第29回 第4問 論点:標準原価計算と差異分析重要度 B配点 16点未着手

ロット別個別原価計算の標準原価と原価差異(材料数量・賃率・作業時間・製造間接費 4 分法)

これは建設業経理士1級 原価計算 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第4問(配点 16点)の問題です。論点は「標準原価計算と差異分析」(重要度B・解答の形は金額+記号(X/Y、A/B)、個数、記号選択)。採点すると、解き方 8 手順・引っかけの指摘が読めます。

当社は、建築用資材の標準規格品Pのロット別加工を行っている。そのため、製造指図書に集計された原価を製品原価とする個別原価計算のうち、複数以上の同種製品をひとまとめ(=1 ロット)にして生産する場合に適用されるロット別の個別原価計算を採用している。4 月中における次の<資料>に基づき、下の設問に答えなさい。

問1 各指図書別に 4 月の実際生産量に対する標準原価を計算しなさい。

問2 解答用紙に示す各原価差異を計算しなさい。なお、有利な差異には「A」、不利な差異には「B」を金額の前のカッコの中に記入すること。

  • 1.原価標準(=1 個当たりの標準原価) 標準原価カード
費目標準単価標準消費量標準原価
直接材料費@400 円8 kg3,200 円
直接労務費@400 円4 時間1,600 円
製造間接費@300 円4 時間1,200 円
計6,000 円
  • 2.製造間接費予算(月間) 基準操業度 15,000 直接作業時間 変動製造間接費予算 2,100,000 円 固定製造間接費予算 2,400,000 円
  • 3.材料実際消費量
#401#402#403
材料実際消費量8,800 kg11,000 kg7,500 kg
  • 4.材料の超過出庫量と戻入量 製造指図書が発行されると、その製造指図書で指示する製品全量の製造のために必要な材料標準消費量を倉庫から出庫している。材料が標準消費量を超えて消費される場合は、超過材料庫出請求書が発行され、この請求に基づいて標準消費量を超えた材料を出庫する。逆に材料の消費が標準消費量を下回った場合は材料戻入票とともに材料を倉庫に戻している。これらの書類による材料の超過出庫量と戻入量は次のとおりであった。
  • (1) 超過材料庫出請求書による超過材料消費量 #401 800 kg #403 1,100 kg
  • (2) 材料戻入票による材料戻入量 #402 1,000 kg
  • 5.直接工実際賃金消費額
#401#402#403
実際直接労務費1,566,720 円2,468,400 円726,240 円
実際作業時間3,840 時間6,050 時間1,780 時間
  • 6.製造間接費実際発生総額 4,028,500 円
  • 7.生産状況
  • (1) #401、#402 は 4 月中に完成したが、#403 は仕掛中である。#403 の 4 月末日における加工進捗度は、直接材料費については 100%、加工費については 50% であった。
  • (2) 月初時点での仕掛品は存在しなかった。
  • (3) 材料は受入時に価格差異を把握している。

解答欄

円
円
円
記号金額円
A=有利差異、B=不利差異
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円
記号金額円

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

問1 #401 の標準原価6,000,000 円
問1 #402 の標準原価9,000,000 円
問1 #403 の標準原価3,680,000 円
問2 #401 材料数量差異 記号B
問2 #401 材料数量差異 金額320,000 円
問2 #401 賃率差異 記号B
問2 #401 賃率差異 金額30,720 円
問2 #401 作業時間差異 記号A
問2 #401 作業時間差異 金額64,000 円
問2 #402 材料数量差異 記号A
問2 #402 材料数量差異 金額400,000 円
問2 #402 賃率差異 記号B
問2 #402 賃率差異 金額48,400 円
問2 #402 作業時間差異 記号B
問2 #402 作業時間差異 金額20,000 円
問2 #403 材料数量差異 記号B
問2 #403 材料数量差異 金額440,000 円
問2 #403 賃率差異 記号B
問2 #403 賃率差異 金額14,240 円
問2 #403 作業時間差異 記号B
問2 #403 作業時間差異 金額72,000 円
問2 予算差異 記号A
問2 予算差異 金額5,300 円
問2 変動費能率差異 記号B
問2 変動費能率差異 金額9,800 円
問2 固定費能率差異 記号B
問2 固定費能率差異 金額11,200 円
問2 操業度差異 記号B
問2 操業度差異 金額532,800 円

解き方

  1. 各指図書の生産量(ロットの個数)は資料に示されていないので、材料の出庫記録から逆算する。指図書の発行時に製品全量の標準消費量(1 個 8 kg)を出庫しているから、実際消費量 - 超過出庫量 + 戻入量 = 標準消費量になる。#401:8,800 - 800 = 8,000 kg → 8,000 ÷ 8 = 1,000 個。#402:11,000 + 1,000 = 12,000 kg → 1,500 個。#403:7,500 - 1,100 = 6,400 kg → 800 個。
  2. 問1 標準原価:完成した #401・#402 は生産量 × 6,000。#401:1,000 × 6,000 = 6,000,000。#402:1,500 × 6,000 = 9,000,000。仕掛中の #403 は進捗度で分ける。直接材料費 800 個 × 100% × 3,200 = 2,560,000、加工費(直接労務費 1,600 + 製造間接費 1,200 = 2,800)は 800 個 × 50% = 400 個 × 2,800 = 1,120,000。合計 3,680,000。
  3. 材料数量差異 =(標準消費量 - 実際消費量)× 標準単価 400。#401:(8,000 - 8,800) × 400 = -320,000(B)。#402:(12,000 - 11,000) × 400 = +400,000(A)。#403:(6,400 - 7,500) × 400 = -440,000(B)。価格差異は受入時に把握済みなので、ここでは数量差異だけを計算する。
  4. 賃率差異 = 標準賃率 400 × 実際時間 - 実際直接労務費。#401:400 × 3,840 = 1,536,000 - 1,566,720 = -30,720(B)。#402:400 × 6,050 = 2,420,000 - 2,468,400 = -48,400(B)。#403:400 × 1,780 = 712,000 - 726,240 = -14,240(B)。実際賃率はいずれも 408 円で、1 時間当たり 8 円の不利差異になる。
  5. 作業時間差異 =(標準時間 - 実際時間)× 400。標準時間は #401 1,000 × 4 = 4,000、#402 1,500 × 4 = 6,000、#403 400 × 4 = 1,600(加工進捗度 50% の完成品換算量で計算する)。#401:(4,000 - 3,840) × 400 = +64,000(A)。#402:(6,000 - 6,050) × 400 = -20,000(B)。#403:(1,600 - 1,780) × 400 = -72,000(B)。
  6. 製造間接費(4 分法):変動費率 = 2,100,000 ÷ 15,000 = 140、固定費率 = 2,400,000 ÷ 15,000 = 160(合計 300)。実際時間合計 = 3,840 + 6,050 + 1,780 = 11,670、標準時間合計 = 4,000 + 6,000 + 1,600 = 11,600。
  7. 予算差異 = 実際時間に対する予算許容額 - 実際発生額 =(140 × 11,670 + 2,400,000)- 4,028,500 = 4,033,800 - 4,028,500 = +5,300(A)。変動費能率差異 = 140 × (11,600 - 11,670) = -9,800(B)。固定費能率差異 = 160 × (11,600 - 11,670) = -11,200(B)。操業度差異 = 160 × (11,670 - 15,000) = -532,800(B)。
  8. 検算:標準配賦額 300 × 11,600 = 3,480,000 - 実際 4,028,500 = -548,500 = +5,300 - 9,800 - 11,200 - 532,800。
引っかけ:生産量が資料にないので「実際消費量 - 超過出庫量 + 戻入量 = 標準消費量」から逆算する。#402 は戻入なので足し、#401・#403 は超過出庫なので引く。#403 は材料費 100%・加工費 50% なので、標準原価も作業時間差異の標準時間も完成品換算量(400 個)で計算する。製造間接費の能率差異は変動費と固定費に分けて 4 分法にし、操業度差異は実際時間と基準操業度の差に固定費率を掛ける(標準時間との差ではない)。予算差異だけが有利(A)になる点も符号を確かめる。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 原価計算 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する