施工経験記述(品質管理)
これは1級建築施工管理技士 第二次検定 令和3年度(2021年10月17日(日)実施) 問題1の問題です。論点は「施工経験記述」(重要度A・解答の形は記述)。採点すると、解き方 4 手順・引っかけの指摘が読めます。
建築工事における品質確保は,建築物の長寿命化を実現するために重要である。このため,施工者は,発注者のニーズ及び設計図書等を把握し,決められた工期やコスト等の条件の下で適切に品質管理を行うことが求められる。
あなたが経験した建築工事のうち,発注者及び設計図書等により要求された品質を確保するため,重点的に品質管理を行った工事を1つ選び,工事概要を具体的に記述したうえで,次の1.及び2.の問いに答えなさい。
なお,建築工事とは,建築基準法に定める建築物に係る工事とし,建築設備工事を除くものとする。
〔工事概要〕
イ.工事名
ロ.工事場所
ハ.工事の内容(新築等の場合:建物用途,構造,階数,延べ面積又は施工数量,主な外部仕上げ,主要室の内部仕上げ/改修等の場合:建物用途,建物規模,主な改修内容及び施工数量)
ニ.工期等(工期又は工事に従事した期間を年号又は西暦で年月まで記入)
ホ.あなたの立場
ヘ.あなたの業務内容
1. 工事概要であげた工事で,あなたが現場で重点をおいて実施した品質管理の事例を2つあげ,次の①から④について具体的に記述しなさい。
ただし,2つの事例の②から④は,それぞれ異なる内容を記述するものとする。
① 工種名
② 施工に当たっての品質の目標及びそれを達成するために定めた重点品質管理項目
③ ②の重点品質管理項目を定めた理由及び発生を予測した欠陥又は不具合
④ ②の重点品質管理項目について,実施した内容及びその確認方法又は検査方法
2. 工事概要にあげた工事にかかわらず,あなたの今日までの工事経験を踏まえて,現場で行う組織的な品質管理活動について,次の①,②を具体的に記述しなさい。
ただし,1.④と同じ内容の記述は不可とする。
① 品質管理活動の内容及びそれを協力会社等に伝達する手段又は方法
② 品質管理活動によってもたらされる良い影響
解答欄
正解
○○市△△地区複合庁舎新築工事
15 字(仮称)○○町△△マンション新築工事
○○ビル外壁及び屋上防水改修工事
○○県○○市△△町3丁目
12 字○○県△△市□□町
○○県○○市△△町1丁目
庁舎,鉄筋コンクリート造,地上5階・塔屋1階,延べ面積6,480m²,外部:二丁掛タイル張り(改良圧着張り)・一部複層仕上塗材,主要室:床ビニル床シート張り,壁せっこうボード張りEP塗り,天井岩綿吸音板張り
103 字共同住宅,鉄筋コンクリート造,地上8階,延べ面積4,950m²,外部:45二丁掛タイル張り・一部複層仕上塗材,主要室:床フローリング張り,壁・天井せっこうボード下地ビニルクロス張り
事務所,鉄骨鉄筋コンクリート造,地上7階,延べ面積8,200m²,外壁タイル浮き部改修(アンカーピンニング部分エポキシ樹脂注入工法)320m²,屋上防水改修(改質アスファルトシート防水)1,150m²
令和元年8月~令和3年2月
13 字平成30年10月~令和2年3月
令和2年6月~令和2年12月
工事主任
4 字現場代理人
監理技術者
躯体工事及び外装工事の施工管理(品質管理・工程管理,協力会社との施工調整)
37 字施工管理全般(施工計画の作成,品質・工程・安全管理,協力会社との調整)
改修工事の施工管理(品質管理・工程管理,入居者との作業時間の調整)
コンクリート工事
8 字鉄筋工事
防水改修工事
品質の目標:外壁や柱に豆板やコールドジョイントのない密実で耐久性の高い躯体とする。重点品質管理項目:コンクリートの打重ね時間間隔と締固め。
69 字品質の目標:設計どおりのかぶり厚さを確保した耐久性の高い躯体とする。重点品質管理項目:スペーサーの配置と鉄筋のかぶり厚さ。
品質の目標:改修後に漏水のない屋上防水とする。重点品質管理項目:既存防水層撤去後の下地補修と改質アスファルトシートの張付け。
理由:打込みが7~9月の暑中期で凝結が早く,配筋の密な腰壁や垂れ壁は充填しにくいため。予測した欠陥:コールドジョイントや豆板による漏水と鉄筋の腐食。
74 字理由:海岸から約1kmで塩害を受けやすく,かぶり不足は鉄筋の早期腐食につながるため。予測した欠陥:かぶり不足による鉄筋の腐食,ひび割れ,コンクリートの剥落。
理由:入居者が使用しながらの改修で漏水が許されず,既存下地にひび割れや不陸が多かったため。予測した不具合:シートのふくれ・はく離とドレン回りからの漏水。
実施内容:打込み区画と順序を図示し,打重ね時間間隔を120分以内として出荷間隔を調整した。棒形振動機は60cm以下の間隔で挿入した。確認方法:区画ごとに打込み時刻を記録し,脱型後に全面を目視で検査した。
101 字実施内容:スペーサーをスラブは間隔0.9m程度で配置し,柱・梁は最小かぶり厚さに10mmを加えた寸法で組み立てた。確認方法:打込み前に全箇所のかぶり厚さをスケールで測定し,配筋検査記録に残した。
実施内容:下地のひび割れや欠損をポリマーセメントモルタルで補修し,ドレン回りは幅200mm以上の増張りを行った。確認方法:補修箇所を写真で記録し,張付け後に重ね部を検査棒で全数確認した。
タイル工事
5 字アスファルト防水工事
外壁改修工事
品質の目標:外壁タイルに浮きや剥落のない仕上げとする。重点品質管理項目:張付けモルタルの塗付け面積(塗置き時間)とたたき押え。
63 字品質の目標:屋上から漏水のない防水層とする。重点品質管理項目:下地の乾燥状態とルーフィング類の重ね幅。
品質の目標:改修後にタイルの浮き・剥落がない外壁とする。重点品質管理項目:アンカーピンの穿孔深さとエポキシ樹脂の注入。
理由:外壁が歩道に面し,タイルが剥落すると第三者災害につながるため。予測した欠陥:張付けモルタルの塗置き時間の超過やたたき不足による接着不良,浮き・剥落。
77 字理由:最上階住戸の直上で漏水の影響が大きく,梅雨期の施工となったため。予測した不具合:下地の水分による防水層のふくれ,重ね部の接着不良による漏水。
理由:打診調査で浮きが外壁全体に点在し,駅前の歩道に面していたため。予測した不具合:穿孔深さや樹脂の充填の不足によるピンの固定不良と浮きの再発。
実施内容:張付けモルタルの1回の塗付け面積を2m²/人以内とし,手に付く状態のうちに張り終えてタイル用ハンマーでたたき押えた。確認方法:硬化後に全面を打診し,引張接着試験で0.4N/mm²以上を確認した。
102 字実施内容:下地を高周波水分計で乾燥を確かめてからプライマーを塗り,ルーフィングは幅・長手とも100mm以上重ねて張った。確認方法:重ね幅をスケールで測定して写真に残し,張付け後に全面を目視で検査した。
実施内容:アンカーピンは構造体コンクリート中に30mm程度の深さまで穿孔し,孔内を清掃して樹脂を所定量注入した。確認方法:穿孔深さを全数測定して記録し,施工後に打診で浮きの解消を確認した。
内容:工種ごとの管理値と検査手順をまとめた品質管理シートを作り,各工程の完了時に職長が自主検査して記録する。伝達方法:着工前の施工検討会で写真を示して説明し,朝礼と職長会で周知して詰所に掲示する。
98 字内容:過去の不具合事例を工種別にまとめた手戻り防止事例集を作り,施工前に該当する注意点を確認する。伝達方法:新規入場者教育と作業前の打合せで事例集を示して説明し,休憩所に掲示する。
内容:次工程の担当者が前工程の出来栄えを確認してから引き継ぐ相互検査を行う。伝達方法:作業間連絡調整会議で検査の手順と記録様式を示し,チェックシートを各協力会社に配付する。
作業員一人ひとりが管理値と検査の手順を理解して作業するため,不具合が工程の中で発見・是正され,手戻りが減って品質と工程が安定する。
65 字協力会社の品質に対する意識が高まり,作業員から改善の提案が出るようになって,同じ不具合の再発を防止できる。
検査の記録が残るので品質を確認・説明しやすくなり,発注者や設計者の信頼が得られ,引渡し後の不具合も減る。
記述例は当サイトが作成した架空の工事の例です。ご自身の工事にあてはめて書いてください。管理項目別の例文と書き方のポイント →
解き方
- 工事概要は,1.で取り上げる品質管理の事例と結び付く工事を選ぶ。新築では建物用途・構造・階数・延べ面積(又は施工数量)・主な外部仕上げ・主要室の内部仕上げを,改修では建物用途・建物規模・主な改修内容と施工数量を漏れなく書く。工期は年月まで書く。
- 1.は2つの事例で工種を変え,②〜④をそれぞれ異なる内容にする。②は品質の目標と重点品質管理項目,③はその項目を重点にした現場の理由と予測した欠陥・不具合,④は実施内容とその確認・検査の方法を書き,②〜④の筋が通るようにする。
- ④は数値を入れると具体的になる。例の根拠は,打重ね時間間隔の限度(標仕 6.6.3(8)。外気温25℃以上で120分以内とするのは一般的な目安),湿潤養生・かぶり厚さ(標仕 5.3.5:加工に用いるかぶり厚さは最小かぶり厚さ+10mm),タイルの1回の塗付け面積2m²/人以内と引張接着強度0.4N/mm²以上(標仕 11.2.6・11.1.7),アスファルト防水の重ね幅100mm以上(標仕 9.2.4),ドレン回りの増張り幅200mm以上(標仕 9.3.4),アンカーピンの穿孔深さ30mm程度(改修標仕 4.4.9・4.3.11)。
- 2.は特定の工事にかかわらない現場の組織的な活動(品質管理シート・事例集・相互検査など)を書き,協力会社等への伝達の手段(施工検討会・朝礼・職長会・掲示・配付)と,その活動による良い影響を書く。1.④と同じ内容は不可。
同じ論点の過去問
令和3年度の前後の問題
出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した1級建築施工管理技士 第二次検定 令和3年度(2021年10月17日(日)実施) 問題1。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する