電気工事施工管理技士の勉強法:独学での進め方と優先順位

公開 ・執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)

電気工事施工管理技士の勉強は、第一次検定(マークシート)は「施工管理法と応用能力を先に固め、電気設備の選択問題は解く範囲を決めて広げる」、第二次検定(記述と択一)は「計算と法規の択一で点を確保し、施工経験記述と技術用語を手で書いて仕上げる」が骨組みです。以下、1級と2級に分けて、独学での学習の順序を具体的に説明します。

始める前に確かめる 3 つのこと

電気工事施工管理技術検定は、一般財団法人 建設業振興基金が行う国家試験です。勉強の段取りを組む前に、次の 3 つを決めておくと、途中で迷いません。

  1. 今年受ける検定。1級は 7 月に第一次検定、10 月に第二次検定があり、どちらも年 1 回です。2級の第一次検定は 6 月(前期)と 11 月(後期)の 2 回で、第二次検定は後期の第一次検定の日の午後に行われます
  2. 第二次検定まで同じ年に受けられるか。1級を「第一次検定のみ」で申し込んだ人は、合格しても同じ年度の第二次検定は受けられません。受けられる区分かどうかで、夏以降の勉強が大きく変わります(区分は申込手順の記事)
  3. 電気の得意分野。電気設備の選択問題は 1級で 32 問から 14 問、2級で 19 問から 10 問を選びます。受変電・構内配線のような建物の設備が得意なのか、送配電・発電・電車線のような電力・鉄道の設備が得意なのかで、厚く勉強する範囲が変わります

電気工事施工管理技士の検定は、電気理論の計算から、発電・変電・送配電・構内電気設備・情報通信・電車線・道路照明までの電気設備、機械設備・土木・建築の関連分野、施工管理法、建設業法や電気事業法の法規まで、範囲が広いのが特徴です。全部を同じ深さで覚えるのは無理なので、必須の問題と、選択で取る問題を分けて考えるのが出発点です。

1級 第一次検定の勉強法:応用能力から始める

1級の第一次検定では、午前の部 No.1〜54 と午後の部 No.55〜89、合わせて 89 問のうち 60 問に答えます。合格するには、60 問中 36 問(令和7・8年度の発表では 100 点換算で 60.0 点)以上に加えて、施工管理法(応用能力)の 6 問で 3 問以上を正解する必要があります。全体で 40 問を超えても、応用能力が 2 問以下ならそこで不合格です。だから勉強は、午後の No.55〜60 から始めます。

手順 1:応用能力の 6 問は施工計画・工程・品質

応用能力は五肢択一の必須問題で、令和3〜7年度は毎年、施工計画 2 問・工程管理 2 問・品質管理 2 問という並びでした。令和8年度も施工計画 2 問(施工体系図など、申請書・届出書の提出先)と工程管理 2 問(ネットワーク工程表と山崩し図、フリーフロート)で、残りの 2 問が受変電設備の工場立会検査と品質管理の考え方です。ネットワーク工程表は毎年 1〜2 問出るので、所要工期・フリーフロート・トータルフロートを自分で計算できるようにしておくと、応用能力の 3 問は安定して取れます。

手順 2:施工管理の必須 7 問

No.61〜67 の 7 問も選べません。施工計画・工程管理・試験と検査・安全管理から出て、令和8年度は着工時の検討事項、利益図表、工程管理の考え方、照度測定、作業主任者、職長教育、活線近接作業でした。応用能力と論点が重なるので、手順 1 と並行して進めると効率が上がります。当サイトの集計では、工程管理(10 回で 36 問)と安全管理(30 問)が 1級の施工管理でもっとも出題数の多い論点です。

手順 3:法規は 13 問から 10 問

No.77〜89 は、建設業法 3 問・電気事業法と電気用品安全法 2 問・建築基準法と建築士法 2 問・消防法 1 問・労働安全衛生法 2 問・労働基準法 1 問・その他の法令 2 問という並びでした(令和8年度)。13 問から 10 問を選ぶので、捨てられるのは 3 問だけです。建設業法・電気事業法・労働安全衛生法を固め、建築士法や有線電気通信法のような年によって形が変わる問題を外すと計画が立てやすくなります。法令は令和8年1月1日に有効なものが出題の基準だったので、改正のあった数値は最新の値で覚えます。

手順 4:電気設備・電気工学・関連分野・施工の選択問題

午前の部は、No.1〜6(電気工学)と No.53〜54(設計・契約)が必須、No.7〜12 は 6 問から 4 問、No.13〜44(電気設備)は 32 問から 14 問、No.45〜52(関連分野)は 8 問から 5 問を選びます。午後の No.68〜76(施工)は 9 問から 6 問です。電気設備は送電(10 回で 58 問)、構内配電・屋内配線(41 問)、発電(35 問)、受変電設備(31 問)、情報通信(32 問)、電気鉄道(30 問)と幅が広いので、自分の現場に近い設備から 20 問分ほどを確実にし、捨てる設備を先に決めておくと、本番で迷う時間が減ります。電気工学の必須 6 問は電気理論の計算が中心で、静電容量・倍率器と分流器・RLC 回路の電力のように、同じ型が年をまたいで出ています。

1級電気工事 第一次検定の過去問一覧(回別・論点別) →

2級 第一次検定の勉強法:必須 9 問と施工管理を固める

2級の第一次検定は 62 問のうち 40 問に答える形で、合格基準は得点 60% 以上(40 問中 24 問以上)です。1級と違い、分野ごとの基準はありません。必須は No.1〜4(電気工学)・No.36(設計・契約)・No.37〜40(施工管理法の能力問題)の 9 問で、残りの 31 問は選択です(令和8年度前期)。

  1. 能力問題の No.37〜40(五肢択一)。令和3年度からどの回も、施工計画 1 問・工程管理 2 問・品質管理 1 問という並びです。ネットワーク工程表の所要工期・クリティカルパスと、品質管理の図(パレート図・特性要因図・ヒストグラム)、PDCA の順序が繰り返し出ています
  2. 施工管理・施工の No.41〜50 は 10 問から 6 問。安全管理(作業床・墜落防止の高さ、停電作業の措置、移動式足場)と、各設備の施工から出ます
  3. 法規の No.51〜62 は 12 問から 8 問。建設業法・電気事業法と電気用品安全法・電気工事士法と電気工事業法・労働安全衛生法が毎回出るので、ここを優先します
  4. 電気工学の No.1〜4 は必須の計算。電荷と電流、磁界、倍率器・分流器、三相回路など基本の式で解けるものが中心です
  5. 電気設備の No.11〜29 は 19 問から 10 問。構内配電・屋内配線、送電、配電、変電、防災設備が当サイトの集計で出題数の多い論点です
  6. 関連分野の No.30〜35 は 6 問から 3 問。土木(17 回で 64 問)は 2級の最多論点で、土留め支保工・水準測量・移動式クレーンの安全装置・鉄道の軌道が交代で出ます

当サイトには平成29年度から令和8年度前期までの 17 回分があります。前期と後期で問題の構成は同じなので、論点ごとに並べて解くと、同じ記述が数値や語句だけ変えて何度も出ていることが分かります。

2級電気工事 第一次検定の過去問一覧(回別・論点別) →

第二次検定の勉強法:点の取り方が違う 3 種類の問題

第二次検定の合格基準は、1級・2級とも得点 60% 以上です。記述の正答は公表されず、配点も分かりません。問題は、答えが一つに決まる問題(計算・法規の択一式)、型を覚えて書く問題(品質・安全、技術用語、2級の単線結線図)、自分の考えを書く問題(施工経験記述)の 3 種類に分けて対策します。

答えが一つに決まる問題を先に仕上げる

1級は計算(令和6年度からは問題5)と法規(問題6)の五肢択一、2級は計算(問題4)と法規(問題5)の四肢択一です。計算は配電線路の電圧降下、支線の張力、単相3線式の変圧器の一次電流、RLC 回路の電力のように型が決まっていて、第一次検定の計算の復習で対応できます。法規は建設業法と電気事業法(2級は建設業法・労働安全衛生法・電気工事士法)の条文の空欄を選ぶ形で、令和4年度以降は主催者が正答肢を公表しているので、過去問で自己採点できます。

型を覚えて書く問題

1級は、4 つの語句から 2 つを選んで「適正な品質を確保するための方法」(資材の管理、電線管やケーブルラックの施工、重量機器の取付け、電線の接続)か、「労働災害を防止するための対策」(揚重作業、高圧活線近接や停電作業、酸素欠乏危険場所、掘削作業)を 2 つずつ書く問題と、12 の技術用語から 4 つを選んで技術的な内容を 2 つずつ書く問題が出ます。2級は、施工管理上の留意事項か安全管理の語句を 2 つ、高圧受電設備の単線結線図の機器の名称と機能、9 の技術用語から 3 つです。技術用語は、コンバインドサイクル発電、電力デマンド制御、接地抵抗の低減方法、電気鉄道の電食防止対策(1級)や、絶縁抵抗試験、電線の許容電流、ループコイル式車両感知器(2級)のように同じ用語が何度も出ます。第一次検定の過去問で出会った設備を、「目的・原理・特徴・施工上の留意点」の 2 行で説明する練習を重ねると、そのまま記述の材料になります。

施工経験記述は早めに下書きを

問題1 の施工経験記述は、令和5年度までは自分が担当した工事の概要を書いて答える形でした。令和6年度からは、問題に示された条件(施設が運用中、関連工事と輻輳、作業時間の制約など)の電気工事について、自分の経験を踏まえて書く形に変わっています。それでも「事項(問題)」「その理由」「具体的な対策」を、自分の現場の経験を材料に書く点は同じです。テーマは 1級なら安全管理(墜落・飛来落下、感電)と工程管理・品質管理、2級なら安全管理と工程管理が交代で出ています。書き方と記述例は施工経験記述のページで紹介しています。

過去問の回し方

  1. 1 周目は直近 2 回分を回ごとに通しで解き、区分ごとの問題数と、自分が選ぶ問題の範囲を決める
  2. 2 周目は論点単位で解く。1級 工程管理や2級 構内配電・屋内配線のような論点ページでは同じ論点の問題が年度順に並ぶので、毎回差し替えられている数値や語句がすぐ分かる
  3. 3 周目は間違えた問題だけを、どの記述がなぜ誤りかを言えるまで解き直す
  4. 試験の 2 週間前からは直近の回を本番と同じ時間で解き、選択問題の決め方とマークの手順まで練習する

1級は令和5年度まで全 92 問、令和6年度から全 89 問で、電気工学の必須 6 問ができたのも令和6年度からです。2級も令和5年度までは全 64 問でした。中身は同じ論点なので古い回も練習にそのまま使えますが、本番の形に慣れるための通し演習は令和6年度以降の回で行ってください。

よくある質問

1級の応用能力だけが苦手です。どう対策すればいいですか?

応用能力の 6 問は、施工計画・工程管理・品質管理(令和8年度は試験・検査を含む)から出ています。施工管理の必須問題(No.61〜67)と同じ論点なので、両方を論点別にまとめて解くのが近道です。とくにネットワーク工程表の計算は毎年出るので、所要工期とフロートを自分で求められるようにしてください。

電気理論の計算が苦手でも受かりますか?

受かります。1級は電気工学の必須 6 問、2級は 4 問が計算中心ですが、全体の得点で 60% を超えればよく、電気工学だけの基準はありません。それでも静電容量、倍率器・分流器、RLC 回路の電力、三相回路の電流のような基本の型は毎年出るので、過去問の型だけは押さえておくと得点の土台になります。

電気工事士の勉強は役に立ちますか?

役に立ちます。構内配電・屋内配線、配線用図記号、電気工事士法、電気用品安全法などは電気工事士試験と重なる範囲です。ただし、施工管理法(工程・品質・安全)と建設業法・労働安全衛生法は電気工事士試験にない範囲なので、ここは新しく勉強する必要があります。

テキストは必要ですか?

第一次検定なら、解説つきの過去問で論点ごとの型をつかめば、テキストは知らない用語を引く程度で足ります。施工の数値の根拠を確かめたいときは、電気設備の技術基準の解釈や、公共建築工事標準仕様書(電気設備工事編)が無料で公開されています。

あわせて読む

出典・参考:一般財団法人 建設業振興基金 1級電気工事施工管理技術検定・2級電気工事施工管理技術検定(令和8年度の受検の手引、試験問題の表紙、合格基準)、令和8年度 1級(第一次・第二次)・2級(前期)電気工事施工管理技術検定の試験問題

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