固定資産台帳(日商簿記3級)

固定資産台帳は、建物・備品などの有形固定資産を1つずつ管理する補助簿で、取得年月日・取得原価・耐用年数・期首の減価償却累計額・当期の減価償却費などを記入します。3級の第2問では、台帳の空欄を埋めたり、台帳の数字から減価償却費や売却の仕訳、勘定の金額を求めたりします。

出題:第2問 科目の確かめ:勘定科目一覧

要点

  • 固定資産台帳は補助簿(資産ごとの明細)です。台帳の合計は、総勘定元帳の備品勘定・備品減価償却累計額勘定の金額と一致します。
  • 期首帳簿価額(差引期首帳簿価額)= 取得原価 − 期首減価償却累計額。
  • 当期の減価償却費は、期首からある資産は12か月分、期中に取得した資産は使い始めた月から決算日までの月割です。
  • 期首減価償却累計額は、取得してから前期末までの分です。前期の途中で取得した資産は、前期の分も月割で数えます。
  • 期末の減価償却累計額 = 期首減価償却累計額 + 当期の減価償却費。

台帳の例

固定資産台帳(X4年3月31日現在・備品)
取得年月日名称耐用年数取得原価期首減価償却累計額差引期首帳簿価額当期減価償却費
X1年4月1日備品A6年1,200,000400,000800,000200,000
X2年10月1日備品B5年600,00060,000540,000120,000
X3年8月1日備品C4年480,0000480,00080,000
合計2,280,000460,0001,820,000400,000

会計期間は X3年4月1日〜X4年3月31日。減価償却は定額法(残存価額ゼロ)、月割計算、記帳は間接法(備品減価償却累計額勘定)。備品Cは当期に取得したので、期首減価償却累計額は0、差引期首帳簿価額の欄には取得原価を書いています。

台帳の数字の求め方

  • 備品A:1年分は ¥1,200,000 ÷ 6 年 = ¥200,000。X1年4月1日〜X3年3月31日の2年分が期首減価償却累計額で ¥400,000。当期は12か月分の ¥200,000。
  • 備品B:1年分は ¥600,000 ÷ 5 年 = ¥120,000。前期は X2年10月1日〜X3年3月31日の6か月分で ¥60,000。当期は12か月分の ¥120,000。
  • 備品C:1年分は ¥480,000 ÷ 4 年 = ¥120,000。当期は X3年8月1日〜X4年3月31日の8か月分で ¥120,000 × 8 ÷ 12 = ¥80,000。

勘定との関係

勘定期首当期の増加期末(次期繰越)
備品1,800,000(A+B)480,000(Cの取得)2,280,000
備品減価償却累計額460,000400,000(当期の減価償却費)860,000

期末の帳簿価額は ¥2,280,000 − ¥860,000 = ¥1,420,000 です。第2問では、このような勘定の空欄(前期繰越・減価償却費・次期繰越)を台帳から埋める形もあります。

例題

例題1〜5は、上の固定資産台帳を使います。

例題1

上の固定資産台帳にもとづいて、決算(X4年3月31日)で当期の減価償却費を計上する。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費400,000備品減価償却累計額400,000
  1. 当期減価償却費の合計は ¥200,000 + ¥120,000 + ¥80,000 = ¥400,000。
  2. 記帳は間接法(備品減価償却累計額勘定)なので、借方を減価償却費、貸方を備品減価償却累計額とする。

ひっかけ:期中に取得した備品Cを1年分(¥120,000)で計上しない。8か月分の ¥80,000。

例題2

上の固定資産台帳の備品Cを X3年8月1日に購入したとき、代金のうち ¥200,000 は普通預金口座から支払い、残額は翌月末に支払うこととした。このときの仕訳を答えなさい。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
備品480,000普通預金200,000
未払金280,000
  1. 台帳から、備品Cの取得原価は ¥480,000。
  2. ¥200,000 は普通預金から支払い、残りの ¥480,000 − ¥200,000 = ¥280,000 は商品以外の代金の後払いなので未払金。

ひっかけ:備品の代金の後払いを買掛金にしない。

例題3

上の固定資産台帳の備品Bを、仮に X3年12月31日に ¥400,000 で売却し、代金は翌月末に受け取ることとしたとする。当期首から売却日までの減価償却費も月割で計上する。このときの仕訳を答えなさい。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
備品減価償却累計額60,000備品600,000
減価償却費90,000
未収入金400,000
固定資産売却損50,000
  1. 台帳から、備品Bの取得原価は ¥600,000、期首減価償却累計額は ¥60,000。
  2. 当期首から売却日までは9か月。減価償却費は ¥120,000 × 9 か月 ÷ 12 か月 = ¥90,000。
  3. 帳簿価額は ¥600,000 − ¥60,000 − ¥90,000 = ¥450,000。売却額 ¥400,000 は ¥50,000 少ないので固定資産売却損。

ひっかけ:台帳の当期減価償却費(12か月分の ¥120,000)をそのまま使わない。売却した月までの9か月分にする。

例題42027年4月から

上の固定資産台帳の備品Aを、仮に当期首(X3年4月1日)に除却したとする。この備品の見積処分価額は ¥100,000 である。このときの仕訳を答えなさい。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
備品減価償却累計額400,000備品1,200,000
貯蔵品100,000
固定資産除却損700,000
  1. 台帳から、備品Aの取得原価は ¥1,200,000、期首減価償却累計額は ¥400,000、差引期首帳簿価額は ¥800,000。
  2. 見積処分価額 ¥100,000 を貯蔵品にし、残りの ¥800,000 − ¥100,000 = ¥700,000 が固定資産除却損。期首の除却なので当期の減価償却費は無い。

ひっかけ:除却は売却ではないので、固定資産売却損にしない。

例題52027年4月から

上の固定資産台帳に、X1年4月1日に取得した備品D(取得原価 ¥750,000、定率法・償却率 20%、毎期償却ずみ)を書き加えるとする。当期の決算で、備品Dの減価償却費を計上する仕訳を答えなさい(期首減価償却累計額は取得からの償却額で求める)。

答えと解説
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費96,000備品減価償却累計額96,000
  1. 1年目は ¥750,000 × 20% = ¥150,000、2年目は(¥750,000 − ¥150,000)× 20% = ¥120,000。期首減価償却累計額は ¥270,000、差引期首帳簿価額は ¥480,000。
  2. 当期の減価償却費は ¥480,000 × 20% = ¥96,000。

ひっかけ:定率法の資産は、台帳の差引期首帳簿価額に償却率を掛ける。取得原価に掛けない。

まちがえやすい点

  • 期中に取得した資産は、取得した期の減価償却費が月割になります。前期の途中で取得した資産は、期首減価償却累計額も月割の分だけです(例の備品Bは6か月分)。
  • 差引期首帳簿価額は「取得原価 − 期首減価償却累計額」です。当期の減価償却費は引きません。
  • 台帳の合計と勘定の金額は一致します。備品勘定は取得原価の合計、減価償却累計額勘定は累計額の合計です。
  • 固定資産台帳は補助簿です。主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)と取り違えません。

2027年4月1日以降の試験では、定率法と除却・廃棄が3級の範囲に入るため、台帳の問題にもこれらが出てくることがあります(2027年度の改定)。計算のしかたは減価償却・有形固定資産の売却・除却・廃棄のページで確かめてください。

よくある質問

固定資産台帳は主要簿ですか、補助簿ですか?

補助簿です。有形固定資産を1つずつ管理する明細の帳簿で、合計は総勘定元帳の固定資産の勘定・減価償却累計額の勘定と一致します。

前期の途中で取得した資産の期首減価償却累計額はどう求めますか?

取得した月から前期末までの月数で月割にします。10月1日に取得して3月31日が決算日なら、前期の分は6か月分です。

差引期首帳簿価額とは何ですか?

取得原価から期首の減価償却累計額を引いた額で、当期首の時点の帳簿価額です。当期の減価償却費はまだ引いていません。

出典:日本商工会議所「商工会議所簿記検定試験出題区分表」(2027年度 確定版)(2026-10-29 確認)

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