災害の防止(墜落・公衆災害・工事用電力設備)
これは1級建築施工管理技士 第二次検定 令和8年度(2026年10月18日(日)実施) 問題2の問題です。論点は「安全管理」(重要度B・解答の形は記述)。採点すると、解き方 5 手順・引っかけの指摘が読めます。
建築工事における次の1.から3.の災害について,施工計画に当たり検討すべき事項として,災害の発生するおそれのある状況又は作業内容と災害を防止するための対策を,それぞれ2つ具体的に記述しなさい。
ただし,1.から3.の解答はすべて異なる内容の記述とし,保護帽の着用,要求性能墜落制止用器具の使用,絶縁用保護具の着用,朝礼時の注意喚起,点検や整備等の日常管理,安全衛生管理組織,新規入場者教育,資格や免許に関する記述は除くものとする。
なお,3.は,電力の引込口から分電盤(分電盤を含む)までの区間を対象とする。
1. 墜落,転落による災害
2. 公衆災害
3. 工事用電力設備による災害
解答欄
正解
【状況】外部足場上で外壁のタイル張り等を行う際,作業床の端部から墜落するおそれがある。【対策】作業床の外側に高さ85cm以上の手すりと高さ35〜50cmの中桟,高さ15cm以上の幅木を設ける。
96 字【状況】屋上の防水・笠木取付けの作業で,パラペットの外側へ墜落するおそれがある。【対策】外部足場をパラペット天端より上まで立ち上げ,最上層に高さ85cm以上の手すりと中桟を設ける。
【状況】躯体工事中の階段室で手すりが未設置のため,昇降時に階段の側面から転落するおそれがある。【対策】階段の側面に高さ85cm以上の仮設手すりと中桟を設ける。
【状況】エレベーターシャフトや設備配管用の床開口部から,躯体・内装の作業中に墜落するおそれがある。【対策】開口部にずれ止め付きの覆いを固定して開口部である旨を表示するか,手すり付きの囲いを設ける。
98 字【状況】天井下地の組立てで脚立の天板に乗って作業し,転落するおそれがある。【対策】脚立に替えて手すり付きの可搬式作業台や移動式室内足場を用い,作業床の高さを作業に合わせる。
【状況】外部足場の昇降時に,はしごや階段の踏外しで転落するおそれがある。【対策】昇降設備は手すり付きの階段とし,足場の各層に通じるよう計画して,はしごでの昇降をなくす。
【状況】12m道路に面した工事ゲートから生コン車や資材車両が出入りする際,歩行者や一般車両と接触するおそれがある。【対策】ゲートに回転灯と警報ブザーを設け,車両の出入り時は誘導員が歩行者を一時停止させて誘導する。
106 字【状況】アースドリル杭の掘削で出る泥土が車両のタイヤに付着し,道路を汚して通行車両がスリップするおそれがある。【対策】ゲートの手前に洗車設備を設けてタイヤを洗浄し,場内の泥水は沈殿槽で処理する。
【状況】移動式クレーンでの揚重時に,つり荷が道路上空を旋回して落下し,通行人に当たるおそれがある。【対策】クレーンの据付け位置と作業半径を検討し,つり荷の旋回範囲を敷地内に限定する。
【状況】外壁工事中に,工具や資材が足場から道路側へ飛来・落下し,通行人に当たるおそれがある。【対策】足場の外側全面にメッシュシートを張り,道路側には2段以上の防護棚(朝顔)を設ける。
91 字【状況】根切り・山留め工事に伴い,前面道路や隣接地の地盤が沈下し,通行人や埋設管に被害を与えるおそれがある。【対策】山留めの変位と周辺地盤の沈下を定期的に計測し,管理値を超える前に切梁の追加等を行う。
【状況】仮囲いの出入口を開けたまま作業し,第三者が場内に立ち入って資材の落下等により負傷するおそれがある。【対策】出入口は作業時以外は閉鎖・施錠し,仮囲いは高さ3m程度の鋼板製として隙間なく設ける。
【状況】敷地内の仮設受電設備(キュービクル)に第三者や作業員が近づき,充電部に触れて感電するおそれがある。【対策】キュービクルの周囲に施錠できる柵を設け,関係者以外立入禁止と危険の表示を掲げる。
97 字【状況】架空の引込線の下で移動式クレーンやポンプ車のブームを操作し,引込線に接触して感電するおそれがある。【対策】引込線の経路を揚重作業の範囲から外し,近接する場合は電力会社に絶縁防護管の取付けを依頼する。
【状況】受電設備から分電盤への幹線ケーブルを通路に這わせ,車両の通過で被覆が損傷して感電するおそれがある。【対策】幹線は架空配線とするか,防護管に入れて埋設し,通路の横断部には表示をする。
【状況】分電盤から電動工具などへ給電する分岐回路で漏電が生じ,作業員が感電するおそれがある。【対策】分電盤の分岐回路に高感度高速形の感電防止用漏電遮断器を設け,分電盤の外箱を接地する。
92 字【状況】屋外に設けた分電盤に雨水が浸入し,漏電や短絡による感電・火災のおそれがある。【対策】防雨形の分電盤を用い,水がたまらない高さで架台に固定し,扉は施錠する。
【状況】分電盤の扉が開いたまま充電部が露出し,作業員が触れて感電するおそれがある。【対策】充電部が露出しない構造の分電盤とし,扉は施錠して管理者を定め,盤面に危険表示をする。
模範解答・別解は当サイトが作成したものです(主催者は記述式の解答を公表していません)。
解き方
- それぞれの災害について,施工計画の段階で検討する「どこで・どの作業で起こるか(状況)」と「設備・計画による対策」を組にして書く。保護具・墜落制止用器具・点検・朝礼・教育・資格・組織は除外されているので,手すり・覆い・柵・防護棚・遮断器などの設備と,配置・経路・時間などの計画で答える。
- 墜落・転落:労働安全衛生規則第519条(作業床の端・開口部の囲い,手すり,覆い等)と第563条(足場の作業床の手すり等。わく組足場以外は高さ85cm以上の手すり等と高さ35〜50cmの中桟等,物の落下防止に高さ10cm以上の幅木等)による。
- 公衆災害:建設工事公衆災害防止対策要綱(建築工事等編)により,工事を行う部分の高さが地盤面から10m以上なら1段以上,20m以上なら2段以上の防護棚を設ける。最高高さ24.5mの本問の建物では2段以上となる。車両の出入口の誘導・表示,道路の汚損防止,周辺地盤の沈下の計測も公衆災害の防止策である。
- 工事用電力設備:対象は引込口から分電盤まで(引込線・受電設備・幹線・分電盤)。受電設備の柵・施錠・表示(労働安全衛生規則第329条の囲い等),感電防止用漏電遮断装置(同第333条。一般に定格感度電流30mA以下・動作時間0.1秒以内の高感度高速形を用いる),引込線と揚重機の離隔,防雨形の盤の採用などを書く。
- 1.から3.の解答はすべて異なる内容とする(例:同じ「表示」だけの対策を繰り返さない)。
同じ論点の過去問
令和8年度の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した1級建築施工管理技士 第二次検定 令和8年度(2026年10月18日(日)実施) 問題2。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する