択肢に注意

構内配電・屋内配線(電気設備の技術基準の解釈・内線規程)

項目よく問われる数値・条件
コンセント回路配線用遮断器 20A は 1.6mm、30A は 2.6mm(5.5mm²)、40A は 8mm²、50A は 14mm²。30A の回路に 15A のプラグが入るコンセントは使えない
分岐幹線の遮断器の省略長さ 3m 以下は制限なし、8m 以下は幹線の遮断器の定格電流の 35% 以上、8m を超えると 55% 以上の許容電流
電動機の幹線電動機の定格電流の合計が 50A 以下なら 1.25 倍、50A を超えると 1.1 倍。係数をかけるのは電動機の電流だけ
接地工事B種の接地抵抗は 150/Ig(1 秒を超え 2 秒以内に遮断する装置なら 300、1 秒以内なら 600)。C種・D種は 0.5 秒以内に遮断する漏電遮断器があれば 500Ω。計器用変成器の二次側は高圧が D種、特別高圧が A種
絶縁抵抗低圧電路は対地電圧 150V 以下で 0.1MΩ、300V 以下で 0.2MΩ、300V 超で 0.4MΩ 以上。三相 200V は対地電圧 200V なので 0.2MΩ
配線の方法金属線ぴ・金属ダクト・ライティングダクトなどは乾燥した場所だけ。どこでも使えるのは金属管・合成樹脂管・2種金属製可とう電線管・ケーブル。地中電線路の電線はケーブルに限る
電動機の保護2E リレーは過負荷と欠相、3E リレーはそれに反相(逆相)を加えたもの

受変電設備(キュービクル・高圧機器)

  • キュービクル式高圧受電設備(JIS)の受電設備容量の上限は、主遮断装置が PF・S 形なら 300kV・A、CB 形なら 4,000kV・A。変圧器の一次側に高圧カットアウトを使えるのは 300kV・A 以下
  • 負荷開閉器(LBS・PAS)が開閉できるのは負荷電流まで。短絡電流を遮断するのは遮断器(VCB)と限流ヒューズ(PF)
  • 過電流継電器の瞬時要素は短絡保護、限時要素は過負荷保護。この役割を入れ替えた記述が出る
  • 直列リアクトル(6%)を付けると進相コンデンサの端子電圧は回路電圧より上がる。避雷器は受電点に近い電源側に、専用の断路器を介して設ける
  • スポットネットワーク受電は、一次側を断路器だけにでき、二次側にプロテクタヒューズとプロテクタ遮断器を置く。プロテクタ遮断器は逆電力遮断・無電圧投入・差電圧投入で動く

電気工学と関連分野

電気理論(必須の計算)

1級の No.1〜6、2級の No.1〜4 は必須で、電気理論の計算が中心です。平行板コンデンサの静電容量 C = εA/d(mm を m に直す)、静電エネルギー CV²/2、倍率器の抵抗 (m − 1)r と分流器の抵抗 r/(m − 1)、RLC 直列回路の有効電力(抵抗の分だけで、リアクタンスは XL − XC の差をとる)、Δ結線の線電流は相電流の √3 倍、といった型が年をまたいで出ています。2級では、抵抗は長さに比例し直径の 2 乗に反比例する、円形コイルの中心の磁界は NI/2r、電流は電荷 ÷ 時間、といった基本の式で解ける問題が中心です。

電力系統・配電

  • 力率改善のコンデンサ容量は Q = P(tanθ₁ − tanθ₂)。力率 0.6 なら tanθ = 4/3、0.8 なら 3/4
  • 短絡容量を抑えるにはインピーダンスを大きくし、安定度を上げるにはリアクタンスを小さくする。逆向きにした選択肢が出る
  • 需要率は最大需要電力 ÷ 設備容量、負荷率は平均電力 ÷ 最大電力、不等率は各最大需要電力の和 ÷ 合成最大需要電力(2級で繰り返し出る)
  • 非接地方式の地絡保護は、零相変流器(ZCT)・接地形計器用変圧器(EVT)・地絡方向継電器(DGR)の組合せ

土木(2級の最多論点)

関連分野の土木は、土留め(ボイリングは砂、ヒービングは粘土、盤ぶくれは被圧水)、水準測量(後視は既知点、前視は未知点。視準軸誤差は前視と後視の距離を等しくすれば消える)、建設機械(バックホウは機械より低い所を掘る、クラムシェルは深い垂直掘削)、鉄道の軌道(カント、スラブ軌道、建築限界と車両限界)、送電用鉄塔の基礎(軟弱地盤はマット基礎、急傾斜地は深礎基礎)が交代で出ます。電気の知識が要らない区分なので、ここを得点源にする受検者も多い論点です。

法規:建設業法・電気事業法・電気工事士法

  • 建設業法:大臣許可は 2 以上の都道府県に営業所を置く場合、知事許可は 1 つの都道府県だけの場合で、工事をする場所は関係ない。特定建設業は元請として一定額以上を下請に出すときに必要で、自社で施工する金額や公共工事かどうかは関係ない。下請負人から完成の通知を受けたら 20 日以内に検査を終え、注文者から支払を受けたら 1 月以内に下請代金を支払う。営業所の帳簿は引渡しから 5 年間保存
  • 主任技術者と監理技術者:主任技術者は元請・下請や金額にかかわらずすべての工事現場に置く。監理技術者が要るかは下請代金の総額で決まる。工事現場の標識に書くのは主任技術者・監理技術者の氏名で、現場代理人ではない
  • 電気事業法:事故報告は速報が 24 時間以内、詳報が 30 日以内。保安規程を定めて届け出るのは設置者で、主任技術者は保安の監督をする。小規模事業用電気工作物は、太陽電池発電設備なら出力 10kW 以上 50kW 未満、風力発電設備なら 20kW 未満のすべてが当たる(令和7年度 1級)
  • 電気用品安全法:ケーブルは導体の断面積 22mm² 以下が特定電気用品(◇の PSE)、22mm² を超え 100mm² 以下は特定電気用品以外(○の PSE)。ライティングダクトは特定電気用品以外
  • 電気工事士法・電気工事業法:自家用電気工作物の工事は第一種電気工事士(ネオン工事・非常用予備発電装置の工事は特種電気工事資格者)。電気工事士の免状は都道府県知事、認定証は経済産業大臣が交付する。登録電気工事業者の登録の有効期間と帳簿の保存は 5 年、主任電気工事士は第一種電気工事士か、第二種電気工事士で 3 年以上の実務経験がある人
  • 労働安全衛生法:建設業では常時 10〜49 人で安全衛生推進者、50 人以上で安全管理者・衛生管理者・産業医、100 人以上で総括安全衛生管理者。選任は 14 日以内、報告は労働基準監督署長へ

法規の問題は、出題年の 1 月 1 日に有効な法令で作られます。当サイトの過去問は、改正で答えが変わる問題に「問題改訂」として現行の内容を示しているので、古い回を解くときは解説の「現行法令との関係」も確かめてください。

よくある質問

1級と2級で頻出論点は違いますか?

出題の範囲はほぼ同じですが、1級は送電・発電・電気鉄道・情報通信など電力や鉄道の設備の比重が高く、2級は構内配線・配電・防災設備など建物の設備と、土木の比重が高くなっています。施工管理法(工程管理)と法規はどちらの級でも毎回出ます。

電気設備の選択問題は、どの設備を選べばいいですか?

仕事で関わっている設備から選ぶのが基本です。建物の電気工事が中心なら構内配電・屋内配線、受変電設備、防災設備、情報通信を、電力会社や鉄道の工事が中心なら送電・配電・発電・電気鉄道を厚くします。1級は 32 問から 14 問、2級は 19 問から 10 問を選ぶので、得意な設備で 2 割ほど多めに準備しておくと安心です。

法規は改正が多いと聞きます。古い過去問は使えますか?

使えます。当サイトでは、法令の改正で答えが変わる問題を「問題改訂」として現行の内容に合わせ、本試験の原文は解説に残しています。答えが変わらない改正も「現行法令との関係」に書いているので、数値は最新の値で覚えてください。

あわせて読む

出典・参考:一般財団法人 建設業振興基金 1級(平成29年度〜令和8年度)・2級(平成29年度〜令和8年度前期)電気工事施工管理技術検定 第一次検定(学科試験を含む)の試験問題と正答肢、電気設備の技術基準の解釈、建設業法・電気事業法・電気用品安全法・電気工事士法・労働安全衛生規則(e-Gov、2026年10月時点)

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