精算表(未渡小切手・棚卸減耗・減価償却の予定計上・仮払金と仮受金の整理・個別評価の貸倒引当金・補償引当金の戻入・法人税等)
これは建設業経理士2級 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第5問(配点 30点)の問題です。論点は「精算表」(重要度A・解答の形は精算表(約70欄))。採点すると、解き方 16 手順・引っかけの指摘・決算整理仕訳が読めます。
次の<決算整理事項等>に基づき、解答用紙の精算表を完成しなさい。なお、工事原価は未成工事支出金を経由して処理する方法によっている。会計期間は 1 年である。また、決算整理の過程で新たに生じる勘定科目で、精算表上に指定されている科目はそこに記入すること。
(1) 当座預金の期末残高証明書を入手したところ、期末帳簿残高と差異があった。原因を調査したところ以下の内容であった。① 備品購入代金の決済のために振り出した小切手 ¥1,500 が相手先に未渡しであった。② 工事未払金の決済のため材料仕入先に対して振り出していた小切手 ¥6,500 がまだ銀行に提示されていなかった。
(2) 材料貯蔵品の期末棚卸により棚卸減耗 ¥2,500 が判明した。これを工事原価に算入する。
(3) 仮払金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① ¥6,500 は管理部門従業員の出張旅費の仮払いであった。なお、実費との差額 ¥800 については従業員が立て替えていた。② ¥32,000 は法人税等の中間納付額であった。
(4) 減価償却については、以下のとおりである。なお、当期中に固定資産の増減取引は発生していない。① 機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥84,000。なお、月次原価計算において、月額 ¥7,500 を未成工事支出金に予定計上している。当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。② 備品(本社用) 以下の事項により減価償却費を計上する。取得原価 ¥32,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 8 年 減価償却方法 定率法 償却率 0.250
(5) 仮受金の期末残高は、以下の内容であることが判明した。① 当期中に完成した工事の未収代金の回収分が ¥14,000 であった。② 当期末に着手した工事の手付金が ¥10,000 であった。
(6) 売上債権の期末残高に対して 1.2% の貸倒引当金を計上する(差額補充法)。なお、当期末の売上債権のうち貸倒が懸念される債権 ¥15,000 については、回収不能と見込まれる ¥7,500 を個別に貸倒引当金として計上する。
(7) 完成工事高に対して 0.2% の完成工事補償引当金を計上する(差額補充法)。
(8) 退職給付引当金の当期繰入額は本社事務員について ¥7,000 現場作業員について ¥18,000 である。
(9) 上記の各調整を行った後の未成工事支出金の次期繰越額は ¥63,600 である。
(10) 当期の法人税、住民税及び事業税として税引前当期純利益の 30% を計上する。
解答欄
正解
| 勘定科目 | 残高試算表 | 整理記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | |
| 現金 | 106,400 | 106,400 | ||||||
| 当座預金 | 234,000 | 1,500 | 235,500 | |||||
| 受取手形 | 68,000 | 68,000 | ||||||
| 完成工事未収入金 | 721,000 | 14,000 | 707,000 | |||||
| 貸倒引当金 | 8,400 | 8,220 | 16,620 | |||||
| 未成工事支出金 | 84,500 | 20,500 | 41,400 | 63,600 | ||||
| 材料貯蔵品 | 7,500 | 2,500 | 5,000 | |||||
| 仮払金 | 38,500 | 38,500 | ||||||
| 機械装置 | 250,000 | 250,000 | ||||||
| 機械装置減価償却累計額 | 150,000 | 6,000 | 144,000 | |||||
| 備品 | 32,000 | 32,000 | ||||||
| 備品減価償却累計額 | 14,000 | 4,500 | 18,500 | |||||
| 支払手形 | 85,000 | 85,000 | ||||||
| 工事未払金 | 115,000 | 115,000 | ||||||
| 借入金 | 150,000 | 150,000 | ||||||
| 未払金 | 61,000 | 2,300 | 63,300 | |||||
| 未成工事受入金 | 141,000 | 10,000 | 151,000 | |||||
| 仮受金 | 24,000 | 24,000 | ||||||
| 完成工事補償引当金 | 22,000 | 2,400 | 19,600 | |||||
| 退職給付引当金 | 321,000 | 25,000 | 346,000 | |||||
| 資本金 | 100,000 | 100,000 | ||||||
| 繰越利益剰余金 | 150,480 | 150,480 | ||||||
| 完成工事高 | 9,800,000 | 9,800,000 | ||||||
| 完成工事原価 | 8,594,000 | 33,000 | 8,627,000 | |||||
| 販売費及び一般管理費 | 975,000 | 975,000 | ||||||
| 受取利息配当金 | 7,400 | 7,400 | ||||||
| 支払利息 | 38,380 | 38,380 | ||||||
| 11,149,280 | 11,149,280 | |||||||
| 旅費交通費 | 7,300 | 7,300 | ||||||
| 備品減価償却費 | 4,500 | 4,500 | ||||||
| 貸倒引当金繰入額 | 8,220 | 8,220 | ||||||
| 退職給付引当金繰入額 | 7,000 | 7,000 | ||||||
| 未払法人税等 | 10,000 | 10,000 | ||||||
| 法人税、住民税及び事業税 | 42,000 | 42,000 | ||||||
| 156,420 | 156,420 | 9,709,400 | 9,807,400 | 1,467,500 | 1,369,500 | |||
| 当期純利益 | 98,000 | 98,000 | ||||||
| 9,807,400 | 9,807,400 | 1,467,500 | 1,467,500 | |||||
決算整理仕訳
| 借方 | 貸方 | |
|---|---|---|
| (1)① | 当座預金1,500 | 未払金1,500 |
| (2) | 未成工事支出金2,500 | 材料貯蔵品2,500 |
| (3)① | 旅費交通費7,300 | 仮払金6,500 未払金800 |
| (4)① | 機械装置減価償却累計額6,000 | 未成工事支出金6,000 |
| (4)② | 備品減価償却費4,500 | 備品減価償却累計額4,500 |
| (5) | 仮受金24,000 | 完成工事未収入金14,000 未成工事受入金10,000 |
| (6) | 貸倒引当金繰入額8,220 | 貸倒引当金8,220 |
| (7) | 完成工事補償引当金2,400 | 未成工事支出金2,400 |
| (8) | 退職給付引当金繰入額7,000 未成工事支出金18,000 | 退職給付引当金25,000 |
| (9) | 完成工事原価33,000 | 未成工事支出金33,000 |
| (10) | 法人税、住民税及び事業税42,000 | 仮払金32,000 未払法人税等10,000 |
解き方
- (1) 未渡小切手(①)は当座預金を戻して未払金を復活させる。未取付小切手(②)は銀行側の問題なので仕訳しない。
- (2)〜(8) の整理で未成工事支出金に入る項目は、棚卸減耗 +2,500、機械装置減価償却の予定超過分 −6,000、完成工事補償引当金の戻入 −2,400、現場作業員の退職給付 +18,000。
- (9) 未成工事支出金 84,500 + 2,500 − 6,000 − 2,400 + 18,000 = 96,600。次期繰越 63,600 との差 33,000 を完成工事原価に振り替え、完成工事原価は 8,594,000 + 33,000 = 8,627,000。
- (10) 収益 9,800,000 + 7,400 = 9,807,400。費用 8,627,000 + 975,000 + 38,380 + 7,300 + 4,500 + 8,220 + 7,000 = 9,667,400。税引前当期純利益 140,000 × 30% = 42,000。仮払金の残り 32,000 を充当し、未払法人税等 10,000。当期純利益 = 140,000 − 42,000 = 98,000。
- (1)① 未渡小切手は帳簿上の当座預金を戻し、備品代金の債務(未払金)を復活させる。②の未取付小切手は銀行側の調整項目なので仕訳なし。 〔借方〕当座預金 1,500 /〔貸方〕未払金 1,500
- (2) 棚卸減耗 2,500 を工事原価に算入するので、材料貯蔵品を減らして未成工事支出金に振り替える。 〔借方〕未成工事支出金 2,500 /〔貸方〕材料貯蔵品 2,500
- (3)① 出張旅費の実費は仮払 6,500 + 従業員の立替 800 = 7,300。管理部門なので旅費交通費。立替分は未払金。 〔借方〕旅費交通費 7,300 /〔貸方〕仮払金 6,500・未払金 800
- (4)① 予定計上額 7,500 × 12 か月 = 90,000 に対し実際 84,000。計上しすぎた 6,000 を未成工事支出金から減らし、累計額も減らす。 〔借方〕機械装置減価償却累計額 6,000 /〔貸方〕未成工事支出金 6,000
- (4)② 定率法:(32,000 − 14,000) × 0.250 = 4,500。本社用なので備品減価償却費。 〔借方〕備品減価償却費 4,500 /〔貸方〕備品減価償却累計額 4,500
- (5) 仮受金 24,000 の内訳。完成工事の未収代金の回収 14,000 は完成工事未収入金の減少、当期末着手工事の手付金 10,000 は未成工事受入金。 〔借方〕仮受金 24,000 /〔貸方〕完成工事未収入金 14,000・未成工事受入金 10,000
- (6) 売上債権 = 受取手形 68,000 + 完成工事未収入金 (721,000 − 14,000) = 775,000。個別評価分 7,500 + 一般分 (775,000 − 15,000) × 1.2% = 9,120。必要額 16,620 − 残高 8,400 = 繰入 8,220。 〔借方〕貸倒引当金繰入額 8,220 /〔貸方〕貸倒引当金 8,220
- (7) 必要額 9,800,000 × 0.2% = 19,600 に対し残高 22,000 なので 2,400 を戻し入れる。工事原価に含めていた引当金なので未成工事支出金を減らす。 〔借方〕完成工事補償引当金 2,400 /〔貸方〕未成工事支出金 2,400
- (8) 本社事務員分 7,000 は退職給付引当金繰入額、現場作業員分 18,000 は工事原価(未成工事支出金)。 〔借方〕退職給付引当金繰入額 7,000・未成工事支出金 18,000 /〔貸方〕退職給付引当金 25,000
- (9) 整理後の未成工事支出金 84,500 + 2,500 − 6,000 − 2,400 + 18,000 = 96,600 から次期繰越額 63,600 を引いた 33,000 を完成工事原価へ振り替える。 〔借方〕完成工事原価 33,000 /〔貸方〕未成工事支出金 33,000
- (10) 税引前当期純利益 140,000 × 30% = 42,000。中間納付分(仮払金の残り 32,000)を充当し、残り 10,000 は未払法人税等。 〔借方〕法人税、住民税及び事業税 42,000 /〔貸方〕仮払金 32,000・未払法人税等 10,000(税引前当期純利益 140,000)
- 損益計算書の貸方合計 9,807,400 − 借方合計 9,709,400 = 当期純利益 98,000。損益計算書の借方と貸借対照表の貸方に同じ金額を書き、4つの合計欄がそれぞれ貸借一致することを確認する。
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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第5問。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する