第34回 第2問 論点:業務的意思決定(差額原価・機会原価・自製か購入か)重要度 B配点 12点未着手

特殊原価分析(関連原価・機会原価・埋没原価・特別注文・固定費・回収期間法)の正誤

これは建設業経理士1級 原価計算 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第2問(配点 12点)の問題です。論点は「業務的意思決定(差額原価・機会原価・自製か購入か)」(重要度B・解答の形は記号(AまたはB/ア〜ナ等)5〜10か所)。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。

経営意思決定の特殊原価分析に関する次の各文章は正しいか否か。正しい場合は「A」、正しくない場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。

1.関連原価(relevant costs)は代替案選択の意思決定における重要な概念である。その分析では、代替案間で金額が異ならない未来原価(future costs)を関連原価に集計する。

2.ある案を選択することで他の代替案を選択できなくなることがある。選択されない各代替案から得られるであろう利益の中で最小のものを機会原価(opportunity costs)という。

3.原価の発生が既に確定し、どの代替案を選択しても回避不能な原価を埋没原価(sunk costs)という。

4.遊休生産能力があり、かつ、新規顧客から通常価格より低い価格の特別注文がある場合、その差額利益がプラスであるとしても、既存顧客からの受注への影響を考慮すると、この特別注文を引き受けるとは限らない。

5.固定費は操業度の増減にかかわらず一定期間変化せず同額が発生する原価である。固定費の全てが埋没原価になるとは限らない。

6.設備投資の意思決定モデルの一つである回収期間法の欠点として、投資額を回収した後のキャッシュ・フローおよび貨幣の時間価値をそれぞれ無視していることがあげられる。これら二つの欠点は、割引回収期間法を採用することで克服される。

解答欄

それぞれの空欄に当てはまるものを選んで「採点する」を押してください。

正解

1B
2B
3A
4A
5A
6B

解き方

  1. 1(B):関連原価は、代替案の選択によって金額が「異なる」未来原価(差額原価)である。代替案間で金額が異ならない未来原価は、どの案を選んでも同じだけ発生するので意思決定に無関係な原価(無関連原価)になり、関連原価には集計しない。
  2. 2(B):機会原価は、ある案を選択したために断念した代替案から得られたであろう利益のうち「最大」のものをいう。最善の代替案をあきらめることによる犠牲を測るので、最小ではない。
  3. 3(A):埋没原価は、過去の意思決定によって既に発生(または発生が確定)しており、どの代替案を選んでも回避できない原価である。金額が変わらないので意思決定には無関係になる。文章は正しい。
  4. 4(A):遊休能力があれば、特別注文の差額収益が差額原価(主に変動費)を上回る限り差額利益はプラスになる。しかし低価格での受注が既存顧客の値下げ要求や通常価格での受注の減少を招くおそれがあれば、その質的要因・機会損失を考慮して引き受けない判断もあり得る。文章は正しい。
  5. 5(A):固定費であっても、特定の代替案を選択したときにだけ発生する(他の案では回避できる)固定費は差額原価になる。たとえば自製案でのみ必要になる特殊設備のリース料や監督者の給料などである。固定費のすべてが埋没原価になるわけではないので正しい。
  6. 6(B):割引回収期間法は、各年のキャッシュ・フローを資本コストで割り引いてから回収期間を求めるので、貨幣の時間価値を無視するという欠点は克服できる。しかし回収期間経過後のキャッシュ・フローを無視する欠点はそのまま残るので、「二つの欠点が克服される」は誤り。
引っかけ:1 は「異ならない」、2 は「最小」と、定義の中の 1 語だけを入れ替えた誤文なので読み飛ばさない。5 は「固定費=埋没原価」と短絡しやすいが、回避可能な固定費は関連原価になる。6 は割引回収期間法が克服できるのは時間価値の無視だけで、回収後のキャッシュ・フローの無視は残る。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第2問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する