精算表(当座預金の残高照合・減価償却の予定計上・仮払金と仮受金の整理・定率法・法人税等)
これは建設業経理士2級 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 16 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。
次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は 1 年である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。
(1) 当座預金の期末残高証明書を入手したところ、期末帳簿残高と差異があった。差額原因を調査したところ以下の内容であった。① 決算日に現金 ¥8,500 を預け入れたが、銀行の閉店後であったため、翌日入金として扱われた。② 消耗品購入代金の決済のために振り出した小切手 ¥13,500 が相手先に未渡しであった。③ 借入金の利息 ¥1,200 が当座預金から引き落とされていたが、その通知が当社に未達であった。
(2) 材料貯蔵品の期末実地棚卸により判明した棚卸減耗 ¥800 を工事原価に算入する。
(3) 仮払金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① ¥5,000 は管理部門従業員の出張旅費の仮払いである。なお、実費との差額 ¥1,200 は現金で返金を受けた。② ¥27,900 は法人税等の中間納付額である。
(4) 減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中に固定資産の増減取引は発生していない。① 機械装置(工事現場用)実際発生額 ¥28,000。なお、月次原価計算において、月額 ¥2,500 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。② 備品(本社用)取得原価 ¥60,000(前期首取得) 残存価額 ゼロ 耐用年数 4 年 償却率 0.500 減価償却方法 定率法
(5) 仮受金の期末残高 ¥18,000 は、前期に完成した工事の未収代金回収分であることが判明した。
(6) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。
(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。
(8) 退職給付引当金の当期繰入額は本社事務員について ¥2,800、現場作業員について ¥8,700 である。
(9) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥241,060 である。
(10) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。
解答欄
正解
| 勘定科目 | 残高試算表 | 整理記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
| 現金 | 21,600 | 1,200 | 22,800 | |||||
| 当座預金 | 123,000 | 13,500 | 1,200 | 135,300 | ||||
| 受取手形 | 43,000 | 43,000 | ||||||
| 完成工事未収入金 | 425,000 | 18,000 | 407,000 | |||||
| 貸倒引当金 | 4,500 | 900 | 5,400 | |||||
| 未成工事支出金 | 266,400 | 10,260 | 35,600 | 241,060 | ||||
| 材料貯蔵品 | 2,600 | 800 | 1,800 | |||||
| 仮払金 | 32,900 | 32,900 | ||||||
| 機械装置 | 123,000 | 123,000 | ||||||
| 機械装置減価償却累計額 | 65,000 | 2,000 | 63,000 | |||||
| 備品 | 60,000 | 60,000 | ||||||
| 備品減価償却累計額 | 30,000 | 15,000 | 45,000 | |||||
| 支払手形 | 65,000 | 65,000 | ||||||
| 工事未払金 | 115,000 | 115,000 | ||||||
| 借入金 | 120,000 | 120,000 | ||||||
| 未払金 | 61,000 | 13,500 | 74,500 | |||||
| 未成工事受入金 | 71,000 | 71,000 | ||||||
| 仮受金 | 18,000 | 18,000 | ||||||
| 完成工事補償引当金 | 14,500 | 760 | 15,260 | |||||
| 退職給付引当金 | 134,000 | 11,500 | 145,500 | |||||
| 資本金 | 100,000 | 100,000 | ||||||
| 繰越利益剰余金 | 74,200 | 74,200 | ||||||
| 完成工事高 | 7,630,000 | 7,630,000 | ||||||
| 完成工事原価 | 6,694,000 | 33,600 | 6,727,600 | |||||
| 販売費及び一般管理費 | 694,000 | 694,000 | ||||||
| 受取利息配当金 | 7,800 | 7,800 | ||||||
| 支払利息 | 24,500 | 1,200 | 25,700 | |||||
| 8,510,000 | 8,510,000 | |||||||
| 旅費交通費 | 3,800 | 3,800 | ||||||
| 減価償却費 | 15,000 | 15,000 | ||||||
| 貸倒引当金繰入額 | 900 | 900 | ||||||
| 退職給付引当金繰入額 | 2,800 | 2,800 | ||||||
| 未払法人税等 | 22,500 | 22,500 | ||||||
| 法人税、住民税及び事業税 | 50,400 | 50,400 | ||||||
| 152,660 | 152,660 | 7,520,200 | 7,637,800 | 1,033,960 | 916,360 | |||
| 当期純利益 | 117,600 | 117,600 | ||||||
| 7,637,800 | 7,637,800 | 1,033,960 | 1,033,960 | |||||
決算整理仕訳
| 借方 | 貸方 | |
|---|---|---|
| (1)② | 当座預金13,500 | 未払金13,500 |
| (1)③ | 支払利息1,200 | 当座預金1,200 |
| (2) | 未成工事支出金800 | 材料貯蔵品800 |
| (3)① | 旅費交通費3,800 現金1,200 | 仮払金5,000 |
| (4)① | 機械装置減価償却累計額2,000 | 未成工事支出金2,000 |
| (4)② | 減価償却費15,000 | 備品減価償却累計額15,000 |
| (5) | 仮受金18,000 | 完成工事未収入金18,000 |
| (6) | 貸倒引当金繰入額900 | 貸倒引当金900 |
| (7) | 未成工事支出金760 | 完成工事補償引当金760 |
| (8) | 退職給付引当金繰入額2,800 未成工事支出金8,700 | 退職給付引当金11,500 |
| (9) | 完成工事原価33,600 | 未成工事支出金33,600 |
| (10) | 法人税、住民税及び事業税50,400 | 仮払金27,900 未払法人税等22,500 |
解き方
- 決算整理仕訳を (1) から順に書き、整理記入欄に転記する。同じ科目・同じ側に複数の金額が入るときは合計する(未成工事支出金の借方は 800 + 760 + 8,700 = 10,260、貸方は 2,000 + 33,600 = 35,600。当座預金は借方 13,500・貸方 1,200)。
- 税引前当期純利益 = 収益 (7,630,000 + 7,800) − 費用 (6,727,600 + 694,000 + 25,700 + 3,800 + 15,000 + 900 + 2,800) = 7,637,800 − 7,469,800 = 168,000。法人税等 50,400、当期純利益 117,600。
- 整理記入の合計 152,660、損益計算書の合計 7,637,800、貸借対照表の合計 1,033,960 で貸借が一致することを確かめる。
- (1)② ①の時間外預入は銀行側の調整項目なので当社の仕訳は不要。②の未渡小切手は当座預金を減らした記帳を取り消し、消耗品購入代金なので相手科目は未払金。 〔借方〕当座預金 13,500 /〔貸方〕未払金 13,500
- (1)③ 引き落とされた借入金の利息が未記帳なので、支払利息を計上して当座預金を減らす。 〔借方〕支払利息 1,200 /〔貸方〕当座預金 1,200
- (2) 材料貯蔵品の棚卸減耗 800 を工事原価(未成工事支出金)に算入する。 〔借方〕未成工事支出金 800 /〔貸方〕材料貯蔵品 800
- (3)① 出張旅費の仮払 5,000 のうち実費 5,000 − 1,200 = 3,800 を旅費交通費に、返金 1,200 を現金に。仮払金の残り 27,900 は法人税等の中間納付額として (10) で充当する。 〔借方〕旅費交通費 3,800・現金 1,200 /〔貸方〕仮払金 5,000
- (4)① 予定計上額 2,500 × 12 = 30,000。実際 28,000 より 2,000 多く計上しているので、未成工事支出金から 2,000 を減らし、累計額も 2,000 戻す。 〔借方〕機械装置減価償却累計額 2,000 /〔貸方〕未成工事支出金 2,000
- (4)② 定率法。前期の償却額 60,000 × 0.5 = 30,000(累計額と一致)。当期 = (60,000 − 30,000) × 0.5 = 15,000。本社用なので減価償却費(販管費)。 〔借方〕減価償却費 15,000 /〔貸方〕備品減価償却累計額 15,000
- (5) 前期完成工事の代金回収なので、仮受金を完成工事未収入金の減少に振り替える。 〔借方〕仮受金 18,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 18,000
- (6) (5) 整理後の売上債権 = 受取手形 43,000 + 完成工事未収入金 (425,000 − 18,000) = 450,000。450,000 × 1.2% = 5,400。残高 4,500 との差額 900 を繰り入れる。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 900 /〔貸方〕貸倒引当金 900
- (7) 7,630,000 × 0.2% = 15,260。残高 14,500 との差額 760。工事原価なので未成工事支出金。 〔借方〕未成工事支出金 760 /〔貸方〕完成工事補償引当金 760
- (8) 本社事務員分 2,800 は退職給付引当金繰入額(販管費)、現場作業員分 8,700 は未成工事支出金。貸方は合計 11,500 を退職給付引当金。 〔借方〕退職給付引当金繰入額 2,800・未成工事支出金 8,700 /〔貸方〕退職給付引当金 11,500
- (9) 未成工事支出金 = 266,400 + 800 − 2,000 + 760 + 8,700 = 274,660。次期繰越額 241,060 を残し、差額 33,600 を完成工事原価に振り替える。 〔借方〕完成工事原価 33,600 /〔貸方〕未成工事支出金 33,600
- (10) 税引前当期純利益 168,000 × 30% = 50,400。中間納付額(仮払金の残り 27,900)を充当し、残り 22,500 を未払法人税等にする。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 50,400 /〔貸方〕仮払金 27,900・未払法人税等 22,500(税引前当期純利益 168,000)
- 損益計算書の貸方合計 7,637,800 − 借方合計 7,520,200 = 当期純利益 117,600。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する