第29回 第3問 問1〜問2論点:完成工事原価報告書・工事原価の集計重要度 A配点 24点未着手

配賦基準の選択と完成工事原価報告書(部門別予定配賦・配賦差異の繰越)

これは建設業経理士2級 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第3問 問1〜問2(配点 24点)の問題です。論点は「完成工事原価報告書・工事原価の集計」(重要度A・解答の形は金額+記号/表)。採点すると、解き方 12 手順・引っかけの指摘・現行の法令・基準との関係が読めます。

以下の問に答えなさい。

問1 次に示すような工事間接費は、どのような配賦基準を選択することが最も適切であるか、記号(A〜E)で解答しなさい。

1. 労務作業量に比例して発生する費用 2. タワークレーンの稼働時間に関連して発生する費用 3. 労務副費のような費用 4. 材料副費のような費用

<配賦基準の種類> A 機械運転時間 B 直接作業時間 C 材料費額 D 労務費額 E 外注費額

問2 20×3 年 9 月の工事原価に関する下記の<資料>により、次の問に解答しなさい。

1. 当月の完成工事原価報告書を完成しなさい。

2. 当月末の未成工事支出金勘定残高を計算しなさい。

3. 当月末の現場共通費配賦差異勘定残高を計算しなさい。なお、月次で発生する原価差異は、そのまま翌月に繰り越す処理をしている。また、その残高が借方差異の場合は「A」、貸方差異の場合は「B」を、解答用紙の所定の欄に記入しなさい。

  • 1. 当月の工事状況は次のとおりである。なお、収益の認識は工事完成基準を適用している。
工事番号着工竣工
No.20120×2 年 10 月20×3 年 9 月
No.20220×2 年 12 月20×3 年 12 月予定
No.21220×3 年 4 月20×3 年 9 月
No.21320×3 年 9 月20×3 年 9 月
  • 2. 前月から繰り越した工事原価に関する各勘定の内訳は、次のとおりである。
  • (1) 未成工事支出金(単位:円)
工事番号No.201No.202No.212
材料費1,230,000850,000380,000
労務費560,000235,000143,000
外注費3,800,0001,380,000520,000
経費231,000104,00039,000
  • (2) 現場共通費配賦差異 甲部門 ¥13,400(借方残高) 乙部門 ¥8,320(貸方残高)
  • 3. 当月に発生した工事原価
  • (1) 工事直接費(単位:円)
工事番号No.201No.202No.212No.213
材料費30,000120,00050,000250,000
労務費81,00042,00040,000134,000
外注費382,000127,00069,000652,000
直接経費57,00026,00022,00018,000
  • (2) 現場共通費 甲部門 ¥119,400 乙部門 ¥73,200
  • 4. 現場共通費の予定配賦
  • (1) 甲部門費の配賦基準は直接作業時間であり、当月の予定配賦率は 1 時間当たり ¥1,200 である。当月の工事別直接作業時間は次の通りである。(単位:時間)
工事番号No.201No.202No.212No.213合計
直接作業時間40201530105
  • (2) 乙部門費の配賦基準は直接材料費法であり、当月の予定配賦率は 15% である。
  • (3) 現場共通費はすべて経費に属するものである。
  • (4) 予定配賦計算の過程で端数が生じた場合は、円未満を四捨五入すること。

解答欄

完成工事原価報告書 自 20×3 年 9 月 1 日 至 20×3 年 9 月 30 日(単位:円)
摘要金額
I. 材料費
II. 労務費
III. 外注費
IV. 経費
完成工事原価
A 機械運転時間 B 直接作業時間 C 材料費額 D 労務費額 E 外注費額
円
円
A=借方差異 B=貸方差異

金額はカンマなしでも入力できます。

正解

完成工事原価報告書 自 20×3 年 9 月 1 日 至 20×3 年 9 月 30 日(単位:円)
摘要金額
I. 材料費1,940,000
II. 労務費958,000
III. 外注費5,423,000
IV. 経費518,500
完成工事原価8,839,500
問1 1. 労務作業量に比例して発生する費用B
問1 2. タワークレーンの稼働時間に関連して発生する費用A
問1 3. 労務副費のような費用D
問1 4. 材料副費のような費用C
問2 2. 当月末の未成工事支出金勘定残高2,926,000 円
問2 3. 現場共通費配賦差異月末残高4,180 円
問2 3. 記号A

解き方

  1. 問1:労務作業量に比例する費用は直接作業時間(B)、クレーンの稼働時間に関連する費用は機械運転時間(A)、労務副費は労務費額(D)、材料副費は材料費額(C)を基準にするのが適切。
  2. 問2:当月に完成(竣工 9 月)した工事は No.201・No.212・No.213。No.202 は 12 月完成予定なので月末の未成工事支出金になる。No.213 は当月着工・当月竣工なので前月繰越はない。
  3. 現場共通費(すべて経費)の予定配賦額。甲部門(直接作業時間 × ¥1,200):No.201 48,000、No.202 24,000、No.212 18,000、No.213 36,000(合計 126,000)。乙部門(当月の材料費 × 15%):No.201 4,500、No.202 18,000、No.212 7,500、No.213 37,500(合計 67,500)。
  4. 材料費 = (1,230,000 + 30,000) + (380,000 + 50,000) + 250,000 = 1,940,000。
  5. 労務費 = (560,000 + 81,000) + (143,000 + 40,000) + 134,000 = 958,000。
  6. 外注費 = (3,800,000 + 382,000) + (520,000 + 69,000) + 652,000 = 5,423,000。
  7. 経費 = No.201 (231,000 + 57,000 + 48,000 + 4,500 = 340,500) + No.212 (39,000 + 22,000 + 18,000 + 7,500 = 86,500) + No.213 (18,000 + 36,000 + 37,500 = 91,500) = 518,500。
  8. 完成工事原価 = 1,940,000 + 958,000 + 5,423,000 + 518,500 = 8,839,500。
  9. 月末未成工事支出金(No.202)= 前月繰越 (850,000 + 235,000 + 1,380,000 + 104,000 = 2,569,000) + 当月直接費 (120,000 + 42,000 + 127,000 + 26,000 = 315,000) + 甲部門 24,000 + 乙部門 18,000 = 2,926,000。
  10. 甲部門の当月差異 = 予定 126,000 − 実際 119,400 = 6,600 の貸方差異。前月の借方残高 13,400 と相殺して月末は借方 6,800。
  11. 乙部門の当月差異 = 予定 67,500 − 実際 73,200 = −5,700(借方差異)。前月の貸方残高 8,320 と相殺して月末は貸方 2,620。
  12. 配賦差異の月末残高 = 借方 6,800 − 貸方 2,620 = 借方 4,180 → 記号 A。
引っかけ:No.213 は「当月着工・当月竣工」なので完成工事に含める(前月繰越がないだけ)。乙部門の配賦基準は「当月の」直接材料費であり、前月繰越の材料費は含めない。配賦差異は前月からの繰越残高と当月の差異を合算し、甲・乙を合計して借方か貸方かを判定する。
現行基準との関係:「工事完成基準」は廃止された「工事契約に関する会計基準」の用語で、現行の「収益認識に関する会計基準」(2021年4月1日以後開始する事業年度から適用)では原則として認められず、工期がごく短い工事に限って完成・引渡時に収益を認識する代替的な取扱いが残っているにすぎない。本問は工事原価の集計だけを問うので、完成した工事の原価を完成工事原価に、未完成の工事の原価を未成工事支出金(月末未成工事原価)に振り分ける手順は収益認識の方法にかかわらず同じになる。

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出典:一般財団法人 建設業振興基金が実施した建設業経理士2級 第29回(2021年9月12日(日)実施) 第3問 問1〜問2。問題文は本試験の問題にもとづいています。解答・解説・論点の整理は資格試験対策.netの独自コンテンツです。最終更新 。この問題の誤りを報告する