第39回 第5問 論点:精算表重要度 A配点 30点未着手

精算表(現金過剰・棚卸減耗損・建設仮勘定の振替と期中完成建物の償却・予定計上差額)

これは建設業経理士2級 第39回(2026年9月13日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 17 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。

決算整理仕訳の入力欄(問題文の各項目の下):仕訳は本試験では採点されないので点数には入りません。合っているかの確認と弱点分析に使います。

次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は 1年(4月1日から 3月31日)である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。

(1) 期末における現金帳簿残高は ¥25,500 であるが、実際の手元有高は ¥26,000 であった。この違いの原因は不明である。

仕訳 (1)
借方貸方

(2) 材料貯蔵品の期末実地棚卸により、棚卸減耗損 ¥1,200 が発生していることが判明した。棚卸減耗損については全額工事原価として処理する。

仕訳 (2)
借方貸方

(3) 仮払金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。

 ① ¥8,600 は過年度の完成工事に関する補修費であった。

仕訳 (3)①
借方貸方

 ② ¥22,000 は法人税等の中間納付額である。

仕訳 (3)②

この項目だけの仕訳はありません。(10) の仕訳でまとめて処理します(仮払金 22,000)。

(4) 減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中の固定資産の増減取引は②、③のみである。

 ① 機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥28,000 なお、月次原価計算において、月額 ¥2,500 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。

仕訳 (4)①
借方貸方

 ② 備品(本社用) 取得原価 ¥48,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 3年 減価償却方法 定額法。なお、このうち ¥12,000 については当期 10月1日に取得したものである。

仕訳 (4)②
借方貸方

 ③ 建設仮勘定 適切な科目に振替えた上で、以下の事項により減価償却費を計上する。当期 7月1日に完成した本社事務所(取得原価 ¥132,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 22年 減価償却方法 定額法)

仕訳 (4)③
借方貸方

(5) 仮受金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。

 ① ¥18,000 は前期に完成した工事の未収代金回収分である。

仕訳 (5)①
借方貸方

 ② ¥13,200 は当期末において進行中の工事に係る前受金である。

仕訳 (5)②
借方貸方

(6) 債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (6)
借方貸方

(7) 完成工事高に対して 0.1% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。

仕訳 (7)
借方貸方

(8) 退職給付引当金の当期繰入額は現場作業員について ¥3,600、本社事務員について ¥1,900 である。

仕訳 (8)
借方貸方

(9) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥174,200 である。

仕訳 (9)
借方貸方

(10) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。

仕訳 (10)
借方貸方

解答欄

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金25,500
当座預金156,900
電子記録債権47,800
完成工事未収入金295,200
貸倒引当金3,700
未成工事支出金286,500
材料貯蔵品18,600
仮払金30,600
機械装置157,500
機械装置減価償却累計額45,000
備品48,000
備品減価償却累計額12,000
建設仮勘定132,000
電子記録債務64,300
工事未払金181,960
借入金107,600
未払金78,000
未成工事受入金86,200
仮受金31,200
完成工事補償引当金65,000
退職給付引当金86,300
資本金100,000
繰越利益剰余金102,040
完成工事高56,500,000
完成工事原価46,068,000
販売費及び一般管理費10,255,000
受取利息配当金65,700
支払利息7,400
57,529,00057,529,000
雑収入
備品減価償却費
建物
建物減価償却累計額
建物減価償却費
貸倒引当金繰入額
退職給付引当金繰入額
未払法人税等
法人税、住民税及び事業税
当期純利益

金額はカンマなしでも入力できます。表は横にスクロールできます。空欄のままにする欄には何も入力しないでください。同じ欄に複数の金額が入るとき(本試験では2段に書く)は合計を入力します。

正解

精算表(単位:円)
勘定科目残高試算表整理記入損益計算書貸借対照表
借方貸方借方貸方借方貸方借方貸方
現金25,50050026,000
当座預金156,900156,900
電子記録債権47,80047,800
完成工事未収入金295,20018,000277,200
貸倒引当金3,7002003,900
未成工事支出金286,5004,900117,200174,200
材料貯蔵品18,6001,20017,400
仮払金30,60030,600
機械装置157,500157,500
機械装置減価償却累計額45,0002,00043,000
備品48,00048,000
備品減価償却累計額12,00014,00026,000
建設仮勘定132,000132,000
電子記録債務64,30064,300
工事未払金181,960181,960
借入金107,600107,600
未払金78,00078,000
未成工事受入金86,20013,20099,400
仮受金31,20031,200
完成工事補償引当金65,0008,60010056,500
退職給付引当金86,3005,50091,800
資本金100,000100,000
繰越利益剰余金102,040102,040
完成工事高56,500,00056,500,000
完成工事原価46,068,000115,20046,183,200
販売費及び一般管理費10,255,00010,255,000
受取利息配当金65,70065,700
支払利息7,4007,400
57,529,00057,529,000
雑収入500500
備品減価償却費14,00014,000
建物132,000132,000
建物減価償却累計額4,5004,500
建物減価償却費4,5004,500
貸倒引当金繰入額200200
退職給付引当金繰入額1,9001,900
未払法人税等8,0008,000
法人税、住民税及び事業税30,00030,000
345,000345,00056,496,20056,566,2001,037,000967,000
当期純利益70,00070,000
56,566,20056,566,2001,037,0001,037,000

決算整理仕訳

借方貸方
(1)
現金500
雑収入500
(2)
未成工事支出金1,200
材料貯蔵品1,200
(3)①
完成工事補償引当金8,600
仮払金8,600
(4)①
機械装置減価償却累計額2,000
未成工事支出金2,000
(4)②
備品減価償却費14,000
備品減価償却累計額14,000
(4)③
建物132,000
建物減価償却費4,500
建設仮勘定132,000
建物減価償却累計額4,500
(5)①
仮受金18,000
完成工事未収入金18,000
(5)②
仮受金13,200
未成工事受入金13,200
(6)
貸倒引当金繰入額200
貸倒引当金200
(7)
未成工事支出金100
完成工事補償引当金100
(8)
未成工事支出金3,600
退職給付引当金繰入額1,900
退職給付引当金5,500
(9)
完成工事原価115,200
未成工事支出金115,200
(10)
法人税、住民税及び事業税30,000
仮払金22,000
未払法人税等8,000

解き方

  1. 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。仮払金 30,600 は (3)① 8,600 と (10) の中間納付額 22,000 に分かれて全額なくなる。仮受金 31,200 も (5) で全額振り替える。
  2. 未成工事支出金の整理((2) +1,200、(4)① △2,000、(7) +100、(8) +3,600)をすべて済ませて 289,400 にしてから、(9) で次期繰越額 174,200 との差額 115,200 を完成工事原価へ振り替える。
  3. 損益計算書の収益 56,500,000 + 65,700 + 500 = 56,566,200 と、法人税等を除く費用 56,466,200 から税引前当期純利益 100,000 を出し、その 30% = 30,000 を法人税、住民税及び事業税とする。当期純利益は 70,000。
  4. (1) 実際有高 26,000 − 帳簿残高 25,500 = 500 の現金過剰。原因不明なので現金を増やし、相手科目は雑収入。 〔借方〕現金 500 /〔貸方〕雑収入 500
  5. (2) 棚卸減耗損 1,200 は全額工事原価なので、材料貯蔵品を減らして未成工事支出金に振り替える。 〔借方〕未成工事支出金 1,200 /〔貸方〕材料貯蔵品 1,200
  6. (3)① 過年度の完成工事の補修費 8,600 は、設定済みの完成工事補償引当金を取り崩して充当する。仮払金の残り 22,000 は中間納付額として (10) で充当する。 〔借方〕完成工事補償引当金 8,600 /〔貸方〕仮払金 8,600
  7. (4)① 予定計上額 = 2,500 × 12か月 = 30,000。実際発生額 28,000 との差額 2,000 は予定の方が多いので、未成工事支出金から減らし、累計額も減らす。 〔借方〕機械装置減価償却累計額 2,000 /〔貸方〕未成工事支出金 2,000
  8. (4)② 従来分 (48,000 − 12,000) ÷ 3年 = 12,000。10月1日取得分 12,000 ÷ 3年 × 6か月/12か月 = 2,000。合計 14,000 を備品減価償却費(販管費)に。 〔借方〕備品減価償却費 14,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 14,000
  9. (4)③ 完成した本社事務所は建設仮勘定 132,000 を建物に振り替える。減価償却費 = 132,000 ÷ 22年 × 9か月/12か月(7月〜3月)= 6,000 × 9/12 = 4,500。 〔借方〕建物 132,000・建物減価償却費 4,500 /〔貸方〕建設仮勘定 132,000・建物減価償却累計額 4,500
  10. (5)① 前期完成工事の代金回収なので、仮受金 18,000 を完成工事未収入金の減少に振り替える。 〔借方〕仮受金 18,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 18,000
  11. (5)② 進行中の工事の前受金なので、仮受金 13,200 を未成工事受入金に振り替える。 〔借方〕仮受金 13,200 /〔貸方〕未成工事受入金 13,200
  12. (6) 債権 = 電子記録債権 47,800 + 完成工事未収入金 (295,200 − 18,000) = 325,000。325,000 × 1.2% = 3,900。残高 3,700 との差額 200 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 200 /〔貸方〕貸倒引当金 200
  13. (7) 56,500,000 × 0.1% = 56,500。(3)① の取崩し後の残高 65,000 − 8,600 = 56,400 との差額 100 を繰り入れる。工事原価なので未成工事支出金。 〔借方〕未成工事支出金 100 /〔貸方〕完成工事補償引当金 100
  14. (8) 現場作業員分 3,600 は未成工事支出金、本社事務員分 1,900 は退職給付引当金繰入額(販管費)。合計 5,500 を退職給付引当金に。 〔借方〕未成工事支出金 3,600・退職給付引当金繰入額 1,900 /〔貸方〕退職給付引当金 5,500
  15. (9) 整理後の未成工事支出金 = 286,500 + 1,200 − 2,000 + 100 + 3,600 = 289,400。次期繰越額 174,200 を残し、差額 115,200 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 115,200 /〔貸方〕未成工事支出金 115,200
  16. (10) 税引前当期純利益 100,000 × 30% = 30,000。仮払金に残っている中間納付額 22,000 を充当し、残り 8,000 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 30,000 /〔貸方〕仮払金 22,000・未払法人税等 8,000(税引前当期純利益 100,000)
  17. 損益計算書の貸方合計 56,566,200 − 借方合計 56,496,200 = 当期純利益 70,000。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
引っかけ:機械装置の予定計上額 30,000 は実際 28,000 より多いので、差額 2,000 は未成工事支出金の「貸方」(累計額の借方)になる。建設仮勘定は建物に振り替えてから 7月〜3月の 9か月分だけ償却する。貸倒引当金の対象は電子記録債権も含み、完成工事未収入金は (5)① で減った後の 277,200 を使う。完成工事補償引当金は (3)① の取崩し後の残高 56,400 と比べる。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第39回(2026年9月13日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する