第38回 第5問 論点:生産性分析:労働装備率・設備投資効率・資本集約度・資本生産性重要度 A配点 30点未着手

2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(付加価値・資本生産性・設備投資効率・労働生産性の3要因分解)の空欄補充

これは建設業経理士1級 財務分析 第38回(2026年3月8日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「生産性分析:労働装備率・設備投資効率・資本集約度・資本生産性」(重要度A・解答の形は問1:別添資料から10比率(A〜J)を算定(2点×10)。問2:分析文の空欄10個を用語・数値群から選ぶ(1点×10))。採点すると、解き方 14 手順・引っかけの指摘が読めます。

A建設株式会社の第37期(決算日:20×5年3月31日)及び第38期(決算日:20×6年3月31日)の財務諸表並びにその関連データは<別添資料>のとおりであった。次の設問に解答しなさい。

問1 第38期について、次の諸比率(A〜J)を算定しなさい。期中平均値を使用することが望ましい数値については、そのような処置をすること。Bの流動負債比率は、建設業独特の会計科目に対して特別な配慮を必要とする方法により求めること。Fの完成工事高増減率がプラスの場合は「A」を、マイナスの場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入し、数値欄に符号は付けないこと。解答に際しての端数処理については、解答用紙の指定のとおりとする。

A 自己資本事業利益率 B 流動負債比率 C 必要運転資金月商倍率 D 負債回転期間 E 経営資本回転率 F 完成工事高増減率 G 営業キャッシュ・フロー対流動負債比率 H 配当性向 I 棚卸資産滞留月数 J 完成工事高キャッシュ・フロー率

問2 同社の財務諸表とその関連データを参照しながら、次に示す文章の【 】に入れるべき最も適当な用語・数値を下の<用語・数値群>の中から選び、その記号(ア〜ヤ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。期中平均値を使用することが望ましい数値については、そのような処置をし、小数点第3位を四捨五入している。

生産性分析の中心概念であるのが【1】であり、これに【2】を含める場合と含めない場合で、粗・純【1】に分けられる。投下資本がどれほど生産性に貢献したかという生産的効率を意味するものが【3】である。この【3】の算式における分母は、固定資産や有形固定資産の金額が使用されるが、有形固定資産を使用する場合には、【4】ともいわれる。なお、分母からは【5】等は除外されるべきである。

他方、従業員1人当たりが生み出した【1】を示すものが、【6】である。この【6】は、3つの要因、すなわち、従業員1人当たりの生産設備への投資額を示す【7】、完成工事高に占める【1】の割合を示す【1】率、そして活動性分析の指標でもある【8】、に分解して分析することができる。第38期における【7】および【8】は、それぞれ【9】千円(千円未満は切り捨て)、【10】(単位省略)である。

※ 第5問 問2 の【10】は、主催者の発表により採点対象外とされた(問題の不備)。

  • <用語・数値群>
  • ア 資本集約度 イ 総資本回転率 ウ 資本収益性 エ 減価償却費 オ 完成工事高 カ 経済的付加価値 キ 資本生産性 ク 付加価値
  • コ 労働生産性 サ 1人当たり有形固定資産 シ 有形固定資産回転率 ス 労働分配率 セ 人件費 ソ 労働装備率 タ 資本利益率 チ 外注費
  • ト 設備投資効率 ナ 遊休の設備資産 ニ 棚卸資産回転率 ネ 固定資産回転率 ノ 6.17 ハ 7.85 フ 8.07 ヘ 14.45
  • ホ 8,393 ム 8,543 モ 8,693 ヤ 8,804
<別添資料>貸借対照表(資産の部)(単位:千円)第37期 20×5年3月31日現在第38期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動資産 現金預金1,393,6001,410,300
 受取手形9,6007,400
 完成工事未収入金591,000744,600
 売掛金12,4006,200
 未成工事支出金1,0002,700
 材料貯蔵品8,2009,100
 未収入金62,30037,300
 その他流動資産48,7008,100
 貸倒引当金△300△200
 [流動資産合計]2,126,5002,225,500
Ⅱ 固定資産 1.有形固定資産 建物85,60079,000
 構築物13,50016,000
 機械装置16,40016,700
 車両運搬具7,9008,000
 工具器具備品12,20011,700
 土地250,500268,500
 建設仮勘定13,00011,000
  有形固定資産合計399,100410,900
 2.無形固定資産 ソフトウェア2,9003,000
 その他無形固定資産26,50024,800
  無形固定資産合計29,40027,800
 3.投資その他の資産 投資有価証券41,50041,500
 関係会社株式1,2001,200
 長期貸付金12,30012,400
 破産更生債権等21,00021,000
 繰延税金資産19,20019,400
 その他投資資産2,9009,900
 貸倒引当金△21,000△21,000
  投資その他の資産合計77,10084,400
 [固定資産合計]505,600523,100
資産合計2,632,1002,748,600
貸借対照表(負債・純資産の部)(単位:千円)第37期 20×5年3月31日現在第38期 20×6年3月31日現在
Ⅰ 流動負債 工事未払金461,900447,800
 買掛金9,7007,100
 短期借入金28,20030,200
 一年内償還の社債53,00020,000
 未払金15,50017,700
 未払法人税等―33,300
 未成工事受入金276,600269,100
 完成工事補償引当金6,5003,500
 工事損失引当金40,60017,400
 その他流動負債112,000211,900
 [流動負債合計]1,004,0001,058,000
Ⅱ 固定負債 社債20,00050,000
 長期借入金27,80032,600
 退職給付引当金9,2009,100
 その他固定負債44,20047,100
 [固定負債合計]101,200138,800
 負債合計1,105,2001,196,800
Ⅰ 株主資本 1.資本金188,600188,600
 2.資本剰余金 資本準備金204,800208,200
  資本剰余金合計204,800208,200
 3.利益剰余金 利益準備金24,00024,000
 その他利益剰余金1,120,3001,137,700
  利益剰余金合計1,144,3001,161,700
 4.自己株式△9,500△5,500
 [株主資本合計]1,528,2001,553,000
Ⅱ 評価・換算差額等 その他有価証券評価差額金△1,300△1,200
 [評価・換算差額等合計]△1,300△1,200
 純資産合計1,526,9001,551,800
負債純資産合計2,632,1002,748,600
  • 〔貸借対照表の付記事項〕
  • 1.流動資産中の貸倒引当金は、売掛金と受取手形と完成工事未収入金に対して設定されたものである。
  • 2.その他流動資産は営業活動に伴うものであるが、当座の支払能力を有するものではない。
  • 3.投資その他の資産は、すべて営業活動には直接関係していない資産である。
  • 4.引当金に該当する項目は、貸借対照表に明記したもの以外にはない。
  • 5.有利子負債に該当する項目として、その他流動負債の中にコマーシャル・ペーパー 8,000 千円が含まれている。
  • 6.第38期において繰越利益剰余金を原資として実施した配当の額は 15,000 千円である。
損益計算書(単位:千円)第37期 自20×4年4月1日 至20×5年3月31日第38期 自20×5年4月1日 至20×6年3月31日
Ⅰ 完成工事高2,608,3003,226,800
Ⅱ 完成工事原価2,435,9002,928,800
 完成工事総利益172,400298,000
Ⅲ 販売費及び一般管理費152,300201,900
 営業利益20,10096,100
Ⅳ 営業外収益 受取利息50100
 受取配当金150500
 その他営業外収益1,6002,600
 営業外収益合計1,8003,200
Ⅴ 営業外費用 支払利息7001,000
 社債利息―1,300
 為替差損100120
 その他営業外費用5070
 営業外費用合計8502,490
 経常利益21,05096,810
Ⅵ 特別利益30080
Ⅶ 特別損失2,9001,900
 税引前当期純利益18,45094,990
 法人税、住民税及び事業税6,10033,000
 法人税等調整額4,700700
 法人税等合計10,80033,700
 当期純利益7,65061,290
  • 〔損益計算書の付記事項〕
  • 1.第38期における有形固定資産の減価償却費及び無形固定資産の償却費の合計額は 19,000 千円である。
  • 2.その他営業外費用には、他人資本に付される利息は含まれていない。
キャッシュ・フロー計算書(要約)(単位:千円)第37期第38期
Ⅰ 営業活動によるキャッシュ・フロー200,70090,000
Ⅱ 投資活動によるキャッシュ・フロー△9,700△36,200
Ⅲ 財務活動によるキャッシュ・フロー△36,700△37,100
Ⅳ 現金及び現金同等物の増加・減少額154,30016,700
Ⅴ 現金及び現金同等物の期首残高1,239,3001,393,600
Ⅵ 現金及び現金同等物の期末残高1,393,6001,410,300
完成工事原価報告書(単位:千円)第37期第38期
Ⅰ 材料費170,600205,000
Ⅱ 労務費24,40029,300
 (うち労務外注費)(24,400)(29,300)
Ⅲ 外注費1,802,5002,424,700
Ⅳ 経費438,400269,800
 完成工事原価2,435,9002,928,800
各期末時点の総職員数第37期第38期
総職員数45 人47 人

解答欄 主要比率表(算式)を別タブで開く

%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入。建設業独特の会計科目に配慮する方法
月
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
月
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
回
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入。符号は付けない
A=プラス、B=マイナス
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
月
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
問題の不備により主催者が採点対象外とした欄。期中平均で計算した正しい値(8.21)が用語・数値群にないので、何も選ばずに空欄のままにする

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

問1 A 自己資本事業利益率6.44 %
問1 B 流動負債比率50.84 %
問1 C 必要運転資金月商倍率0.14 月
問1 D 負債回転期間4.45 月
問1 E 経営資本回転率1.24 回
問1 F 完成工事高増減率23.71 %
問1 F 完成工事高増減率の記号A
問1 G 営業キャッシュ・フロー対流動負債比率8.73 %
問1 H 配当性向24.47 %
問1 I 棚卸資産滞留月数0.04 月
問1 J 完成工事高キャッシュ・フロー率1.23 %
問2 空欄1ク
問2 空欄2エ
問2 空欄3キ
問2 空欄4ト
問2 空欄5ナ
問2 空欄6コ
問2 空欄7ソ
問2 空欄8シ
問2 空欄9ム
問2 空欄10(主催者の出題不備により採点対象外。何を選んでも正解)採点対象外(どれを選んでも正解)

解き方

  1. 期中平均を使うのは、主要比率表で(※)が付く貸借対照表の残高を損益計算書のフロー(完成工事高・利益・営業キャッシュ・フロー)と対比させる比率(Aの自己資本、Eの経営資本、Gの流動負債)。B・C・D・Iのように期末の状態を示す比率は第38期末の残高で計算する。月商=完成工事高÷12=3,226,800÷12=268,900。
  2. A 自己資本事業利益率=事業利益÷自己資本(※)×100。事業利益=経常利益+支払利息で、支払利息=借入金利息 1,000+社債利息 1,300=2,300(付記事項2のとおり、その他営業外費用に利息は含まれない。為替差損は利息ではない)。事業利益=96,810+2,300=99,110。自己資本=純資産合計で、{(1,526,900+1,551,800)÷2}=1,539,350。99,110÷1,539,350×100=6.438… → 6.44%。
  3. B 流動負債比率(建設業独特の科目に配慮する方法)=(流動負債−未成工事受入金)÷自己資本×100=(1,058,000−269,100)÷1,551,800×100=788,900÷1,551,800×100=50.837… → 50.84%。
  4. C 必要運転資金月商倍率=必要運転資金÷(完成工事高÷12)。必要運転資金=受取手形+完成工事未収入金+未成工事支出金−支払手形−工事未払金−未成工事受入金=7,400+744,600+2,700−0−447,800−269,100=37,800。37,800÷268,900=0.140… → 0.14 月。
  5. D 負債回転期間=(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)=1,196,800÷268,900=4.450… → 4.45 月。
  6. E 経営資本回転率=完成工事高÷経営資本(※)。経営資本=総資本−(建設仮勘定+投資その他の資産)で、付記事項3のとおり投資その他の資産は全額を控除する。第37期末 2,632,100−13,000−77,100=2,542,000、第38期末 2,748,600−11,000−84,400=2,653,200、平均 2,597,600。3,226,800÷2,597,600=1.242… → 1.24 回。
  7. F 完成工事高増減率=(当期完成工事高−前期完成工事高)÷前期完成工事高×100=(3,226,800−2,608,300)÷2,608,300×100=618,500÷2,608,300×100=23.712… → 23.71%、プラスなので記号はA。
  8. G 営業キャッシュ・フロー対流動負債比率=営業キャッシュ・フロー÷流動負債(※)×100=90,000÷{(1,004,000+1,058,000)÷2}×100=90,000÷1,031,000×100=8.729… → 8.73%。営業キャッシュ・フローはキャッシュ・フロー計算書の第38期の金額を使う。
  9. H 配当性向=配当金÷当期純利益×100=15,000÷61,290×100=24.473… → 24.47%。配当金は付記事項6の 15,000。
  10. I 棚卸資産滞留月数=棚卸資産÷(完成工事高÷12)。棚卸資産=未成工事支出金+材料貯蔵品=2,700+9,100=11,800。11,800÷268,900=0.0438… → 0.04 月。
  11. J 完成工事高キャッシュ・フロー率=純キャッシュ・フロー÷完成工事高×100。純キャッシュ・フロー=当期純利益(税引後)±法人税等調整額+当期減価償却実施額+引当金増減額−剰余金の配当の額。引当金は貸倒引当金(流動 300→200、投資 21,000→21,000)・完成工事補償引当金(6,500→3,500)・工事損失引当金(40,600→17,400)・退職給付引当金(9,200→9,100)で、第37期末合計 77,600、第38期末合計 51,200、増減額 △26,400。法人税等調整額 700 は費用として計上されているので加算する。純キャッシュ・フロー=61,290+700+19,000−26,400−15,000=39,590。39,590÷3,226,800×100=1.226… → 1.23%。
  12. 問2(用語)生産性分析の中心概念は付加価値(ク)で、減価償却費(エ)を含めるか否かで粗付加価値・純付加価値に分かれる。投下資本の生産的効率を示すのが資本生産性(キ)=付加価値÷固定資産×100 で、分母に有形固定資産(建設仮勘定を除く)を使うときは設備投資効率(ト)ともいう。分母からは遊休の設備資産(ナ)等を除外する。従業員1人当たりの付加価値が労働生産性(コ)で、労働装備率(ソ)×付加価値率×有形固定資産回転率(シ)に分解できる。
  13. 問2(数値)【9】労働装備率=(有形固定資産−建設仮勘定)(※)÷総職員数(※)。第37期末 399,100−13,000=386,100、第38期末 410,900−11,000=399,900、平均 393,000。総職員数の平均=(45+47)÷2=46 人。393,000÷46=8,543.4… → 8,543 千円(ム)。検算:第38期の付加価値=3,226,800−(205,000+29,300+2,424,700)=567,800、労働生産性=567,800÷46=12,343 千円、付加価値率 17.595%×労働装備率 8,543.47×有形固定資産回転率 8.2107=12,343 で一致する。
  14. 問2【10】有形固定資産回転率=完成工事高÷(有形固定資産−建設仮勘定)(※)=3,226,800÷393,000=8.210… → 8.21 になるが、この値は用語・数値群にない(フ 8.07 は第38期末残高 399,900 で割った値、ハ 7.85 は建設仮勘定を含む期末残高 410,900 で割った値、ノ 6.17 は期末固定資産 523,100 で割った固定資産回転率)。主催者は本試験で【10】を問題の不備として採点対象外とし、受験者の不利にならないよう配慮した。このサイトでは空欄のままを正解として扱う。
引っかけ:Aの支払利息には社債利息を含める(為替差損・その他営業外費用は含めない)。Cの必要運転資金には兼業分の売掛金・買掛金を入れない。Eの経営資本は投資その他の資産の合計(貸倒引当金控除後)と建設仮勘定を控除する。Jでは投資その他の資産の貸倒引当金(増減なし)まで含めて引当金の増減を出し、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フロー 90,000 は使わない。付記事項5のコマーシャル・ペーパー 8,000 はA〜Jのどの比率にも使わないひっかけ。問2の数値群「ホ 8,393」は第37期末の 386,100÷46、「モ 8,693」は第38期末の 399,900÷46、「ヤ 8,804」は建設仮勘定を含む平均 405,000÷46 で、いずれも期中平均や建設仮勘定の扱いを誤った値。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務分析 第38回(2026年3月8日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する