建設業経理士の合格率の読み方(回ごとの変動と合格に必要な点数)

公開 ・更新 ・執筆・編集:試験対策プロジェクトチーム(スタジオインサイト)

建設業経理士の合格率は、2級で30%台から40%台後半まで、1級原価計算では20%前後まで、回によって動きます。合格率が低い回は「難しかった回」ですが、合格判定は正答率70%(100点満点の70点)を標準としているので、その回の問題で70点に届いた人が少なかった、という意味です。この違いを押さえると、合格率の数字から自分の勉強の目標が見えてきます。

合格率は「競争」ではなく「70点に届いた人の割合」

建設業経理士の合格基準について、主催者は「試験の合格判定は、正答率70%を標準とする。」としています(級・科目を問わず同じ)。100点満点では70点にあたります。学習では、70点以上を安定して取れる状態を目指しましょう。

したがって合格率が動く理由は、ほぼ「その回の問題で70点を取れた人がどれだけいたか」に尽きます。問題が難しければ合格率は下がり、受験者の準備が整っていなければ下がります。逆に言えば、合格率が低い回でも、配点の重い大問を取り切った人は合格しています。

回ごとの受験者数・合格者数・合格率の一覧は難易度・合格率・勉強時間のページにまとめているので、この記事では数字の読み方に絞ります。

2級:3月回と9月回で10ポイント以上差がつく

2級の直近3回の合格率は、第36回(2025年3月)47.2%、第37回(2025年9月)32.2%、第38回(2026年3月)47.5%です。受験者数は第36回9,014人、第37回8,010人、第38回9,226人でした。

3月回が47%台、9月回が32%と、実施月で15ポイントの差があります。この傾向は第34回(2024年3月)47.7%、第35回(2024年9月)36.5%でも同じで、収録している5回すべてで3月回が9月回を上回っています。

差がつく理由の読み方(当サイトの見方)

  • 9月回は受験者が1,000人前後少ない。4月に入社・異動した人が会社の指示で受ける場合、9月回は準備期間が5か月しかなく、3月回は11か月あります。準備期間の差が合格率に出ている可能性があります。
  • 第5問 精算表の決算整理事項の組み合わせ。合格率が低かった第37回の精算表は、未渡小切手・減価償却の予定計上・備品の期首売却・建設仮勘定の振替・引当金3種・法人税等と整理事項が多く、1つ目の処理を誤ると後続の欄に波及する構成でした。第38回は銀行勘定調整と生産高比例法の予定計上差額が中心で、処理どうしの独立性が高い構成です。
  • 第3問・第4問の型。第37回の第4問は補助部門が3つある階梯式配賦法の部門費振替表(18点)で、配賦の順序を誤ると表全体がずれます。第38回の第4問は工事別原価計算表(20点)で、2級で最も出題回数の多い型でした。

合格率の数字だけを見ると「9月回は避けるべき」と読めますが、実際には精算表と第4問の型を取り切れるかどうかで決まっています。回を選ぶより、精算表と工事別原価計算表・部門費振替表の両方を仕上げておくほうが確実です。

1級:科目によって水準が違う

1級3科目の直近3回の合格率を並べると、科目ごとの水準の差がはっきりします。

科目第36回(2025年3月)第37回(2025年9月)第38回(2026年3月)
財務諸表31.9%(1,347人中430人)27.9%(1,439人中402人)30.1%(1,480人中445人)
財務分析26.4%(1,235人中326人)27.0%(1,278人中345人)28.7%(1,279人中367人)
原価計算24.8%(1,702人中422人)17.7%(1,608人中284人)22.5%(1,668人中376人)

財務諸表:30%前後で安定

第36回から第38回は27.9〜31.9%の幅に収まっています。第5問の精算表(36点)の整理事項が毎回ほぼ同じ型(固定資産の除却・減損、その他有価証券の税効果、工事進行基準の見積変更)で、第4問のテーマが回ごとに替わる構成です。合格率の変動は主に第4問のテーマ(第36回リース、第37回ヘッジ、第38回JV)の難しさに左右されていると読めます。

財務分析:20%台後半で横ばい、ただし第34回は45.8%

第36回から第38回は26.4%、27.0%、28.7%とほぼ横ばいです。一方、第34回(2024年3月)は45.8%と突出して高く、第35回(2024年9月)は27.1%でした。1回だけ高い回があるのは、公式の暗記で解ける問題の比率が回によって変わるためと考えられます。第4問は3月回が損益分岐点分析、9月回が生産性分析と型が決まっており、第5問の分析文のテーマ(第36回は流動性、第37回は収益性、第38回は生産性)が自分の得意分野かどうかで得点が動きます。

原価計算:3科目で最も低く、9月回はさらに下がる

第36回24.8%、第37回17.7%、第38回22.5%で、受験者数は3科目の中で最も多い(1,600〜1,700人)のに、合格率は3科目の中で最も低い科目です(合格者の数は、第36回・第38回のように財務分析より多い回もあります)。第37回の17.7%は収録している回の最低値です。原価計算は第4問の意思決定(18点)と第5問の工事原価の総合問題(34点)で計算量が多く、1時間30分で解き切れるかどうかが合格率に直結します。合格率が低い科目ほど、「解く順番と捨てる小問」を決めておく効果が大きい科目です。

何点を取れば受かるか:70点の積み上げ方

合格基準の70点は、配点の重い大問を取り切り、残りで取れる分を上積みすれば届く点数です。当サイトでは、各級・科目の過去問の配点から次のような積み上げを目安にしています。

級・科目取り切る大問(目標点)上積み合計の目安
2級第5問 精算表 27点+第1問 仕訳 16点第4問で18点、第2・3問で合計12点73点
1級 財務諸表第5問 精算表 30点+第2問 用語 12点第4問 10点、第3問 10点、第1問 10点72点
1級 財務分析第5問 諸比率 26点+第3問 空欄推定 16点第4問 12点、第2問 9点、第1問 10点73点
1級 原価計算第5問 総合問題 28点+第4問 意思決定 14点第3問 12点、第1・2問で合計 18点72点

この積み上げの特徴は、記述(1級第1問)を満点の半分で見積もっていることです。記述は要点ごとの部分点とされているので、要点を2〜3個書ければ10点前後は見込めます。逆に、記述で20点を取る前提で計画を立てると、計算問題の失点を吸収できません。

精算表を「27点」「30点」と満点より少し低く見積もっているのは、当期純利益のような最後の欄は前段の処理が1つ違うだけで合わなくなるためです。1〜2か所の失点を前提に、他の大問で補う計画にしておくと本番で落ち着いて解けます。

直近の第39回(2026年9月13日実施)の合格率は、この記事の時点では主催者から発表されていません。発表後に難易度・合格率のページへ追加します。第39回の問題と解答は解答速報・自己採点で確認できます。

よくある質問

合格率が低い回は、合格基準が下がりますか?

主催者の記載は「試験の合格判定は、正答率70%を標準とする。」です。合格率が低い回は、70点に届いた人が少なかった回と考えるのが自然です。学習では、70点以上を安定して取れる状態を目指しましょう。

2級は3月回を狙ったほうがよいですか?

収録している5回では3月回が9月回を10ポイント以上上回っています。準備が間に合うなら3月回が有利ですが、差の主因は精算表と第4問の型を取り切れたかどうかなので、どちらの回でもこの2つを仕上げることが先です。

1級で合格率がいちばん低い科目はどれですか?

原価計算です。第36〜38回は24.8%・17.7%・22.5%で、財務諸表の27.9〜31.9%、財務分析の26.4〜28.7%より低い水準です。

受験者数は増えていますか?

2級は第36回9,014人、第37回8,010人、第38回9,226人で、3月回が多く9月回が少ない傾向です。1級3科目は各回1,200〜1,700人で、原価計算の受験者がいちばん多くなっています。

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出典・参考:過去の実施状況(建設業振興基金)、建設業経理検定試験とは(建設業振興基金)

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