正誤と修正(正規の簿記の原則・明瞭性の原則・創立費・自己株式処分差益・社債発行費)
これは建設業経理士1級 財務諸表 第39回(2026年9月13日(日)実施) 第3問(配点 15点)の問題です。論点は「企業会計原則(一般原則)」(重要度A・解答の形はA/B(第39 回から A/B+修正箇所+修正内容の記号))。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。
次の各文章(1〜5)について、財務会計に関するわが国の基本的な考え方に照らして、全体が正しいと認められるものには「A」、認められないものには「B」を解答用紙の(解答例)にならって記入しなさい。なお、「B」と答えた文章について、文章中の下線ⓐ〜ⓓのうち 1か所について、<選択群>から適切なものを 1つ選んで、正しい文章となるように修正しなさい。
1.正規の簿記の原則は、帳簿記録のⓐ網羅性、ⓑ検証可能性及びⓒ明瞭性を要請すると同時に、ⓓ財務諸表がかかる会計記録に基づいて作成されるべきことを求めたものである。しかし、ここにいう記録の網羅性とは、すべての取引項目を完全に記録することは必ずしも求めてはいない。
2.ⓐ単一性の原則は、財務諸表の利用者が広く社会の各階層に及んでいる事実認識を前提に、財務諸表の形式に関し、ⓑ目的適合性、ⓒ概観性とⓓ詳細性の調和など、一定の要件を満たすことを要請する規範理念である。
3.公開会社である株式会社は、その設立時に、定款に定められた発行可能株式総数のⓐ4分の1以上の株式を発行しなければならないが、株式募集のための広告費等、この発行に要した諸経費はⓑ株式交付費として処理し、これは支出時に費用として処理することを原則とするが、繰延資産として会社成立の時からⓒ5年以内のその効果が及ぶ期間にわたってⓓ定額法により償却することが実務上認められている。
4.保有していた自己株式を売却したが、その際に発生した自己株式のⓐ帳簿価額とそれを上回る売却額との差額については、ⓑその他資本剰余金としてⓒ貸借対照表のⓓ純資産の部に計上した。
5.当期(決算は毎年 3月31日)の 10月1日に社債(償還期間 3年)を発行し、その際に募集広告費等に ¥600,000 を支出した。これを決算時に、ⓐ社債発行費として繰延処理しⓑ定額法で償却することとした。これにより、ⓒ決算時に償却費ⓓ¥100,000 を計上した。
- <選択群>
- ア 真実性 イ 創立費 ウ 減資差益 エ 流動性
- オ 時価 カ 秩序性 キ 損益計算書 ク 継続性
- コ 定率法 サ 利息法 シ 償還時 ス キャッシュ・フロー計算書
- セ 新株予約権発行費 ソ 明瞭性 タ 償却原価 チ 開業費
- ト 2分の1 ナ 3分の1 ニ 特別利益 ネ 級数法
- ノ 発行時 ハ 合併差益 フ 3年 ヘ 4年
- ホ ¥200,000 ム ¥50,000 モ 固定資産 ヤ 確実性
- (解答例)全体が正しいとき:A/修正箇所・修正内容は空欄。誤りがあるとき:B/ⓒ/チ のように、B・下線の記号・選択群の記号を記入する。
解答欄
正解
| 1 A/B | B |
|---|---|
| 1 修正箇所 | ⓒ |
| 1 修正内容 | カ |
| 2 A/B | B |
| 2 修正箇所 | ⓐ |
| 2 修正内容 | ソ |
| 3 A/B | B |
| 3 修正箇所 | ⓑ |
| 3 修正内容 | イ |
| 4 A/B | A |
| 4 修正箇所 | 記入なし |
| 4 修正内容 | 記入なし |
| 5 A/B | A |
| 5 修正箇所 | 記入なし |
| 5 修正内容 | 記入なし |
解き方
- 1.B。正規の簿記の原則が帳簿記録に求める要件は網羅性・検証可能性・秩序性。「明瞭性」は明瞭性の原則(一般原則四)の内容なので、ⓒを秩序性(カ)に直す。後段の「すべての取引項目を完全に記録することは必ずしも求めていない」は、重要性の原則により簿外資産・簿外負債が認められることを指し、正しい。
- 2.B。目的適合性、概観性と詳細性の調和など財務諸表の形式の要件を求めるのは明瞭性の原則。単一性の原則は二重帳簿の禁止(会計記録は一つ)を求める原則なので、ⓐを明瞭性(ソ)に直す。
- 3.B。会社設立のために発行する株式の費用は創立費であり、株式交付費は会社成立後の新株発行・自己株式処分に係る費用。ⓑを創立費(イ)に直す。設立時の発行は発行可能株式総数の 4分の1 以上(会社法 37条 3項)、繰延資産に計上した場合は会社成立から 5年以内の定額償却、はいずれも正しい。
- 4.A。自己株式処分差益(売却額 − 帳簿価額)は株主との資本取引から生じるので損益にせず、その他資本剰余金として貸借対照表の純資産の部に計上する。全体が正しい。
- 5.A。社債発行費は原則費用処理だが、繰延資産に計上した場合は社債の償還期間にわたり利息法(継続適用を条件に定額法も可)で償却する。償却額 = 600,000 × 6か月(10月1日〜3月31日)÷ 36か月 = 100,000 で金額も正しい。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務諸表 第39回(2026年9月13日(日)実施) 第3問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する