第35回 第5問 論点:精算表重要度 A配点 30点未着手

精算表(当座預金の差異調整・生産高比例法の予定計上・仮払金と仮受金の整理・引当金3種・法人税等)

これは建設業経理士2級 第35回(2024年9月8日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 18 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は 1 年(4 月 1 日から 3 月 31 日)である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。

(1) 当座預金の期末残高証明書を入手したところ、期末帳簿残高と差異があった。差額原因を調査したところ次の内容であることが判明した。① 事務用品の購入代金の決済のために振り出した小切手 ¥2,300 が相手先に未渡しであった。② 完成済の工事代金 ¥12,000 が期末日に振り込まれていたが、発注者より連絡がなく、当社で未記帳であった。

仕訳 (1)①
借方貸方
仕訳 (1)②
借方貸方

(2) 材料貯蔵品の期末棚卸により棚卸減耗 ¥500 が判明した。

仕訳 (2)
借方貸方

(3) 仮払金の期末残高は、次の内容であることが判明した。① ¥4,000 は本社事務員の出張仮払金であった。精算の結果、実費との差額 ¥300 が事務員より現金にて返金された。② ¥28,000 は法人税等の中間納付額である。

仕訳 (3)①
借方貸方

(4) 固定資産は、次の事項により減価償却費を計上する。なお、当期中に固定資産の増減取引は②の一部のみである。① 機械装置(工事現場用) 実際使用量 6,150 単位 取得原価 ¥600,000 耐用年数 5 年 残存価額ゼロ 減価償却方法 生産高比例法 見積総使用量 30,000 単位。なお、月次原価計算において、毎月 500 単位を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。② 備品(本社用) 取得原価 ¥120,000 耐用年数 4 年 残存価額ゼロ 減価償却方法 定額法。なお、このうち ¥20,000 は当期 10 月 1 日に取得したものである。

仕訳 (4)①
借方貸方
仕訳 (4)②
借方貸方

(5) 仮受金の期末残高は、次の内容であることが判明した。① ¥9,000 は前期に完成した工事の未収代金回収分である。② ¥10,000 は当期中の工事契約による前受金である。なお、当該工事は当期において完成し、引き渡しているが未処理となっている。

仕訳 (5)①
借方貸方
仕訳 (5)②
借方貸方

(6) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (6)
借方貸方

(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 退職給付引当金の当期繰入額は本社事務員について ¥2,800 で、現場作業員について ¥7,600 である。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 販売費及び一般管理費の中に保険料 ¥12,000(1 年分)があり、うち 3 か月分は未経過分である。

仕訳 (9)
借方貸方

(10) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥126,100 である。

仕訳 (10)
借方貸方

(11) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。

仕訳 (11)
借方貸方

解答欄

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金51,500
当座預金263,000
受取手形25,000
完成工事未収入金376,000
貸倒引当金4,200
未成工事支出金186,500
材料貯蔵品1,800
仮払金32,000
機械装置600,000
機械装置減価償却累計額236,000
備品120,000
備品減価償却累計額25,000
支払手形58,900
工事未払金184,500
借入金143,000
未払金163,000
未成工事受入金72,000
仮受金19,000
完成工事補償引当金46,500
退職給付引当金119,000
資本金100,000
繰越利益剰余金123,160
完成工事高23,580,000
完成工事原価20,534,000
販売費及び一般管理費2,690,000
受取利息配当金30,960
支払利息25,420
24,905,22024,905,220
旅費交通費
備品減価償却費
貸倒引当金繰入額
退職給付引当金繰入額
前払費用
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金51,50030051,800
当座預金263,00014,300277,300
受取手形25,00025,000
完成工事未収入金376,00021,000355,000
貸倒引当金4,2003604,560
未成工事支出金186,50011,78072,180126,100
材料貯蔵品1,8005001,300
仮払金32,00032,000
機械装置600,000600,000
機械装置減価償却累計額236,0003,000239,000
備品120,000120,000
備品減価償却累計額25,00027,50052,500
支払手形58,90058,900
工事未払金184,500184,500
借入金143,000143,000
未払金163,0002,300165,300
未成工事受入金72,00072,000
仮受金19,00019,000
完成工事補償引当金46,50068047,180
退職給付引当金119,00010,400129,400
資本金100,000100,000
繰越利益剰余金123,160123,160
完成工事高23,580,00010,00023,590,000
完成工事原価20,534,00072,18020,606,180
販売費及び一般管理費2,690,0003,0002,687,000
受取利息配当金30,96030,960
支払利息25,42025,420
24,905,22024,905,220
旅費交通費3,7003,700
備品減価償却費27,50027,500
貸倒引当金繰入額360360
退職給付引当金繰入額2,8002,800
前払費用3,0003,000
未払法人税等52,40052,400
法人税、住民税及び事業税80,40080,400
235,320235,32023,433,36023,620,9601,559,5001,371,900
当期純利益187,600187,600
23,620,96023,620,9601,559,5001,559,500

決算整理仕訳

借方貸方
(1)①
当座預金2,300
未払金2,300
(1)②
当座預金12,000
完成工事未収入金12,000
(2)
未成工事支出金500
材料貯蔵品500
(3)①
旅費交通費3,700
現金300
仮払金4,000
(4)①
未成工事支出金3,000
機械装置減価償却累計額3,000
(4)②
備品減価償却費27,500
備品減価償却累計額27,500
(5)①
仮受金9,000
完成工事未収入金9,000
(5)②
仮受金10,000
完成工事高10,000
(6)
貸倒引当金繰入額360
貸倒引当金360
(7)
未成工事支出金680
完成工事補償引当金680
(8)
退職給付引当金繰入額2,800
未成工事支出金7,600
退職給付引当金10,400
(9)
前払費用3,000
販売費及び一般管理費3,000
(10)
完成工事原価72,180
未成工事支出金72,180
(11)
法人税、住民税及び事業税80,400
仮払金28,000
未払法人税等52,400

解き方

  1. 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。同じ科目・同じ側に複数の金額が入るときは合計する(未成工事支出金の借方は 500 + 3,000 + 680 + 7,600 = 11,780、当座預金の借方は 2,300 + 12,000 = 14,300、仮払金の貸方は 4,000 + 28,000 = 32,000)。
  2. 税引前当期純利益 = 収益 (23,590,000 + 30,960) − 費用 (完成工事原価 20,606,180 + 販管費 2,687,000 + 支払利息 25,420 + 旅費交通費 3,700 + 備品減価償却費 27,500 + 貸倒引当金繰入額 360 + 退職給付引当金繰入額 2,800) = 23,620,960 − 23,352,960 = 268,000。法人税等 80,400 を引いて当期純利益 187,600。
  3. 整理記入が終わったら、残高試算表の金額に整理記入を加減して、資産・負債・純資産は貸借対照表へ、収益・費用は損益計算書へ移す。整理記入合計 235,320、損益計算書合計 23,620,960、貸借対照表合計 1,559,500。
  4. (1)① 未渡小切手は帳簿上の当座預金の減らし過ぎ。当座預金を戻し、事務用品の代金はまだ払っていないので未払金にする。 〔借方〕当座預金 2,300 /〔貸方〕未払金 2,300
  5. (1)② 工事代金の振込が未記帳。当座預金を増やし、完成工事未収入金を減らす。 〔借方〕当座預金 12,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 12,000
  6. (2) 材料貯蔵品の棚卸減耗 500 は工事原価として未成工事支出金に含める(精算表に棚卸減耗損の行がない)。 〔借方〕未成工事支出金 500 /〔貸方〕材料貯蔵品 500
  7. (3)① 出張仮払金 4,000 のうち返金 300 は現金、残り 3,700 が旅費交通費。 〔借方〕旅費交通費 3,700・現金 300 /〔貸方〕仮払金 4,000
  8. (4)① 実際の減価償却費 = 600,000 × 6,150 ÷ 30,000 = 123,000。予定計上額 = 600,000 × (500 × 12 か月) ÷ 30,000 = 120,000。差額 3,000 は計上不足なので未成工事支出金に加える。 〔借方〕未成工事支出金 3,000 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 3,000
  9. (4)② 備品の減価償却費 = 期首からある 100,000 ÷ 4 年 = 25,000 と、10 月 1 日取得分 20,000 ÷ 4 年 × 6/12 = 2,500 の合計 27,500。本社用なので備品減価償却費(販管費)。 〔借方〕備品減価償却費 27,500 /〔貸方〕備品減価償却累計額 27,500
  10. (5)① 前期完成工事の代金回収なので完成工事未収入金を減らす。 〔借方〕仮受金 9,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 9,000
  11. (5)② 前受金として受け取った工事が当期に完成・引渡し済みなので、完成工事高に計上する。 〔借方〕仮受金 10,000 /〔貸方〕完成工事高 10,000
  12. (6) (1)②・(5)① 整理後の売上債権 = 受取手形 25,000 + 完成工事未収入金 (376,000 − 12,000 − 9,000) = 380,000。380,000 × 1.2% = 4,560。残高 4,200 との差額 360 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 360 /〔貸方〕貸倒引当金 360
  13. (7) (5)② 整理後の完成工事高 23,590,000 × 0.2% = 47,180。残高 46,500 との差額 680。工事原価なので未成工事支出金。 〔借方〕未成工事支出金 680 /〔貸方〕完成工事補償引当金 680
  14. (8) 本社事務員分 2,800 は退職給付引当金繰入額(販管費)、現場作業員分 7,600 は未成工事支出金。貸方は合計 10,400 を退職給付引当金。 〔借方〕退職給付引当金繰入額 2,800・未成工事支出金 7,600 /〔貸方〕退職給付引当金 10,400
  15. (9) 保険料 12,000 × 3/12 = 3,000 が未経過分。販売費及び一般管理費から除いて前払費用にする。 〔借方〕前払費用 3,000 /〔貸方〕販売費及び一般管理費 3,000
  16. (10) 未成工事支出金 = 186,500 + 500 + 3,000 + 680 + 7,600 = 198,280。次期繰越額 126,100 を残し、差額 72,180 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 72,180 /〔貸方〕未成工事支出金 72,180
  17. (11) 税引前当期純利益 268,000 × 30% = 80,400。仮払金に残っている中間納付額 28,000 を充当し、残り 52,400 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 80,400 /〔貸方〕仮払金 28,000・未払法人税等 52,400(税引前当期純利益 268,000)
  18. 損益計算書の貸方合計 23,620,960 − 借方合計 23,433,360 = 当期純利益 187,600。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:(4)① は実際発生額 123,000 を書かず、予定計上額 120,000 との差額 3,000 だけを整理記入する。(6) の貸倒引当金は (1)② と (5)① で完成工事未収入金が 355,000 に減った後の残高で計算し、(7) の完成工事補償引当金は (5)② で完成工事高が 23,590,000 に増えた後の金額で計算する。(3)② の中間納付額 28,000 は仮払法人税等に振り替えず、仮払金のまま法人税等に充当する(精算表に仮払法人税等の行がない)。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第35回(2024年9月8日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する