旧機械の取替投資(年度別キャッシュ・フローの純増減額と正味現在価値法による判定)
これは建設業経理士1級 原価計算 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第4問(配点 18点)の問題です。論点は「設備投資の経済性計算(税引後CF・正味現在価値・回収期間・取替投資)」(重要度A・解答の形は金額+記号(X/Y、A/B)、個数、記号選択)。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。
G建設株式会社では、現在(20×3 年度末)、3 年前に購入し使用してきた機械(以下、旧機械)を高性能の新機械に取り替えるかどうかについて検討している。次の<資料>に基づいて、下記の設問に答えなさい。なお、計算の過程で端数が生じた場合は、計算途中では四捨五入せず、最終数値の円未満を四捨五入すること。
問1 旧機械を新機械に取り替える場合の 20×3 年度および 20×4 年度のキャッシュ・フローの純増減額を計算しなさい。インフローの場合は「A」、アウトフローの場合は「B」を記入すること。
問2 新機械に取り替える場合、旧機械をそのまま用いる場合に比べていくら有利または不利になるかを正味現在価値法によって判定しなさい。有利の場合は「A」、不利の場合は「B」を記入すること。ただし、各年度のキャッシュ・フローは年度末に生じるものとする。税引後資本コスト率を 8% とし、計算にあたっては次の複利現価係数を用いること。
- 旧機械は取得原価 ¥45,000,000、耐用年数 6 年、残存価額ゼロとして、定額法による減価償却を過不足なく行ってきている。新機械の購入価額は ¥60,000,000、耐用年数 3 年、残存価額ゼロとして、定額法による減価償却を行う予定である。旧機械から新機械に取り替えると今後 3 年間(20×4 年度〜20×6 年度)にわたり、毎年、現金売上高がそれまでの年 ¥26,000,000 から年 ¥37,000,000 に増加し、現金支出費用は年 ¥11,000,000 から年 ¥8,000,000 に減少すると予想される。なお、新機械に取り替える場合、旧機械はその時の簿価で引き取ってもらう約束である。また、旧機械と新機械のいずれも 3 年後の耐用年数到来時の売却価額はゼロと予想される。今後 3 年間にわたり黒字が継続すると見込まれる。実効税率は 40% である。
| 1 年 | 2 年 | 3 年 | |
|---|---|---|---|
| 8% | 0.926 | 0.857 | 0.794 |
解答欄
正解
| 問1 20×3 年度 金額 | 37,500,000 円 |
|---|---|
| 問1 20×3 年度 記号 | B |
| 問1 20×4 年度 金額 | 13,400,000 円 |
| 問1 20×4 年度 記号 | A |
| 問2 正味現在価値 金額 | 2,968,200 円 |
| 問2 正味現在価値 記号 | B |
解き方
- 旧機械の年間減価償却費 = 45,000,000 ÷ 6 年 = 7,500,000。3 年使用したので 20×3 年度末の簿価 = 45,000,000 - 7,500,000 × 3 = 22,500,000。新機械の年間減価償却費 = 60,000,000 ÷ 3 年 = 20,000,000。
- 問1 20×3 年度(導入時):新機械の購入 60,000,000 のアウトフローと、旧機械の売却収入 22,500,000 のインフロー。簿価で売却するので売却損益は生じず、税金への影響もない。純増減額 = 22,500,000 - 60,000,000 = -37,500,000 → 37,500,000 のアウトフロー(B)。
- 問1 20×4 年度:取替えによる差額を税引後で計算する。現金売上高の増加 37,000,000 - 26,000,000 = 11,000,000、現金支出費用の減少 11,000,000 - 8,000,000 = 3,000,000 → 税引前の営業キャッシュ・フローの増加 14,000,000。減価償却費の増加 20,000,000 - 7,500,000 = 12,500,000(現金支出を伴わない)。
- 差額の課税所得 = 14,000,000 - 12,500,000 = 1,500,000、法人税の増加 = 1,500,000 × 40% = 600,000。税引後の純増減額 = 14,000,000 - 600,000 = 13,400,000 のインフロー(A)。(別解:14,000,000 × (1 - 0.4) + 12,500,000 × 0.4 = 8,400,000 + 5,000,000 = 13,400,000)
- 20×5 年度・20×6 年度も条件は同じなので、毎年 13,400,000 のインフローになる。3 年後の売却価額はいずれもゼロなので、耐用年数到来時のキャッシュ・フローはない。
- 問2 正味現在価値 = 13,400,000 × (0.926 + 0.857 + 0.794) - 37,500,000 = 13,400,000 × 2.577 - 37,500,000 = 34,531,800 - 37,500,000 = -2,968,200。正味現在価値がマイナスなので、取り替える場合のほうが 2,968,200 不利(B)になる。
引っかけ:旧機械は簿価で引き取られるので売却損益はなく、税効果も生じない(売却価額が簿価と異なる問題では売却損益 × 税率の調整が要る)。減価償却費は現金支出ではないので、差額 12,500,000 は課税所得の計算だけに影響し、キャッシュ・フローには税金の節約分 5,000,000 として効く。旧機械をそのまま使う案との差額で計算するので、売上や費用の全額ではなく増減額を使う。
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論点ページ:設備投資の経済性計算(税引後CF・正味現在価値・回収期間・取替投資)の要点この論点の出題実績とよくある間違い
→第34回の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する