損益分岐点分析(安全余裕率からの損益分岐点完成工事高・資本回収点・変動費・目標利益達成と固定費増加時の目標営業利益率達成の完成工事高)
これは建設業経理士1級 財務分析 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第4問(配点 15点)の問題です。論点は「損益分岐点分析(固変分解・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益)」(重要度A・解答の形は3点×5の計算問題。3月実施回(第30・32・34・36・38回)は損益分岐点分析、9月実施回(第29・31・33・35・37・39回)は生産性分析(うち第31・35・39回は問5で経常利益段階の損益分岐点比率、第29回は問3が完成工事高総利益率))。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。
次の<資料>に基づき、下記の設問に答えなさい。なお、解答に際しての端数処理については、解答用紙の指定のとおりとする。
問1 損益分岐点の完成工事高を求めなさい。
問2 資本回収点の完成工事高を求めなさい。
問3 第5期の変動費を求めなさい。
問4 第6期の目標利益を 2,200 千円としたときの完成工事高を求めなさい。なお、変動費率と固定費は第5期と同じとする。
問5 第7期には経営能力拡大のため、880 千円の固定費の増加が見込まれている。第7期の完成工事高営業利益率 5% として、これを達成するための完成工事高を求めなさい。なお、変動費率は第5期と同じとする。
| <資料>第5期 | 数値 |
|---|---|
| 完成工事高 | 80,000 千円 |
| 安全余裕率 | 4.50 %(分子に安全余裕額を用いる) |
| 固定費 | 24,448 千円 |
| 負債合計金額 | 39,360 千円 |
| 自己資本比率 | 38.50 % |
| 変動的資本 | 総資本の 70.00 %とする |
解答欄 主要比率表(算式)を別タブで開く
正解
| 問1 損益分岐点の完成工事高 | 76,400 千円 |
|---|---|
| 問2 資本回収点の完成工事高 | 43,636 千円 |
| 問3 第5期の変動費 | 54,400 千円 |
| 問4 第6期の目標利益 2,200 千円を達成する完成工事高 | 83,275 千円 |
| 問5 第7期の完成工事高営業利益率 5% を達成する完成工事高 | 93,807 千円 |
解き方
- 問1 安全余裕率(分子に安全余裕額)=(実際の完成工事高−損益分岐点の完成工事高)÷実際の完成工事高×100=4.50% → 安全余裕額=80,000×4.5%=3,600。損益分岐点の完成工事高=80,000−3,600=76,400 千円。
- 問3 損益分岐点では限界利益=固定費なので、限界利益率=固定費÷損益分岐点の完成工事高=24,448÷76,400=0.32。変動費率=1−0.32=0.68。第5期の変動費=80,000×0.68=54,400 千円。検算:80,000−54,400−24,448=1,152 の営業利益で、76,400×0.32−24,448=0 になる。
- 問2 自己資本比率=自己資本÷総資本×100=38.50% なので負債合計は総資本の 61.5% → 総資本=39,360÷0.615=64,000。変動的資本=64,000×70%=44,800、固定的資本=64,000−44,800=19,200。資本回収点の完成工事高=固定的資本÷(1−変動的資本÷完成工事高)=19,200÷(1−44,800÷80,000)=19,200÷0.44=43,636.36… → 43,636 千円。
- 問4 目標利益達成の完成工事高=(固定費+目標利益)÷限界利益率=(24,448+2,200)÷0.32=26,648÷0.32=83,275 千円。検算:83,275×0.32−24,448=2,200。
- 問5 第7期の固定費=24,448+880=25,328。完成工事高をSとすると営業利益=0.32S−25,328 で、これが 0.05S になればよい → 0.27S=25,328 → S=25,328÷(0.32−0.05)=93,807.4… → 93,807 千円。算式では固定費÷(限界利益率−目標利益率)。
引っかけ:安全余裕率は「分子に安全余裕額を用いる」と指定されているので、4.5%=安全余裕額÷実際の完成工事高。実際の完成工事高÷損益分岐点の完成工事高の式と取り違えない。問2 の資本回収点は損益分岐点と同じ形の式に固定的資本・変動的資本を当てはめるもので、総資本は自己資本比率から逆算する(負債 39,360 を総資本と勘違いしない)。問5 は目標が利益額ではなく利益率なので、固定費÷(限界利益率−目標利益率)で解く。
同じ論点の過去問
第39回 第1問 問1目標利益達成のための完成工事高の計算方法
第39回 第1問 問2安全余裕率と損益分岐点比率の関係
第38回 第2問 4経常利益段階の損益分岐点分析における固定費・変動費の区分(正誤)
第38回 第4問 損益分岐点分析(限界利益・損益分岐点完成工事高・安全余裕率・金利負担能力からの逆算・目標営業利益率の完成工事高)
第36回 第4問 損益分岐点分析(高低点法による固変分解・損益分岐点完成工事高・安全余裕率・固定費増加時の目標営業利益率達成の完成工事高)
論点ページ:損益分岐点分析(固変分解・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益)の要点この論点の出題実績とよくある間違い
→第34回の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務分析 第34回(2024年3月10日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する