生産性分析:付加価値・付加価値率・労働生産性
重要度 A第2・4・5問で出題過去問 11問
生産性分析:付加価値・付加価値率・労働生産性は、建設業経理士1級 財務分析の第29〜39回(11回)のうち11回で出題された論点です(収録78問中11問・重要度A。うち4問は2期分の財務諸表による諸比率の算定の一部として出題)。出題されるのは第2問・第4問・第5問です。
要点:付加価値=完成工事高−(材料費+外注費)の控除法で求め(主要比率表の注14により労務外注費は外注費として扱う)、『建設業の経営分析』では完成加工高とも呼ぶ。付加価値率=付加価値÷完成工事高×100、労働生産性=付加価値÷総職員数(期中平均)で千円未満を切り捨てる。労働生産性は付加価値率×労働装備率×有形固定資産回転率、または資本集約度×総資本投資効率に分解する。
覚える要点
- 付加価値=完成工事高−(材料費+労務外注費+外注費)の控除法。労務外注費は外注費として扱い、労務費の残りや経費の人件費は控除しない。『建設業の経営分析』では完成加工高とも呼ぶ。
- 付加価値率=付加価値÷完成工事高×100。労働生産性=付加価値÷総職員数(期中平均)で千円未満切捨て。
- 労働生産性の分解:一人当たり完成工事高×付加価値率、資本集約度×総資本投資効率、労働装備率×設備投資効率、付加価値率×労働装備率×有形固定資産回転率。有形固定資産回転率の分母は建設仮勘定を除く。
- 労働生産性×労働分配率(人件費÷付加価値)=一人当たり人件費。減価償却費を含めるかで粗付加価値・純付加価値に分かれる。
- 第4問では完成工事高や外注費が「?」で、営業利益率・総資本回転率・経営資本回転率から逆算してから付加価値を求める。
勉強のしかた:第4問の生産性問題は逆算の起点(営業利益率→完成工事原価→外注費など)を見つけるのが要点。分解式を書き出し、各要因の分母(職員数・有形固定資産−建設仮勘定・総資本)を混同しないよう表で整理する。
この論点の引っかけ・間違えやすい点
収録している過去問の解説から、生産性分析:付加価値・付加価値率・労働生産性で間違えやすい点を集めました。
- 第39回 第4問:付加価値の計算で控除するのは材料費・労務外注費・外注費で、経費に含まれる人件費 1,170,000 は控除しない。問5 の慣行的区分では完成工事原価全体が変動費なので、問1 の付加価値 4,018,500 を限界利益として使うと 91.55% になって誤る。為替差損は営業外費用として変動費側(分母から控除)に入れる。労働装備率・設備投資効率はどちらも有形固定資産から建設仮勘定を除く。
- 第37回 第4問:付加価値の計算で控除するのは材料費・労務外注費・外注費で、経費のうちの人件費 178,000 は控除しない。資本生産性の分母は固定資産全体(無形固定資産・投資その他の資産を含む 1,045,000)だが、労働装備率と問5の有形固定資産回転率の分母は有形固定資産から建設仮勘定を除いた 788,000 で、使い分ける。職員数は期首・期末の平均 62 人を使う。
- 第35回 第4問:付加価値の計算で控除するのは材料費・労務外注費・外注費で、労務費全額 85,000 や経費の人件費 112,000 を引くと誤る。設備投資効率は建設仮勘定を除くが、問4 の資本生産性の分母は固定資産全体(建設仮勘定・無形固定資産・投資その他の資産を含む)。問5 の分母は支払利息を控除して足し戻すので完成工事総利益 209,400 のまま変わらない。
- 第33回 第4問:付加価値の計算で控除するのは材料費・労務外注費・外注費で、経費に含まれる人件費 35,000 は控除しない(経費は付加価値に残る)。問3の固定資産は建設仮勘定を含む固定資産全体(191,000)で、問5で使う「有形固定資産−建設仮勘定」(120,000)と混同しない。問4の職員数は期首 29 人ではなく、労働生産性から逆算した期中平均 30 人を使う。
- 第32回 第2問:【2】は「加算法(ソ)」ではなく控除法。【4】は「労務費(コ)」や「労務外注費(ト)」がひっかけで、算式の控除項目は材料費と外注費(労務外注費は外注費に含めて扱う)。【6】と【7】は「分母が有形固定資産のものを【7】という」という文の流れから、広い概念の資本生産性が【6】、その一種の設備投資効率が【7】になる。【11】は「1 人当たり総資本」という説明から資本集約度で、労働装備率(1 人当たり有形固定資産)と取り違えない。
- 第31回 第4問:付加価値の計算で控除するのは材料費・労務外注費・外注費で、経費に含まれる人件費 2,186,000 は控除しない。問3 の付加価値対固定資産比率の分母は固定資産全体(無形固定資産・投資その他の資産を含み、建設仮勘定も含む)で、問4 の有形固定資産回転率の分母(有形固定資産−建設仮勘定)と区別する。問5 は問1 の付加価値ではなく完成工事総利益を限界利益として使う。
この論点の問題
生産性分析(付加価値率・労働生産性・建設仮勘定の逆算・要因分解)と経常利益段階の損益分岐点比率第39回 第4問
生産性分析(付加価値・資本生産性・労働装備率・資本集約度・労働生産性の要因分解)第37回 第4問
生産性分析(付加価値・労働生産性・設備投資効率・資本生産性)と損益分岐点比率からの支払利息の逆算第35回 第4問
生産性分析(付加価値率・付加価値増減率・付加価値対固定資産比率・資本集約度・建設仮勘定の逆算)第33回 第4問
生産性分析の中心概念とその計算方法、生産性指標の分解(用語選択)第32回 第2問
生産性分析(付加価値率・労働生産性・付加価値対固定資産比率・3要因分解)と経常利益段階の損益分岐点比率第31回 第4問
生産性の諸比率からの逆算(完成工事高・材料費・技術系職員数・投資その他の資産)と完成工事高総利益率第29回 第4問
この論点を含む問題
次の問題では、2期分の財務諸表による諸比率の算定の中の一部として生産性分析:付加価値・付加価値率・労働生産性が問われます。解説の該当箇所で、この論点の処理を確かめてください。
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(付加価値・資本生産性・設備投資効率・労働生産性の3要因分解)の空欄補充第38回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と建設業の流動性分析(建設業特有の勘定科目への配慮と別法のある比率)の空欄補充第36回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と生産性分析(労働生産性の要因分解)・経営事項審査の経営状況(Y)の空欄補充第34回 第5問
2期分の財務諸表による諸比率の算定(A〜J)と健全性分析(自己資本と他人資本、固定資産と長期資本のバランス)の空欄補充第30回 第5問
同じ大問で出る論点
第2・4・5問では次の論点も問われます(問題の多い順)。まとめて対策すると得点が安定します。
A 生産性分析:労働装備率・設備投資効率・資本集約度・資本生産性A 活動性分析(回転率・回転期間・滞留月数)A 収益性分析(資本利益率:ROA・ROE・事業利益・経営資本)A 建設業特有の流動性比率(未成工事収支比率・立替工事高比率・運転資本保有月数・必要運転資金)A 損益分岐点分析(固変分解・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益)A キャッシュ・フロー分析(純CF・完成工事高CF率・営業CF対流動負債比率)
出題実績は資格試験対策.netが第29〜39回の収録問題を集計したものです。要点と解説は当サイトの独自コンテンツです。最終更新 。