損益分岐点分析(安全余裕率からの完成工事高の逆算・資本回収点・固定費・慣行的区分による営業利益率・固定費増加時の目標利益達成の完成工事高)

これは建設業経理士1級 財務分析 第30回(2022年3月13日(日)実施) 第4問(配点 15点)の問題です。論点は「損益分岐点分析(固変分解・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益)」(重要度A・解答の形は3点×5の計算問題。3月実施回(第30・32・34・36・38回)は損益分岐点分析、9月実施回(第29・31・33・35・37・39回)は生産性分析(うち第31・35・39回は問5で経常利益段階の損益分岐点比率、第29回は問3が完成工事高総利益率))。採点すると、解き方 6 手順・引っかけの指摘が読めます。

次の<資料>に基づき、下記の問に答えなさい。なお、解答に際しての端数処理については、解答用紙の指定のとおりとする。

問1 第5期の完成工事高を求めなさい。

問2 第5期の資本回収点の完成工事高を求めなさい。

問3 第5期の固定費を求めなさい。

問4 損益分岐点比率の数値が、建設業における慣行的な区分による固定費と変動費に分ける方法によって求めた損益分岐点比率と同じであり、営業外損益は支払利息 ¥214,000 のみであると仮定したとき、第5期の完成工事高営業利益率を求めなさい。

問5 第6期の目標利益を ¥1,500,000 としたときの完成工事高を求めなさい。なお、変動費率は第5期と同じであり、固定費は第5期と比べて ¥1,000,000 の増加が見込まれているとする。

  • <資料> 第5期
項目数値
1.損益分岐点の完成工事高¥58,497,000
2.変動費¥43,003,200
3.完成工事高総利益率15.0 %
4.安全余裕率7.5 %(分子は安全余裕の金額を用いている)
5.変動的資本総資本の 75.0 %
6.総資本回転率1.2 回(総資本は期中平均ではなく期末資本を用いている)

解答欄 主要比率表(算式)を別タブで開く

千円
千円未満を切り捨て
千円
千円未満を切り捨て
千円
千円未満を切り捨て
%
小数点第3位を四捨五入し、第2位まで記入
千円
千円未満を切り捨て

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

問1 第5期の完成工事高63,240 千円
問2 第5期の資本回収点の完成工事高35,133 千円
問3 第5期の固定費18,719 千円
問4 第5期の完成工事高営業利益率1.15 %(別解 1.46 %)
問5 第6期の目標利益 ¥1,500,000 を達成する完成工事高66,309 千円

解き方

  1. 問1 安全余裕率(分子は安全余裕額)=(完成工事高−損益分岐点完成工事高)÷完成工事高×100=7.5%。完成工事高をSとすると S−58,497,000=0.075S → 0.925S=58,497,000 → S=63,240,000 円 → 63,240 千円。損益分岐点比率は 58,497,000÷63,240,000=92.5%(=100%−7.5%)。
  2. 問2 総資本回転率=完成工事高÷総資本(期末)=1.2 回 → 総資本=63,240,000÷1.2=52,700,000。変動的資本=52,700,000×75%=39,525,000、固定的資本=52,700,000−39,525,000=13,175,000。変動的資本率=39,525,000÷63,240,000=0.625。資本回収点の完成工事高(総資本=完成工事高となる点)=固定的資本÷(1−変動的資本率)=13,175,000÷(1−0.625)=13,175,000÷0.375=35,133,333.3… → 35,133 千円。
  3. 問3 変動費率=43,003,200÷63,240,000=0.68、限界利益率=1−0.68=0.32。損益分岐点では限界利益=固定費なので、固定費=損益分岐点完成工事高×限界利益率=58,497,000×0.32=18,719,040 円 → 18,719 千円。検算:18,719,040÷0.32=58,497,000。
  4. 問4 建設業の慣行的な区分では、完成工事原価を変動費、販売費及び一般管理費と支払利息を固定費とし、損益分岐点比率=(販売費及び一般管理費+支払利息)÷(完成工事総利益+営業外収益−営業外費用+支払利息)×100 で求める。完成工事総利益=63,240,000×15%=9,486,000。営業外損益が支払利息のみなので営業外収益・営業外費用を 0 とみて分母=9,486,000+214,000=9,700,000 とし、92.5%=(販売費及び一般管理費+214,000)÷9,700,000 → 販売費及び一般管理費=9,700,000×0.925−214,000=8,758,500、営業利益=9,486,000−8,758,500=727,500、完成工事高営業利益率=727,500÷63,240,000×100=1.150… → 1.15% としている。
  5. 問4(別解)主催者の主要比率表の算式では分母の営業外費用に支払利息が含まれるので、営業外損益が支払利息のみなら「−営業外費用+支払利息」は相殺され、分母(限界利益)は完成工事総利益 9,486,000 そのものになる。この読み方では 販売費及び一般管理費+214,000=9,486,000×0.925=8,774,550 → 販売費及び一般管理費=8,560,550、営業利益=9,486,000−8,560,550=925,450、完成工事高営業利益率=925,450÷63,240,000×100=1.463… → 1.46% になる。このサイトでは 1.15% を正解、1.46% を別解として扱う。
  6. 問5 第6期の固定費=18,719,040+1,000,000=19,719,040。変動費率 0.68(限界利益率 0.32)は同じ。目標利益達成の完成工事高=(固定費+目標利益)÷限界利益率=(19,719,040+1,500,000)÷0.32=21,219,040÷0.32=66,309,500 円 → 66,309 千円。検算:66,309,500×0.32−19,719,040=1,500,000。
引っかけ:問1 は安全余裕率の分子が「安全余裕額」なので 完成工事高×(1−0.075)=損益分岐点 と置く。分子に完成工事高を用いる方の算式(完成工事高÷損益分岐点)と混同しない。問2 の資本回収点は変動費率ではなく変動的資本率(変動的資本÷完成工事高)で割る。資料の金額は円、解答は千円なので単位換算(千円未満切り捨て)を忘れない。問4 は慣行的区分の損益分岐点比率の算式で分母の「−営業外費用+支払利息」の扱いにより答えが変わる(1.15% と 1.46%)ので、営業外収益・営業外費用を 0 とみる考え方と、主要比率表どおりの考え方の両方を押さえておく。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士1級 財務分析 第30回(2022年3月13日(日)実施) 第4問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する