2 つの製造案の差額原価分析(保有在庫・月末最低保有量・販売価格の違いによる有利な案の選択)
これは建設業経理士1級 原価計算 第33回(2023年9月10日(日)実施) 第4問(配点 18点)の問題です。論点は「業務的意思決定(差額原価・機会原価・自製か購入か)」(重要度B・解答の形は金額+記号(X/Y、A/B)、個数、記号選択)。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。
当社では現在(当月初時点)、次の 2 つの代替案のどちらを採用するほうが有利であるかを検討している。次の<資料>に基づいて、下記の設問に答えなさい。
代替案 1 当月、A部品を 500 個製造し、B部品を 250 個製造する案
代替案 2 当月、A部品を 750 個製造し、B部品をまったく製造しない案
問1 当月初にA部品製造の材料aとB部品製造の材料bのどちらも保有在庫が無いため、それらの材料を必要量だけ新たに購入したうえで、製造を行うものとする。A部品 1 個当たりの材料aの購入費が 1,900 円、B部品 1 個当たりの材料bの購入費が 2,050 円であると予想される。この場合、代替案 1、代替案 2 のどちらが有利であるかを、当月の代替案間の差額原価とともに示しなさい。
問2 当月初にA部品を 220 個製造できる材料aの保有在庫とB部品を 180 個製造できる材料bの保有在庫があるものとする。必要量だけ購入する材料の原価に関する情報は問1 と同じであるとする。A部品、B部品を 1 個製造するのに必要な保有材料の帳簿上の払出額は材料aが 1,970 円、材料bが 1,950 円である。この場合、代替案 1、代替案 2 のどちらが有利であるかを、当月の代替案間の差額原価とともに示しなさい。
問3 当月初にA部品を 220 個製造できる材料aの保有在庫とB部品を 180 個製造できる材料bの保有在庫があるが、当社は、当月末時点で最低でもA部品 160 個製造分の材料a、B部品 90 個製造分の材料bを保有するという方針をとっているものとする。必要量だけ購入する材料の原価に関する情報は問1、問2 と同じである。当月末時点の材料を最低量に抑えた場合、代替案 1、代替案 2 のどちらが有利であるかを、当月の代替案間の差額原価とともに示しなさい。
問4 <資料>の 4.を変更し、代替案 1、代替案 2 のどちらを採用したとしても、A部品は 1 個当たり 5,300 円で、B部品は 1 個当たり 4,500 円で外部に販売できるものとする。必要量だけ購入する材料の原価に関する情報は問1、問2、問3 と、材料在庫量に関する情報は問3 と同じであるとする。代替案 1、代替案 2 のどちらが有利であるかを、当月の代替案間の差額利益とともに示しなさい。
- 1.一定の月間生産能力を利用して、建設資材であるA部品とB部品を製造販売している。A部品だけを製造すれば 750 個製造でき、B部品だけを製造しても 750 個製造できる。
- 2.A部品を製造する場合とB部品を製造する場合で、使用する材料がただ 1 品目だけ異なる。その他の製造条件はすべてA部品製造とB部品製造でまったく同じとする。そのA部品とB部品で異なる材料であるが、A部品を製造するのに固有の材料a、B部品を製造するのに固有の材料bがそれぞれ必要である。
- 3.2 つの代替案のどちらを採用しても、製造した部品は全量が販売可能であるものとする。
- 4.下記の問1 から問3 では、A部品、B部品はともに 1 個当たり 5,000 円で販売できるものとする。
解答欄
正解
| 問1 当月の差額原価 | 37,500 円 |
|---|---|
| 問1 有利な代替案 | 2 |
| 問2 当月の差額原価 | 331,500 円 |
| 問2 有利な代替案 | 1 |
| 問3 当月の差額原価 | 147,000 円 |
| 問3 有利な代替案 | 1 |
| 問4 当月の差額利益 | 53,000 円 |
| 問4 有利な代替案 | 2 |
解き方
- 2 つの案で異なるのは材料a・材料bの消費だけなので(その他の製造条件は同じ)、差額原価は「当月に新たに購入する材料の購入費」の差になる。問1〜問3 は販売価格が同じで販売数量も 750 個で等しいから、収益は差額に影響しない。
- 問1(在庫なし):代替案 1 = 500 個 × 1,900 + 250 個 × 2,050 = 950,000 + 512,500 = 1,462,500。代替案 2 = 750 個 × 1,900 = 1,425,000。差額 1,462,500 - 1,425,000 = 37,500 → 代替案 2 が有利。
- 問2(保有在庫あり):保有材料の帳簿上の払出額(a 1,970、b 1,950)は過去の支出で、どちらの案でも変わらない埋没原価なので無視し、追加購入分だけを比べる。代替案 1 = (500 - 220) × 1,900 + (250 - 180) × 2,050 = 532,000 + 143,500 = 675,500。代替案 2 = (750 - 220) × 1,900 = 1,007,000(材料bは購入不要)。差額 1,007,000 - 675,500 = 331,500 → 代替案 1 が有利。
- 問3(月末最低保有量あり):当月末にa 160 個分・b 90 個分を残す必要があるので、購入量 = 当月消費量 + 月末最低保有量 - 月初在庫。代替案 1 = (500 + 160 - 220) × 1,900 + (250 + 90 - 180) × 2,050 = 440 × 1,900 + 160 × 2,050 = 836,000 + 328,000 = 1,164,000。代替案 2 = (750 + 160 - 220) × 1,900 = 690 × 1,900 = 1,311,000(bは在庫 180 > 90 で購入不要)。差額 1,311,000 - 1,164,000 = 147,000 → 代替案 1 が有利。
- 問4(販売価格が異なる):収益も差額に影響するので差額利益で比べる。代替案 1 = 500 × 5,300 + 250 × 4,500 - 1,164,000 = 2,650,000 + 1,125,000 - 1,164,000 = 2,611,000。代替案 2 = 750 × 5,300 - 1,311,000 = 3,975,000 - 1,311,000 = 2,664,000。差額 2,664,000 - 2,611,000 = 53,000 → 代替案 2 が有利。
- 別解(問4):問3 の原価差 147,000(代替案 1 有利)に対し、収益は代替案 2 のほうが 250 個 × (5,300 - 4,500) = 200,000 多い。200,000 - 147,000 = 53,000 だけ代替案 2 が有利になる。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第33回(2023年9月10日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する