設備の取替投資の意思決定(減価償却による法人税節約額・売却損の税効果・差額キャッシュ・フロー・正味現在価値)
これは建設業経理士1級 原価計算 第35回(2024年9月8日(日)実施) 第4問(配点 20点)の問題です。論点は「設備投資の経済性計算(税引後CF・正味現在価値・回収期間・取替投資)」(重要度A・解答の形は金額+記号(X/Y、A/B)、個数、記号選択)。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。
G社では建設資材のR製品を製造・販売している。これまでE1 型の設備を用いて生産を行ってきたが、当期末にE1 型より高性能で維持費を今までよりも低く抑えられる新型のE2 型に設備を切り替えるかどうか検討しているところである。次の<資料>に基づいて、下記の設問に答えなさい。なお、計算の過程で端数が生じた場合は、計算途中では四捨五入せず、最終数値の円未満を四捨五入すること。
問1 E1 型設備およびE2 型設備の減価償却によって各期間に発生する法人税節約額(1 年分)を求めなさい。
問2 E1 型設備を当期末で売却する際に生じる法人税節約額を求めなさい。
問3 E2 型設備の導入時(当期末)および次年度以降の各年度における差額キャッシュ・フローを計算しなさい。ここでいう差額キャッシュ・フローとは、E1 型設備をそのまま用いる案を基準とした場合のE2 型設備を導入する案の差額キャッシュ・フローである。この金額がプラスの場合は「A」、マイナスの場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入し、金額欄に符号は付けないこと。
問4 E2 型設備を導入する場合にいくら有利または不利になるかについて、当期末を計算開始時点とした正味現在価値法によって判定しなさい。有利の場合は「A」、不利の場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入すること。ただし、各年度のキャッシュ・フローは年度末に生じるものとする。また、税引後資本コスト率を 10% とし、計算にあたっては次の複利現価係数を用いること。
- 1.設備に関する資料
| E1 型 | E2 型 | |
|---|---|---|
| 取得価額 | 100,000,000 円 | 70,000,000 円 |
| 耐用年数 | 10 年 | 5 年 |
| 残存価額 | ゼロ | ゼロ |
- (1) E1 型設備は取得してから当期末で 5 年経過する。この設備を当期末に売却すると、その売却価額は 39,000,000 円になる。
- (2) 両設備の耐用年数経過時における売却価額は残存価額と同様にゼロとする。
- (3) 両設備の減価償却方法は定額法を採用する。
- 2.E2 型設備を導入した場合、操作法の習得に工員の教育・訓練が必要となる。そのため導入時(当期末)にのみ 900,000 円の現金支出が必要になる。
- 3.E2 型設備の各年度の維持費はE1 型設備と比較して 10,000,000 円低いと見込まれる。
- 4.E2 型設備を導入した場合、保険料および固定資産税の年額合計は、E1 型設備と比較して 1,500,000 円増加すると見込まれる。
- 5.実効税率は 30% である。なお、当社は今後 5 年間にわたり黒字企業であると見込まれる。
- 複利現価係数(10%)
| 1 年 | 2 年 | 3 年 | 4 年 | 5 年 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 10% | 0.9091 | 0.8264 | 0.7513 | 0.6830 | 0.6209 |
解答欄
正解
| 問1 E1 型設備の減価償却による法人税節約額(1 年分) | 3,000,000 円 |
|---|---|
| 問1 E2 型設備の減価償却による法人税節約額(1 年分) | 4,200,000 円 |
| 問2 E1 型設備を当期末に売却する際の法人税節約額 | 3,300,000 円 |
| 問3 導入時(当期末) 金額 | 28,330,000 円 |
| 問3 導入時(当期末) 記号 | B |
| 問3 各年度 金額 | 7,150,000 円 |
| 問3 各年度 記号 | A |
| 問4 正味現在価値 金額 | 1,226,495 円 |
| 問4 正味現在価値 記号 | B |
解き方
- 問1:減価償却費は現金支出を伴わないが損金になるので、「減価償却費 × 税率」だけ法人税を節約する(タックス・シールド)。E1 型:100,000,000 ÷ 10 年 = 10,000,000 → 10,000,000 × 30% = 3,000,000。E2 型:70,000,000 ÷ 5 年 = 14,000,000 → 14,000,000 × 30% = 4,200,000。
- 問2:E1 型の当期末の帳簿価額 = 100,000,000 - 10,000,000 × 5 年 = 50,000,000。売却価額 39,000,000 との差 11,000,000 が売却損(損金)になり、法人税節約額 = 11,000,000 × 30% = 3,300,000。
- 問3 導入時(当期末):E2 型の取得支出 -70,000,000、E1 型の売却収入 +39,000,000、売却損による法人税節約 +3,300,000、教育・訓練費の支出 -900,000 とその損金算入による法人税節約 +270,000(900,000 × 30%。黒字企業なので当期の損金として税効果が生じる)。合計 = -70,000,000 + 39,000,000 + 3,300,000 - 630,000 = -28,330,000(B)。
- 問3 各年度:維持費の減少 10,000,000 と保険料・固定資産税の増加 1,500,000 は税引後で効く。(10,000,000 - 1,500,000) × (1 - 30%) = 8,500,000 × 0.7 = 5,950,000。これに減価償却による法人税節約額の差額 4,200,000 - 3,000,000 = 1,200,000 を加えて 7,150,000(A)。第 5 年度末はE2 型もE1 型(取得後 10 年)も売却価額ゼロなので差額は生じず、1〜5 年度とも同額になる。
- 問4:正味現在価値 = 7,150,000 × (0.9091 + 0.8264 + 0.7513 + 0.6830 + 0.6209) - 28,330,000 = 7,150,000 × 3.7907 - 28,330,000 = 27,103,505 - 28,330,000 = -1,226,495。マイナスなのでE2 型の導入は 1,226,495 円不利(B)。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第35回(2024年9月8日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する