第31回 第4問 問2論点:工事別原価計算表重要度 A配点 16点未着手

工事別原価計算表(予定賃率・直接原価基準の予定配賦・配賦差異の繰越)

これは建設業経理士2級 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第4問 問2(配点 16点)の問題です。論点は「工事別原価計算表」(重要度A・解答の形は記号+表)。採点すると、解き方 7 手順・引っかけの指摘・現行の法令・基準との関係が読めます。

次の<資料>に基づき、解答用紙の工事別原価計算表を完成しなさい。また、工事間接費配賦差異の月末残高を計算しなさい。なお、その残高が借方の場合は「A」、貸方の場合は「B」を、解答用紙の所定の欄に記入しなさい。

1.当月は、No.301 と No.302 の前月繰越工事および当月より着手した No.401 と No.402 の工事を施工し、月末には No.302 と No.401 の工事が完成した。いずれも工事完成基準により収益を認識している。

2.前月から繰り越した工事原価に関する各勘定の前月繰越高は、次のとおりである。

(2) 工事間接費配賦差異 ¥2,500(借方残高)(注)工事間接費配賦差異は月次においては繰り越すこととしている。

3.労務費に関するデータ (1) 労務費計算は予定賃率を用いており、当会計期間の予定賃率は 1 時間当たり ¥1,500 である。(2) 当月の直接作業時間 No.301 126 時間 No.302 205 時間 No.401 295 時間 No.402 316 時間

4.当月に発生した工事直接費(労務費は資料により各自計算)

5.工事間接費の配賦方法と実際発生額 (1) 工事間接費については直接原価基準による予定配賦法を採用している。(2) 当会計期間の直接原価の総発生見込額は ¥81,500,000 である。(3) 当会計期間の工事間接費予算額は ¥3,260,000 である。(4) 工事間接費の当月実際発生額は ¥323,000 である。(5) 工事間接費はすべて経費である。

(1) 未成工事支出金(前月繰越)No.301No.302
材料費203,000580,000
労務費182,000324,000
外注費650,000910,000
経費121,000192,000
当月に発生した工事直接費No.301No.302No.401No.402
材料費414,000539,000491,000562,000
労務費(各自計算)(各自計算)(各自計算)(各自計算)
外注費670,000873,0001,296,000972,000
直接経費127,000230,500170,500242,000

解答欄

工事別原価計算表(単位:円)
摘要No.301No.302No.401No.402計
月初未成工事原価――――
当月発生工事原価
材料費
労務費
外注費
直接経費
工事間接費
当月完成工事原価――――
月末未成工事原価――――
円
A=借方残高、B=貸方残高

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

工事別原価計算表(単位:円)
摘要No.301No.302No.401No.402計
月初未成工事原価1,156,0002,006,000――――3,162,000
当月発生工事原価
材料費414,000539,000491,000562,0002,006,000
労務費189,000307,500442,500474,0001,413,000
外注費670,000873,0001,296,000972,0003,811,000
直接経費127,000230,500170,500242,000770,000
工事間接費56,00078,00096,00090,000320,000
当月完成工事原価――4,034,0002,496,000――6,530,000
月末未成工事原価2,612,000――――2,340,0004,952,000
工事間接費配賦差異月末残高5,500 円
記号(AまたはB)A

解き方

  1. 月初未成工事原価:No.301 = 203,000 + 182,000 + 650,000 + 121,000 = 1,156,000。No.302 = 580,000 + 324,000 + 910,000 + 192,000 = 2,006,000。計 3,162,000。No.401・No.402 は当月着手なので「―」。
  2. 労務費 = 予定賃率 1,500 × 直接作業時間。No.301 126 h = 189,000、No.302 205 h = 307,500、No.401 295 h = 442,500、No.402 316 h = 474,000。計 1,413,000。
  3. 材料費計 2,006,000、外注費計 3,811,000、直接経費計 770,000 は資料の横計。
  4. 工事間接費の予定配賦率 = 3,260,000 ÷ 81,500,000 = 4%(直接原価基準)。各工事の当月直接原価(材料費+労務費+外注費+直接経費):No.301 1,400,000、No.302 1,950,000、No.401 2,400,000、No.402 2,250,000。配賦額 = 4% を掛けて 56,000・78,000・96,000・90,000、計 320,000。
  5. 当月完成工事原価(完成した No.302・No.401):No.302 = 2,006,000 + 539,000 + 307,500 + 873,000 + 230,500 + 78,000 = 4,034,000。No.401 = 491,000 + 442,500 + 1,296,000 + 170,500 + 96,000 = 2,496,000。計 6,530,000。
  6. 月末未成工事原価(未完成の No.301・No.402):No.301 = 1,156,000 + 414,000 + 189,000 + 670,000 + 127,000 + 56,000 = 2,612,000。No.402 = 562,000 + 474,000 + 972,000 + 242,000 + 90,000 = 2,340,000。計 4,952,000。検算:3,162,000 + 2,006,000 + 1,413,000 + 3,811,000 + 770,000 + 320,000 = 11,482,000 = 6,530,000 + 4,952,000。
  7. 配賦差異:当月の予定配賦額 320,000 − 実際発生額 323,000 = −3,000(予定<実際なので借方差異)。前月繰越の借方残高 2,500 に加えて、月末残高 = 2,500 + 3,000 = 5,500(借方)→ A。
引っかけ:直接原価基準の配賦基準は「当月の直接原価」であり、月初未成工事原価は含めない。配賦差異は当月分だけでなく前月繰越 2,500(借方)と合算する。借方どうしなので足すが、当月が貸方差異なら相殺になる。
現行基準との関係:「工事完成基準」は廃止された「工事契約に関する会計基準」の用語で、現行の「収益認識に関する会計基準」(2021年4月1日以後開始する事業年度から適用)では原則として認められず、工期がごく短い工事に限って完成・引渡時に収益を認識する代替的な取扱いが残っているにすぎない。本問は工事原価の集計だけを問うので、完成した工事の原価を完成工事原価に、未完成の工事の原価を未成工事支出金(月末未成工事原価)に振り分ける手順は収益認識の方法にかかわらず同じになる。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第31回(2022年9月11日(日)実施) 第4問 問2。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する