第38回 第5問 論点:精算表重要度 A配点 30点未着手

精算表(銀行勘定調整・仮払金の整理・生産高比例法の予定計上差額・期中取得備品)

これは建設業経理士2級 第38回(2026年3月8日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 19 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は 1年(4月1日から 3月31日)である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。

(1) 当座預金の期末残高証明書を入手したところ、期末帳簿残高と差異があった。その原因を調査したところ次の内容であることが判明した。

 ① 完成済の工事代金 ¥8,000 が期末日に振り込まれていたが、発注者より連絡がなかったため、当社で未記帳であった。

仕訳 (1)①
借方貸方

 ② 事務用品の購入代金の決済のために振り出した小切手 ¥1,500 が相手先に未渡しであった。

仕訳 (1)②
借方貸方

(2) 仮設材料費の把握はすくい出し方式を採用しているが、現場から撤去されて倉庫に戻された評価額 ¥2,300 について未処理であった。

仕訳 (2)
借方貸方

(3) 仮払金の期末残高は、次の内容であることが判明した。

 ① ¥3,900 は借入金利息の 6か月分であり、うち 1か月は前払いである。

仕訳 (3)①
借方貸方

 ② ¥11,000 は建物の補修工事に係る支出である。((4)①に係るもの)

仕訳 (3)②(4)①
借方貸方

 ③ ¥28,500 は法人税等の中間納付額である。

仕訳 (3)③

この項目だけの仕訳はありません。(10) の仕訳でまとめて処理します(仮払金 28,500)。

(4) 減価償却については、次のとおりである。

 ① 建物(本社用) 取得原価 ¥88,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 22年 減価償却方法 定額法。なお、当期末において補修工事 ¥11,000 を行っているが仮払金処理している。この支出のうち、¥8,800 については改良のため、残りは原状回復のための支出である。

仕訳 (4)①
借方貸方

 ② 機械装置(工事現場用) 実際使用量 1,232 単位 取得原価 ¥180,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 6年 減価償却方法 生産高比例法 見積総使用量 7,200 単位。なお、月次原価計算において、毎月 100 単位を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

仕訳 (4)②
借方貸方

 ③ 備品(本社用) 取得原価 ¥72,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 3年 減価償却方法 定額法。このうち取得原価 ¥18,000 は当期 12月1日に取得したものである。

仕訳 (4)③
借方貸方

(5) 仮受金の期末残高は、次の内容であることが判明した。

 ① ¥14,000 は前期に完成した工事の未収代金回収分である。

仕訳 (5)①
借方貸方

 ② ¥15,100 は当期末において進行中の工事に係る前受金である。

仕訳 (5)②
借方貸方

(6) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (6)
借方貸方

(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 退職給付引当金の当期繰入額は現場作業員について ¥3,200 本社事務員について ¥1,800 である。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 上記の各処理を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥257,200 である。

仕訳 (9)
借方貸方

(10) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。

仕訳 (10)
借方貸方

解答欄

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金20,300
当座預金221,200
受取手形32,500
完成工事未収入金324,500
貸倒引当金3,800
未成工事支出金362,400
材料貯蔵品12,500
仮払金43,400
建物88,000
建物減価償却累計額20,000
機械装置180,000
機械装置減価償却累計額45,250
備品72,000
備品減価償却累計額18,000
支払手形36,100
工事未払金131,300
借入金248,000
未払金56,300
未成工事受入金75,300
仮受金29,100
完成工事補償引当金82,300
退職給付引当金64,500
資本金100,000
繰越利益剰余金160,690
完成工事高42,220,000
完成工事原価32,900,000
販売費及び一般管理費9,150,000
受取利息配当金126,460
支払利息10,300
43,417,10043,417,100
前払利息
修繕費
建物減価償却費
備品減価償却費
貸倒引当金繰入額
退職給付引当金繰入額
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金20,30020,300
当座預金221,2009,500230,700
受取手形32,50032,500
完成工事未収入金324,50022,000302,500
貸倒引当金3,8002204,020
未成工事支出金362,4006,140111,340257,200
材料貯蔵品12,5002,30014,800
仮払金43,40043,400
建物88,0008,80096,800
建物減価償却累計額20,0004,00024,000
機械装置180,000180,000
機械装置減価償却累計額45,25080046,050
備品72,00072,000
備品減価償却累計額18,00020,00038,000
支払手形36,10036,100
工事未払金131,300131,300
借入金248,000248,000
未払金56,3001,50057,800
未成工事受入金75,30015,10090,400
仮受金29,10029,100
完成工事補償引当金82,3002,14084,440
退職給付引当金64,5005,00069,500
資本金100,000100,000
繰越利益剰余金160,690160,690
完成工事高42,220,00042,220,000
完成工事原価32,900,000109,04033,009,040
販売費及び一般管理費9,150,0009,150,000
受取利息配当金126,460126,460
支払利息10,3003,25013,550
43,417,10043,417,100
前払利息650650
修繕費2,2002,200
建物減価償却費4,0004,000
備品減価償却費20,00020,000
貸倒引当金繰入額220220
退職給付引当金繰入額1,8001,800
未払法人税等15,19515,195
法人税、住民税及び事業税43,69543,695
240,695240,69542,244,50542,346,4601,207,4501,105,495
当期純利益101,955101,955
42,346,46042,346,4601,207,4501,207,450

決算整理仕訳

借方貸方
(1)①
当座預金8,000
完成工事未収入金8,000
(1)②
当座預金1,500
未払金1,500
(2)
材料貯蔵品2,300
未成工事支出金2,300
(3)①
支払利息3,250
前払利息650
仮払金3,900
(3)②(4)①
建物8,800
修繕費2,200
仮払金11,000
(4)①
建物減価償却費4,000
建物減価償却累計額4,000
(4)②
未成工事支出金800
機械装置減価償却累計額800
(4)③
備品減価償却費20,000
備品減価償却累計額20,000
(5)①
仮受金14,000
完成工事未収入金14,000
(5)②
仮受金15,100
未成工事受入金15,100
(6)
貸倒引当金繰入額220
貸倒引当金220
(7)
未成工事支出金2,140
完成工事補償引当金2,140
(8)
未成工事支出金3,200
退職給付引当金繰入額1,800
退職給付引当金5,000
(9)
完成工事原価109,040
未成工事支出金109,040
(10)
法人税、住民税及び事業税43,695
仮払金28,500
未払法人税等15,195

解き方

  1. 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。仮払金 43,400 は (3)① 3,900・(4)① 11,000・(10) 28,500 の 3 つに分かれて全額なくなる。仮受金 29,100 も (5) で全額振り替える。
  2. 未成工事支出金の整理((2) △2,300、(4)② +800、(7) +2,140、(8) +3,200)をすべて済ませてから、(9) で次期繰越額 257,200 との差額を完成工事原価へ振り替える。
  3. 損益計算書の収益 42,220,000 + 126,460 = 42,346,460 と、法人税等を除く費用 42,200,810 から税引前当期純利益 145,650 を出し、その 30% を法人税、住民税及び事業税とする。
  4. (1)① 期末日の振込が未記帳。当座預金を増やし、完成工事未収入金を減らす(当社側の修正)。 〔借方〕当座預金 8,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 8,000
  5. (1)② 未渡小切手は振り出したときに当座預金を減らしているが、まだ相手に渡っていないので当座預金を戻す。事務用品の代金なので相手科目は未払金。 〔借方〕当座預金 1,500 /〔貸方〕未払金 1,500
  6. (2) すくい出し方式では、倉庫に戻った仮設材料の評価額 2,300 を工事原価(未成工事支出金)から差し引いて材料貯蔵品に戻す。 〔借方〕材料貯蔵品 2,300 /〔貸方〕未成工事支出金 2,300
  7. (3)① 利息 6か月分 3,900 のうち当期分 5か月 = 3,900 × 5/6 = 3,250 を支払利息、翌期分 1か月 = 650 を前払利息にする。 〔借方〕支払利息 3,250・前払利息 650 /〔貸方〕仮払金 3,900
  8. (3)②(4)① 補修工事 11,000 のうち改良分 8,800 は資本的支出として建物に加える。残り 2,200 は原状回復(収益的支出)なので修繕費。 〔借方〕建物 8,800・修繕費 2,200 /〔貸方〕仮払金 11,000
  9. (4)① 建物の減価償却費 = 88,000 ÷ 22年 = 4,000。改良分 8,800 は当期末の支出なので当期の償却には含めない。本社用なので建物減価償却費(販管費)。 〔借方〕建物減価償却費 4,000 /〔貸方〕建物減価償却累計額 4,000
  10. (4)② 実際の償却額 = 180,000 × 1,232 ÷ 7,200 = 30,800。予定計上額 = 180,000 × 100 × 12 ÷ 7,200 = 30,000。不足分 800 を未成工事支出金に追加計上する。 〔借方〕未成工事支出金 800 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 800
  11. (4)③ 従来分 (72,000 − 18,000) ÷ 3年 = 18,000。12月1日取得分 18,000 ÷ 3年 × 4か月/12か月 = 2,000。合計 20,000 を備品減価償却費に。 〔借方〕備品減価償却費 20,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 20,000
  12. (5)① 前期完成工事の代金回収なので、仮受金を完成工事未収入金の減少に振り替える。 〔借方〕仮受金 14,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 14,000
  13. (5)② 進行中の工事の前受金なので、仮受金を未成工事受入金に振り替える。 〔借方〕仮受金 15,100 /〔貸方〕未成工事受入金 15,100
  14. (6) 売上債権 = 受取手形 32,500 + 完成工事未収入金 (324,500 − 8,000 − 14,000) = 335,000。335,000 × 1.2% = 4,020。残高 3,800 との差額 220 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 220 /〔貸方〕貸倒引当金 220
  15. (7) 42,220,000 × 0.2% = 84,440。残高 82,300 との差額 2,140 を繰り入れる。工事原価なので未成工事支出金。 〔借方〕未成工事支出金 2,140 /〔貸方〕完成工事補償引当金 2,140
  16. (8) 現場作業員分 3,200 は未成工事支出金、本社事務員分 1,800 は退職給付引当金繰入額(販管費)。合計 5,000 を退職給付引当金に。 〔借方〕未成工事支出金 3,200・退職給付引当金繰入額 1,800 /〔貸方〕退職給付引当金 5,000
  17. (9) 整理後の未成工事支出金 = 362,400 − 2,300 + 800 + 2,140 + 3,200 = 366,240。次期繰越額 257,200 を残し、差額 109,040 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 109,040 /〔貸方〕未成工事支出金 109,040
  18. (10) 税引前当期純利益 145,650 × 30% = 43,695。仮払金に残っている中間納付額 28,500 を充当し、残り 15,195 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 43,695 /〔貸方〕仮払金 28,500・未払法人税等 15,195(税引前当期純利益 145,650)
  19. 損益計算書の貸方合計 42,346,460 − 借方合計 42,244,505 = 当期純利益 101,955。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:未渡小切手((1)②)は当座預金を増やす側の修正で、相手科目は事務用品の代金なので未払金。建物の改良分 8,800 は資産計上するが、当期末の支出なので当期の減価償却には含めない。機械装置の予定計上は「毎月 100 単位」なので年間 1,200 単位分 30,000 と実際 30,800 を比べる。貸倒引当金の対象は (1)①・(5)① で減った後の完成工事未収入金 302,500 を使う。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第38回(2026年3月8日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する