原価計算基準・建設業法施行規則の工事原価規定の正誤

これは建設業経理士1級 原価計算 第37回(2025年9月7日(日)実施) 第2問(配点 10点)の問題です。論点は「原価計算制度の理論(個別・総合原価計算、原価計算基準、特殊原価調査)」(重要度A・解答の形は記号(AまたはB/ア〜ナ等)5〜10か所)。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。

次の文章のうち、わが国の原価計算基準または建設業法施行規則に定める工事原価に関する規定に照らして、正しい場合は「A」、正しくない場合は「B」を解答用紙の所定の欄に記入しなさい。

1.間接費の配賦に予定配賦率を利用するのは、単に原価情報を早く提供する目的のみで実施されるため、配賦差異が発生しないよう工夫することが肝要である。

2.原価部門とは、工事原価の計算を正確にするために、原価要素を分類集計するための計算組織上の区分である。したがって、必要に応じて、組織(部門)として存在しない建物部門といったものを設定することもある。

3.出張所等経費配賦額とは、複数の工事を管轄する出張所等で発生した諸経費を個別工事ごとに適正に計算した配分額を負担させる場合の科目をいう。

4.個別工事原価の迅速な算定のために、資材の消費単価や労務の賃率について予定価格を使用している。このような方法を活用する場合、これを実際原価計算とは呼ばない。

5.建設資材を購入した際に自社で負担した引取運賃や商社手数料を材料購入原価に算入した。しかし、材料の購入原価が不明瞭になるので、購入の付帯費は経費とすべきである。

解答欄

それぞれの空欄に当てはまるものを選んで「採点する」を押してください。

正解

1B
2A
3A
4B
5B

解き方

  1. 1(B):予定配賦率を用いる目的は、計算の迅速化だけではない。実際配賦率は月ごとの操業度や間接費発生額の変動で上下し、同じ工事の原価が時期によって変わってしまうので、年間予算に基づく予定配賦率で原価を平準化することが主な目的になる。予定配賦をすれば配賦差異が生じるのは当然で、差異は「発生しないよう工夫」するものではなく、予算差異・操業度差異に分析して原価管理に役立て、期末に処理する。
  2. 2(A):『原価計算基準』16 では、原価部門とは原価の発生を機能別・責任区分別に管理し、製品原価の計算を正確にするために原価要素を分類集計する計算組織上の区分をいうとされる。計算上の区分なので組織上の部門と一致する必要はなく、建物部門や機械部門のように、組織として存在しない部門を計算のために設けることもできる。
  3. 3(A):建設業法施行規則の完成工事原価報告書の記載要領では、経費に含まれる「出張所等経費配賦額」を、複数の工事を管轄する出張所等で発生した諸経費を個別工事ごとに適正に計算した配分額を負担させる場合の科目と説明している。文章のとおりで正しい。
  4. 4(B):『原価計算基準』4(一)1 では、実際原価は実際の取得価格で計算するほか、予定価格等をもって計算しても、消費量を実際消費量によって計算する限り実際原価の計算になるとしている。資材の消費単価や賃率に予定価格を使っても、実際消費量(実際作業時間)に基づいていれば実際原価計算である。
  5. 5(B):『原価計算基準』11(四)では、材料の購入原価は購入代価に買入手数料・引取運賃・荷役費・保険料・関税などの材料副費(購入付帯費)の一部または全部を加算した金額とする。自社で負担した引取運賃や商社手数料は材料の購入原価に算入するのが原則で、経費とすべきというのは誤り。
引っかけ:1 は「単に〜のみ」「発生しないよう」という限定表現が誤りの合図になる。4 は予定価格を使えば予定原価計算だと思いがちだが、実際消費量に基づく限り実際原価計算である。5 は引取運賃などの購入付帯費(材料副費)を購入原価に含める原則を確認しておく。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第37回(2025年9月7日(日)実施) 第2問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する