減価償却の仕訳(日商簿記3級)

減価償却は、建物・備品・車両運搬具などの取得原価を、使う期間(耐用年数)にわたって少しずつ費用(減価償却費)にする手続きです。3級では、定額法で1年分または月割の減価償却費を計算し、間接法(減価償却累計額)で記帳する決算整理が中心です。2027年度からは、償却率を与えた定率法も3級の範囲に入ります。

出題:第2問・第3問 科目の確かめ:勘定科目一覧

要点

  • 減価償却費は費用です。減価償却累計額は、資産の取得原価から差し引く勘定で、貸方に残高が積み上がります。
  • 定額法:(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数。残存価額は問題文で示されます(ゼロ、または取得原価の10%など)。
  • 期中に取得した資産は、使い始めた月から決算日までの月数で月割にします。
  • 定率法(2027年度から):(取得原価 − 減価償却累計額)× 償却率。償却率は問題で与えられます。200%定率法の保証率・改定償却率は3級では出題されません。
  • 土地は使っても価値が減らないので、減価償却しません。
定額法と定率法
定額法定率法(2027年度から)
計算(取得原価 − 残存価額)÷ 耐用年数(取得原価 − 減価償却累計額)× 償却率
毎期の額毎期同じ1年目がいちばん多く、だんだん少なくなる
問題で与えられるもの耐用年数・残存価額償却率
記帳の方法
方法決算の仕訳3級での扱い
間接法減価償却費 ×× / 減価償却累計額 ××3級の範囲
直接法減価償却費 ×× / 備品 ××2027年度の出題区分表では2級の範囲

仕訳のパターン

場面借方貸方
決算(定額法・間接法)減価償却費 ××減価償却累計額 ××
決算(期中に取得した資産。月割)減価償却費 ××減価償却累計額 ××
決算(定率法・間接法)減価償却費 ××減価償却累計額 ××
決算(建物と備品をまとめて)減価償却費 ××(合計)建物減価償却累計額 ××/備品減価償却累計額 ××

累計額の勘定は、資産ごとに「建物減価償却累計額」「備品減価償却累計額」とする書き方と、まとめて「減価償却累計額」とする書き方があります。問題文の指示に従います。

例題

例題1

決算にあたり、前期以前に取得した備品(取得原価 ¥840,000)について、定額法(残存価額ゼロ、耐用年数 6 年)により減価償却を行う。記帳は間接法(備品減価償却累計額勘定)による。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費140,000備品減価償却累計額140,000
  1. 1年分の減価償却費は ¥840,000 ÷ 6 年 = ¥140,000。
  2. 間接法なので、借方を減価償却費(費用)、貸方を備品減価償却累計額とする。

ひっかけ:間接法では貸方を備品にしない。備品の勘定は取得原価のまま残す。

例題2

決算にあたり、建物(取得原価 ¥12,000,000、前期以前に取得)について、定額法(残存価額は取得原価の10%、耐用年数 30 年)により減価償却を行う。記帳は間接法(建物減価償却累計額勘定)による。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費360,000建物減価償却累計額360,000
  1. 残存価額は ¥12,000,000 × 10% = ¥1,200,000。
  2. 減価償却費は(¥12,000,000 − ¥1,200,000)÷ 30 年 = ¥360,000。
  3. 指示どおり、貸方は建物減価償却累計額。

ひっかけ:残存価額があるときは、取得原価から残存価額を引いてから耐用年数で割る。

例題3

当期(X1年4月1日〜X2年3月31日)の X1年11月1日に取得した備品 ¥600,000 について、決算にあたり定額法(残存価額ゼロ、耐用年数 5 年)で減価償却を行う。減価償却費は月割で計算し、記帳は間接法(備品減価償却累計額勘定)による。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費50,000備品減価償却累計額50,000
  1. 1年分は ¥600,000 ÷ 5 年 = ¥120,000。
  2. 11月1日から3月31日までは5か月。月割で ¥120,000 × 5 か月 ÷ 12 か月 = ¥50,000。

ひっかけ:期中に取得した資産に1年分(¥120,000)を計上しない。使い始めた月から数える。

例題42027年4月から

決算にあたり、備品(取得原価 ¥500,000、前期末までの減価償却累計額 ¥200,000)について、定率法(償却率 40%)により減価償却を行う。記帳は間接法(備品減価償却累計額勘定)による。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費120,000備品減価償却累計額120,000
  1. 定率法は、まだ償却していない額(帳簿価額)に償却率を掛ける。帳簿価額は ¥500,000 − ¥200,000 = ¥300,000。
  2. 減価償却費は ¥300,000 × 40% = ¥120,000。

ひっかけ:取得原価 ¥500,000 に償却率を掛けて ¥200,000 にしない。定率法は累計額を引いた残りに掛ける。

例題52027年4月から

当期(X3年4月1日〜X4年3月31日)の決算にあたり、X1年4月1日に取得した車両運搬具(取得原価 ¥1,600,000)について、定率法(償却率 25%)で減価償却を行う。この車両は取得した年度から毎期の決算で定率法により償却しており、記帳は間接法(車両運搬具減価償却累計額勘定)による。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費225,000車両運搬具減価償却累計額225,000
  1. 1年目(X1年度)は ¥1,600,000 × 25% = ¥400,000、2年目(X2年度)は(¥1,600,000 − ¥400,000)× 25% = ¥300,000。前期末の累計額は ¥700,000。
  2. 当期の帳簿価額は ¥1,600,000 − ¥700,000 = ¥900,000。減価償却費は ¥900,000 × 25% = ¥225,000。

ひっかけ:毎期 ¥400,000 ずつにしない(それは取得原価に掛けた額)。定率法は毎期、帳簿価額に掛け直す。

例題6

決算にあたり、建物(取得原価 ¥9,000,000)と備品(取得原価 ¥1,500,000)の減価償却を行う。どちらも前期以前に取得したもので、建物は定額法(残存価額ゼロ、耐用年数 25 年)、備品は定額法(残存価額ゼロ、耐用年数 5 年)による。記帳は間接法で、建物減価償却累計額勘定と備品減価償却累計額勘定を使う。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費660,000建物減価償却累計額360,000
備品減価償却累計額300,000
  1. 建物は ¥9,000,000 ÷ 25 年 = ¥360,000、備品は ¥1,500,000 ÷ 5 年 = ¥300,000。
  2. 借方の減価償却費は合計の ¥660,000 を1行で書く。貸方は資産ごとの累計額に分ける。

ひっかけ:借方に減価償却費を2行書かない(同じ側の同じ科目は1行にまとめる)。

この論点をランダム仕訳で練習(問題の型 2 種類。数字と取引先が毎回変わります)

この論点の仕訳ドリルを始める

まちがえやすい点

  • 間接法では、決算で備品・建物の勘定を減らしません。貸方は減価償却累計額です。
  • 期中に取得した資産は、使い始めた月から決算日までの月割にします。1年分を計上しません。
  • 定率法は、取得原価ではなく帳簿価額(取得原価 − 減価償却累計額)に償却率を掛けます。
  • 残存価額が示されたら、取得原価から残存価額を引いてから耐用年数で割ります。
  • 土地は減価償却しません。

定率法は2027年4月1日以降の試験から3級の範囲です(2027年度の改定)。期中に売却した資産の減価償却費は有形固定資産の売却、資産ごとの減価償却の記録は固定資産台帳のページで扱います。建設業経理士2級の減価償却のページもあります。

よくある質問

定率法は日商簿記3級でいつから出ますか?

2027年4月1日以降の試験(2027年度の出題区分表)から3級の範囲に入ります。償却率は問題で与えられる簡易な出題で、200%定率法の保証率・改定償却率は3級では出題されません。

期中に取得した資産の減価償却費はどう計算しますか?

1年分の減価償却費を、使い始めた月から決算日までの月数で月割にします。11月1日に取得して3月31日が決算日なら5か月分です。

間接法と直接法の違いは何ですか?

間接法は資産の勘定を取得原価のまま残し、減価償却累計額を貸方に積み上げます。直接法は資産の勘定を直接減らします。2027年度の出題区分表では、3級は間接法、直接法は2級の範囲です。

減価償却累計額は資産・負債のどちらですか?

どちらでもなく、資産の取得原価から差し引く勘定です。貸方に残高が出て、貸借対照表では資産の取得原価から控除する形で表示します。

出典:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)、日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表などの改定について【確定版】」(2026-10-29 確認)

当サイトは日本商工会議所・各地の商工会議所とは関係ありません。問題はすべて当サイトのオリジナルです。執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)。このページの最終更新 。