第34回 第5問 論点:生産性分析:労働装備率・設備投資効率・資本集約度・資本生産性重要度 A配点 30点未着手

2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(労働生産性の要因分解)・経営事項審査の経営状況(Y)の空欄補充

これは建設業経理士1級 財務分析 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「生産性分析:労働装備率・設備投資効率・資本集約度・資本生産性」(重要度A・解答の形は問1:別添資料から10比率(A〜J)を算定(2点×10)。問2:分析文の空欄10個を用語・数値群から選ぶ(1点×10))。採点すると、解き方 17 手順・引っかけの指摘が読めます。

A建設株式会社の第33期(決算日:20×5年3月31日)及び第34期(決算日:20×6年3月31日)の財務諸表並びにその関連データは<別添資料>のとおりであった。次の設問に解答しなさい。

問1 第34期について、次の諸比率(A〜J)を算定しなさい。期中平均値を使用することが望ましい数値については、そのような処置をすること。ただし、Jの流動負債比率は、建設業特有の勘定科目の金額を控除する方法により算定すること。また、Fの営業利益増減率については、プラスの場合は「A」、マイナスの場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入し、数値欄にその符号は付けないこと。なお、解答に際しての端数処理については、解答用紙の指定のとおりとする。

A 立替工事高比率 B 固定長期適合比率 C 棚卸資産回転率 D 付加価値率 E 自己資本事業利益率 F 営業利益増減率 G 完成工事高キャッシュ・フロー率 H 配当性向 I 未成工事収支比率 J 流動負債比率

問2 同社の財務諸表とその関連データを参照しながら、次に示す文中の【 】に入れるべき最も適当な用語・数値を下記の<用語・数値群>の中から選び、その記号(ア〜ム)で解答しなさい。期中平均値を使用することが望ましい数値については、そのような処置をし、小数点第3位を四捨五入している。

(1) 生産性分析の基本指標は、付加価値労働生産性の測定であるが、この労働生産性はいくつかの要因に分解して分析することができる。一つは、一人当たり【1】×付加価値率に分解され、二つめは、【2】×総資本投資効率であり、【2】は一人当たり総資本を示すものである。三つめは、【3】×【4】である。【3】は、従業員一人当たりの生産設備への投資額を示しており、工事現場の機械化の水準を示している。第34期における【2】は【5】千円(千円未満切り捨て)であり、【4】は【6】%である。

(2) 経営事項審査において、経営状況(Y)には具体的な審査内容は8つあるが、その中で数値が低いほど好ましい指標は【7】と【8】である。第34期における【7】は【9】%であり、【8】は【10】月である。

  • <用語・数値群>
  • ア 純支払利息比率 イ 完成工事原価 ウ 設備投資効率 エ 負債回転期間 オ 付加価値 カ 自己資本比率 キ 有形固定資産回転率 ク 資本集約度
  • コ 労働装備率 サ 付加価値対固定資産比率 シ 完成工事高 ス 自己資本対固定資産比率 セ 固定負債比率 ソ 支払勘定回転率 タ 0.03 チ 0.04
  • ト 0.11 ナ 7.83 ニ 8.01 ネ 8.36 ノ 156.56 ハ 184.33 フ 187.62 ヘ 76,900
  • ホ 77,485 ム 79,985
<別添資料>貸借対照表(資産の部)(単位:千円)第33期 20×5年3月31日現在第34期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動資産 現金預金448,400504,900
 受取手形536,800528,400
 完成工事未収入金2,103,0002,246,700
 有価証券18,00014,000
 未成工事支出金148,900153,900
 材料貯蔵品14,30012,900
 その他流動資産106,570209,560
 貸倒引当金△3,450△3,100
 [流動資産合計]3,372,5203,667,260
Ⅱ 固定資産 1.有形固定資産 建物269,400308,900
 構築物52,70041,600
 機械装置32,80031,700
 車両運搬具16,89016,980
 工具器具備品8,5608,430
 土地335,100333,900
 建設仮勘定133,400155,700
  有形固定資産合計848,850897,210
 2.無形固定資産 のれん32,50030,800
 その他無形資産5,1005,800
  無形固定資産合計37,60036,600
 3.投資その他の資産 投資有価証券170,200178,400
 関係会社株式40,40045,800
 繰延税金資産42,50057,900
 長期前払費用12,40012,800
 退職給付に係る資産34,70041,600
 その他投資資産52,30060,100
 貸倒引当金△34,900△38,600
  投資その他の資産合計317,600358,000
 [固定資産合計]1,204,0501,291,810
資産合計4,576,5704,959,070
貸借対照表(負債・純資産の部)(単位:千円)第33期 20×5年3月31日現在第34期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動負債 支払手形196,000187,900
 工事未払金1,002,3001,104,800
 短期借入金291,000324,300
 未払金102,400163,200
 未払法人税等28,30015,500
 未成工事受入金309,000507,500
 預り金387,300512,000
 完成工事補償引当金7,9009,100
 工事損失引当金38,700111,000
 その他流動負債105,50085,600
 [流動負債合計]2,468,4003,020,900
Ⅱ 固定負債 社債300,000200,000
 長期借入金234,500212,700
 退職給付引当金22,30020,400
 その他固定負債32,40043,100
 [固定負債合計]589,200476,200
 負債合計3,057,6003,497,100
Ⅰ 株主資本 1.資本金305,000305,000
 2.資本剰余金 資本準備金183,900183,900
  資本剰余金合計183,900183,900
 3.利益剰余金 利益準備金23,20023,200
 その他利益剰余金987,070924,670
  利益剰余金合計1,010,270947,870
 4.自己株式△12,500△12,900
 [株主資本合計]1,486,6701,423,870
Ⅱ 評価・換算差額等 その他有価証券評価差額金32,30038,100
 [評価・換算差額等合計]32,30038,100
 純資産合計1,518,9701,461,970
負債純資産合計4,576,5704,959,070
  • 〔貸借対照表の付記事項〕
  • 1.流動資産中の貸倒引当金は、受取手形と完成工事未収入金に対して設定されたものである。
  • 2.その他流動資産は営業活動に伴うものであるが、当座の支払能力を有するものではない。
  • 3.投資その他の資産は、すべて営業活動には直接関係していない資産である。
  • 4.引当金及び有利子負債に該当する項目は、貸借対照表に明記したもの以外にはない。
  • 5.第34期において繰越利益剰余金を原資として実施した配当の額は 1,700 千円である。
損益計算書(単位:千円)第33期 自20×4年4月1日 至20×5年3月31日第34期 自20×5年4月1日 至20×6年3月31日
Ⅰ 完成工事高4,582,3005,022,100
Ⅱ 完成工事原価4,209,9004,757,800
 完成工事総利益372,400264,300
Ⅲ 販売費及び一般管理費212,900223,000
 営業利益159,50041,300
Ⅳ 営業外収益 受取利息3803,830
 受取配当金3,5204,090
 その他営業外収益5,5303,310
 営業外収益合計9,43011,230
Ⅴ 営業外費用 支払利息6,3609,530
 社債利息690530
 為替差損12022,390
 その他営業外費用5,8806,350
 営業外費用合計13,05038,800
 経常利益155,88013,730
Ⅵ 特別利益8,7803,730
Ⅶ 特別損失4,6301,180
 税引前当期純利益160,03016,280
 法人税、住民税及び事業税56,20034,770
 法人税等調整額△2,670△24,100
 法人税等合計53,53010,670
 当期純利益106,5005,610
  • 〔損益計算書の付記事項〕
  • 1.第34期における有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費の合計額は 6,580 千円である。
  • 2.その他営業外費用には、他人資本に付される利息は含まれていない。
キャッシュ・フロー計算書(要約)(単位:千円)第33期第34期
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー△76,800196,900
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△11,800△11,700
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー13,600△128,700
Ⅳ 現金及び現金同等物の増加・減少額△75,00056,500
Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高523,400448,400
Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高448,400504,900
完成工事原価報告書(単位:千円)第33期第34期
Ⅰ 材料費644,100808,900
Ⅱ 労務費36,20039,300
 (うち労務外注費)(36,200)(39,300)
Ⅲ 外注費2,610,1002,807,100
Ⅳ 経費919,5001,102,500
 完成工事原価4,209,9004,757,800
各期末時点の総職員数第33期第34期
総職員数60 人64 人

解答欄 主要比率表(算式)を別タブで開く

%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
回
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入。符号は付けない
A=プラス、B=マイナス
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

問1 A 立替工事高比率46.78 %
問1 B 固定長期適合比率66.65 %
問1 C 棚卸資産回転率30.44 回
問1 D 付加価値率27.22 %
問1 E 自己資本事業利益率1.60 %
問1 F 営業利益増減率74.11 %
問1 F 営業利益増減率の記号B
問1 G 完成工事高キャッシュ・フロー率1.22 %
問1 H 配当性向30.30 %
問1 I 未成工事収支比率329.76 %
問1 J 流動負債比率(建設業特有の勘定科目を控除する方法)171.92 %
問2 空欄1シ
問2 空欄2ク
問2 空欄3コ
問2 空欄4ウ
問2 空欄5ヘ
問2 空欄6フ
問2 空欄7ア
問2 空欄8エ
問2 空欄9チ
問2 空欄10ネ

解き方

  1. 期中平均を使うのは、主要比率表で(※)が付く貸借対照表の残高を損益計算書のフロー(完成工事高・利益)と対比させる比率(Cの棚卸資産、Eの自己資本、問2の総資本・有形固定資産・総職員数)。A・B・I・Jのように期末の状態を示す比率は第34期末の残高で計算する。
  2. A 立替工事高比率=(受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金−未成工事受入金)÷(完成工事高+未成工事支出金)×100=(528,400+2,246,700+153,900−507,500)÷(5,022,100+153,900)×100=2,421,500÷5,176,000×100=46.783… → 46.78%。
  3. B 固定長期適合比率=固定資産÷(固定負債+自己資本)×100=1,291,810÷(476,200+1,461,970)×100=1,291,810÷1,938,170×100=66.651… → 66.65%。自己資本=純資産合計。
  4. C 棚卸資産回転率=完成工事高÷棚卸資産(※)。棚卸資産=未成工事支出金+材料貯蔵品で、第33期末 148,900+14,300=163,200、第34期末 153,900+12,900=166,800、平均 165,000。5,022,100÷165,000=30.436… → 30.44 回。
  5. D 付加価値率=(完成工事高−(材料費+労務外注費+外注費))÷完成工事高×100。労務外注費は外注費として扱うので、労務費 39,300(全額が労務外注費)も控除する。付加価値=5,022,100−(808,900+39,300+2,807,100)=1,366,800。1,366,800÷5,022,100×100=27.215… → 27.22%。
  6. E 自己資本事業利益率=事業利益÷自己資本(※)×100。事業利益=経常利益+支払利息=13,730+(借入金利息 9,530+社債利息 530)=23,790(付記事項2のとおり、その他営業外費用に利息は含まれない。為替差損は利息ではない)。自己資本の平均=(1,518,970+1,461,970)÷2=1,490,470。23,790÷1,490,470×100=1.596… → 1.60%。
  7. F 営業利益増減率=(当期営業利益−前期営業利益)÷前期営業利益×100=(41,300−159,500)÷159,500×100=△118,200÷159,500×100=△74.106… → 74.11%、マイナスなので記号はB。
  8. G 完成工事高キャッシュ・フロー率=純キャッシュ・フロー÷完成工事高×100。純キャッシュ・フロー=当期純利益(税引後)±法人税等調整額+当期減価償却実施額+引当金増減額−剰余金の配当の額。法人税等調整額 △24,100 は法人税等を減らす(利益を増やす)方向に計上されているので減算する。引当金は貸倒引当金(流動 3,450→3,100、投資 34,900→38,600)・完成工事補償引当金(7,900→9,100)・工事損失引当金(38,700→111,000)・退職給付引当金(22,300→20,400)で、第33期末合計 107,250、第34期末合計 182,200、増減額+74,950。純キャッシュ・フロー=5,610−24,100+6,580+74,950−1,700=61,340。61,340÷5,022,100×100=1.221… → 1.22%。
  9. H 配当性向=配当金÷当期純利益×100=1,700÷5,610×100=30.303… → 30.30%。配当金は付記事項5の 1,700。
  10. I 未成工事収支比率=未成工事受入金÷未成工事支出金×100=507,500÷153,900×100=329.759… → 329.76%。
  11. J 流動負債比率(建設業特有の勘定科目を控除する方法)=(流動負債−未成工事受入金)÷自己資本×100=(3,020,900−507,500)÷1,461,970×100=2,513,400÷1,461,970×100=171.918… → 171.92%。
  12. 問2(1) 労働生産性(付加価値÷総職員数)の3つの分解。①一人当たり完成工事高(シ)×付加価値率、②資本集約度(ク)(総資本÷総職員数=一人当たり総資本)×総資本投資効率(付加価値÷総資本)、③労働装備率(コ)((有形固定資産−建設仮勘定)÷総職員数=従業員一人当たりの生産設備への投資額)×設備投資効率(ウ)(付加価値÷(有形固定資産−建設仮勘定))。
  13. 問2【5】資本集約度=総資本(※)÷総職員数(※)={(4,576,570+4,959,070)÷2}÷{(60+64)÷2}=4,767,820÷62=76,900.3… → 76,900 千円(ヘ)。
  14. 問2【6】設備投資効率=付加価値÷(有形固定資産−建設仮勘定)(※)×100。第33期末 848,850−133,400=715,450、第34期末 897,210−155,700=741,510、平均 728,480。1,366,800÷728,480×100=187.623… → 187.62%(フ)。検算:労働装備率 728,480÷62=11,749.6 千円、11,749.6×1.8762=22,045 千円=労働生産性 1,366,800÷62 で一致する。
  15. 問2(2) 経営事項審査の経営状況(Y)8指標(純支払利息比率・負債回転期間・総資本売上総利益率・売上高経常利益率・自己資本対固定資産比率・自己資本比率・営業キャッシュ・フロー・利益剰余金)のうち、数値が低いほど好ましいのは純支払利息比率(ア)と負債回転期間(エ)。
  16. 問2【9】純支払利息比率=(支払利息−受取利息及び配当金)÷完成工事高×100。支払利息=9,530+社債利息 530=10,060、受取利息及び配当金=3,830+4,090=7,920。(10,060−7,920)÷5,022,100×100=0.042… → 0.04%(チ)。
  17. 問2【10】負債回転期間=(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)=3,497,100÷(5,022,100÷12)=3,497,100÷418,508.3=8.356… → 8.36 月(ネ)。負債回転期間は期末残高で計算する(主要比率表で(※)が付かない)。
引っかけ:Dの付加価値では労務外注費 39,300 を外注費として控除する(経費は控除しない)。Eの支払利息には社債利息を含め、為替差損・その他営業外費用は含めない。Gでは法人税等調整額 △24,100 の符号(費用のマイナス→減算)と、投資その他の資産の貸倒引当金(34,900→38,600)まで含めた引当金増減がポイントで、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー 196,900 は使わない。問2 の「ホ 77,485」は第34期末の総資本÷期末職員数、「ム 79,985」は期末総資本÷平均職員数、「ノ 156.56」は建設仮勘定を含めた有形固定資産平均で割った値、「ハ 184.33」は期末残高で割った値、「ナ 7.83」は負債を期中平均で割った負債回転期間で、いずれもひっかけ。

同じ論点の過去問

第34回の前後の問題

建設業経理士1級 財務分析 過去問一覧(回別・論点別)

出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務分析 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する