第39回 第5問 論点:収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)重要度 A配点 30点未着手

2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と収益性分析(資本利益率・ROA・資本回転率・経審の総資本売上総利益率)の空欄補充

これは建設業経理士1級 財務分析 第39回(2026年9月13日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)」(重要度A・解答の形は問1:別添資料から10比率(A〜J)を算定(2点×10)。問2:分析文の空欄10個を用語・数値群から選ぶ(1点×10))。採点すると、解き方 14 手順・引っかけの指摘が読めます。

A建設株式会社の第38期(決算日:20×5年3月31日)及び第39期(決算日:20×6年3月31日)の財務諸表並びにその関連データは<別添資料>のとおりであった。次の設問に解答しなさい。

問1 第39期について、次の諸比率(A〜J)を算定しなさい。期中平均値を使用することが望ましい数値については、そのような処置をすること。F及びGがプラスの場合は「X」を、マイナスの場合は「Y」を解答用紙の所定の欄にそれぞれ記入し、数値欄に符号は付けないこと。解答に際しての端数処理については、解答用紙の指定のとおりとする。

A 自己資本当期純利益率 B 立替工事高比率(電子記録債権を含む) C 運転資本保有月数 D 借入金依存度 E 棚卸資産回転率 F 営業利益増減率 G 完成工事高キャッシュ・フロー率 H 純支払利息比率 I 資本集約度 J 負債比率

問2 同社の財務諸表とその関連データを参照しながら、次に示す文章の【 】に入れるべき最も適当な用語・数値を下の<用語・数値群>の中から選び、その記号(ア〜ヤ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。期中平均値を使用することが望ましい数値については、そのような処置をし、小数点第3位を四捨五入している。

財務分析における収益性分析は、総括的には【1】とそれから獲得した利益との比率を考察する【2】分析によってまとめられる。この【2】は、その概念に多様性が存在するため、組み合わせによって異なる意味を持つ。資本の財務的な運用成果をも加味した利益概念が、【3】である。第39期において、この利益に基づくROAとも呼ばれる利益率は、【4】%である。【2】は、売上高利益率と【5】に分解される。この【5】は、企業の活動性を分析する指標であり、総じてこの数値は、【6】ほど望ましいが、その中でも過度に高い場合には注意をしなければならないのが【7】である。また、経営事項審査の経営状況分析で用いられている【2】は、【8】に対する【9】の比率であり、第39期において、この比率は【10】%である。

  • <用語・数値群>
  • ア 経営資本回転率 イ 投下資本 ウ 経常利益 エ 税引前当期純利益 オ 自己資本 カ 売上総利益 キ 経営資本 ク 株主資本
  • コ 事業利益 サ 資本利益率 シ 当期純利益 ス 固定資産回転率 セ 資本回転率 ソ 自己資本回転率 タ 営業利益 チ 高い
  • ト 低い ナ 自己資本比率 ニ 固定比率 ネ 総資本 ノ 2.47 ハ 3.13 フ 3.83 ヘ 3.85
  • ホ 4.00 ム 4.02 モ 7.90 ヤ 8.27
<別添資料>貸借対照表(資産の部)(単位:千円)第38期 20×5年3月31日現在第39期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動資産 現金預金601,500572,700
 受取手形100―
 電子記録債権16,90030,300
 完成工事未収入金2,858,2003,439,500
 有価証券3,0002,000
 未成工事支出金214,300213,600
 材料貯蔵品12,10012,800
 未収入金348,700364,500
 その他流動資産110,90081,500
 貸倒引当金△3,400△4,400
 [流動資産合計]4,162,3004,712,500
Ⅱ 固定資産 1.有形固定資産 建物159,100156,900
 構築物11,60012,900
 機械装置23,50016,000
 車両運搬具1,700800
 工具器具備品29,20037,700
 土地234,200234,500
 建設仮勘定452,300461,200
 その他有形固定資産1,4001,700
  有形固定資産合計913,000921,700
 2.無形固定資産 のれん1,000900
 その他無形固定資産23,90020,000
  無形固定資産合計24,90020,900
 3.投資その他の資産 投資有価証券248,500224,800
 関係会社株式69,50076,700
 繰延税金資産35,70034,500
 長期前払費用2,4002,500
 その他投資等資産73,20073,300
 貸倒引当金△42,900△42,400
  投資その他の資産合計386,400369,400
 [固定資産合計]1,324,3001,312,000
資産合計5,486,6006,024,500
貸借対照表(負債・純資産の部)(単位:千円)第38期 20×5年3月31日現在第39期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動負債 工事未払金1,385,1001,568,200
 短期借入金437,100570,100
 未払金28,10027,200
 未払法人税等82,20027,800
 未成工事受入金432,000303,900
 預り金653,000815,200
 完成工事補償引当金12,80012,500
 工事損失引当金87,00061,900
 その他流動負債78,300165,800
 [流動負債合計]3,195,6003,552,600
Ⅱ 固定負債 社債410,000410,000
 長期借入金256,000585,000
 再評価に係る繰延税金負債36,80037,900
 退職給付引当金3,10012,500
 その他固定負債4,60012,200
 [固定負債合計]710,5001,057,600
 負債合計3,906,1004,610,200
Ⅰ 株主資本 1.資本金304,500304,500
 2.資本剰余金 資本準備金183,900183,900
  資本剰余金合計183,900183,900
 3.利益剰余金 利益準備金600,000400,000
 繰越利益剰余金397,400464,800
  利益剰余金合計997,400864,800
 4.自己株式△7,700△27,600
 [株主資本合計]1,478,1001,325,600
Ⅱ 評価・換算差額等 その他有価証券評価差額金62,70050,100
 土地再評価差額金39,70038,600
 [評価・換算差額等合計]102,40088,700
 純資産合計1,580,5001,414,300
負債純資産合計5,486,6006,024,500
  • 〔貸借対照表の付記事項〕
  • 1.流動資産中の貸倒引当金は、受取手形、電子記録債権及び完成工事未収入金に対して設定されたものである。
  • 2.その他流動資産は営業活動に伴うものであるが、当座の支払能力を有するものではない。
  • 3.投資その他の資産は、すべて営業活動には直接関係していない資産である。
  • 4.引当金に該当する項目は、貸借対照表に明記したもの以外にはない。
  • 5.有利子負債に該当する項目として、第39期のその他流動負債の中にコマーシャル・ペーパー 80,000 千円が含まれている。
  • 6.第39期において繰越利益剰余金を原資として実施した配当の額は 66,000 千円である。
損益計算書(単位:千円)第38期 自20×4年4月1日 至20×5年3月31日第39期 自20×5年4月1日 至20×6年3月31日
Ⅰ 完成工事高6,177,1007,274,880
Ⅱ 完成工事原価5,643,8006,799,080
 完成工事総利益533,300475,800
Ⅲ 販売費及び一般管理費241,500258,900
 営業利益291,800216,900
Ⅳ 営業外収益 受取利息5,2404,170
 受取配当金3,6703,420
 その他営業外収益19,3709,260
 営業外収益合計28,28016,850
Ⅴ 営業外費用 支払利息19,90023,500
 社債利息27,00027,000
 支払手数料190220
 その他営業外費用1,4903,080
 営業外費用合計48,58053,800
 経常利益271,500179,950
Ⅵ 特別利益12,65013,100
Ⅶ 特別損失10,8008,900
 税引前当期純利益273,350184,150
 法人税、住民税及び事業税90,70061,900
 法人税等調整額5,1206,100
 法人税等合計95,82068,000
 当期純利益177,530116,150
  • 〔損益計算書の付記事項〕
  • 1.第39期における有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費の合計額は 9,400 千円である。
  • 2.その他営業外費用には、他人資本に付される利息 1,200 千円が含まれている。
キャッシュ・フロー計算書(要約)(単位:千円)第38期第39期
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー91,400△233,300
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△64,100△232,200
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー67,100436,700
Ⅳ 現金及び現金同等物の増加・減少額94,400△28,800
Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高507,100601,500
Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高601,500572,700
完成工事原価報告書(単位:千円)第38期第39期
Ⅰ 材料費1,241,6001,359,800
Ⅱ 労務費102,000113,000
 (うち労務外注費)(102,000)(113,000)
Ⅲ 外注費3,216,9004,147,400
Ⅳ 経費1,083,3001,178,880
 完成工事原価5,643,8006,799,080
各期末時点の総職員数第38期第39期
総職員数120 人128 人

解答欄 主要比率表(算式)を別タブで開く

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小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
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小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
月
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
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小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
回
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
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小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入。符号は付けない
X=プラス、Y=マイナス
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小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入。符号は付けない
X=プラス、Y=マイナス
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小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
千円
千円未満を切り捨て
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小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

問1 A 自己資本当期純利益率7.76 %
問1 B 立替工事高比率45.13 %
問1 C 運転資本保有月数1.91 月
問1 D 借入金依存度25.98 %
問1 E 棚卸資産回転率32.13 回
問1 F 営業利益増減率25.67 %
問1 F 営業利益増減率の記号Y
問1 G 完成工事高キャッシュ・フロー率0.69 %
問1 G 完成工事高キャッシュ・フロー率の記号X
問1 H 純支払利息比率0.61 %
問1 I 資本集約度46,415 千円
問1 J 負債比率325.97 %
問2 空欄1イ
問2 空欄2サ
問2 空欄3コ
問2 空欄4ム
問2 空欄5セ
問2 空欄6チ
問2 空欄7ソ
問2 空欄8ネ
問2 空欄9カ
問2 空欄10ヤ

解き方

  1. 期中平均を使うのは、貸借対照表の残高(自己資本・棚卸資産・総資本・総職員数)を損益計算書のフロー(完成工事高・利益)と対比させる比率。立替工事高比率・運転資本保有月数・借入金依存度・負債比率のように期末の状態を示す比率は第39期末残高で計算する。
  2. A 自己資本当期純利益率=当期純利益÷自己資本(※)×100。自己資本=純資産合計。116,150÷{(1,580,500+1,414,300)÷2}×100=116,150÷1,497,400×100=7.756… → 7.76%。
  3. B 立替工事高比率=(受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金−未成工事受入金)÷(完成工事高+未成工事支出金)×100。指示どおり電子記録債権を含める。第39期の受取手形は「―」。(0+30,300+3,439,500+213,600−303,900)÷(7,274,880+213,600)×100=3,379,500÷7,488,480×100=45.129… → 45.13%。
  4. C 運転資本保有月数=(流動資産−流動負債)÷(完成工事高÷12)=(4,712,500−3,552,600)÷(7,274,880÷12)=1,159,900÷606,240=1.913… → 1.91 月。
  5. D 借入金依存度=(短期借入金+長期借入金+社債)÷総資本×100=(570,100+585,000+410,000)÷6,024,500×100=1,565,100÷6,024,500×100=25.978… → 25.98%。付記事項5のコマーシャル・ペーパー 80,000 は「有利子負債」(有利子負債月商倍率の分子)には含むが、借入金依存度の分子は主要比率表のとおり社債までなので含めない。
  6. E 棚卸資産回転率=完成工事高÷棚卸資産(※)。棚卸資産=未成工事支出金+材料貯蔵品で、第38期末 214,300+12,100=226,400、第39期末 213,600+12,800=226,400。7,274,880÷{(226,400+226,400)÷2}=7,274,880÷226,400=32.132… → 32.13 回。
  7. F 営業利益増減率=(当期営業利益−前期営業利益)÷前期営業利益×100=(216,900−291,800)÷291,800×100=△25.668… → 25.67%、マイナスなので記号はY。
  8. G 完成工事高キャッシュ・フロー率=純キャッシュ・フロー÷完成工事高×100。純キャッシュ・フロー=当期純利益(税引後)±法人税等調整額+当期減価償却実施額+引当金増減額−剰余金の配当の額。引当金は貸倒引当金(流動・固定)・完成工事補償引当金・工事損失引当金・退職給付引当金で、第38期末 3,400+42,900+12,800+87,000+3,100=149,200、第39期末 4,400+42,400+12,500+61,900+12,500=133,700、増減額=△15,500。純キャッシュ・フロー=116,150+6,100+9,400−15,500−66,000=50,150。50,150÷7,274,880×100=0.689… → 0.69%、プラスなので記号はX。
  9. H 純支払利息比率=(支払利息−受取利息及び配当金)÷完成工事高×100。支払利息=借入金利息 23,500+社債利息 27,000+その他他人資本に付される利息 1,200(付記事項2)=51,700。受取利息及び配当金=4,170+3,420=7,590。(51,700−7,590)÷7,274,880×100=44,110÷7,274,880×100=0.606… → 0.61%。
  10. I 資本集約度=総資本(※)÷総職員数(※)={(5,486,600+6,024,500)÷2}÷{(120+128)÷2}=5,755,550÷124=46,415.7… → 46,415 千円(千円未満切り捨て)。
  11. J 負債比率=(流動負債+固定負債)÷自己資本×100=4,610,200÷1,414,300×100=325.970… → 325.97%。
  12. 問2 収益性分析は、投下資本(イ)とそこから得た利益との比率である資本利益率(サ)分析に総括される。資本の財務的な運用成果(受取利息及び配当金)も加味した利益概念が事業利益(コ)=経常利益+支払利息=179,950+51,700=231,650。総資本事業利益率(ROA)=事業利益÷総資本(※)×100=231,650÷5,755,550×100=4.024… → 4.02%(ム)。
  13. 問2 資本利益率=売上高利益率(利益÷完成工事高)×資本回転率(セ)(完成工事高÷資本)。資本回転率は活動性の指標で高い(チ)ほど望ましいが、自己資本回転率(ソ)は過度に高いと自己資本が過少(自己資本比率が低い)であることを意味するので注意が必要になる。
  14. 問2 経営事項審査の経営状況分析(Y点)の収益性指標は総資本売上総利益率で、総資本(ネ)に対する売上総利益(カ)の比率。総資本売上総利益率=売上総利益÷総資本(※)×100=475,800÷5,755,550×100=8.266… → 8.27%(ヤ)。
引っかけ:Gの引当金は投資その他の資産の貸倒引当金(42,900/42,400)を落としやすい。法人税等調整額 6,100 は費用として計上されているので加算する。キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー(△233,300)は純キャッシュ・フローではないので使わない。Hの支払利息には社債利息と付記事項2の 1,200 を含め、支払手数料 220 は含めない。問2の「ヘ 3.85」「モ 7.90」は期末総資本で割った値、「ハ 3.13」は総資本経常利益率で、いずれもひっかけ。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務分析 第39回(2026年9月13日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する