部品の自製か外部購入かの意思決定(機会原価・遊休設備での他製品生産)
これは建設業経理士1級 原価計算 第30回(2022年3月13日(日)実施) 第4問(配点 18点)の問題です。論点は「業務的意思決定(差額原価・機会原価・自製か購入か)」(重要度B・解答の形は金額+記号(X/Y、A/B)、個数、記号選択)。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。
当社は、建設用資材を量産しているが、これに取り付ける部品Pも自製している。最近、部品Pについて外部購入してはどうかという意見が出ており、これに関連して各種の代替案が提出された。そこで次の<資料>に基づいて、下の設問に答えなさい。なお、計算の過程で端数が生じた場合は、計算途中では四捨五入せず、最終数値の円未満を四捨五入すること。
問1 自製か外部購入かのどちらが財務の面で有利であるかを計算する原価計算目的として最も適切なものを次の中から選び、その記号(ア〜カ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。 ア 原価管理目的 イ 製品原価計算目的 ウ 構造的意思決定目的 エ 利益管理目的 オ 業務的意思決定目的 カ 価格計算目的
問2 本問における機械の賃借料節約額は、自製案の選択にとって、いかなる原価といえるか。最も適切なものを次の中から選び、その記号(ア〜キ)を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。 ア 直接費 イ 製造間接費 ウ 予算原価 エ 機会原価 オ 埋没原価 カ 見積原価 キ 個別費
問3 部品Pを月間 2,000 個外部購入したほうが、自製する場合に比べて、月間総額でいくら有利または不利かを答えなさい。有利な場合は「X」、不利な場合は「Y」を解答用紙の所定の欄に記入すること。
問4 部品Pと同じ設備を用いて製品甲(売上高 32,770,000 円)を生産できるものとする。製品甲を生産する場合、部品Pを生産するのに比べ直接材料費は 25%、直接労務費は 20%、直接作業時間は 20% 増加する。部品Pを外部購入し製品甲を生産するほうが、部品Pを生産する場合に比べて、月間総額でいくら有利または不利かを答えなさい。有利な場合は「X」、不利な場合は「Y」を解答用紙の所定の欄に記入すること。
- 1.部品Pの月産 2,000 個に対する製造原価明細は次のとおりである。
| 費目 | 金額 |
|---|---|
| 直接材料費 | 7,000,000 円 |
| 直接労務費 | 13,000,000 円 |
| 製造間接費 | 10,000,000 円(うち、固定費 5,200,000 円) |
| 合計 | 30,000,000 円 |
- (注)製造間接費は直接作業時間を基準に配賦している。
- 2.部品Pの購入単価は 13,000 円であるが、外部購入を行うと新たに検収担当者が必要となる。検収担当者を雇用していくための費用は月額 1,800,000 円と予想される。
- 3.部品Pの製造を中止した場合、直接労務費は他に有効に転用しうる。また、製造間接費には機械減価償却費 1,200,000 円が含まれており、かかる機械は修繕部に転用でき、この場合、転用先では同種機械の賃借料月額 1,300,000 円が節約できる。
解答欄
正解
| 問1 原価計算目的(記号) | オ |
|---|---|
| 問2 機械の賃借料節約額の原価概念(記号) | エ |
| 問3 外部購入案と自製案の月間総額の差額 | 1,700,000 円 |
| 問3 記号 | Y |
| 問4 外部購入+製品甲生産案と自製案の月間総額の差額 | 340,000 円 |
| 問4 記号 | Y |
解き方
- 問1:自製か購入かは、現在の生産設備を前提に日常の業務活動の中で行う短期的な選択なので「業務的意思決定目的」(オ)になる。設備投資のように経営構造を変える構造的意思決定(ウ)ではない。
- 問2:機械を修繕部に転用すれば賃借料 1,300,000 が節約できる。自製案を選ぶとこの節約をあきらめることになるので、賃借料節約額は自製案にとっての「機会原価」(エ)になる。減価償却費 1,200,000 自体はどちらの案でも発生する埋没原価である。
- 問3:両案で金額が変わる関連原価だけを比べる。自製案の関連原価 = 直接材料費 7,000,000 + 直接労務費 13,000,000(製造中止なら他に転用できるので回避可能)+ 変動製造間接費 (10,000,000 - 5,200,000) = 4,800,000 + 機会原価(賃借料節約額)1,300,000 = 26,100,000。固定製造間接費 5,200,000(減価償却費 1,200,000 を含む)は埋没原価なので除く。
- 外部購入案の関連原価 = 13,000 × 2,000 個 = 26,000,000 + 検収担当者の費用 1,800,000 = 27,800,000。差額 27,800,000 - 26,100,000 = 1,700,000 → 外部購入のほうが 1,700,000 不利(Y)。
- 問4:部品Pを購入して設備で製品甲を作ると、機械は修繕部に転用できないので賃借料節約 1,300,000 は生じない。製品甲の関連原価 = 直接材料費 7,000,000 × 1.25 = 8,750,000 + 直接労務費 13,000,000 × 1.2 = 15,600,000 + 変動製造間接費 4,800,000 × 1.2 = 5,760,000(直接作業時間基準で配賦するので時間の増加率を掛ける)= 30,110,000。製品甲の貢献額 = 売上高 32,770,000 - 30,110,000 = 2,660,000。
- 購入+製品甲案の正味の関連原価 = 購入原価 27,800,000 - 製品甲の貢献額 2,660,000 = 25,140,000。自製案の関連原価 = 7,000,000 + 13,000,000 + 4,800,000 = 24,800,000(機会原価は両案とも設備を使うので比較から外れる)。差額 25,140,000 - 24,800,000 = 340,000 → 購入+製品甲生産のほうが 340,000 不利(Y)。
同じ論点の過去問
第30回の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第30回(2022年3月13日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する