建築施工管理技士 第一次検定の頻出論点:出題数の多い論点の要点と引っかけ
当サイトが 1級(平成29年度〜令和8年度の 10 回)と 2級(平成30年度前期〜令和8年度前期の 16 回)の第一次検定を論点ごとに数えると、毎回のように出る論点ははっきりしています。この記事では、重要度 A(出題数の多い論点)を中心に、覚えるべき数値と、数値や主語を入れ替えた引っかけの形をまとめます。
出題数の多い論点(重要度 A)
重要度は、過去問の出題数から当サイトが決めたものです。論点の名前のリンク先で、同じ論点の過去問を年度をまたいで解けます。
| 分野 | 1級(10 回の出題数) | 2級(16 回の出題数) |
|---|---|---|
| 建築学等 | 一般構造 44・仕上材料 35・環境工学 33・構造力学 26 | 一般構造 73・環境工学 48・仕上材料 40・構造力学 38 |
| 共通 | 建築設備 30 | 建築設備 32 |
| 施工管理法 | 安全管理 57・施工計画 33・工程管理 31・品質管理 30 | 施工計画・工程管理・安全管理 各 33・試験・検査 31 |
| 法規 | 建築基準法・建設業法 各 30 | 建築基準法・建設業法 各 32 |
| 躯体・仕上げ | 改修・解体 25 | (A なし。工種ごとに毎回 1 問前後) |
躯体・仕上げは、鉄筋・コンクリート・鉄骨・防水・内装などの工種ごとに 1 問前後ずつなので、1 つの論点としては A になりません。ただし 1級の応用能力(No.51〜60)は半分以上が躯体・仕上げの施工から出るので、工種の数値は分野をまたいで重要です。
建築学等:環境工学・構造・材料
環境工学
- 熱貫流率は、熱伝達抵抗と各層の熱伝導抵抗を足した熱貫流抵抗の逆数。「熱伝達率と熱伝導率を合計したもの」は誤り(令和8年度 1級)
- 必要換気量は、CO₂ の発生量 ÷(許容濃度 − 外気の濃度)。分母を許容濃度そのものにした計算の選択肢が入る。温度差換気の換気量は、開口部の高低差と内外の温度差の平方根に比例する
- 昼光率・全天空照度は直射日光を含まない。「直射日光を含めた」に変えた記述が繰り返し出る。昼光率は天候や時刻で変わらない比率
- 音は、点音源は距離が 2 倍で約 6dB、線音源は約 3dB 下がる。同じ音源が 2 つで約 3dB 上がる(dB は足し算しない)。床衝撃音の L 値は小さいほど、室間音圧レベル差の D 値は大きいほど性能がよい
- 換気方式は、第 1 種が給排気とも機械、第 2 種が給気だけ機械(正圧・清浄室)、第 3 種が排気だけ機械(負圧・便所など)。2級で繰り返し出る
一般構造・構造力学
- RC 造:柱の小径は構造耐力上主要な支点間の距離の 1/15 以上、柱の主筋比 0.8% 以上、帯筋比 0.2% 以上、耐力壁のせん断補強筋比 0.25% 以上。梁の貫通孔は孔径が梁せいの 1/3 以下、中心間隔は孔径の平均の 3 倍以上。帯筋・あばら筋は端部を密にする(中央部を密は誤り)
- 鉄骨造:鋼材の強度を上げてもヤング係数は同じなので、たわみや座屈は改善しない。幅厚比が大きい(板が薄い)ほど局部座屈しやすい。丸鋼の筋かいは引張専用
- 基礎:砂質土は液状化、粘性土は圧密沈下。負の摩擦力は沈下しにくい支持杭ほど大きい
- 構造力学:座屈荷重は EI に比例し、座屈長さの 2 乗に反比例する(両端固定なら座屈長さ 0.5L)。断面二次モーメントの単位は長さの 4 乗、断面係数は 3 乗。3 ヒンジラーメンは、全体のつり合い 3 式とヒンジで曲げモーメント 0 の 1 式で反力が決まる
仕上材料・建築設備
- シーリング材:シリコーン系は耐候性が高くガラス回りに使うが、塗装できない。塗装するなら変成シリコーン系・ポリウレタン系。ポリウレタン系は紫外線に弱い
- ガラス:合わせガラスは中間膜で飛散防止、複層ガラスは中空層で断熱。強化ガラスは約 3〜5 倍、倍強度ガラスは約 2 倍の強さ
- ボード:強化せっこうボードはガラス繊維で防火性を高めたもの、シージングせっこうボードは防水処理したもの。ロックウール化粧吸音板は水に弱い
- 設備:電圧の区分は低圧が交流 600V・直流 750V 以下、高圧が 7,000V 以下。避雷設備は高さ 20m を超える建築物。エスカレーターの勾配は 30° 以下。直結増圧方式は水道管に直結し、ポンプ直送方式には受水タンクがある
躯体・仕上げ:数値の入れ替えが多い工種
| 工種 | よく問われる数値・条件 |
|---|---|
| 鉄筋 | フックの余長 180° は 4d・135° は 6d・90° は 8d。折曲げの内法直径は D16 以下 3d・D19 以上 4d。あきは粗骨材の最大寸法の 1.25 倍・径の 1.5 倍・25mm の最大。ガス圧接のふくらみは直径 1.4d 以上・長さ 1.1d 以上、圧接面のずれ 1/4d 以下、偏心量 1/5d 以下。再加熱で直せるのはふくらみ不足と折れ曲がりだけ |
| コンクリート | 単位水量の最大 185kg/m³、単位セメント量の最小 270kg/m³。練混ぜから打込み終了まで外気温 25℃ 以上で 90 分・未満で 120 分。棒形振動機の挿入間隔 60cm 以下。湿潤養生の打切りは圧縮強度 10N/mm²(計画供用期間が短期・標準) |
| 型枠 | パイプサポートは 3 本以上継がない、継ぐときは 4 本以上のボルト、高さ 3.5m を超えるときは 2m 以内ごとに 2 方向の水平つなぎ。水平荷重はパイプサポート 5/100、鋼管枠 2.5/100 |
| 鉄骨 | 高力ボルトの孔径は d+2.0mm(d が 27mm 以上は d+3.0mm)。仮ボルトは高力ボルト継手で 1/3 以上かつ 2 本以上、混用接合・併用継手で 1/2 以上。気温 −5℃ 未満は溶接しない、−5〜5℃ は溶接部から 100mm の範囲を加熱して溶接 |
| 防水・シーリング | 塗膜防水の重ね幅は塗継ぎ 100mm 以上・補強布 50mm 以上、通気緩衝シートは突付け。シート防水の入隅・出隅は、加硫ゴム系が張付け前に増張り、塩化ビニル樹脂系が張付け後に成形役物。シーリングの打継ぎは目地の交差部を避ける |
| 内装・改修 | ビニル床シートの熱溶接は溝の深さが厚さの 2/3 程度、熱風 180〜200℃、余盛りは冷えてから削る。吹付け硬質ウレタンフォームは 1 層 30mm 以下・1 日 80mm 以下。外壁タイルの浮きの注入は、浮き代 1.0mm 以上がポリマーセメントスラリー、未満がエポキシ樹脂 |
引っかけの多くは、数値を別の項目の数値と入れ替えた形です(ガス圧接のずれ 1/4d と偏心 1/5d、塗膜防水の 100mm と 50mm など)。1 つずつ覚えるより、「対になる数値」をセットで覚えると間違えにくくなります。
施工管理法:主語と期限の入れ替えに注意
安全管理(1級で最多)
- 公衆災害:防護棚は建築物の高さ 10m 以上で 1 段以上、20m 以上で 2 段以上、はね出しは水平距離 2m 以上、水平面との角度 20° 以上
- 足場:壁つなぎの間隔は単管足場が垂直 5m・水平 5.5m 以下、枠組足場が垂直 9m・水平 8m 以下。単管足場の建地の間隔は桁行 1.85m・梁間 1.5m 以下、地上第一の布は 2m 以下。移動式足場の最大積載荷重は 250kg 以下
- 作業主任者の職務は「作業の方法の決定と直接の指揮」「器具・工具の点検」「保護具の使用状況の監視」。作業計画を定める、立入禁止にする、悪天候で作業を中止するのは事業者の措置で、主語を入れ替えた記述が毎年のように出る
- 酸素欠乏は酸素濃度 18% 未満、硫化水素は 10ppm を超える状態。測定の記録は 3 年保存。ゴンドラの操作は特別教育、ゴンドラ検査証の有効期間は 1 年(クレーンは 2 年)
施工計画・工程管理・品質管理
- 届出の期限:足場・型枠支保工・建設用リフトなどの機械等の設置は工事開始の 30 日前、高さ 31m を超える建築物の建設、深さ 10m 以上の掘削、石綿の除去などの仕事は 14 日前(労働基準監督署長)。道路の使用は警察署長、占用は道路管理者
- 材料の保管:ロール状のアスファルトルーフィングや板ガラスは立てて保管、ALC パネルやせっこうボードは平積み。塗料の置場は独立した平家建て
- 工期と費用:工期を縮めると直接費は増え、間接費は減る。合計が最小になる工期が最適工期。ネットワークでは、フリーフロートは使っても後続作業に影響しない余裕、トータルフロートは経路全体の余裕
- 品質:要求品質を満たすことが目標で、「高いほどよい」は誤り。重点は前工程に置く。時間順に打点して管理状態を見るのは管理図、分布の形はヒストグラム、重点項目の発見はパレート図、2 つの特性の相関は散布図
- 試験・検査(2級で A):レディーミクストコンクリートのスランプの許容差は 8〜18cm で ±2.5cm、空気量は ±1.5%。トルシア形高力ボルトはピンテールの破断とマークのずれで確認する
法規:建築基準法と建設業法を先に
- 建築基準法:主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段。防火上の部分)と構造耐力上主要な部分(基礎・土台・斜材などを含む構造上の部分)の区別。10m² 以内の増築・改築・移転で確認が要らないのは防火地域・準防火地域の外だけ。特殊建築物への用途変更は 200m² を超えると確認が要る。完了検査の申請は工事完了から 4 日以内、検査は受理から 7 日以内。命令を出すのは特定行政庁
- 建設業法:許可の大臣・知事の別は営業所の所在地で決まる。特定建設業が要るかは、元請として下請に出す代金の総額で決まる(現行 5,000 万円、建築一式工事は 8,000 万円)。技術者の専任は、公共性のある重要な工事で請負代金 4,500 万円(建築一式工事は 9,000 万円)以上のとき。下請代金の支払は 1 か月以内、完成の確認検査は 20 日以内、特定建設業者の支払期日は申出の日から 50 日以内。指定建設業は土木・建築・電気・管・鋼構造物・舗装・造園の 7 業種
- 労働安全衛生法:統括安全衛生責任者・元方安全衛生管理者は常時 50 人以上の現場。移動式クレーンの運転は 5t 以上が免許、1t 以上 5t 未満が技能講習、1t 未満が特別教育。玉掛けは 1t 以上が技能講習
- 建設リサイクル法:分別解体等の対象は、解体 80m²、新築・増築 500m²、修繕・模様替 1 億円、工作物 500 万円で、いずれも「以上」
よくある質問
1級と2級で頻出論点は違いますか?
論点の顔ぶれはほぼ同じです。1級は安全管理と施工計画の出題が多く、2級は一般構造・環境工学など建築学等の比重と、試験・検査の問題が多いのが違いです。
重要度 B・C の論点は勉強しなくていいですか?
躯体・仕上げの工種は 1 つずつは B ですが、選択問題で解く範囲に入れるなら必要です。1級は応用能力の多くが躯体・仕上げから出るので、鉄筋・コンクリート・鉄骨・防水・内装の数値は B でも優先してください。
古い年度の過去問は、法改正で使えなくなっていますか?
建築基準法・建設業法・労働安全衛生法の改正で答えが変わった問題は、当サイトでは現行の法令に合わせて「問題改訂」とし、解説に本試験の原文との違いを書いています。
あわせて読む
出典・参考:一般財団法人 建設業振興基金 1級・2級建築施工管理技術検定 第一次検定(学科試験を含む)の試験問題と正答肢(1級 平成29年度〜令和8年度、2級 平成30年度前期〜令和8年度前期)、公共建築工事標準仕様書(建築工事編)・公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版、建築基準法・建設業法・労働安全衛生法令(e-Gov、2026年10月時点)
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