第29回 第3問 論点:品質原価計算・ライフサイクルコスト・VE重要度 B配点 14点未着手

車種選択のトータル・コスト(ライフサイクル・コスト)と時間価値を考慮した比較

これは建設業経理士1級 原価計算 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第3問(配点 14点)の問題です。論点は「品質原価計算・ライフサイクルコスト・VE」(重要度B・解答の形は金額(+記号A/B)、第30回のみ配賦表)。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。

当社は、自動車購入の決定にあたって、A、B、Cの 3 車種を候補に挙げている。取得原価のみならず、登録料・保険料・ガソリン代・定期点検代を加算し残存処分価額を減算して算定されるトータル・コスト(ライフサイクル・コスト)が最小となる車種を選択するため、各車種に関して比較しうる情報を集めたところ、次の<資料>のとおりであった。これに基づいて、下の設問に答えなさい。いずれの問も法人税の影響を無視すること。

問1 各車種(A〜C)のトータル・コストを計算し、最も有利な車種を記入しなさい。なお、本問では貨幣の時間価値を無視すること。

問2 貨幣の時間価値を考慮して、B車のトータル・コストを計算しなさい。

A車B車C車
取得原価100 万円125 万円140 万円
耐用年数4 年4 年4 年
残存処分価額(注)10 万円12 万円15 万円
登録料30,000 円/年30,000 円/年30,000 円/年
保険料100,000 円/年120,000 円/年170,000 円/年
走行距離50,000 km/年50,000 km/年50,000 km/年
燃費10 km/ℓ12.5 km/ℓ20 km/ℓ
ガソリン価格100 円/ℓ100 円/ℓ100 円/ℓ
定期点検間の走行距離25,000 km27,000 km30,000 km
定期点検代30,000 円/回30,000 円/回30,000 円/回
  • (注)耐用年数到来時の見積売却価額である。
  • ただし、上記のうち、取得原価は現時点(0 年度末)に全額支出し、それ以外の各費用の支出は各年度末に一括して生じるものとする。また、問2 における割引率は 10% とし、計算の際に使用する現価係数は次のとおりとする。
1 年2 年3 年4 年
現価係数0.90910.82640.75130.6830

解答欄

A車円B車円C車円最も有利な車種
A〜Cのうち一つを選ぶ
円

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

問1 トータル・コスト(時間価値を無視) A車3,630,000 円
問1 トータル・コスト(時間価値を無視) B車3,540,000 円
問1 トータル・コスト(時間価値を無視) C車3,230,000 円
問1 トータル・コスト(時間価値を無視) 最も有利な車種C
問2 B車のトータル・コスト(時間価値を考慮)3,074,345 円

解き方

  1. 年間のガソリン代 = 走行距離 ÷ 燃費 × ガソリン価格。A車:50,000 ÷ 10 × 100 = 500,000。B車:50,000 ÷ 12.5 × 100 = 400,000。C車:50,000 ÷ 20 × 100 = 250,000。4 年間では順に 2,000,000・1,600,000・1,000,000。
  2. 定期点検の回数は 4 年間の走行距離 200,000 km を点検間隔で割って求める。A車:200,000 ÷ 25,000 = 8 回になるが、8 回目は 200,000 km に達した耐用年数到来(売却)の時点に当たるので実施しないと考え、7 回 × 30,000 = 210,000。B車:200,000 ÷ 27,000 = 7.4… → 7 回 = 210,000。C車:200,000 ÷ 30,000 = 6.6… → 6 回 = 180,000。
  3. トータル・コスト = 取得原価 + 登録料 × 4 + 保険料 × 4 + ガソリン代 × 4 + 定期点検代 - 残存処分価額。A車:1,000,000 + 120,000 + 400,000 + 2,000,000 + 210,000 - 100,000 = 3,630,000。B車:1,250,000 + 120,000 + 480,000 + 1,600,000 + 210,000 - 120,000 = 3,540,000。C車:1,400,000 + 120,000 + 680,000 + 1,000,000 + 180,000 - 150,000 = 3,230,000。最小のC車が最も有利になる。
  4. 問2 はB車の支出を年度ごとに分けて割り引く。毎年の登録料 + 保険料 + ガソリン代 = 30,000 + 120,000 + 400,000 = 550,000。点検は 27,000 km ごとなので、1 年目(〜50,000 km)は 27,000 km の 1 回、2 年目(〜100,000 km)は 54,000・81,000 km の 2 回、3 年目(〜150,000 km)は 108,000・135,000 km の 2 回、4 年目(〜200,000 km)は 162,000・189,000 km の 2 回(合計 7 回)。
  5. 各年度末の支出:1 年目 550,000 + 30,000 = 580,000、2 年目 550,000 + 60,000 = 610,000、3 年目 610,000、4 年目 610,000 - 残存処分価額 120,000 = 490,000。現在価値:580,000 × 0.9091 = 527,278、610,000 × 0.8264 = 504,104、610,000 × 0.7513 = 458,293、490,000 × 0.6830 = 334,670。合計 1,824,345。
  6. 取得原価は現時点の支出なので割り引かない。B車のトータル・コスト(現在価値)= 1,250,000 + 1,824,345 = 3,074,345。
引っかけ:定期点検の回数を年数で割り切らずに、走行距離の累計で数える。A車は 200,000 ÷ 25,000 = 8 回とすると 3,660,000 になり誤り(8 回目は売却時点なので 7 回)。問2 では点検回数が年によって違う(1 年目 1 回、2〜4 年目 2 回)ことと、4 年目の支出から残存処分価額を差し引いてから割り引くことに注意する。取得原価は 0 年度末の支出なので現価係数を掛けない。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第3問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する