精算表(現金過不足・仮設材料のすくい出し・仮払金の利息と中間納付・建設仮勘定の振替・引当金4種・法人税等)
これは建設業経理士2級 第32回(2023年3月12日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 17 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。
次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は 1 年である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。なお、計算過程において端数が生じた場合には円未満を切り捨てること。
(1) 期末における現金帳簿残高は ¥23,500 であるが、実際の手元有高は ¥22,800 であった。原因は不明である。
(2) 仮設材料費の把握はすくい出し方式を採用しているが、現場から撤去されて倉庫に戻された評価額 ¥1,200 について未処理である。
(3) 仮払金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。
① ¥900 は借入金利息の 3 か月分であり、うち 1 か月は前払いである。
② ¥31,700 は法人税等の中間納付額である。
この項目だけの仕訳はありません。(11) の仕訳でまとめて処理します(仮払金 31,700)。
(4) 減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中の固定資産の増減取引は③のみである。
① 機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥45,000。なお、月次原価計算において、月額 ¥3,500 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。
② 備品(本社用) 以下の事項により減価償却費を計上する。取得原価 ¥60,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 3 年 減価償却方法 定額法
③ 建設仮勘定 適切な科目に振替えた上で、以下の事項により減価償却費を計上する。当期首に完成した本社事務所 取得原価 ¥48,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 24 年 減価償却方法 定額法
(5) 仮受金の期末残高 ¥12,000 は、前期に完成した工事の未収代金回収分であることが判明した。
(6) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。
(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。
(8) 賞与引当金の当期繰入額は本社事務員について ¥5,000、現場作業員について ¥13,500 である。
(9) 退職給付引当金の当期繰入額は本社事務員について ¥3,200、現場作業員について ¥9,300 である。
(10) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥112,300 である。
(11) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。
解答欄
正解
| 勘定科目 | 残高試算表 | 整理記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
| 現金 | 23,500 | 700 | 22,800 | |||||
| 当座預金 | 152,900 | 152,900 | ||||||
| 受取手形 | 255,000 | 255,000 | ||||||
| 完成工事未収入金 | 457,000 | 12,000 | 445,000 | |||||
| 貸倒引当金 | 8,000 | 400 | 8,400 | |||||
| 未成工事支出金 | 151,900 | 25,966 | 65,566 | 112,300 | ||||
| 材料貯蔵品 | 3,300 | 1,200 | 4,500 | |||||
| 仮払金 | 32,600 | 32,600 | ||||||
| 機械装置 | 250,000 | 250,000 | ||||||
| 機械装置減価償却累計額 | 150,000 | 3,000 | 153,000 | |||||
| 備品 | 60,000 | 60,000 | ||||||
| 備品減価償却累計額 | 20,000 | 20,000 | 40,000 | |||||
| 建設仮勘定 | 48,000 | 48,000 | ||||||
| 支払手形 | 32,500 | 32,500 | ||||||
| 工事未払金 | 95,000 | 95,000 | ||||||
| 借入金 | 196,000 | 196,000 | ||||||
| 未払金 | 48,100 | 48,100 | ||||||
| 未成工事受入金 | 233,000 | 233,000 | ||||||
| 仮受金 | 12,000 | 12,000 | ||||||
| 完成工事補償引当金 | 19,000 | 166 | 19,166 | |||||
| 退職給付引当金 | 187,000 | 12,500 | 199,500 | |||||
| 資本金 | 100,000 | 100,000 | ||||||
| 繰越利益剰余金 | 117,320 | 117,320 | ||||||
| 完成工事高 | 9,583,000 | 9,583,000 | ||||||
| 完成工事原価 | 7,566,000 | 64,366 | 7,630,366 | |||||
| 販売費及び一般管理費 | 1,782,000 | 1,782,000 | ||||||
| 受取利息配当金 | 17,280 | 17,280 | ||||||
| 支払利息 | 36,000 | 600 | 36,600 | |||||
| 10,818,200 | 10,818,200 | |||||||
| 雑損失 | 700 | 700 | ||||||
| 前払費用 | 300 | 300 | ||||||
| 備品減価償却費 | 20,000 | 20,000 | ||||||
| 建物 | 48,000 | 48,000 | ||||||
| 建物減価償却費 | 2,000 | 2,000 | ||||||
| 建物減価償却累計額 | 2,000 | 2,000 | ||||||
| 貸倒引当金繰入額 | 400 | 400 | ||||||
| 賞与引当金繰入額 | 5,000 | 5,000 | ||||||
| 賞与引当金 | 18,500 | 18,500 | ||||||
| 退職給付引当金繰入額 | 3,200 | 3,200 | ||||||
| 未払法人税等 | 4,304 | 4,304 | ||||||
| 法人税、住民税及び事業税 | 36,004 | 36,004 | ||||||
| 219,736 | 219,736 | 9,516,270 | 9,600,280 | 1,350,800 | 1,266,790 | |||
| 当期純利益 | 84,010 | 84,010 | ||||||
| 9,600,280 | 9,600,280 | 1,350,800 | 1,350,800 | |||||
決算整理仕訳
| 借方 | 貸方 | |
|---|---|---|
| (1) | 雑損失700 | 現金700 |
| (2) | 材料貯蔵品1,200 | 未成工事支出金1,200 |
| (3)① | 支払利息600 前払費用300 | 仮払金900 |
| (4)① | 未成工事支出金3,000 | 機械装置減価償却累計額3,000 |
| (4)② | 備品減価償却費20,000 | 備品減価償却累計額20,000 |
| (4)③ | 建物48,000 建物減価償却費2,000 | 建設仮勘定48,000 建物減価償却累計額2,000 |
| (5) | 仮受金12,000 | 完成工事未収入金12,000 |
| (6) | 貸倒引当金繰入額400 | 貸倒引当金400 |
| (7) | 未成工事支出金166 | 完成工事補償引当金166 |
| (8) | 賞与引当金繰入額5,000 未成工事支出金13,500 | 賞与引当金18,500 |
| (9) | 退職給付引当金繰入額3,200 未成工事支出金9,300 | 退職給付引当金12,500 |
| (10) | 完成工事原価64,366 | 未成工事支出金64,366 |
| (11) | 法人税、住民税及び事業税36,004 | 仮払金31,700 未払法人税等4,304 |
解き方
- 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。未成工事支出金の借方には 3,000・166・13,500・9,300 が入り、貸方には 1,200 と (10) の振替額 64,366 が入る。仮払金の貸方は 900 と 31,700 で合計 32,600 になり、残高はゼロになる。
- (10) の振替額は「整理後の未成工事支出金 176,666 − 次期繰越額 112,300 = 64,366」。完成工事原価は 7,566,000 + 64,366 = 7,630,366。
- 損益計算書の収益合計 9,600,280 と費用合計(法人税等を含む)9,516,270 の差 84,010 が当期純利益。貸借対照表の借方合計 1,350,800、貸方合計 1,266,790 + 84,010 = 1,350,800 で一致する。
- (1) 帳簿残高 23,500 − 実際有高 22,800 = 700 の不足。原因不明なので雑損失にして現金を減らす。 〔借方〕雑損失 700 /〔貸方〕現金 700
- (2) すくい出し方式では、現場から戻った仮設材料の評価額 1,200 を工事原価(未成工事支出金)から引いて材料貯蔵品に戻す。 〔借方〕材料貯蔵品 1,200 /〔貸方〕未成工事支出金 1,200
- (3)① 仮払金 900 は利息 3 か月分。当期分 2 か月 600 は支払利息、前払いの 1 か月 300 は前払費用。 〔借方〕支払利息 600・前払費用 300 /〔貸方〕仮払金 900
- (4)① 予定計上額 3,500 × 12 = 42,000。実際 45,000 との差額 3,000 は計上不足なので未成工事支出金に加える。 〔借方〕未成工事支出金 3,000 /〔貸方〕機械装置減価償却累計額 3,000
- (4)② 本社用備品:60,000 ÷ 3 年 = 20,000。指定科目の備品減価償却費を使う。 〔借方〕備品減価償却費 20,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 20,000
- (4)③ 当期首に完成した本社事務所なので建設仮勘定 48,000 を建物に振り替え、48,000 ÷ 24 年 = 2,000 を 1 年分償却する(建物減価償却費)。 〔借方〕建物 48,000・建物減価償却費 2,000 /〔貸方〕建設仮勘定 48,000・建物減価償却累計額 2,000
- (5) 前期完成工事の代金回収なので、仮受金 12,000 を完成工事未収入金の減少に振り替える。 〔借方〕仮受金 12,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 12,000
- (6) 売上債権 = 受取手形 255,000 + 完成工事未収入金 (457,000 − 12,000) = 700,000。× 1.2% = 8,400。残高 8,000 との差額 400 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 400 /〔貸方〕貸倒引当金 400
- (7) 完成工事高 9,583,000 × 0.2% = 19,166。残高 19,000 との差額 166。工事原価なので未成工事支出金。 〔借方〕未成工事支出金 166 /〔貸方〕完成工事補償引当金 166
- (8) 本社事務員分 5,000 は賞与引当金繰入額(販管費)、現場作業員分 13,500 は未成工事支出金。貸方は合計 18,500 を賞与引当金。 〔借方〕賞与引当金繰入額 5,000・未成工事支出金 13,500 /〔貸方〕賞与引当金 18,500
- (9) 本社事務員分 3,200 は退職給付引当金繰入額、現場作業員分 9,300 は未成工事支出金。貸方は合計 12,500 を退職給付引当金。 〔借方〕退職給付引当金繰入額 3,200・未成工事支出金 9,300 /〔貸方〕退職給付引当金 12,500
- (10) 未成工事支出金 = 151,900 − 1,200 + 3,000 + 166 + 13,500 + 9,300 = 176,666。次期繰越額 112,300 を残し、差額 64,366 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 64,366 /〔貸方〕未成工事支出金 64,366
- (11) 税引前当期純利益 = 収益 (9,583,000 + 17,280) − 費用 (7,630,366 + 1,782,000 + 36,600 + 700 + 20,000 + 2,000 + 400 + 5,000 + 3,200) = 120,014。× 30% = 36,004.2 → 36,004(円未満切捨て)。仮払金に残っている中間納付額 31,700 を充当し、残り 4,304 を未払法人税等。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 36,004 /〔貸方〕仮払金 31,700・未払法人税等 4,304(税引前当期純利益 120,014)
- 損益計算書の貸方合計 9,600,280 − 借方合計 9,516,270 = 当期純利益 84,010。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第32回(2023年3月12日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する