経験記述(品質管理)
これは1級建築施工管理技士 第二次検定 令和5年度(2023年10月15日(日)実施) 問題1の問題です。論点は「施工経験記述」(重要度A・解答の形は記述)。採点すると、解き方 4 手順・引っかけの指摘が読めます。
建築工事の施工者は,発注者の要求等を把握し,施工技術力等を駆使して品質管理を適確に行うことが求められる。
あなたが経験した建築工事のうち,要求された品質を満足させるため,品質計画に基づき品質管理を行った工事を1つ選び,工事概要を具体的に記入した上で,次の1.及び2.の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ.工事名
ロ.工事場所
ハ.工事の内容(新築等の場合:建物用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ/改修等の場合:建物用途,建物規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ.工期等(工期又は工事に従事した期間を年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
ヘ.あなたの業務内容
1. 工事概要であげた工事で,あなたが現場で重点的に品質管理を行った事例を3つあげ,それぞれの事例について,次の①から③を具体的に記述しなさい。
ただし,3つの事例の①は同じものでもよいが,②及び③はそれぞれ異なる内容を記述するものとする。
① 工種名又は作業名等
② 施工に当たって設定した品質管理項目及びそれを設定した理由
③ ②の品質管理項目について実施した内容及びその確認方法又は検査方法
2. 工事概要であげた工事に係わらず,あなたの今日までの建築工事の経験を踏まえて,次の①及び②を具体的に記述しなさい。
ただし,1.の③と同じ内容の記述は不可とする。
① 品質管理を適確に行うための作業所における組織的な取組
② ①の取組によって得られる良い効果
解答欄
正解
○○市△△庁舎新築工事
11 字(仮称)○○マンション新築工事
○○株式会社△△物流センター新築工事
○○県○○市△△町1丁目
12 字○○県△△市□□町2丁目
○○県□□郡△△町大字○○
庁舎,鉄筋コンクリート造,地上5階,延べ面積6,200m²,外壁:二丁掛けタイル張り,主要室:床タイルカーペット,壁せっこうボード下地ビニルクロス張り,天井岩綿吸音板張り
85 字共同住宅(60戸),鉄筋コンクリート造,地上10階,延べ面積5,800m²,外壁:複層仕上塗材吹付け,主要室:床フローリング張り,壁・天井せっこうボード下地ビニルクロス張り
倉庫,鉄骨造,地上3階,延べ面積12,000m²,外壁:押出成形セメント板張り,主要室:床コンクリート直均しの上エポキシ樹脂系塗床,壁押出成形セメント板素地,天井鉄骨現し
令和3年7月~令和5年2月
13 字令和2年9月~令和4年3月
令和4年4月~令和5年5月
工事主任
4 字主任技術者
工事係(施工管理担当)
躯体工事及び仕上工事の施工管理(品質・工程管理)
24 字工事全般の施工管理(品質・工程・安全管理)
鉄骨工事及び床・外装工事の施工管理
鉄筋工事
4 字型枠工事
鉄骨工事(高力ボルト接合)
柱・梁の鉄筋のかぶり厚さの確保。かぶり厚さが不足すると中性化による鉄筋の腐食や耐火性能の低下を招き,構造体の耐久性を損なうため。
64 字柱・壁の型枠の建入れ精度の確保。精度が悪いと躯体の寸法誤差が仕上げ厚さの増加や開口部の寸法不良につながり,手直しが生じるため。
高力ボルト接合部の締付けの確保。締付けが不足すると接合部の摩擦力が得られず,架構の剛性と耐力が確保できないため。
柱・梁の側面にスペーサーを1.5m程度の間隔で取り付けさせ,打込み前の配筋検査で全ての柱・梁の最小かぶり厚さ30mm以上をスケールで測定し,写真で記録した。
78 字型枠下部の根巻きを墨に合わせて固定し,建入れ直しをチェーンとターンバックルで行った。打込み前に下げ振りで各通りの柱・壁の垂直精度を測定し,許容値以内を確認した。
トルシア形高力ボルトを一次締め後にマーキングし,本締めでピンテールを破断させた。全数についてピンテールの破断,共回りの有無,マークのずれを目視で確認した。
コンクリート工事
8 字防水工事(屋上アスファルト防水)
鉄骨工事(建方)
外壁のコールドジョイントと豆板の防止。外壁に打重ね不良や充填不良があると,漏水やひび割れの原因となり,タイル仕上げにも影響するため。
66 字ルーフドレン回りの漏水防止。ドレン回りは雨水が集中し,防水層の納まり不良が最上階住戸の漏水に直結するため。
鉄骨建方の柱の倒れ精度の確保。倒れが大きいと外壁パネルの取付け精度や床の高さに影響し,後工程で調整できなくなるため。
打込み区画と順序を図示し,打重ね時間間隔を外気温25℃未満で150分以内に管理して棒形振動機を60cm以下の間隔で挿入させた。打重ね時刻を記録し,脱型後に表面を目視で確認した。
88 字ルーフドレン回りは最下層に幅300mm以上のストレッチルーフィングを増張りし,つばに100mm程度張り掛けた。防水完了後に水張り試験を行い,下階の天井で漏水のないことを確認した。
建入れ直しはワイヤロープとターンバックルで建方ブロックごとに行い,本締め前にトランシットで柱の倒れを測定して,管理許容差H/1000かつ10mm以内を確認した。
外壁タイル工事
7 字内装工事(住戸の床フローリング張り)
床コンクリート直均し仕上げ
外壁タイルの接着力の確保。タイルが剥離・剥落すると歩行者等の第三者災害につながるため,下地との確実な接着が必要であった。
60 字住戸の床フローリングの遮音性能の確保。直張り用防音フローリングの施工が不適切だと,上下階の床衝撃音が大きくなり居住性を損なうため。
塗床の下地となる床コンクリートの平たんさの確保。不陸があるとフォークリフトの走行や塗床の仕上がりに支障が出るため。
張付けモルタルの1回の塗付け面積を2m²/人以内とし,タイル張り用振動機で加振して張り付けさせた。施工後に全面を打診し,引張接着試験で0.4N/mm²以上を確認した。
83 字下地の床コンクリートの不陸を3mにつき7mm以下に調整した後,製造所指定の接着剤を全面に塗布して張り付けさせた。完了後に床衝撃音を測定し,所定の等級を確認した。
レーザーレベルで均しの高さを管理し,機械ごてで押えを行わせた。硬化後に3mの定規を当て,平たんさが特記の3mにつき7mm以下であることを測定して確認した。
工種ごとの品質管理項目,管理値,検査の時期と担当者をQC工程表にまとめ,着工前に協力会社の職長を含めた検討会で周知し,毎朝の打合せで当日の検査項目を確認した。
79 字工事の節目ごとに作業所と本支店の品質管理担当者で品質パトロールを行い,指摘事項と是正結果を写真付きで作業所内に掲示して,他工区や協力会社に水平展開した。
施工図と施工要領書を工事担当者と協力会社の職長が着工前に照合する検討会を設け,納まりや検査方法を決めてから作業を始める仕組みとした。
タブレット端末で検査記録を写真とともにクラウドで共有し,工事担当者・職長・品質管理担当者が同時に確認して是正を指示できる体制とした。
管理の基準と責任者が明確になって検査漏れや手戻りが減り,品質のばらつきが小さくなる。協力会社の品質に対する意識も高まり,工程の遅れも防げる。
70 字同じ不具合の再発が防止され,是正までの時間も短くなる。作業員が他工区の事例から学ぶことで,作業所全体の施工品質が向上する。
施工前に問題点が解消され,施工中の手直しや手戻りがほとんどなくなる。品質の確保とともに無駄な作業が減り,工期内の完成につながる。
検査結果の確認と是正の指示が速くなり,記録の漏れもなくなる。書類作成の手間が減った分を現場での確認に充てられる。
記述例は当サイトが作成した架空の工事の例です。ご自身の工事にあてはめて書いてください。管理項目別の例文と書き方のポイント →
解き方
- 記述例は当サイトが作った架空の工事である。模範例は鉄筋コンクリート造の庁舎,別解の1つ目は鉄筋コンクリート造の共同住宅,2つ目は鉄骨造の倉庫で,各欄の別解は同じ順番で1つの工事としてつながるようにしてある。
- 1.は品質管理の事例を3つ書く。①の工種は同じでもよいが,②(品質管理項目と設定した理由)と③(実施した内容と確認・検査の方法)は3つとも違う内容にする。②は「何を管理するか」を1つに絞り,それが守られないとどんな不具合(耐久性の低下・漏水・剥落など)が起きるかを理由として書く。③は数値を入れた実施内容と,測定器具・判定の基準を入れた確認方法をセットで書く。
- 数値の例:かぶり厚さの確認(最小かぶり厚さは柱・梁で屋内30mm以上,標仕 5.3.5),棒形振動機の挿入間隔60cm以下(標仕 6.6.5),タイル張付けモルタルの塗付け面積2m²/人以内・引張接着試験の判定0.4N/mm²以上(標仕 11.2.6,11.1.7),ルーフドレン回りの増張り(標仕 9.2.4),コンクリートの平たんさ(標仕 表6.2.5)。打重ね時間間隔の150分(外気温25℃未満),柱・梁のスペーサーの間隔1.5m程度,鉄骨の柱の倒れの管理許容差H/1000かつ10mmは,標仕に数値がなく,一般にいわれる目安である。
- 2.は工事概要の工事に限らず,作業所として組織で行う品質管理の仕組み(QC工程表による周知,品質パトロールと水平展開,施工図・施工要領書の事前検討,検査記録の共有など)と,その効果を書く。1.の③と同じ内容は不可なので,個々の作業の管理ではなく仕組みを書く。
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令和5年度の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した1級建築施工管理技士 第二次検定 令和5年度(2023年10月15日(日)実施) 問題1。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する