建築工事の用語の説明と施工上の留意事項(14語から5つ)
これは2級建築施工管理技士 第二次検定 令和元年度(2019年11月10日(日)実施) 問題2の問題です。論点は「用語の説明」(重要度A・解答の形は記述)。採点すると、解き方 3 手順・引っかけの指摘が読めます。
次の建築工事に関する用語a.からn.のうちから5つ選び,その用語の説明と施工上留意すべきことを具体的に記述しなさい。
ただし,a.及びn.以外の用語については,作業上の安全に関する記述は不可とする。また,使用資機材に不良品はないものとする。
用語 a.足場の手すり先行工法 b.型枠のセパレータ c.軽量鉄骨壁下地のスペーサー d.鋼矢板 e.コンクリートのスランプ f.セルフレベリング材工法 g.鉄筋工事のスペーサー h.内壁タイルの接着剤張り工法 i.被覆アーク溶接 j.防水工事の脱気装置 k.木工事の大引き l.木造住宅の気密シート m.ルーフドレン n.陸墨
(当サイトでは一覧のすべての用語に記述例を載せています。自己採点は本試験と同じく,選んだ5つの用語で行ってください。)
解答欄
正解
足場の組立て時に作業床に乗る前に最上層の手すりを先行して設け,解体時は作業床を外すまで手すりを残す,墜落防止のための工法をいう。施工にあたっては,手すり先行専用の足場又は先行手すり機材を用い,作業主任者の指揮のもと定めた手順で行い,手すりのない作業床に乗らない。
131 字足場の組立て・解体のすべての段階で,作業床の端に手すりがある状態を保つ工法をいう。施工にあたっては,組立て・解体の手順を作業計画に定め,手すり枠等は上層の作業床を設ける前に取り付け,解体時は作業床を撤去してから手すりを外す。
足場の最上層に手すりを先に取り付けてから作業床に乗る,墜落防止を目的とした足場の組立て方法をいう。施工にあたっては,先行して設けた手すりは組立て後も常設の手すり(高さ85cm以上,中さん付き)として使い,作業のため一時的に外したときは直ちに元に戻す。
相対する型枠のせき板の間隔を所定の寸法に保つために用いる鋼製の部材をいい,フォームタイ等と組み合わせて締付け金物とする。施工にあたっては,打放し仕上げの面にはコーン付きのものを用い,コーンを外した穴は防水剤入りモルタル等で埋める。
115 字型枠のせき板の間に入れて間隔を保ち,締付け金物とともに側圧を受ける棒状の金物をいう。施工にあたっては,仕上げのない面では型枠取外し後にセパレータの頭を除去し,その跡に錆止め塗料を塗る。
両側のせき板をつなぎ,壁や梁の厚さを所定の寸法に保つ型枠用の金物をいう。施工にあたっては,水密性が求められる地下外壁には止水板付きのセパレータを用い,セパレータを伝う漏水を防ぐ。
軽量鉄骨壁下地でスタッドの溝に取り付け,スタッドのねじれを防ぎ振れ止めを固定する金物をいう。施工にあたっては,各スタッドの端部を押さえて間隔600mm程度に留め付け,振れ止めを通した位置ではスペーサーで振れ止めを押さえて固定する。
115 字スタッドに差し込んでスタッドの形状を保ち,振れ止めを固定するための金物をいう。施工にあたっては,振れ止めを取り付ける前にスタッドに差し込み,端部を押さえて間隔600mm程度に配置する。
スタッドのねじれを防ぎ,振れ止めを所定の位置に保持する壁下地の部材をいう。施工にあたっては,スタッドがコンクリート壁等に添え付く場合は,スペーサーで振れ止め上部を押さえ,必要に応じてスタッドを壁に固定する。
断面がU形などの鋼製の矢板を継手でかみ合わせて連続して打ち込み,山留め壁とするものをいい,遮水性がある。施工にあたっては,継手のかみ合わせを確実にして鉛直に打ち込んで所定の根入れ長さを確保し,引抜き後の空隙には砂を充填して周辺地盤の沈下を防ぐ。
122 字継手をかみ合わせて連続した壁をつくる鋼製の矢板をいい,地下水位の高い地盤の山留め壁に用いる。施工にあたっては,打込み中は鉛直精度と継手の離脱がないことを確認し,傾いたときは打ち直す。
鋼製の矢板を連続して打ち込み,土と地下水を止める山留め壁とするものをいう。施工にあたっては,近接する建物や埋設物がある場合は振動・騒音の少ない圧入工法を選び,引抜き時の地盤沈下に注意する。
フレッシュコンクリートの軟らかさを表す値をいい,スランプコーンに詰めたコンクリートのコーンを引き上げた後の頂部の下がりをcmで表す。施工にあたっては,荷卸し地点で受入れ検査を行い,スランプ8~18cmでは許容差±2.5cm以内であることを確認し,現場で加水しない。
132 字スランプ試験で測るコンクリートの流動性の程度をいい,コーンを抜いた後の頂部の下がりの量で表す。施工にあたっては,スランプが許容差を超えたときは,水セメント比を変えずに調合の調整や運搬方法の改善を行う。
フレッシュコンクリートの軟らかさの程度をいい,スランプコーンを引き上げた後の下がりをcmで表す。施工にあたっては,大きいと材料分離やブリーディングが増え,小さいと充填不良が生じるため,打込み箇所に応じた値(標準では柱・梁・スラブ・壁は18cm)とする。
流動性の高いセメント系やせっこう系の材料を床に流し込み,自らの流動性で平たんな床下地をつくる工法をいう。施工にあたっては,下地に吸水調整材を塗って乾燥させてから流し,標準塗厚は10mm程度とし,硬化するまでは窓や開口部をふさいで通風を避け,養生期間は7日以上とする。
133 字セルフレベリング材を流し込み,こてで均さずに平たんな床下地をつくる工法をいう。施工にあたっては,気温が5℃以下の場合は施工せず,やむを得ず施工するときはシート掛け等を行ってヒーター等で採暖する。
自己流動性のある材料を所定のレベルに流し込み,平滑な床下地とする工法をいう。施工にあたっては,硬化後に打継ぎ部や気泡跡の周辺の突起をサンダー等で削り取り,へこみは製造所の指定する材料で補修する。
鉄筋と型枠の間隔を保ち,所定のかぶり厚さを確保するために用いる部材をいい,鋼製・コンクリート製・プラスチック製がある。施工にあたっては,作業荷重に耐えるものを用い,鋼製のものは型枠に接する部分に防錆処理を行ったものとし,一般にスラブでは間隔0.9m程度に配置する。
132 字鉄筋を所定の位置に保持し,型枠との間にかぶり厚さを確保するための部材をいう。施工にあたっては,梁・柱の側面には型枠に接する部分を防錆処理した鋼製又はプラスチック製のものを用い,一般に間隔1.5m程度,端部は1.5m以内に配置する。
鉄筋のかぶり厚さを確保するため,鉄筋と型枠や捨てコンクリートの間に設ける部材をいう。施工にあたっては,スラブ上端筋がコンクリート打込み時の歩行で下がらないよう,スペーサー(バーサポート)の数と位置を確認する。
内装タイルを,下地に塗布した有機系接着剤で張り付ける工法をいう。施工にあたっては,下地を十分に乾燥させ,接着剤の1回の塗布面積は製造所の仕様により張付け可能時間内に張り終える範囲とし,くし目ごては壁面に60°の角度を保ってくし目を立てる。
119 字有機系接着剤を下地にくし目ごてで塗り付け,内壁タイルを張り付ける工法をいう。施工にあたっては,裏あしのあるタイルは裏あしの方向とくし目の方向が平行にならないように張り付け,手でもみ込んだ後にたたき押さえる。
モルタルを使わず,有機系接着剤で内壁にタイルを張る工法をいう。施工にあたっては,目地詰めは接着剤の硬化状態を確認してから行い,目地の深さはタイル厚さの1/2以下とする。
被覆剤を塗った溶接棒と母材の間にアークを発生させ,被覆剤から生じるガスとスラグで溶融金属を大気から保護して行う手溶接をいう。施工にあたっては,吸湿した溶接棒は乾燥してから使い,気温が-5℃未満では溶接せず,-5~5℃では溶接線から100mm程度の範囲を加熱して溶接する。
135 字被覆溶接棒を用い,アーク熱で溶接棒と母材を溶かして接合する手溶接をいう。施工にあたっては,溶接部の水分・錆・油・塗料を除去し,開先の形状と組立て精度を確認してから溶接する。
被覆剤を塗った溶接棒を電極としてアークを発生させる溶接方法をいう。施工にあたっては,溶接棒は乾燥した状態で保管し,被覆剤のはく脱や吸湿のあるものは使用せず,吸湿の疑いがあるものは乾燥してから使用する。
絶縁工法の防水層で,下地の水分が気化した水蒸気を外部に排出し,防水層のふくれを防ぐための装置をいう。施工にあたっては,種類と設置数量は特記又は防水材製造所の指定により,一般に25~100m²に1個程度を平場に均等に配置し,取合いは増張りして水密に納める。
127 字防水層の下の湿気を外部に逃がし,防水層のふくれを防ぐために設ける装置をいう。施工にあたっては,水蒸気がたまりやすい位置にも配置し,絶縁層の通気が連続するように取り付ける。
絶縁工法や断熱工法の防水層で,下地からの水蒸気を排出するための装置をいう。施工にあたっては,脱気装置の周囲は防水層を密着させ,排気口から雨水が浸入しない向きと高さに取り付ける。
木造の1階床組で,床束の上に架け渡して根太を受ける横架材をいい,一般に90mm角程度を間隔900mm程度に配置する。施工にあたっては,継手は床束心から150mm程度持ち出した腰掛けあり継ぎで釘2本打ちとし,床束の上部は大引に道切りほぞ差しとする。
123 字1階の床組で根太を支える横架材をいい,床束で支持する。施工にあたっては,大引の上端の高さを水糸を張って床束で調整し,土台との取合いは腰掛け又は乗せ掛けとして釘2本打ちとする。
床束の上に載せて根太を支える1階床組の部材をいう。施工にあたっては,大引には乾燥した材を用い,継手の位置を乱にして,床鳴りや不陸が生じないようにする。
断熱材の室内側に連続して張り,室内の湿気が壁体内に入って結露するのを防ぎ,すき間風を防ぐポリエチレン等のシートをいう。施工にあたっては,継目は下地材のある部分で30mm以上重ねて間隔200mm程度でステープル留めとしてボード等で挟み付け,配管回りは気密テープで処理する。
135 字木造住宅の壁・天井の室内側に張り,気密性と防湿性を確保するシートをいう。施工にあたっては,たるみやしわのないように張り,コンセントボックスや配管の貫通部は気密テープ等で隙間なく留め付ける。
室内側で連続した気密層をつくり,壁体内結露を防ぐためのシートをいう。施工にあたっては,破れた部分は防湿材や気密テープで補修し,室内側で途切れのない気密層とする。
屋上やひさしなどの雨水を集めて縦どいへ流す排水金物をいう。施工にあたっては,躯体コンクリートの打込み時に周囲の床面より一段下げた所定の位置と高さに先付けで据え付け,アスファルト防水では最下層に幅300mm以上のストレッチルーフィングで増張りする。
123 字陸屋根やバルコニーの排水口に設け,雨水を縦どいに導く金物をいう。施工にあたっては,ルーフドレンに向かって床の水勾配を確保し,ドレン回りのコンクリートは空隙が生じないように充填する。
屋根面の雨水を集めて排水管へ流すための排水口の金物をいう。施工にあたっては,防水層をドレンのつばに確実に張り掛けて増張りし,ストレーナーを取り付けてごみによる詰まりを防ぐ。
各階の柱や壁に,床仕上げ面から一定の高さ(一般に1m)の水平を示すために打つ墨をいい,建具・天井・仕上げの高さの基準となる。施工にあたっては,各階の陸墨は1階の基準高さから鋼製巻尺で実測して出し,階ごとの順送りによる誤差の累積を避ける。
118 字水平の基準を示すために柱や壁に打つ墨をいい,床仕上げ面から一定の高さに打つ。施工にあたっては,柱・壁の各面に連続して打ち,仕上げ工事で消える部分に備えて逃げ墨を残しておく。
高さの基準として柱や壁に水平に打つ墨をいう。施工にあたっては,高い位置に陸墨を打つときは脚立や足場の作業床を安定させ,墜落しないように作業する。
模範解答・別解は当サイトが作成したものです(主催者は記述式の解答を公表していません)。
解き方
- 各用語について「用語の説明」と「施工上留意すべきこと」の両方を書く(どちらかが欠けると点にならない)。記述例は,1文目で用語を説明し,2文目で施工上の留意事項を述べる形にした。a.・n.以外は作業上の安全に関する留意事項は不可なので,品質・精度・仕上りの観点で書く。
- 根拠:セパレータの頭の処理(標仕 6.8.5),軽量鉄骨壁下地のスペーサー間隔600mm程度(標仕 14.5.4),スランプの許容差(標仕 表6.5.1),セルフレベリング材の塗厚10mm程度・養生7日以上(標仕 15.5.2・15.5.5),鉄筋のスペーサー(標仕 5.3.3),接着剤張りのくし目60°(標仕 11.3.5),被覆アーク溶接の溶接棒の吸湿・低温時の措置(標仕 7.6.4・7.6.8),脱気装置(標仕 9.2.4・9.3.3),大引の継手(標仕 12.4.2),防湿フィルムの継目(公共建築木造工事標準仕様書 20.2.4),ルーフドレン回りの増張り(標仕 9.2.4)。鉄筋のスペーサーの間隔,脱気装置の数量の目安,陸墨の高さは一般的な値。
- 鋼矢板の引抜き後の処置は建築基準法施行令第136条の3第6項(矢板等の抜取りに際しての周辺地盤の沈下による危害の防止)にも関わる。
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令和元年度の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した2級建築施工管理技士 第二次検定 令和元年度(2019年11月10日(日)実施) 問題2。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する