第36回 第5問 論点:精算表重要度 A配点 30点未着手

精算表(現金過剰・仮設材料のすくい出し・建設仮勘定の振替・減価償却の予定計上・引当金・法人税等)

これは建設業経理士2級 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 17 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は1年(4月1日から3月31日)である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。

(1) 期末における現金の帳簿残高は ¥23,900 であるが、実際の手元有高は ¥25,800 であった。調査の結果、過剰額は不用品の売却代金の記帳漏れであった。

仕訳 (1)
借方貸方

(2) 仮設材料費の把握はすくい出し方式を採用しているが、現場から撤去されて倉庫に戻された評価額 ¥1,300 の仮設材料について未処理であった。

仕訳 (2)
借方貸方

(3) 仮払金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① ¥1,800 は借入金利息の3か月分であり、うち1か月は前払いである。② ¥25,300 は法人税等の中間納付額である。

仕訳 (3)①
借方貸方

(4) 減価償却については、以下のとおりである。① 機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥30,000。なお、月次原価計算において、月額 ¥2,200 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。② 備品(本社用) 取得原価 ¥108,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 3年 減価償却方法 定額法。なお、このうち ¥36,000 については当期8月1日に取得したものである。③ 建設仮勘定 適切な科目に振替えた上で、以下の事項により減価償却費を計上する。当期10月1日に完成した本社事務所(取得原価 ¥154,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 22年 減価償却方法 定額法)

仕訳 (4)①
借方貸方
仕訳 (4)②
借方貸方
仕訳 (4)③
借方貸方

(5) 仮受金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① ¥12,000 は前期に完成した工事の未収代金回収分である。② ¥8,000 は当期末において未着手の工事に係る前受金である。

仕訳 (5)
借方貸方

(6) 売上債権の期末残高に対して 1.1% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (6)
借方貸方

(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 退職給付引当金の当期繰入額は現場作業員について ¥5,200、本社事務員について ¥2,400 である。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥153,200 である。

仕訳 (9)
借方貸方

(10) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。

仕訳 (10)
借方貸方

解答欄

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金23,900
当座預金186,400
受取手形37,000
完成工事未収入金339,000
貸倒引当金3,800
未成工事支出金215,800
材料貯蔵品1,224
仮払金27,100
機械装置290,000
機械装置減価償却累計額160,000
備品108,000
備品減価償却累計額24,000
建設仮勘定154,000
支払手形31,600
工事未払金128,000
借入金149,000
未払金126,000
未成工事受入金56,000
仮受金20,000
完成工事補償引当金38,900
退職給付引当金143,000
資本金100,000
繰越利益剰余金122,360
完成工事高19,580,000
完成工事原価17,723,200
販売費及び一般管理費1,590,000
受取利息配当金31,084
支払利息18,120
20,713,74420,713,744
雑収入
前払費用
備品減価償却費
建物
建物減価償却費
建物減価償却累計額
貸倒引当金繰入額
退職給付引当金繰入額
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金23,9001,90025,800
当座預金186,400186,400
受取手形37,00037,000
完成工事未収入金339,00012,000327,000
貸倒引当金3,8002044,004
未成工事支出金215,8009,06071,660153,200
材料貯蔵品1,2241,3002,524
仮払金27,10027,100
機械装置290,000290,000
機械装置減価償却累計額160,0003,600163,600
備品108,000108,000
備品減価償却累計額24,00032,00056,000
建設仮勘定154,000154,000
支払手形31,60031,600
工事未払金128,000128,000
借入金149,000149,000
未払金126,000126,000
未成工事受入金56,0008,00064,000
仮受金20,00020,000
完成工事補償引当金38,90026039,160
退職給付引当金143,0007,600150,600
資本金100,000100,000
繰越利益剰余金122,360122,360
完成工事高19,580,00019,580,000
完成工事原価17,723,20070,36017,793,560
販売費及び一般管理費1,590,0001,590,000
受取利息配当金31,08431,084
支払利息18,1201,20019,320
20,713,74420,713,744
雑収入1,9001,900
前払費用600600
備品減価償却費32,00032,000
建物154,000154,000
建物減価償却費3,5003,500
建物減価償却累計額3,5003,500
貸倒引当金繰入額204204
退職給付引当金繰入額2,4002,400
未払法人税等26,30026,300
法人税、住民税及び事業税51,60051,600
348,124348,12419,492,58419,612,9841,284,5241,164,124
当期純利益120,400120,400
19,612,98419,612,9841,284,5241,284,524

決算整理仕訳

借方貸方
(1)
現金1,900
雑収入1,900
(2)
材料貯蔵品1,300
未成工事支出金1,300
(3)①
支払利息1,200
前払費用600
仮払金1,800
(4)①
未成工事支出金3,600
機械装置減価償却累計額3,600
(4)②
備品減価償却費32,000
備品減価償却累計額32,000
(4)③
建物154,000
建物減価償却費3,500
建設仮勘定154,000
建物減価償却累計額3,500
(5)
仮受金20,000
完成工事未収入金12,000
未成工事受入金8,000
(6)
貸倒引当金繰入額204
貸倒引当金204
(7)
未成工事支出金260
完成工事補償引当金260
(8)
未成工事支出金5,200
退職給付引当金繰入額2,400
退職給付引当金7,600
(9)
完成工事原価70,360
未成工事支出金70,360
(10)
法人税、住民税及び事業税51,600
仮払金25,300
未払法人税等26,300

解き方

  1. 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。同じ科目・同じ側に複数の金額が入るときは合計する(未成工事支出金の借方は 3,600 + 260 + 5,200 = 9,060、貸方は 1,300 + 70,360 = 71,660。仮払金の貸方は 1,800 + 25,300 = 27,100)。
  2. (6) の貸倒引当金は (5)① で完成工事未収入金が 12,000 減った後の残高で計算する。(9) の振替額は (2)(4)①(7)(8) をすべて反映した未成工事支出金の残高から次期繰越額を引いて求める。
  3. 税引前当期純利益 = 収益 (19,580,000 + 31,084 + 1,900) − 費用 (17,793,560 + 1,590,000 + 19,320 + 32,000 + 3,500 + 204 + 2,400) = 172,000。法人税等 51,600 を引いた当期純利益は 120,400。
  4. 整理記入欄の合計 348,124、損益計算書 借方 19,612,984・貸方 19,612,984、貸借対照表 借方 1,284,524・貸方 1,284,524 で締める。
  5. (1) 実際有高 25,800 − 帳簿残高 23,900 = 1,900 の現金過剰。原因は不用品の売却代金の記帳漏れなので、現金を増やして雑収入を計上する。 〔借方〕現金 1,900 /〔貸方〕雑収入 1,900
  6. (2) すくい出し方式では、倉庫に戻された仮設材料の評価額 1,300 を工事原価(未成工事支出金)から差し引き、材料貯蔵品に戻す。 〔借方〕材料貯蔵品 1,300 /〔貸方〕未成工事支出金 1,300
  7. (3)① 仮払金 1,800 は借入金利息3か月分。うち1か月分 1,800 ÷ 3 = 600 は前払費用(資産)、残り 1,200 は当期の支払利息。 〔借方〕支払利息 1,200・前払費用 600 /〔貸方〕仮払金 1,800
  8. (4)① 予定計上額 2,200 × 12 = 26,400。実際発生額 30,000 との差額 3,600 は計上不足なので、未成工事支出金に加える。 〔借方〕未成工事支出金 3,600 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 3,600
  9. (4)② 従来分 (108,000 − 36,000) ÷ 3年 = 24,000。当期8月1日取得分 36,000 ÷ 3年 × 8か月/12か月 = 8,000。合計 32,000 を備品減価償却費(本社用なので販管費区分)に計上する。 〔借方〕備品減価償却費 32,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 32,000
  10. (4)③ 完成した本社事務所 154,000 を建設仮勘定から建物に振り替え、10月1日から3月31日までの6か月分 154,000 ÷ 22年 × 6/12 = 3,500 を建物減価償却費に計上する。 〔借方〕建物 154,000・建物減価償却費 3,500 /〔貸方〕建設仮勘定 154,000・建物減価償却累計額 3,500
  11. (5) 仮受金 20,000 の内訳。① 12,000 は前期完成工事の未収代金の回収なので完成工事未収入金を減らす。② 8,000 は未着手工事の前受金なので未成工事受入金に振り替える。 〔借方〕仮受金 20,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 12,000・未成工事受入金 8,000
  12. (6) (5) 整理後の売上債権 = 受取手形 37,000 + 完成工事未収入金 (339,000 − 12,000) = 364,000。364,000 × 1.1% = 4,004。残高 3,800 との差額 204 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 204 /〔貸方〕貸倒引当金 204
  13. (7) 19,580,000 × 0.2% = 39,160。残高 38,900 との差額 260。工事原価なので未成工事支出金に計上する。 〔借方〕未成工事支出金 260 /〔貸方〕完成工事補償引当金 260
  14. (8) 現場作業員分 5,200 は未成工事支出金、本社事務員分 2,400 は退職給付引当金繰入額。貸方は合計 7,600 で退職給付引当金。 〔借方〕未成工事支出金 5,200・退職給付引当金繰入額 2,400 /〔貸方〕退職給付引当金 7,600
  15. (9) 整理後の未成工事支出金 = 215,800 − 1,300 + 3,600 + 260 + 5,200 = 223,560。次期繰越額 153,200 を残し、差額 70,360 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 70,360 /〔貸方〕未成工事支出金 70,360
  16. (10) 税引前当期純利益 172,000 × 30% = 51,600。仮払金に残る中間納付額 25,300 を充当し、残り 26,300 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 51,600 /〔貸方〕仮払金 25,300・未払法人税等 26,300(税引前当期純利益 172,000)
  17. 損益計算書の貸方合計 19,612,984 − 借方合計 19,492,584 = 当期純利益 120,400。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:(2) のすくい出し方式は、戻された仮設材料の評価額を未成工事支出金から減らす(貸方)。(4)② の備品は当期8月1日取得分だけ月割(8か月)にし、従来分は満額。(4)③ の建物は10月1日完成なので6か月分。(5)② の前受金は「未成工事受入金」であり、完成工事高にはしない。(3)② の中間納付額 25,300 は仮払金のまま残しておき、(10) で法人税等に充当する。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第36回(2025年3月9日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する