日商簿記3級の重要論点 第2問・第3問(帳簿・決算)

公開 ・執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)

第3問は、精算表・財務諸表・決算整理後残高試算表のどれかを作る問題で、どの形でも「決算整理事項を決まった順に仕訳し、勘定ごとに残高へ加減する」という手順は同じです。第2問は帳簿・伝票・語群選択など形がいくつもあるので、形ごとに「最初にやること」を決めておくと時間が読めます。配点は、2027年3月31日までの受験が第2問20点・第3問35点(運営調べ)、4月1日以降が第2問25点・第3問30点です。

第2問・第3問の形と配点

大問2027年3月31日まで2027年4月1日から問われる形
第2問20点25点勘定記入、補助簿の選択、商品有高帳、固定資産台帳、伝票と仕訳日計表、試算表、用語の語群選択など
第3問35点30点精算表、貸借対照表・損益計算書、決算整理後残高試算表(あわせて当期純利益)

2027年3月31日までの配点は日本商工会議所が各問の点数を公表していないため運営調べ、4月1日からの配点は日本商工会議所の公表です。公開されているサンプル問題も、第2問は(1)と(2)の2つの問題に分かれています。ネット試験では受験者ごとに問題が違うので、どの形が出ても解けるように、形ごとの手順を持っておきます。

論点の後ろの「重要度」は、出題区分表と公開されているサンプル問題の形から当サイトが推定したもので、出題の頻度を数で示すものではありません。

第2問:勘定記入(経過勘定・決算振替)

勘定記入は、保険料・家賃・地代・利息などの勘定や、損益・繰越利益剰余金の勘定の空欄を埋める問題です。経過勘定(重要度A)と決算振替・帳簿の締切(重要度B)の知識を、1年分の流れで使います。

解く順番

  1. 期首:前期末に計上した前払・未払などを戻す再振替仕訳を書く(決算整理仕訳の貸借を逆にしたもの)。
  2. 期中:問題文の支払い・受取りを日付順に記入する。
  3. 決算整理:次期の分(前払・前受)か、当期のまだ受け払いしていない分(未払・未収)を月割で計算する。
  4. 損益振替:費用の勘定なら残高を損益勘定の借方へ、収益の勘定なら貸方へ振り替える。
  5. 締切:前払・未払などの勘定は「次期繰越」で締め、翌期首に「前期繰越」と書く。

引っかけ:月数は両端の月を含めて数えます(8月1日から3月31日までは8か月)。前払・前受で計上するのは次期の分で、当期の分の月数で計算しないこと。損益勘定に振り替える額は、決算整理の後の当期分の額です。

純資産の勘定記入では、当期純利益を損益勘定から繰越利益剰余金勘定に振り替え、配当を決議したときに繰越利益剰余金を減らします(株式の発行・剰余金の配当)。

第2問:補助簿・商品有高帳・固定資産台帳

補助簿の選択:重要度B

最初にやること:取引を頭の中かメモで仕訳し、出てきた勘定科目から補助簿を決めます。文章の印象で選ぶと漏れが出ます。

引っかけ:仕入・売上がある取引は、仕入帳・売上帳のほかに商品有高帳にも記入します(返品も同じ)。手付金(前払金・前受金)の受け払いだけでは、仕入帳・売上帳・商品有高帳には記入しません。未収入金・未払金・クレジット売掛金は、売掛金元帳・買掛金元帳には記入しません。

補助簿の選択の要点と例題 →

商品有高帳:重要度B

最初にやること:先入先出法か移動平均法かを問題文で確かめ、前月繰越の単価を書き出します。

引っかけ:商品有高帳は売上の行も原価で記入し、売価は書きません。当社負担の引取運賃は受入の単価に含めます。移動平均法の平均単価は、受け入れるたびに出し直します。売上原価は払出欄の金額の合計で、売上総利益はそこから求めます。

商品有高帳の要点と例題 →

固定資産台帳:重要度B

最初にやること:会計期間と、資産ごとの取得年月日を確かめ、期首までに何か月使ったか、当期に何か月使ったかを書き出します。

引っかけ:期中に取得した資産は、取得した期の減価償却費が月割になります。差引期首帳簿価額は「取得原価−期首減価償却累計額」で、当期の減価償却費は引きません。台帳の合計は、備品勘定・減価償却累計額勘定の金額と一致します。2027年4月1日以降は、定率法や除却が台帳の問題に出てくることもあります(減価償却・除却・廃棄)。

固定資産台帳の要点と例題 →

第2問:伝票・試算表・用語

伝票と仕訳日計表:重要度B

要点と引っかけ:3級の範囲は入金伝票・出金伝票・振替伝票の3伝票制です。入金伝票・出金伝票には相手の科目だけを書き、現金は書きません。代金の一部が現金の取引は、入金伝票(出金伝票)の科目が売上(仕入)なら取引を分解する方法、売掛金(買掛金)ならいったん全額を掛けとみなす方法で起票されています。仕訳日計表では、入金伝票の合計を現金の借方、出金伝票の合計を現金の貸方に入れます。

伝票と仕訳日計表の要点と例題 →

試算表:重要度C

要点と引っかけ:残高試算表は、借方合計と貸方合計の差額を残高の側に書きます。前月末の試算表に当月の取引を加えるときは、負債・収益の勘定は貸方への記入で増える点に注意します。当月に取引の無い勘定も、前月末の金額のまま載せます。貸借が一致しても、科目の誤りや仕訳の漏れは見つからないことを覚えておきます。

試算表の要点と例題 →

用語の語群選択:重要度B

要点と引っかけ:取引の8要素、主要簿(仕訳帳と総勘定元帳)と補助簿、貸借対照表(一定時点)と損益計算書(一定期間)など、簿記の流れで覚える言葉が問われます。2027年4月1日以降は、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法や除却など、3級に入る論点の用語も出てくることがあります。

用語・簿記の基本の要点と例題 →

小口現金出納帳(小口現金、重要度C)は、支払報告と補給の時期(週末に報告を受けてすぐ補給する、など)を問題文で確かめてから記入します。

第3問:決算整理事項を処理する順番

第3問の答えの形は3つありますが、どれも決算整理(重要度A)が中心です。決算整理事項は問題文の順番どおりに処理するのではなく、後の計算に影響するものから先に処理します。

  1. 未処理事項・誤記入の訂正:売掛金の入金の記帳漏れ、科目の誤りなど。売掛金や費用の残高が変わるので最初に行う。
  2. 現金過不足・仮払金・仮受金の整理:原因が分かった分を本来の勘定へ。仮払金が備品の代金なら備品に振り替える。
  3. 当座借越への振替:決算整理前残高試算表で当座預金が貸方残高なら、当座借越に振り替える。
  4. 売上原価の算定:三分法なら「仕入/繰越商品」(期首商品)と「繰越商品/仕入」(期末商品)の2本で1組。
  5. 貸倒引当金:1で変わった後の債権の残高に設定率を掛け、残高との差額だけを計上する(差額補充法)。
  6. 減価償却:期中に取得した資産(2で振り替えた備品を含む)は月割。2027年4月1日以降は定率法も出る。
  7. 貯蔵品・経過勘定:使い残した切手・収入印紙を貯蔵品へ。前払・前受・未払・未収を月割で。
  8. 消費税:仮払消費税と仮受消費税を0にして、差額を未払消費税にする。
  9. 法人税等:最後に計上する。中間納付の仮払法人税等を差し引いた残りが未払法人税等。
2027年4月1日以降の受験で、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法(解説)で記帳している問題では、売上原価は販売のたびに計上済みなので、4の売上原価の算定は行いません。また、手形の規定が出題区分表から削除されたため、貸倒引当金の対象に受取手形は出てきません。

計算用紙には、決算整理仕訳を1行ずつ書き、関係する勘定の横に増減を書き込みます。仕訳が書ければ、残りは答えの形に合わせて移すだけです。

第3問:答えの形ごとの要点

精算表:重要度A

要点:残高試算表と修正記入が同じ側なら足し、反対側なら引いて、資産・負債・純資産は貸借対照表欄、収益・費用は損益計算書欄へ移します。売上原価は仕入の行で「仕入+期首商品−期末商品」として計算します。

引っかけ:貸倒引当金・減価償却累計額は貸借対照表欄の貸方です。当期純利益は損益計算書欄の借方と貸借対照表欄の貸方に書き、繰越利益剰余金の行には足しません。残高が0になった仮払消費税・仮受消費税・仮払法人税等は、どちらの欄にも書きません。

精算表の要点と例題 →

貸借対照表・損益計算書:重要度A

要点:3級で作るのは勘定式です。勘定科目ではなく表示科目で書きます(繰越商品→商品、整理後の仕入→売上原価、売上→売上高、前払保険料・前払家賃→前払費用など)。貸倒引当金は債権の下、減価償却累計額は資産の下で差し引きます。

引っかけ:貸借対照表の繰越利益剰余金は、試算表の金額に当期純利益を足した額です(純損失なら引く)。前払費用・未払費用などは、勘定が分かれていても表示科目ごとに1行にまとめます。

貸借対照表・損益計算書の要点と例題 →

決算整理後残高試算表:重要度A

要点:決算整理前の残高に、決算整理仕訳の金額を勘定ごとに加減します。決算整理で新しく出てくる勘定(貯蔵品・前払保険料・未払消費税・未払法人税等・減価償却費など)を書き足し、残高が0になる勘定は載せません。

引っかけ:繰越商品は期末商品棚卸高、仕入は売上原価の額に変わります。繰越利益剰余金は整理前の金額のままで、当期純利益を足しません(足すのは決算振替の後)。当期純利益は法人税等を差し引いた後の額です。

決算整理後残高試算表の要点と例題 →

第2問・第3問を時間内に解き切るために

  • 第3問は検算できる:精算表なら、当期純利益を書く前の損益計算書欄の差額と貸借対照表欄の差額が一致するかで確かめます。財務諸表なら、貸借対照表の借方合計と貸方合計で確かめます。
  • 第2問は小問ごとに区切る:(1)と(2)は別々の問題なので、手が止まったほうは後に回し、もう一方を先に仕上げます。
  • 部分点を意識する:第2問・第3問は答える欄が多い問題です。各欄の配点は公表されていませんが、空欄のままでは点になりません。分かる欄から埋めていきます。
  • 第1問の力がそのまま効く:決算整理仕訳は、第1問の仕訳と同じ考え方です。第3問で迷う整理事項があれば、まず重要論点 第1問の該当する論点に戻ります。

論点ごとの例題で手順を確かめたら、模擬試験で第1問から第3問までを60分で通して解き、どの大問で時間を使いすぎたかを確かめます。当日の時間配分の目安は試験当日の持ち物と注意点にまとめています。

よくある質問

第3問は精算表と財務諸表のどちらが出ますか?

精算表、貸借対照表・損益計算書、決算整理後残高試算表のどれかが出ます。ネット試験では受験者ごとに問題が違うので、3つとも作れるようにしておきます。決算整理仕訳の作り方は3つとも共通です。

2027年4月から第2問・第3問の何が変わりますか?

配点が第2問25点・第3問30点になります(2027年3月31日までは運営調べで第2問20点・第3問35点)。範囲では、販売のつど売上原価勘定に振り替える方法、有形固定資産の除却・廃棄、定率法が3級に入り、手形の規定が削除されます。

決算整理事項は問題文の順番どおりに処理すればよいですか?

未処理事項・誤記入の訂正と仮払金・仮受金の整理を先に行い、法人税等は最後に計上します。訂正で売掛金や備品の残高が変わると、貸倒引当金や減価償却費の計算が変わるためです。

あわせて読む

出典・参考:出題区分表(2027年度 確定版・日本商工会議所・PDF)(2026-10-30 確認)、3級 サンプル問題(日本商工会議所)(2026-10-30 確認)、2027年度以降の3級の配点(日本商工会議所)(2026-10-30 確認)、ネット試験 インターネット申込方式のQ&A(日本商工会議所)(2026-10-30 確認)

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