第34回 第5問 論点:精算表重要度 A配点 30点未着手

精算表(現金過不足・仮設材料の評価額・減価償却の予定計上・建設仮勘定の振替・貸倒引当金戻入・法人税等)

これは建設業経理士2級 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 15 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は1年である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。

(1) 期末における現金帳簿残高は ¥17,500 であるが、実際の手元有高は ¥10,500 であった。調査の結果、不足額のうち ¥5,500 は郵便切手の購入代金の記帳漏れであった。それ以外の原因は不明である。

仕訳 (1)
借方貸方

(2) 仮設材料費の把握はすくい出し方式を採用しているが、現場から撤去されて倉庫に戻された評価額 ¥1,500 について未処理であった。

仕訳 (2)
借方貸方

(3) 仮払金の期末残高は、次の内容であることが判明した。① ¥5,000 は過年度の完成工事に関する補修費であった。② ¥23,000 は法人税等の中間納付額である。

仕訳 (3)①
借方貸方

(4) 減価償却については、次のとおりである。なお、当期中の固定資産の増減取引は③のみである。① 機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥60,000。なお、月次原価計算において、月額 ¥5,500 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。② 備品(本社用) 次の事項により減価償却費を計上する。取得原価 ¥45,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 3 年 減価償却方法 定額法。③ 建設仮勘定 適切な科目に振り替えた上で、次の事項により減価償却費を計上する。当期首に完成した本社事務所(取得原価 ¥36,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 24 年 減価償却方法 定額法)

仕訳 (4)①
借方貸方
仕訳 (4)②
借方貸方
仕訳 (4)③
借方貸方

(5) 仮受金の期末残高は、次の内容であることが判明した。① ¥9,000 は前期に完成した工事の未収代金回収分である。② ¥16,000 は当期末において未着手の工事に係る前受金である。

仕訳 (5)
借方貸方

(6) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (6)
借方貸方

(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 退職給付引当金の当期繰入額は、本社事務員について ¥3,200、現場作業員について ¥8,400 である。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥102,100 である。

仕訳 (9)
借方貸方

(10) 当期の法人税、住民税及び事業税として、税引前当期純利益の 30% を計上する。

仕訳 (10)
借方貸方

解答欄

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金17,500
当座預金283,000
受取手形54,000
完成工事未収入金497,500
貸倒引当金6,800
未成工事支出金212,000
材料貯蔵品2,800
仮払金28,000
機械装置500,000
機械装置減価償却累計額122,000
備品45,000
備品減価償却累計額15,000
建設仮勘定36,000
支払手形72,200
工事未払金122,500
借入金318,000
未払金129,000
未成工事受入金65,000
仮受金25,000
完成工事補償引当金33,800
退職給付引当金182,600
資本金100,000
繰越利益剰余金156,090
完成工事高15,200,000
完成工事原価13,429,000
販売費及び一般管理費1,449,000
受取利息配当金25,410
支払利息19,600
16,573,40016,573,400
通信費
雑損失
備品減価償却費
建物
建物減価償却費
建物減価償却累計額
貸倒引当金戻入
退職給付引当金繰入額
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金17,5007,00010,500
当座預金283,000283,000
受取手形54,00054,000
完成工事未収入金497,5009,000488,500
貸倒引当金6,8002906,510
未成工事支出金212,00010,000119,900102,100
材料貯蔵品2,8001,5004,300
仮払金28,00028,000
機械装置500,000500,000
機械装置減価償却累計額122,0006,000116,000
備品45,00045,000
備品減価償却累計額15,00015,00030,000
建設仮勘定36,00036,000
支払手形72,20072,200
工事未払金122,500122,500
借入金318,000318,000
未払金129,000129,000
未成工事受入金65,00016,00081,000
仮受金25,00025,000
完成工事補償引当金33,8005,0001,60030,400
退職給付引当金182,60011,600194,200
資本金100,000100,000
繰越利益剰余金156,090156,090
完成工事高15,200,00015,200,000
完成工事原価13,429,000112,40013,541,400
販売費及び一般管理費1,449,0001,449,000
受取利息配当金25,41025,410
支払利息19,60019,600
16,573,40016,573,400
通信費5,5005,500
雑損失1,5001,500
備品減価償却費15,00015,000
建物36,00036,000
建物減価償却費1,5001,500
建物減価償却累計額1,5001,500
貸倒引当金戻入290290
退職給付引当金繰入額3,2003,200
未払法人税等33,70033,700
法人税、住民税及び事業税56,70056,700
279,590279,59015,093,40015,225,7001,523,4001,391,100
当期純利益132,300132,300
15,225,70015,225,7001,523,4001,523,400

決算整理仕訳

借方貸方
(1)
通信費5,500
雑損失1,500
現金7,000
(2)
材料貯蔵品1,500
未成工事支出金1,500
(3)①
完成工事補償引当金5,000
仮払金5,000
(4)①
機械装置減価償却累計額6,000
未成工事支出金6,000
(4)②
備品減価償却費15,000
備品減価償却累計額15,000
(4)③
建物36,000
建物減価償却費1,500
建設仮勘定36,000
建物減価償却累計額1,500
(5)
仮受金25,000
完成工事未収入金9,000
未成工事受入金16,000
(6)
貸倒引当金290
貸倒引当金戻入290
(7)
未成工事支出金1,600
完成工事補償引当金1,600
(8)
退職給付引当金繰入額3,200
未成工事支出金8,400
退職給付引当金11,600
(9)
完成工事原価112,400
未成工事支出金112,400
(10)
法人税、住民税及び事業税56,700
仮払金23,000
未払法人税等33,700

解き方

  1. 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。同じ科目・同じ側に複数の金額が入るときは合計して 1 つの欄に書く(未成工事支出金の借方 1,600 + 8,400 = 10,000、貸方 1,500 + 6,000 + 112,400 = 119,900。仮払金の貸方 5,000 + 23,000 = 28,000)。
  2. 整理記入が終わったら、残高試算表の金額に整理記入を加減して、資産・負債・純資産は貸借対照表へ、収益・費用は損益計算書へ移す。
  3. (1) 現金の不足額 17,500 − 10,500 = 7,000。うち 5,500 は郵便切手代なので通信費、原因不明の残り 1,500 は雑損失。現金を 7,000 減らす。 〔借方〕通信費 5,500・雑損失 1,500 /〔貸方〕現金 7,000
  4. (2) すくい出し方式では、現場から戻った仮設材料の評価額を工事原価から差し引いて材料貯蔵品に戻す。 〔借方〕材料貯蔵品 1,500 /〔貸方〕未成工事支出金 1,500
  5. (3)① 過年度に完成した工事の補修費は完成工事補償引当金を取り崩す。②の 23,000 は法人税等の中間納付額なので (10) で充当する(仮払金の残高 28,000 − 5,000 = 23,000)。 〔借方〕完成工事補償引当金 5,000 /〔貸方〕仮払金 5,000
  6. (4)① 予定計上額 5,500 × 12 か月 = 66,000。実際発生額 60,000 より 6,000 多く計上しているので、未成工事支出金を 6,000 減らし、累計額も 6,000 減らす。 〔借方〕機械装置減価償却累計額 6,000 /〔貸方〕未成工事支出金 6,000
  7. (4)② 備品の減価償却費 = 45,000 ÷ 3 年 = 15,000。本社用なので指定科目の備品減価償却費。 〔借方〕備品減価償却費 15,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 15,000
  8. (4)③ 当期首に完成した本社事務所なので建設仮勘定 36,000 を建物に振り替える。減価償却費 = 36,000 ÷ 24 年 = 1,500(当期首完成なので月割不要)。 〔借方〕建物 36,000・建物減価償却費 1,500 /〔貸方〕建設仮勘定 36,000・建物減価償却累計額 1,500
  9. (5) 仮受金 25,000 の内訳を振り替える。① 前期完成工事の未収代金の回収 9,000 は完成工事未収入金を減らす。② 未着手工事の前受金 16,000 は未成工事受入金。 〔借方〕仮受金 25,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 9,000・未成工事受入金 16,000
  10. (6) (5) 整理後の売上債権 = 受取手形 54,000 + 完成工事未収入金 (497,500 − 9,000) = 542,500。542,500 × 1.2% = 6,510。残高 6,800 のほうが 290 多いので貸倒引当金戻入(収益)。 〔借方〕貸倒引当金 290 /〔貸方〕貸倒引当金戻入 290
  11. (7) 15,200,000 × 0.2% = 30,400。(3)① 整理後の残高 33,800 − 5,000 = 28,800 との差額 1,600 を繰り入れる。工事原価なので未成工事支出金。 〔借方〕未成工事支出金 1,600 /〔貸方〕完成工事補償引当金 1,600
  12. (8) 本社事務員分 3,200 は指定科目の退職給付引当金繰入額、現場作業員分 8,400 は未成工事支出金。貸方は合計 11,600 を退職給付引当金。 〔借方〕退職給付引当金繰入額 3,200・未成工事支出金 8,400 /〔貸方〕退職給付引当金 11,600
  13. (9) 整理後の未成工事支出金 = 212,000 − 1,500 − 6,000 + 1,600 + 8,400 = 214,500。次期繰越額 102,100 を残し、差額 112,400 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 112,400 /〔貸方〕未成工事支出金 112,400
  14. (10) 税引前当期純利益 189,000 × 30% = 56,700。中間納付額(仮払金の残り 23,000)を充当し、残り 33,700 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 56,700 /〔貸方〕仮払金 23,000・未払法人税等 33,700(税引前当期純利益 189,000)
  15. 損益計算書の貸方合計 15,225,700 − 借方合計 15,093,400 = 当期純利益 132,300。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:(4)① は予定計上額 66,000 が実際 60,000 を上回っているので、未成工事支出金を減らす(貸方)方向になる。(6) の貸倒引当金は (5)① で減った後の完成工事未収入金 488,500 で計算し、必要額 6,510 が残高 6,800 より小さいので繰入ではなく「戻入」になる。(7) も (3)① で取り崩した後の残高 28,800 と比べる。(8) の本社分は販売費及び一般管理費ではなく、精算表に指定された退職給付引当金繰入額に書く。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する