個別原価計算制度・総合原価計算制度・特殊原価調査の区別
これは建設業経理士1級 原価計算 第38回(2026年3月8日(日)実施) 第2問(配点 10点)の問題です。論点は「原価計算制度の理論(個別・総合原価計算、原価計算基準、特殊原価調査)」(重要度A・解答の形は記号(AまたはB/ア〜ナ等)5〜10か所)。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。
次の文章は、個別原価計算制度「A」、総合原価計算制度「B」、特殊原価調査「C」のいずれに最も関連する記述であるか。その答えを記号(A〜C)で解答用紙の所定の欄に記入しなさい。
1.T工務店では、工事現場の残材を利用して小物家具を製造している。材料の使用量を係数として製作加工費を配分して、簡易に製品原価を算定している。
2.W社では、VE(Value Engineering:価値工学)の手法を活用して、代替材料の投入がコスト構造にどのような効果を与えるかを検討中である。
3.Y建築設計事務所では、受注業務別に原価を把握し、仕掛業務の原価を期末の資産に計上している。
4.長期請負工事業の場合は、販売費及び一般管理費の全部あるいは一部をプロダクト・コストとして処理することがある。
5.Z社では、過去のX作業原価を継続して詳細記録しており、新規工事の積算資料として活用している。
解答欄
正解
| 1 | B |
|---|---|
| 2 | C |
| 3 | A |
| 4 | A |
| 5 | C |
解き方
- 判断の軸は 2 つ。財務会計機構と結びついて常時継続的に行われる「原価計算制度」か、財務会計機構の外で特定の意思決定のために随時行われる「特殊原価調査」か。制度なら、受注生産で指図書(工事・業務)ごとに原価を集計する個別原価計算か、同種製品を連続生産して期間原価を生産量で割る総合原価計算か。
- 1(B):残材を利用した小物家具の製造は、同種の製品を継続的に生産する形態である。材料使用量を係数(等価係数)として加工費を配分し、簡易に製品原価を求めるのは等級別総合原価計算の考え方なので、総合原価計算制度になる。
- 2(C):VE を使って代替材料の投入がコスト構造に与える効果を検討するのは、経常的な原価の記録ではなく、材料の選択という意思決定のために随時行う原価の調査なので、特殊原価調査になる。
- 3(A):受注業務(設計案件)ごとに原価を把握し、未完了の仕掛業務の原価を期末に資産(仕掛品)として計上するのは、指図書別に原価を集計して財務諸表につなげる個別原価計算制度である。
- 4(A):『原価計算基準』では、長期請負工事業のような場合には、販売費及び一般管理費の全部または一部を製品原価(プロダクト・コスト)として処理することがあるとしている。長期請負工事は受注生産で個別原価計算により工事別に原価を集計するので、個別原価計算制度に関連する記述になる。
- 5(C):過去の作業原価を詳細に記録しておき、新規工事の積算(受注前の見積原価計算)の資料に使うのは、財務諸表作成のための制度計算ではなく、受注可否や請負価格の決定という意思決定に役立てるための統計的な原価調査なので、特殊原価調査になる。
引っかけ:1 は「工務店」という語から個別原価計算(A)と答えやすいが、問われているのは小物家具の製造で、係数による配分は等級別総合原価計算の特徴である。5 は「継続して記録」という語から制度(A)と考えやすいが、目的が積算資料(意思決定用)なので特殊原価調査になる。4 は原価計算基準の条文で、長期請負工事=個別原価計算と結びつける。
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論点ページ:原価計算制度の理論(個別・総合原価計算、原価計算基準、特殊原価調査)の要点この論点の出題実績とよくある間違い
→第38回の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第38回(2026年3月8日(日)実施) 第2問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する