第37回 第5問 論点:精算表重要度 A配点 30点未着手

精算表(未渡小切手・減価償却の予定計上・備品の期首売却・建設仮勘定の振替・引当金3種・法人税等)

これは建設業経理士2級 第37回(2025年9月7日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 18 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は1年(1月1日から12月31日)である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。

(1) 当座預金の期末残高証明書を入手したところ、期末帳簿残高と差異があった。差額原因を調査したところ以下の内容であった。① 事務用品の購入代金の決済のために振り出した小切手 ¥1,500 が、相手先に未渡しであった。② 材料仕入先に対する未払金の支払いのために振り出していた小切手 ¥4,500 が、まだ銀行に提示されていなかった。

仕訳 (1)①
借方貸方

(2) 材料貯蔵品の期末棚卸により棚卸減耗 ¥1,800 が判明した。これを工事原価に算入する。

仕訳 (2)
借方貸方

(3) 仮払金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① ¥8,200 は管理部門従業員の出張旅費の仮払いである。なお、実費との差額 ¥500 については従業員が立て替えていた。② ¥42,000 は法人税等の中間納付額である。

仕訳 (3)①
借方貸方

(4) 減価償却については、以下のとおりである。① 機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥85,000。なお、月次原価計算において、月額 ¥7,500 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。② 備品(本社用) 取得原価 ¥100,000 残存価額ゼロ 耐用年数 4年 減価償却方法 定額法。このうち取得原価 ¥20,000(減価償却累計額 ¥10,000)分は当期首に売却しているが未処理である。売却代金 ¥12,000 については仮受金で処理している。③ 建設仮勘定 適切な科目に振り替えた上で、以下の事項により減価償却費を計上する。当期7月1日に完成した本社事務所(取得原価 ¥84,000 残存価額ゼロ 耐用年数 24年 減価償却方法 定額法)

仕訳 (4)①
借方貸方
仕訳 (4)②売却
借方貸方
仕訳 (4)②償却
借方貸方
仕訳 (4)③振替
借方貸方
仕訳 (4)③償却
借方貸方

(5) 仮受金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① 前期に完成した工事の未収代金回収分 ¥9,000 ② 当期首に売却した備品の代金 ¥12,000((4)②に係るもの)

仕訳 (5)①
借方貸方

(6) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (6)
借方貸方

(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 退職給付引当金の当期繰入額は現場作業員について ¥6,200、本社事務員について ¥2,100 である。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥284,240 である。

仕訳 (9)
借方貸方

(10) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。

仕訳 (10)
借方貸方

解答欄

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金17,300
当座預金173,200
受取手形12,500
完成工事未収入金284,000
貸倒引当金3,000
未成工事支出金292,400
材料貯蔵品5,500
仮払金50,200
機械装置270,000
機械装置減価償却累計額135,000
備品100,000
備品減価償却累計額30,000
建設仮勘定84,000
支払手形29,400
工事未払金111,300
借入金141,000
未払金36,000
未成工事受入金57,000
仮受金21,000
完成工事補償引当金43,500
退職給付引当金228,000
資本金100,000
繰越利益剰余金119,600
完成工事高21,320,000
完成工事原価18,656,000
販売費及び一般管理費2,440,000
受取利息配当金21,500
支払利息11,200
22,396,30022,396,300
旅費交通費
備品減価償却費
建物
建物減価償却費
建物減価償却累計額
固定資産売却益
貸倒引当金繰入額
退職給付引当金繰入額
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金17,30017,300
当座預金173,2001,500174,700
受取手形12,50012,500
完成工事未収入金284,0009,000275,000
貸倒引当金3,0004503,450
未成工事支出金292,4008,00016,160284,240
材料貯蔵品5,5001,8003,700
仮払金50,20050,200
機械装置270,000270,000
機械装置減価償却累計額135,0005,000130,000
備品100,00020,00080,000
備品減価償却累計額30,00010,00020,00040,000
建設仮勘定84,00084,000
支払手形29,40029,400
工事未払金111,300111,300
借入金141,000141,000
未払金36,0002,00038,000
未成工事受入金57,00057,000
仮受金21,00021,000
完成工事補償引当金43,50086042,640
退職給付引当金228,0008,300236,300
資本金100,000100,000
繰越利益剰余金119,600119,600
完成工事高21,320,00021,320,000
完成工事原価18,656,00010,30018,666,300
販売費及び一般管理費2,440,0002,440,000
受取利息配当金21,50021,500
支払利息11,20011,200
22,396,30022,396,300
旅費交通費8,7008,700
備品減価償却費20,00020,000
建物84,00084,000
建物減価償却費1,7501,750
建物減価償却累計額1,7501,750
固定資産売却益2,0002,000
貸倒引当金繰入額450450
退職給付引当金繰入額2,1002,100
未払法人税等15,90015,900
法人税、住民税及び事業税57,90057,900
231,560231,56021,208,40021,343,5001,201,4401,066,340
当期純利益135,100135,100
21,343,50021,343,5001,201,4401,201,440

決算整理仕訳

借方貸方
(1)①
当座預金1,500
未払金1,500
(2)
未成工事支出金1,800
材料貯蔵品1,800
(3)①
旅費交通費8,700
仮払金8,200
未払金500
(4)①
機械装置減価償却累計額5,000
未成工事支出金5,000
(4)②売却
備品減価償却累計額10,000
仮受金12,000
備品20,000
固定資産売却益2,000
(4)②償却
備品減価償却費20,000
備品減価償却累計額20,000
(4)③振替
建物84,000
建設仮勘定84,000
(4)③償却
建物減価償却費1,750
建物減価償却累計額1,750
(5)①
仮受金9,000
完成工事未収入金9,000
(6)
貸倒引当金繰入額450
貸倒引当金450
(7)
完成工事補償引当金860
未成工事支出金860
(8)
未成工事支出金6,200
退職給付引当金繰入額2,100
退職給付引当金8,300
(9)
完成工事原価10,300
未成工事支出金10,300
(10)
法人税、住民税及び事業税57,900
仮払金42,000
未払法人税等15,900

解き方

  1. 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。同じ科目・同じ側に複数の金額が入るときは合計を1つの欄に書く(未成工事支出金の借方 1,800 + 6,200 = 8,000、貸方 5,000 + 860 + 10,300 = 16,160、仮払金の貸方 8,200 + 42,000 = 50,200、仮受金の借方 12,000 + 9,000 = 21,000)。
  2. (4)② の備品売却と (5)② の仮受金は同じ取引なので、仕訳は1つにまとめる。
  3. 整理記入が終わったら、残高試算表の金額に整理記入を加減して、資産・負債・純資産は貸借対照表へ、収益・費用は損益計算書へ移す。税引前当期純利益 193,000 → 法人税等 57,900 → 当期純利益 135,100。
  4. (1)① 未渡小切手。振り出したときに減らした当座預金を戻し、事務用品代はまだ払っていないので未払金にする。②の未取付小切手は銀行側の調整項目で仕訳なし。 〔借方〕当座預金 1,500 /〔貸方〕未払金 1,500
  5. (2) 棚卸減耗 1,800 を工事原価に算入するので未成工事支出金へ。 〔借方〕未成工事支出金 1,800 /〔貸方〕材料貯蔵品 1,800
  6. (3)① 管理部門の出張旅費なので旅費交通費(精算表で指定された科目)。実費は仮払 8,200 + 立替分 500 = 8,700。立替分は従業員へ支払う未払金。②の 42,000 は (10) で法人税等に充当する。 〔借方〕旅費交通費 8,700 /〔貸方〕仮払金 8,200・未払金 500
  7. (4)① 予定計上額 7,500 × 12 = 90,000。実際 85,000 より 5,000 多く計上しているので、未成工事支出金と累計額を 5,000 減らす。 〔借方〕機械装置減価償却累計額 5,000 /〔貸方〕未成工事支出金 5,000
  8. (4)②売却 期首売却の未処理分。帳簿価額 20,000 − 10,000 = 10,000 を代金 12,000(仮受金で受領済み)で売ったので固定資産売却益 2,000。(5)② の仮受金 12,000 をここで取り崩す。 〔借方〕備品減価償却累計額 10,000・仮受金 12,000 /〔貸方〕備品 20,000・固定資産売却益 2,000
  9. (4)②償却 残った備品 100,000 − 20,000 = 80,000 を 4年で償却。80,000 ÷ 4 = 20,000。本社用なので備品減価償却費(指定科目)。 〔借方〕備品減価償却費 20,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 20,000
  10. (4)③振替 完成した本社事務所なので建設仮勘定 84,000 を建物へ振り替える。 〔借方〕建物 84,000 /〔貸方〕建設仮勘定 84,000
  11. (4)③償却 7月1日完成なので 6か月分。84,000 ÷ 24年 × 6/12 = 1,750。 〔借方〕建物減価償却費 1,750 /〔貸方〕建物減価償却累計額 1,750
  12. (5)① 前期完成工事の代金回収なので完成工事未収入金 9,000 を減らす。 〔借方〕仮受金 9,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 9,000
  13. (6) (5)① 整理後の売上債権 = 受取手形 12,500 + 完成工事未収入金 275,000 = 287,500。× 1.2% = 3,450。残高 3,000 との差額 450 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 450 /〔貸方〕貸倒引当金 450
  14. (7) 21,320,000 × 0.2% = 42,640。残高 43,500 の方が大きいので差額 860 を戻し、工事原価(未成工事支出金)から減らす。 〔借方〕完成工事補償引当金 860 /〔貸方〕未成工事支出金 860
  15. (8) 現場作業員分 6,200 は未成工事支出金、本社事務員分 2,100 は退職給付引当金繰入額(指定科目)。貸方は合計 8,300。 〔借方〕未成工事支出金 6,200・退職給付引当金繰入額 2,100 /〔貸方〕退職給付引当金 8,300
  16. (9) 未成工事支出金 = 292,400 + 1,800 − 5,000 − 860 + 6,200 = 294,540。次期繰越額 284,240 を残し、差額 10,300 を完成工事原価へ振り替える。 〔借方〕完成工事原価 10,300 /〔貸方〕未成工事支出金 10,300
  17. (10) 税引前当期純利益 193,000 × 30% = 57,900。中間納付額(仮払金の残り 42,000)を充当し、残り 15,900 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 57,900 /〔貸方〕仮払金 42,000・未払法人税等 15,900(税引前当期純利益 193,000)
  18. 損益計算書の貸方合計 21,343,500 − 借方合計 21,208,400 = 当期純利益 135,100。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:(1)② の未取付小切手は銀行残高の側の話なので仕訳をしない。(4)① は実際発生額 85,000 を書かず、予定計上との差額 5,000 だけ(今回は予定の方が多いので未成工事支出金を減らす)。(6) の貸倒引当金は (5)① で完成工事未収入金が 275,000 に減った後の残高で計算する。(7) は残高の方が多いので戻し入れ(未成工事支出金の減少)になる。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第37回(2025年9月7日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する