第35回 第3問 論点:工事進行基準(原価比例法・見積工事原価の逆算)重要度 C配点 16点未着手

工事進行基準の完成工事高から各年度末の工事原価見積額を逆算

これは建設業経理士1級 原価計算 第35回(2024年9月8日(日)実施) 第3問(配点 16点)の問題です。論点は「工事進行基準(原価比例法・見積工事原価の逆算)」(重要度C・解答の形は金額(+記号A/B)、第30回のみ配賦表)。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘・現行の法令・基準との関係が読めます。

S建設株式会社が竣工したA工事に関する次の<資料>に基づいて、各年度末から完成までに要する工事原価の見積額はいくらであったかを計算し、解答用紙の所定の欄に記入しなさい。なお、計算の過程で端数が生じた場合は、計算途中では四捨五入せず、最終数値の千円未満を四捨五入すること。

第 1 年度末・第 2 年度末・第 3 年度末の各時点で、完成までに要すると見積もられていた工事原価の額を求めなさい。

  • 1.工事期間 4 年
  • 2.工事の契約金額(請負金額) 80,000 千円 なお、工事期間中、契約金額の変更はなかった。
  • 3.当初の工事原価総額 68,000 千円 なお、工事原価の見積額の見直しが各年度末に行われた。
  • 4.実際に発生した工事原価
第 1 年度第 2 年度第 3 年度第 4 年度
実際発生工事原価20,400 千円14,400 千円17,400 千円19,000 千円
  • 5.収益の認識基準に工事進行基準を採用した。ただし、工事進捗度の計算は原価比例法による。
  • 6.これ(上記 5)により計上されたA工事の完成工事高
第 1 年度第 2 年度第 3 年度第 4 年度
完成工事高24,000 千円16,000 千円20,000 千円20,000 千円

解答欄

千円
千円未満を四捨五入
千円
千円未満を四捨五入
千円
千円未満を四捨五入

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

第 1 年度末から完成までに要する工事原価の見積額47,600 千円
第 2 年度末から完成までに要する工事原価の見積額34,800 千円
第 3 年度末から完成までに要する工事原価の見積額17,400 千円

解き方

  1. 原価比例法では、完成工事高の累計 = 請負金額 × (実際発生原価の累計 ÷ その年度末の見積工事原価総額)。この式を変形すると、見積工事原価総額 = 請負金額 × 実際発生原価の累計 ÷ 完成工事高の累計。求めるのは「各年度末から完成までに要する見積額」なので、見積工事原価総額から実際発生原価の累計を差し引く。
  2. 第 1 年度末:完成工事高累計 24,000(進捗度 24,000 ÷ 80,000 = 30%)。見積総額 = 80,000 × 20,400 ÷ 24,000 = 68,000(当初の見積どおり)。完成までの見積額 = 68,000 - 20,400 = 47,600 千円。
  3. 第 2 年度末:完成工事高累計 24,000 + 16,000 = 40,000(進捗度 50%)。発生原価累計 20,400 + 14,400 = 34,800。見積総額 = 80,000 × 34,800 ÷ 40,000 = 69,600(1,600 千円の増額見直し)。完成までの見積額 = 69,600 - 34,800 = 34,800 千円。
  4. 第 3 年度末:完成工事高累計 60,000(進捗度 75%)。発生原価累計 34,800 + 17,400 = 52,200。見積総額 = 80,000 × 52,200 ÷ 60,000 = 69,600。完成までの見積額 = 69,600 - 52,200 = 17,400 千円。
  5. 検算:第 4 年度の実際発生原価は 19,000 で見積 17,400 を上回ったが、第 4 年度は完成年度なので完成工事高は残額 80,000 - 60,000 = 20,000 になる。実際の工事原価総額は 71,200 千円。
引っかけ:各年度の完成工事高(16,000 など)ではなく累計(40,000 など)で進捗度を求める。見積工事原価総額を答えるのではなく、そこから発生原価の累計を引いた「完成までに要する見積額」を答える。第 1 年度末は当初見積 68,000 のまま、第 2 年度末で 69,600 に見直されている点に注意する。
現行基準との関係:工事進行基準は現行の「収益認識に関する会計基準」では、一定の期間にわたり充足される履行義務について進捗度に基づき収益を認識する方法に引き継がれている。原価比例法(インプット法)による進捗度の計算は同じ考え方で使える。

同じ論点の過去問

第35回の前後の問題

建設業経理士1級 原価計算 過去問一覧(回別・論点別)

出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第35回(2024年9月8日(日)実施) 第3問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する