純資産・持分・株主資本等変動計算書

重要度 A第1・2・3・4問で出題過去問 16問

純資産・持分・株主資本等変動計算書は、建設業経理士1級 財務諸表の第29〜39回(11回)のうち11回で出題された論点です(収録97問中16問・重要度A。うち1問は正誤と修正の一部として出題)。出題されるのは第1問・第2問・第3問・第4問です。

要点:純資産は株主資本(資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式)と評価・換算差額等・新株予約権に区分される。資本剰余金は資本準備金とその他資本剰余金、利益剰余金は利益準備金とその他利益剰余金に分かれる。自己株式の処分差額はその他資本剰余金で処理し、新株予約権の失効は利益にする。株主資本等変動計算書では配当(利益準備金の積立を含む)、積立金、合併、増資、当期純利益を各項目に振り分ける。理論では持分(債権者持分・株主持分)の概念と資本の分類を説明する。

覚える要点

  • 自己株式は取得原価で株主資本から控除し、取得の付随費用は営業外費用。処分差益はその他資本剰余金、処分差損はその他資本剰余金から減額し、不足分は期末に繰越利益剰余金から減額する。
  • 新株予約権が行使されずに失効したら新株予約権戻入益(特別利益)。資本金や資本剰余金に振り替えない。自己新株予約権は付随費用を含めて取得原価とし、新株予約権から控除する。
  • 減資差益はその他資本剰余金で損益にしない。株主資本等変動計算書では配当は配当額だけ利益剰余金合計を減らし(利益準備金の積立は内部振替)、別途積立金の積立も合計に影響しない。
  • 吸収合併の対価(新株の時価)は資本金・資本準備金・その他資本剰余金に分け、受入純資産との差額はのれん。増資の払込金は最低額(1/2)を資本金、残りを資本準備金。手数料は株式交付費。
  • 積極性積立金(新築・減債積立金)は取崩しが純資産の減少を前提とせず、消極性積立金(配当平均・欠損填補積立金)は前提とする。
  • 持分は資金提供者が企業資産にもつ請求権で、債権者持分(負債)と株主持分(資本)に分かれる。株主持分は会計制度上「株主資本」と呼び、払込資本と留保利益に分かれる。

勉強のしかた:第3問の正誤では新株予約権の失効・自己株式の付随費用・処分差損の減額順が繰り返し出る。第4問の株主資本等変動計算書は配当→合併→増資→純利益の順に仕訳して合計を検算する。

この論点の引っかけ・間違えやすい点

収録している過去問の解説から、純資産・持分・株主資本等変動計算書で間違えやすい点を集めました。

  • 第39回 第2問:【1】で「純資産」(カ)や「自己資本」(キ)を選ばない。設問は「株主持分」の会計制度上の名称なので株主資本。【5】は本文中に 2か所あり、どちらも利益準備金。「減債基金」(ソ)は資産側の用語で、減債積立金(任意積立金)とは別物。
  • 第38回 第1問 問1:定義だけで字数を使い切らず、「変化が見られるか」への自分の答えと理由を必ず書く。持分を株主持分だけと説明しない(負債も持分に含まれる)。その他の包括利益は「請求権者が明確でない」という理由づけを落とさない。
  • 第38回 第1問 問2:一方の説明に偏らず、観点ごとに両者を対にして書く。行使順位の違い(債権者優先・株主は残余請求権)を落としやすい。
  • 第38回 第3問:1 は「将来の損失に備える=引当金」と短絡しない。要件 4 つ(特定の費用・当期以前の事象に起因・可能性が高い・合理的に見積れる)で判定する。3 は 4 つの項目のうち 1 つでも区分が違えば全体がB。6 は「中止」と「終了」を区別し、中止でも含み益を超える損失は当期の損失にする。8 の費用処理は「効果が不明」のときの処理で、効果が確実なら資産計上。
  • 第37回 第3問:1 は「期末整理を行わなかった」だけで誤りと決めない。重要性の乏しい経過勘定は処理を省略できる。4 は減額の順序(資本剰余金→利益剰余金)は合っているように見えるが、減額できるのは資本準備金を除く「その他資本剰余金」に限られる。5 は月割計算(6か月分)を忘れない。
  • 第36回 第3問:1 は「退職給付債務が減少した」に引きずられない。年金資産も同額減るので引当金は動かない。5 は表示方法(株主資本から控除)は正しく、付随費用の扱いだけが誤り。6 は「4分の1 以上」「3年内」は正しく、誤りは科目名(株式交付費 → 創立費)。7 は積極性・消極性の定義が入れ替わっていないかを丁寧に読む(第31回の出題では入れ替えてあった)。

この論点の問題

株主持分の区分(株主資本・払込資本・留保利益・利益準備金・任意積立金)第39回 第2問
持分の概念と今日の会計における位置づけの変化第38回 第1問 問1
債権者持分と株主持分の性質の違い第38回 第1問 問2
会計処理の正誤(引当金・キャッシュ・フロー計算書の区分・繰延資産・ヘッジ会計の中止・新株予約権・ソフトウェア)第38回 第3問
会計処理の正誤(前受利息・正規の簿記・明瞭性・自己株式・社債発行費・新株予約権付社債・CF計算書・償却方法の変更)第37回 第3問
会計処理の正誤(退職給付・引当金の要件・CF計算書の区分・自己株式の付随費用・創立費・積立金・ソフトウェア)第36回 第3問
負債と資本の区別(持分の概念と債権者持分・出資者持分)第35回 第2問
会計処理の正誤(簿外負債・前受利息・CF計算書の区分・繰延資産・株式交付費・自己株式・新株予約権・債務保証損失引当金)第35回 第3問
会計処理の正誤(一般原則・取得原価・キャッシュ・フロー・ヘッジ・ソフトウェア・株式交付費・株主資本)第34回 第3問
会計処理の正誤(新株予約権の失効・退職給付・自己株式処分差損・減資差益・引当金・重要性の原則・社債発行費)第33回 第3問
株主資本等変動計算書(配当と利益準備金・吸収合併・増資・当期純利益)第33回 第4問
会計処理の正誤(自己新株予約権・キャッシュ・フロー計算書の区分・簿外資産・修繕引当金・ソフトウェア・償却方法の変更・債務保証)第32回 第3問
会計処理の正誤(自己株式の付随費用・連結決算日の差異・年金基金からの退職金・利息費用の表示区分・CF計算書の区分・株式交付費・ヘッジ会計の中止・積立金の分類)第31回 第3問
会計処理の正誤(ソフトウェア・真実性の原則・支払利息の取得原価算入・リースの分類・繰延資産の一括償却・株主資本の区分・自己株式処分差額・為替換算調整勘定)第30回 第3問
会計処理の正誤(新株予約権・自己株式・会計上の変更・修繕費・引当金・株式交付費)第29回 第3問

この論点を含む問題

次の問題では、正誤と修正の中の一部として純資産・持分・株主資本等変動計算書が問われます。解説の該当箇所で、この論点の処理を確かめてください。

同じ大問で出る論点

第1・2・3・4問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。

出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。