第33回 第5問 論点:活動性分析(回転率・回転期間・滞留月数)重要度 A配点 30点未着手

2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と回転期間・回転日数による分析文の空欄補充

これは建設業経理士1級 財務分析 第33回(2023年9月10日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「活動性分析(回転率・回転期間・滞留月数)」(重要度A・解答の形は問1:別添資料から10比率(A〜J)を算定(2点×10)。問2:分析文の空欄10個を用語・数値群から選ぶ(1点×10))。採点すると、解き方 14 手順・引っかけの指摘が読めます。

A建設株式会社の第32期(決算日:20×5年3月31日)及び第33期(決算日:20×6年3月31日)の財務諸表並びにその関連データは<別添資料>のとおりであった。次の設問に解答しなさい。

問1 第33期について、次の諸比率(A〜J)を算定しなさい。期中平均値を使用することが望ましい数値については、そのような処置をすること。なお、解答に際しての端数処理については、解答用紙の指定のとおりとする。

A 完成工事高キャッシュ・フロー率 B 総資本事業利益率 C 立替工事高比率 D 受取勘定滞留月数 E 固定比率 F 配当性向 G 労働装備率 H 自己資本比率 I 借入金依存度 J 資本金経常利益率

問2 同社の財務諸表とその関連データを参照しながら、次に示す文中の【 】の中に入れるべき最も適当な用語・数値を下記の<用語・数値群>の中から選び、その記号(ア〜ホ)で解答しなさい。なお、算定にあたって期中平均値を使用することが望ましい比率については、便宜上、第33期末残高の数値を用いて算定している。

企業の【1】分析とは、資本や資産等が一定期間にどの程度運動したかを示すものである。回転期間の分母に用いられるのは、【2】であるが、項目別に回転を測定する場合には必ずしも適当であるとはいえず、例えば、未成工事支出金の回転率や回転期間をとらえるためには、【3】と比較するべきである。なお、経営事項審査の経営状況の審査内容で用いられているのが、【4】回転期間であり、この数値は【5】ほど好ましいといえる。

また、企業の仕入、販売、代金回収活動に関する回転期間を総合的に判断する指標が、【6】である。この指標は、【7】回転日数と【8】回転日数を足し、【9】回転日数を引くことで求められる。そして、この数値は【5】方が望ましいといえる。第33期における【7】回転日数と【8】回転日数の合計は【10】日(小数点未満を切り捨て)である。

  • <用語・数値群>
  • ア 負債 イ 健全性 ウ 仕入債務 エ 小さい オ キャッシュ・コンバージョン・サイクル カ 活動性 キ 未収施工高 ク 完成工事高
  • コ 売上債権 サ ROI シ 完成工事原価 ス 大きい セ 総資本 ソ 安全性 タ 固定資産 チ CVP
  • ト 純資産 ナ 未成工事受入金 ニ 棚卸資産 ネ 200 ノ 202 ハ 207 フ 216 ヘ 225 ホ 227
<別添資料>貸借対照表(資産の部)(単位:千円)第32期 20×5年3月31日現在第33期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動資産 現金預金556,100399,900
 受取手形62,40057,900
 完成工事未収入金2,271,1002,492,200
 有価証券1,0001,200
 未成工事支出金88,100109,400
 材料貯蔵品25,60020,200
 その他流動資産260,100213,000
 貸倒引当金△3,700△3,500
 [流動資産合計]3,260,7003,290,300
Ⅱ 固定資産 1.有形固定資産 建物129,400125,200
 構築物19,30019,400
 機械装置21,90019,600
 車両運搬具5,8005,900
 工具器具備品1,5001,600
 土地315,900315,900
 建設仮勘定116,500158,600
  有形固定資産合計610,300646,200
 2.無形固定資産 のれん10,00010,000
 その他無形資産4,9003,800
  無形固定資産合計14,90013,800
 3.投資その他の資産 投資有価証券188,500169,900
 関係会社株式47,70081,300
 長期貸付金188,500211,500
 長期前払費用500800
 繰延税金資産28,10036,300
 その他投資資産26,10010,300
 貸倒引当金△32,400△34,900
  投資その他の資産合計447,000475,200
 [固定資産合計]1,072,2001,135,200
資産合計4,332,9004,425,500
貸借対照表(負債・純資産の部)(単位:千円)第32期 20×5年3月31日現在第33期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動負債 支払手形43,20039,800
 工事未払金1,169,8001,142,900
 短期借入金271,900274,600
 未払金50,60039,100
 未払法人税等45,80026,400
 未成工事受入金233,200290,100
 預り金559,300502,100
 完成工事補償引当金9,7007,800
 工事損失引当金11,10035,900
 その他流動負債124,300132,100
 [流動負債合計]2,518,9002,490,800
Ⅱ 固定負債 社債200,000300,000
 長期借入金197,900183,800
 退職給付引当金4,7003,400
 その他固定負債141,000182,000
 [固定負債合計]543,600669,200
 負債合計3,062,5003,160,000
Ⅰ 株主資本 1.資本金304,500304,500
 2.資本剰余金 資本準備金183,900183,900
  資本剰余金合計183,900183,900
 3.利益剰余金 別途積立金500,000600,000
 その他利益剰余金224,700132,900
  利益剰余金合計724,700732,900
 4.自己株式△5,900△5,600
 [株主資本合計]1,207,2001,215,700
Ⅱ 評価・換算差額等 その他有価証券評価差額金63,20049,800
 [評価・換算差額等合計]63,20049,800
 純資産合計1,270,4001,265,500
負債純資産合計4,332,9004,425,500
  • 〔貸借対照表の付記事項〕
  • 1.流動資産中の貸倒引当金は、受取手形と完成工事未収入金に対して設定されたものである。
  • 2.その他流動資産は営業活動に伴うものであるが、当座の支払能力を有するものではない。
  • 3.投資その他の資産は、すべて営業活動には直接関係していない資産である。
  • 4.引当金及び有利子負債に該当する項目は、貸借対照表に明記したもの以外にはない。
  • 5.第33期において繰越利益剰余金を原資として実施した配当の額は 28,000 千円である。
損益計算書(単位:千円)第32期 自20×4年4月1日 至20×5年3月31日第33期 自20×5年4月1日 至20×6年3月31日
Ⅰ 完成工事高4,451,4004,289,900
Ⅱ 完成工事原価4,003,8003,963,600
 完成工事総利益447,600326,300
Ⅲ 販売費及び一般管理費177,600193,100
 営業利益270,000133,200
Ⅳ 営業外収益 受取利息3,3001,900
 受取配当金4,9004,600
 その他営業外収益6,1004,400
 営業外収益合計14,30010,900
Ⅴ 営業外費用 支払利息5,9005,800
 社債利息900700
 為替差損2001,500
 その他営業外費用2,1003,200
 営業外費用合計9,10011,200
 経常利益275,200132,900
Ⅵ 特別利益1,2008,600
Ⅶ 特別損失5,0004,500
 税引前当期純利益271,400137,000
 法人税、住民税及び事業税63,90047,200
 法人税等調整額17,800△2,500
 法人税等合計81,70044,700
 当期純利益189,70092,300
  • 〔損益計算書の付記事項〕
  • 1.第33期における有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費の合計額は 6,800 千円である。
  • 2.その他営業外費用には、他人資本に付される利息は含まれていない。
キャッシュ・フロー計算書(要約)(単位:千円)第32期第33期
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー306,900△76,900
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△128,000△118,200
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー△31,10038,900
Ⅳ 現金及び現金同等物の増加・減少額147,800△156,200
Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高408,300556,100
Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高556,100399,900
完成工事原価報告書(単位:千円)第32期第33期
Ⅰ 材料費640,600604,300
Ⅱ 労務費396,400391,500
 (うち労務外注費)(396,400)(391,500)
Ⅲ 外注費2,506,6002,457,900
Ⅳ 経費460,200509,900
 完成工事原価4,003,8003,963,600
各期末時点の総職員数第32期第33期
総職員数26 人24 人

解答欄 主要比率表(算式)を別タブで開く

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千円
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7 と 8 は順不同
7 と 8 は順不同

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正解

問1 A 完成工事高キャッシュ・フロー率2.16 %
問1 B 総資本事業利益率3.18 %
問1 C 立替工事高比率53.86 %
問1 D 受取勘定滞留月数7.13 月
問1 E 固定比率89.70 %
問1 F 配当性向30.34 %
問1 G 労働装備率19,628 千円
問1 H 自己資本比率28.60 %
問1 I 借入金依存度17.14 %
問1 J 資本金経常利益率43.65 %
問2 空欄1カ
問2 空欄2ク
問2 空欄3シ
問2 空欄4ア
問2 空欄5エ
問2 空欄6オ
問2 空欄7(8 と順不同)コ
問2 空欄8(7 と順不同)ニ
問2 空欄9ウ
問2 空欄10ホ

解き方

  1. 期中平均を使うのは、貸借対照表の残高を損益計算書のフローと対比させる比率(B 総資本、G 有形固定資産−建設仮勘定と総職員数、J 資本金)。立替工事高比率・受取勘定滞留月数・固定比率・自己資本比率・借入金依存度は主要比率表に(※)がなく、第33期末残高で計算する。
  2. A 完成工事高キャッシュ・フロー率=純キャッシュ・フロー÷完成工事高×100。純キャッシュ・フロー=当期純利益(税引後)±法人税等調整額+当期減価償却実施額+引当金増減額−剰余金の配当の額。引当金は貸倒引当金(流動・投資その他)・完成工事補償引当金・工事損失引当金・退職給付引当金で、第32期末 3,700+32,400+9,700+11,100+4,700=61,600、第33期末 3,500+34,900+7,800+35,900+3,400=85,500、増減額=+23,900。法人税等調整額は △2,500(税金費用を減らす方向)なので差し引く。純キャッシュ・フロー=92,300−2,500+6,800+23,900−28,000=92,500。92,500÷4,289,900×100=2.156… → 2.16%。
  3. B 総資本事業利益率=事業利益÷総資本(※)×100。事業利益=経常利益+支払利息=132,900+(支払利息 5,800+社債利息 700)=139,400。総資本(期中平均)=(4,332,900+4,425,500)÷2=4,379,200。139,400÷4,379,200×100=3.183… → 3.18%。
  4. C 立替工事高比率=(受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金−未成工事受入金)÷(完成工事高+未成工事支出金)×100=(57,900+2,492,200+109,400−290,100)÷(4,289,900+109,400)×100=2,369,400÷4,399,300×100=53.858… → 53.86%。
  5. D 受取勘定滞留月数=(受取手形+完成工事未収入金)÷(完成工事高÷12)=(57,900+2,492,200)÷(4,289,900÷12)=2,550,100÷357,491.6…=7.133… → 7.13 月。
  6. E 固定比率=固定資産÷自己資本×100=1,135,200÷1,265,500×100=89.703… → 89.70%。自己資本は純資産合計。
  7. F 配当性向=配当金÷当期純利益×100=28,000÷92,300×100=30.335… → 30.34%。
  8. G 労働装備率=(有形固定資産−建設仮勘定)(※)÷総職員数(※)。第32期末 610,300−116,500=493,800、第33期末 646,200−158,600=487,600、平均 490,700。総職員数の平均=(26+24)÷2=25 人。490,700÷25=19,628 千円。
  9. H 自己資本比率=自己資本÷総資本×100=1,265,500÷4,425,500×100=28.595… → 28.60%。
  10. I 借入金依存度=(短期借入金+長期借入金+社債)÷総資本×100=(274,600+183,800+300,000)÷4,425,500×100=758,400÷4,425,500×100=17.137… → 17.14%。
  11. J 資本金経常利益率=経常利益÷資本金(※)×100=132,900÷{(304,500+304,500)÷2}×100=43.645… → 43.65%。
  12. 問2 資本や資産がどの程度運動したかを示すのが活動性(カ)分析。回転期間の分母は完成工事高(ク)(÷12 で月商)だが、未成工事支出金のように原価で計上される項目は完成工事原価(シ)と比較する方が適当になる。経営事項審査の経営状況分析(Y点)で使うのは負債(ア)回転期間=(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)で、小さい(エ)ほど好ましい。
  13. 問2 仕入・販売・代金回収の回転期間を総合した指標がキャッシュ・コンバージョン・サイクル(オ)=売上債権(コ)回転日数+棚卸資産(ニ)回転日数−仕入債務(ウ)回転日数(7と8は順不同)。短い(小さい)ほど資金繰りがよい。
  14. 問2 第33期の売上債権回転日数=(受取手形 57,900+完成工事未収入金 2,492,200)÷(4,289,900÷365)=216.97… 日、棚卸資産回転日数=(未成工事支出金 109,400+材料貯蔵品 20,200)÷(4,289,900÷365)=11.02… 日。合計=227.99… → 227 日(ホ)。まとめて(2,550,100+129,600)×365÷4,289,900 で計算しても同じ。
引っかけ:Aの法人税等調整額は第33期が △2,500(マイナス)なので、第32期のように加算せず差し引く。引当金には投資その他の資産の貸倒引当金(32,400/34,900)と退職給付引当金を忘れない。キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー(△76,900)は純キャッシュ・フローではない。Bの支払利息には社債利息 700 を含め、為替差損は含めない。Iの分子は社債まで(有利子負債の定義とは別)。問2の【10】は売上債権回転日数だけで 216(フ)と答えない。棚卸資産には材料貯蔵品も含める。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務分析 第33回(2023年9月10日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する